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 山の家に帰ると三毛猫さんとココさんが庭で熊さん親子とキツネさん親子と遊んでいた。

ココさんはすっかり元気になって三毛猫さんも嬉しそう。

みんな揃っているし先に夕食にしようかな。

果物と野菜を切って街で買っておいたお魚とお肉を焼いて庭に持っていく。

私はお菓子をたくさん食べたし温泉の後三毛猫さん達と一緒に持って帰ってきたお菓子を食べる予定だから夕食は控え目にしておく。

そういえば熊さん親子は冬になったらやっぱり冬眠するのかな。

まだ先だと思うけれど春まで会えなくなるなら冬眠に入る前にたくさん食べてもらわなければ。
今度街に行ったらお肉やお魚を多めに買っておこうかな。

キツネさん達はきっとモッフモフのフッカフカになる。
たくさん遊びに来てもらいたい。


ごはんを食べてみんなが庭で遊んでいる様子を見ながら毛繕いをしている三毛猫さんを撫でてから温泉に行って来るね、と伝えた。

家のドアは開けておいて温泉に向かう。


いつも通りクリーンをかけるけれどお湯に入る前に全身洗う。

熱めのお湯にゆっくりと浸かる。


はぁぁぁ――――――…………気持ちいぃ――――…………


やっぱり声が出ちゃう……フフフッ


星空を見上げながらそういえばセオドアとはここで初めて会ったんだった……裸で……と思い出す。

まさかザイダイバの第二王子様だったとはね……

この世界に来てからいろいろあったなぁ。たくさん出会いもあったし。

三毛猫さんが一緒にいてくれて良かった。

いまだにわからないこともあるけれど、三毛猫さんがいなければ私の異世界生活は森で終わっていたかもしれない。


魔法を使えるようになったのには驚いたけれど……お酒に酔っていたり体調が悪いと上手く使えないみたいだから気を付けなければいけないかも。


リアザイアの皆さんにはとても良くしてもらっている。

私の話を信じてくれて、魔法の事を知っても私を利用しようとはしない。

むしろ守ろうとしてくれている。

私の知りたいことは学ばせてくれるし、この世界の家族だと思って欲しいと言ってくれた。

いつか恩返しが出来るといいな。

これから起こる事にはあまり関わって欲しくはなさそうだったけれど……目の前で何か起こればやっぱり私は関わっていくと思う。

王妃様の計画はきっと完璧だと思うしあんなにたくましい騎士団がいるのだから私の出る幕なんてないかな。


この騒動が終わったらどうしよう? 

リアザイアのお城のメイドに戻るのもいいけれど…………

他の国も見てみたいし海にも行ってみたい。
しばらく旅に出るのもいいかもしれない。

三毛猫さんも付いてきてくれるかな。

便利などこでもゲートがあるからいつでも山の家に帰れるし来たいときに付いてきてくれるだけでも嬉しい。


そんな事を考えている間に身体も十分温まったから温泉から出て風魔法で全身乾かし山の家へ帰る事にした。


家に着くと熊さん親子とキツネさん親子はおうちに帰ったみたいで三毛猫さんとココさんは家の中に入っていた。

「三毛猫さんココさん、おやつにしようか」

「「ニャ――」」 可愛い……

お茶をいれておやつも用意してみんなでいただきますをして食べ始める。

「このお菓子はね、シュゼット様が教えてくれたんだよ。ココさんと三毛猫さんも食べられるんだって」

ココさんが嬉しそうに私の手にスリスリしてくる。

私の家に来てもらった当初よりもだいぶふっくらして毛並みもいい。


「きっともうすぐおうちに帰れるからね」

そう言ってナデナデナデナデナデナデ…………

あまりしつこくすると三毛猫さんのパンチを食らいそうだけど……それはそれで大歓迎……

カリカリとお菓子を食べている間は邪魔したくないけれど可愛いからなぁ……フワフワの毛並みについ手を伸ばしてしまう。

「そういえば3日後の夜に夜会があるって言っていたな……」

セオドアが言っていた。そしてもちろん私も強制参加だ。
ドレスもすでに用意しているらしい。

何気なく呟くと三毛猫さんがピクリと反応した。

「貴族は集まってお喋りをするのが好きだねぇ……」

三毛猫さんがクリクリの目でじっと見つめてくる。

「三毛猫さん……さてはおやつが美味しかったからって……」

「ニャン」

「本当に? 夜会に一緒に行きたいの?」

「ニャン」

あらら、三毛猫さんてば食いしん坊なんだから。

でもこの場所に落ち着いてから三毛猫さんがどこかへ行きたがることなんてほとんどなかったし……結界を張れば大丈夫かな。

ココさんも一緒に行ってシュゼット様と会えたらいいかも。

「じゃぁ、みんなで夜会に行こっか」

「「ニャン!」」

フフフッ可愛い。

そういえば私のドレス姿を三毛猫さんにまだ見てもらっていなかった。私だと気付いてくれるかな。驚くかな。

三毛猫さんとココさんにもリボンを用意しておこう。

私以外誰にも見られないけれど……シュゼット様には見てもらえるかも。

何色のリボンがいいかな何本か並べて選んでもらうのもいいかもしれない。

そんな事を考えながらおやつを食べ終えて後片付けをする。


三毛猫さんとココさんはキャットタワーのてっぺんで毛繕いを始めている。

私も混ぜて欲しい……猫になれたら……と思いハッとする。

もしかしてなれるんじゃない? 寝る前に考えたら。

と、思ったけれど多分無理だと思う。

前に髪や瞳の色、顔立ちを変えたいと願ったけれど極端に変えられる事はなかった。

せめて髪の毛の長さだけでも変えられないかな? この世界に来てから一度も切っていないから伸びっぱなし。

こちらの世界の女性はみなさん髪が長いから長いぶんには問題ないのだけれど……メイドさん達も綺麗だと言ってくれるし……

でもたまには気分転換に長さだけでも変えてみたい。元の長さにも戻せるならなおのこといい。

これは試してみてもいいかも。

この日の夜、就寝前に私は久しぶりに願った。

髪の長さを自由に変えられるようになれたらいいな、と。


あと一応、猫になりたいっ……と強めに願っておいた……



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