26 / 46
七つの大罪 強欲編
炭坑
しおりを挟む
村を出た四人は、老人の言う通り、鉱山へと足を運んでいた。
「鉱山ってお金になるの?」
リコがアマナスに質問した。
「鉱山では、燃料になる鉱物や宝石が採れるんだ。それを売れば儲かるってかんじだよ」
アマナスが答える。
「どうやってとるの?」
「普通なら、ツルハシを使うんだけど……」
「そうだね。私たちは持っていない」
「じゃあ諦めるの?」
「こうする」
オーサーはそう答えると、壁を爆発させる。ボカンという音と同時に、足元へ鉱石が転がる。
「うわぁ、ビックリしたー」
とリコが。
「けほ、けほ。いきなりやらないでくださいよ」
アマナスは不満を述べる。
そんな二人を余所に、オーメンは鉱石を拾う。
「石炭だね。最も使われている燃料だ」
「当たりだな」
「でも小さい。もっと慎重にやろう」
こうして二人は炭坑を始める。
「お兄ちゃんはやらないの?」
「リコちゃん。俺たちはああいう魔法は使えないんだ。黒い魔力は他の魔法とは違うからね」
「そう。黒い魔力は病や呪いをかけることしか出来ないんだ」
「そんなぁ」
「ごめんね。俺が普通の魔力を持っていたら」
悔しそうな顔をする。
「気にしないで。私はお兄ちゃんのお陰で"村人"になれたから」
感極まり、ぎゅっと抱き締める。
とそこに、男がやってきた。
「もし。そこの方たち。何をしておられるのです!?」
四人の視線が男に集まる。
「ここはマモ様の敷地ですよ! 勝手に入られては困ります!」
彼によるとこの鉱山はマモという男が、つい最近購入したらしい。
「お金持ちなんですね」
アマナスが褒める。
「貴族ですので」
「貴族……」
オーメンがボソッと呟く。彼女は自分の家のことを思い、気付かれないくらい少し眉をひそめる。彼女もまた、ひもじい思いをしていたのだ。
「なら少しくらいは大目に見てほしいですね」
オーメンが毒づく。
「申し訳ございません」
「なあ、もうここ出ようぜ」
オーサーが提案する。
「お待ちください」
男が止める。
「今回に限れば、私が嘘の報告をすればよいだけの話です」
「いいんですか?」
「炭坑ではこういうこともありますでしょう」
男は四人が採掘することを許可した。
オーメンとオーサーは魔法で採掘を続ける。リコとアマナスは男からツルハシを借りて、後退で採掘をする。
三十分ほどが経過した。
「そろそろ休むか」
とオーサーは声を掛ける。
「私はもうちょっとやりたい」
リコはまだやり足りないようだ。
「了解」
三人が休憩に入ろうとしたその時だった。
「危ない!」
爆発が起きた。オーメンが全員を防御魔法で守った。
「何が起きたんですか?」
アマナスは慌てふためく。
「粉塵爆発です」
「粉塵爆発⁉」
男が説明を始める。
「可燃性のメタンガスに、火花が着火して爆発したのです」
「うわぁ、ビックリした」
煙が晴れ、リコの姿が現れる。
「爆風は防いだけど、ガスまでは防ぎきれないし、崩落の危険があるから外出るよ!」
オーメンが皆に注意喚起する。
「危なかったな」
「とりあえず何処かで休みたいね」
「でしたら、我が主の屋敷へいらっしゃいますか?」
鉱山を出て、男が四人を屋敷に案内する。
当主屋敷。
「おかえりなさいませ。セバス様」
メイドが出迎えてくれた。その顔はオーメンの顔と瓜二つだった。
「クロさん。マモ様はいらっしゃいますか?」
「お部屋に」
「ありがとうございます」
セバスはマモに経緯を話す。
「なるほど。セバス。話は分かった」
「不運な事故です。どうか寛大な処置を」
「お前はクビだ」
「ッ」
「それと、貴様らは損害を補填してもらう」
「ではここで働かせてください」
オーメンがそう申し出る。
「……いいだろう」
マモはオーメンの顔をジロっと見て、許可をだした。
「セバス。クビは見送る。その者たちを教育してやれ」
「かしこまりました」
かくして四人は損害を埋めるまでの間、マモ邸宅で無給労働をすることになった。
「鉱山ってお金になるの?」
リコがアマナスに質問した。
「鉱山では、燃料になる鉱物や宝石が採れるんだ。それを売れば儲かるってかんじだよ」
アマナスが答える。
「どうやってとるの?」
「普通なら、ツルハシを使うんだけど……」
「そうだね。私たちは持っていない」
「じゃあ諦めるの?」
「こうする」
オーサーはそう答えると、壁を爆発させる。ボカンという音と同時に、足元へ鉱石が転がる。
「うわぁ、ビックリしたー」
とリコが。
「けほ、けほ。いきなりやらないでくださいよ」
アマナスは不満を述べる。
そんな二人を余所に、オーメンは鉱石を拾う。
「石炭だね。最も使われている燃料だ」
「当たりだな」
「でも小さい。もっと慎重にやろう」
こうして二人は炭坑を始める。
「お兄ちゃんはやらないの?」
「リコちゃん。俺たちはああいう魔法は使えないんだ。黒い魔力は他の魔法とは違うからね」
「そう。黒い魔力は病や呪いをかけることしか出来ないんだ」
「そんなぁ」
「ごめんね。俺が普通の魔力を持っていたら」
悔しそうな顔をする。
「気にしないで。私はお兄ちゃんのお陰で"村人"になれたから」
感極まり、ぎゅっと抱き締める。
とそこに、男がやってきた。
「もし。そこの方たち。何をしておられるのです!?」
四人の視線が男に集まる。
「ここはマモ様の敷地ですよ! 勝手に入られては困ります!」
彼によるとこの鉱山はマモという男が、つい最近購入したらしい。
「お金持ちなんですね」
アマナスが褒める。
「貴族ですので」
「貴族……」
オーメンがボソッと呟く。彼女は自分の家のことを思い、気付かれないくらい少し眉をひそめる。彼女もまた、ひもじい思いをしていたのだ。
「なら少しくらいは大目に見てほしいですね」
オーメンが毒づく。
「申し訳ございません」
「なあ、もうここ出ようぜ」
オーサーが提案する。
「お待ちください」
男が止める。
「今回に限れば、私が嘘の報告をすればよいだけの話です」
「いいんですか?」
「炭坑ではこういうこともありますでしょう」
男は四人が採掘することを許可した。
オーメンとオーサーは魔法で採掘を続ける。リコとアマナスは男からツルハシを借りて、後退で採掘をする。
三十分ほどが経過した。
「そろそろ休むか」
とオーサーは声を掛ける。
「私はもうちょっとやりたい」
リコはまだやり足りないようだ。
「了解」
三人が休憩に入ろうとしたその時だった。
「危ない!」
爆発が起きた。オーメンが全員を防御魔法で守った。
「何が起きたんですか?」
アマナスは慌てふためく。
「粉塵爆発です」
「粉塵爆発⁉」
男が説明を始める。
「可燃性のメタンガスに、火花が着火して爆発したのです」
「うわぁ、ビックリした」
煙が晴れ、リコの姿が現れる。
「爆風は防いだけど、ガスまでは防ぎきれないし、崩落の危険があるから外出るよ!」
オーメンが皆に注意喚起する。
「危なかったな」
「とりあえず何処かで休みたいね」
「でしたら、我が主の屋敷へいらっしゃいますか?」
鉱山を出て、男が四人を屋敷に案内する。
当主屋敷。
「おかえりなさいませ。セバス様」
メイドが出迎えてくれた。その顔はオーメンの顔と瓜二つだった。
「クロさん。マモ様はいらっしゃいますか?」
「お部屋に」
「ありがとうございます」
セバスはマモに経緯を話す。
「なるほど。セバス。話は分かった」
「不運な事故です。どうか寛大な処置を」
「お前はクビだ」
「ッ」
「それと、貴様らは損害を補填してもらう」
「ではここで働かせてください」
オーメンがそう申し出る。
「……いいだろう」
マモはオーメンの顔をジロっと見て、許可をだした。
「セバス。クビは見送る。その者たちを教育してやれ」
「かしこまりました」
かくして四人は損害を埋めるまでの間、マモ邸宅で無給労働をすることになった。
0
お気に入りに追加
2
あなたにおすすめの小説
校長室のソファの染みを知っていますか?
フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。
しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。
座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る
寝室から喘ぎ声が聞こえてきて震える私・・・ベッドの上で激しく絡む浮気女に復讐したい
白崎アイド
大衆娯楽
カチャッ。
私は静かに玄関のドアを開けて、足音を立てずに夫が寝ている寝室に向かって入っていく。
「あの人、私が
【R-18】クリしつけ
蛙鳴蝉噪
恋愛
男尊女卑な社会で女の子がクリトリスを使って淫らに教育されていく日常の一コマ。クリ責め。クリリード。なんでもありでアブノーマルな内容なので、精神ともに18歳以上でなんでも許せる方のみどうぞ。
13歳女子は男友達のためヌードモデルになる
矢木羽研
青春
写真が趣味の男の子への「プレゼント」として、自らを被写体にする女の子の決意。「脱ぐ」までの過程の描写に力を入れました。裸体描写を含むのでR15にしましたが、性的な接触はありません。
スケートリンクでバイトしてたら大惨事を目撃した件
フルーツパフェ
大衆娯楽
比較的気温の高い今年もようやく冬らしい気候になりました。
寒くなって本格的になるのがスケートリンク場。
プロもアマチュアも関係なしに氷上を滑る女の子達ですが、なぜかスカートを履いた女の子が多い?
そんな格好していたら転んだ時に大変・・・・・・ほら、言わんこっちゃない!
スケートリンクでアルバイトをする男性の些細な日常コメディです。
小学生最後の夏休みに近所に住む2つ上のお姉さんとお風呂に入った話
矢木羽研
青春
「……もしよかったら先輩もご一緒に、どうですか?」
「あら、いいのかしら」
夕食を作りに来てくれた近所のお姉さんを冗談のつもりでお風呂に誘ったら……?
微笑ましくも甘酸っぱい、ひと夏の思い出。
※性的なシーンはありませんが裸体描写があるのでR15にしています。
※小説家になろうでも同内容で投稿しています。
※2022年8月の「第5回ほっこり・じんわり大賞」にエントリーしていました。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる