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 さて、説明しましょう。


とりあえず皆さんにはソファーに掛けてもらって私はお茶をいれる。自分のお茶もテーブルに置いてから私はソファーに正座する……なんとなく。

「皆さんにレクラス王国のお話を聞いた時……」

結局全てを吐かされそうなのでもう最初から話そう。

女性のままだと大変かな、と思って男装したこと。

すでにノクトが吹き出しそう……笑い上戸か……

男装したのに男性に声を掛けられたこと。

オリバーなにを頷いているの……

女性の姿で街を歩いたら誰にも声を掛けられなかったこと。

ノシュカト……やめて……その憐れみの目……

それで女としての自信を取り戻すためにこのような物を……購入……しました……

恥ずかしくて声が小さくなっていく。

とうとうノクトが吹き出す。

オリバーはこんなに可愛いのに……と傷口をえぐってくる。

ノシュカトは……何か考えている……? 何か言って。

「兄上……」

ノシュカトが笑っているノクトを見てため息をつく。

「トーカ、女性の格好で街を歩いたって言っていたけれど、わざと地味な感じにしていたのでは?」

そ、そうだけど……

「それくらい警戒心を持ってくれていた方が僕らは安心だよ?」

そうなんだけれど……ここで疑問に思っていたことを聞いてみる。

「あの……レクラス王国は……というかこの世界は同性同士で付き合うことも当たり前なの?」

ノクトが復活して答えてくれる。

「男女で付き合う事が多いが好きになったら男同士だろうが女同士だろうが関係ないな。実際結婚をしている者もいるしな」

結婚……そうだ……

「レクラス王国で聞いたのだけれど、複数の人と結婚できるとか……」

今度はオリバーが答えてくれる。

「その通りだよ。リアザイア王国では半数以上が一夫一妻を占めているけれど、レクラス王国は半数近くが一夫多妻、一妻多夫どちらかの形をとっているのではなかったかな」

きちんと本人達が納得しているのなら一夫多妻、一妻多夫も同性婚もどこの国でもあるはずだよ、と。

なるほど。……でもなんだかレクラスで声を掛けてきた男性達は私の話を聞いてくれる感じではなかった……積極的というか強引だったし。

「トーカ? 大丈夫? レクラス王国で何かあった?」

ノシュカトがレクラス王国での事を思い出している私を心配している。

「大丈夫だよ、ありがとう。それにしてもなんだかすぐに大家族になりそうだよね」

妻や夫を何人もってなると……

「一夫多妻、一妻多夫と言っても妻や夫を二人から三人……それくらいが多いかな。稀に五人や十人と結婚する人もいるけれど、まぁ珍しいかな」

そうなんだ。なんかハーレムみたいなのを想像していたけれど違ったみたい。
相手に誠実にとか、みんなが納得していればとなるとそれくらいの人数になるのかな。

「トーカがいた世界ではどうだったの?」

同じ感じかな? とノシュカトに聞かれた。

「国によっての違いはあったけれど、私が生まれ育った国では一夫一妻制だったよ。同性婚は認める方向に動き出していた感じかな」

ノクトがこちらを見る。

「トーカがこの世界で結婚を考えるとしたら?」

「ん? んー考えたことはなかったけれど……やっぱり結婚相手は一人かな」

長年染み付いた考えだからね。と笑う私と考え込む三人。

まぁ文化の違いってやつよね。


三毛猫さんがトコトコと近づいてくる。
少し早いけれどそろそろ戻ろうか。

「そろそろレクラスに戻るね、夕食の約束があるんだ」

「「「誰と?」」」

ハモるねぇ--

「お世話になっている宿屋さんの姉弟とその二人の幼馴染みの服屋さんの男性と私の四人で食べにいくの」

男もいるのか……誰かが呟く。

「せっかくだから男装した姿を見せてよ」

と、ノシュカトがニコリと微笑む。

ちょっと待っていて、着替えてくるからといい二階の部屋へいく。
髪を短くして、サラシを巻いて、レクラス王国の男性……男の子用の服に着替えて一階に降りる。

「どうかな? ちゃんと男性にはみえるよね?」

「可愛い」  ノシュカト

「可愛いな」 ノクト

「可愛すぎ」 オリバー

…………つまり

「やっぱり子供っぽいかな? 大人の男性で通しているのだけれど……無理があるかなぁ」

でもね、

「こんな感じでも仕事が決まりそうなの! 明日面接なんだ」

仕事? ノシュカトがこちらを見る。

「うん。ダンストン伯爵家のリアム様が大切にしているクルクスさんっていう犬の世話係だよ」

決まるといいな、とオリバーが私の頭を大きな手で撫でる。
オリバーの側にいると本当に子供になったみたい。

三毛猫さんも足元に座ってオリバーを見上げている。
三毛猫さんを抱き上げて腕の中で撫でるオリバー。

わかるよ三毛猫さん、なんか安心するよね。

そうだ、

「もし泊まり込みになるならお風呂も使っていいからね、あと冷蔵……あの箱の中に食べ物も入っているから食べてもいいよ」

みんながありがとうと言い、ノシュカトが

「トーカこの紅茶も良かったら飲んで」

これはっお城で使っている高い紅茶! 美味しいやつぅ。

「わぁ嬉しい! ありがとう」

フフフッ楽しみが増えた。

「城にも顔をだせよ」

ノクトに言われ、もちろんとお返事をする。

よしっ今度こそ宿に戻ろうか。


オリバーから三毛猫さんを受け取り、みんなにバイバイしてゲートから宿へ戻った。


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