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 自分で話を変えておいて何だけど、話を戻そう。

「ドアはどちらに作りますか?」

王族とオリバーが入れる部屋で話し合い、貴賓室の1室に決めたみたい。そんな立派なお部屋からうちの客室へ…………

とにかくドアを作りに案内してもらうんだけれど、王族とオリバーが連れだって移動は目立ち過ぎるから、全員に結界を張り姿を消す。

皆さん不思議がり面白がりひとしきり騒いで落ち着いた頃に移動を始める。

ダメだ。覚えられない。廊下は長いし部屋はたくさんあるし、1人で来ることもないからいいか……と最後は諦めた。

「こちらです」

とノバルトにエスコートされて入った部屋はゴージャス。品のあるゴージャス。
キョロキョロと周りを見回していると皆さん微笑ましげにこちらをみていた……コホン。

「どちらに作りましょう」

「こちらに」

と、絵を飾られていない壁を指定された。

それでは、とイメージする。私の家とお城を繋ぐドア。

家のドアとは全然違うこの部屋にあっても違和感のない凝ったデザインのドアが出てきて私も思わず皆さんと一緒に「ほぉ――――」 と感嘆してしまった。

後はこのドアに結界を張って今いるメンバー以外には見えないようにしておく。
それから、鍵を1人1本ずつ渡して任務完了!

「私の家にあるドアの鍵は開けておいたので1度試してみますね」

ドアを開けてみるとそこは家の客室。と、目の前に三毛猫さん。

「三毛猫さん……」

今まで進んで人前に出ることはなかったのにどうしたんだろう。
三毛猫さんがジッと皆さんをみている。

……三毛猫さん?

それから私をみて

「ニャーー」

と鳴く。

「ミケネコサンだ」

「あら、あなたがミケネコサンなの? 本当に3色なのねぇ。素敵だわ」

私が向こう側の私の家に移動して三毛猫さんを抱っこしてもう一度お城側に戻る。
上手くいったみたい。

三毛猫さんがクリクリの可愛い目で見つめてくる。落ち着いているし大丈夫だよね?

「これでお互いの家の行き来ができます。先触れを頂ければ鍵を開けておきますので、皆様方も同じ様にお願いします」

「トーカさんは空を飛んでも来られるし、いつでも来てくれて構わないのよ? こちらの鍵は必要ないかもしれないわ」

私は鍵が必要です。

「念のためお持ちください」

私も鍵は必要ないかもとは決していいませんよ?

王妃様と話す時は気を付けないといつの間にか思ってもいない方向で話をまとめられてしまう。

「それでは今決めてしまいましょう。トーカさんのお家には誰がいつお邪魔するのか、順番と日時ね」

ほらっ! 王妃様何か楽しんでいません!?

まぁ思っていたのとは違うとはいえお願いしたのは私だから……いや……お願いしてはいない。

「そうねぇしばらく遠征の予定はないからオリバー、ノクト、ノシュカト、ノヴァルト、私の順でいいかしら?」

さりげなく王妃様も入っている……

そしてその順番で話がまとまってしまった。

何だかんだ言っているけれどノシュカトが帰ってから家の中が寂しいような気がしていたから本当のところは有り難かったりもする。


この世界でも1週間は7日で曜日も、月火水木金土日と一緒……というか私には一緒に見える。

月~金で1日2~3時間くらいで順番に来るらしい。
週休二日か……

今日が日曜日だから明日から始まるみたい。時間は仕事の区切りもあるからそれぞれで決めることとなった。

オリバーに明日は何時にしようかと聞こうとしてふと気がついた。この部屋のドアからではグリアが来られないことに。
グリアにはうちの庭でも駆け回って欲しい。
急遽馬屋にもドアを作る許可を頂いて、そこにもゲートを作って今日はそこから帰ることにする。

やれやれと今度こそオリバーに何時にする? と聞こうとしてそちらを見ると……なんか凄く優しい表情をしている……
本当に女性に怖がられたりするのかな? 信じがたい。

「トーカ、グリアの事も考えてくれてありがとう。明日は良ければ昼食を共にしないか? この間のようにピクニックのようなことが出来ればと思うのだが……グリアも連れて行ってもいいだろうか?」

もちろん大歓迎。食事はオリバーが持って来てくれるらしい。ラッキー。

お話がまとまったところで、挨拶をしてから私は失礼して馬屋へ向かいゲートを作る。結界を張って周りから見えないようにしてそのドアから山の家に帰った。

明日はピクニックだ。東屋を使うのもいいかも。
誰かと使うのは初めてだなぁ…………



…………ん?…………オリバーはちゃんと本と地図持ってきてくれるよね……?



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