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番外編
西方見聞録 23
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「大丈夫ですよ、ものすっごい痛みがあるのは多分一瞬です!ほら、ボク回復魔法の魔石を持ってるのでリースがあなたを処置したらすぐに治す準備は出来てますから。」
金髪巻毛のアンリという子は見た目を裏切らない天使のような笑顔でにっこり笑ってそう言いながら、上着をちらりとめくって見せた。
その内側に着ているベストの胸ポケットには薄紫色の水晶のような形をした魔石が入っている。
い、いやいや、天使みたいな見た目でなんて恐ろしいことを言ってんの?
ものすっごい痛みって言った?しかもそれ、『多分』一瞬?多分って何、回復魔法をかけるタイミングがズレたら悲惨な事になるんじゃないの?冗談じゃないよ!
「ちょ、ちょっと待って!男子禁制って言うなら君たちもでしょ⁉︎」
悪あがきのような僕の言葉に二人は顔を見合わせて誇らしげに胸を張った。
「ボク達はユーリ様専属の侍従だからいいんです。ほら、その印にユーリ様が直接くださった特別なブローチも付けてるんですよ!」
そう言う胸元にはリンゴと矢を組み合わせた金色のブローチが光っている。あ、いいなあそれ。ユーリ様の専属従者しか持てないやつなんだ?
ちょっと羨ましく思いながらそれを見ていたらリースという子がそれに、と口を開いた。その声の調子が今までと違って少し真面目な口調だったのではっとする。
「僕たちはユーリ様に命を救っていただいたご恩があるので、何があってもあの方に生涯お仕えするって決めているんです。だからそれができるのなら、男じゃないままだとかどうでもいいし。」
・・・ん?何その意味深な言葉。まるで自分達は男じゃないみたいな言い方じゃないか?
不思議に思ったのが顔に出ていたのか、アンリという子が
「あ、ボク達色々と事情があって男じゃないんです。その事情も含めてユーリ様には助けていただいたんですけどここには基本、男は勤められないからそれもまあ結果的にいい方に転がった感じで!」
とあっけらかんと言い放った。お、男じゃない?
「それってまさか、『ない』の・・・?」
あえてナニが、とは言わないけど恐る恐る聞けばあっさり頷かれた。
「まあそういう虐待みたいな目に遭ってたと思ってもらえれば。ユーリ様は治してあげるって仰ってくださったんですけど、そうしたらここでは働けないでしょう?だからボクもリースもそのままでいいって言ったんです。」
ニコニコしながらとんでもない事を言われた。そんな込み入った事情があったなんて聞いて良かったんだろうか。
でもそれでこの二人が妙に中性的な雰囲気の理由も納得だ。そんでもって、そんな二人を助けてここで雇ってあげているなんてユーリ様もいい人だなあ。
思いもよらず、綺麗な見た目とは裏腹の重たい事情を聞いてしまった。と、少ししんみりしたというのにそんな僕にアンリという子は
「そんなわけで!」
明るく続けた。
「後処理はきちんと回復魔法ですぐにするし、少なくともボクらの時よりは悲惨な事にはならないと思います!この建物の中に入りたかったら男を捨ててもらいましょうか?」
あ、あれ?まだやるつもり?リースという子の足元を見ればまだぴきぴきと大理石にヒビが入っているから、その足に込めた力はまだ抜いていないらしい。
と、その時だ。
「こらぁっ!二人とも何やってるっすか⁉︎」
ユリウス様の声がした。
「あっ、ユリウス様」
「こんにちは!お待ちしてました!」
二人の侍従は叱られたというのに全く気にもせず、光り輝くような綺麗な笑顔でユリウス様に挨拶をしている。
助かった。これ以上この人の来るのが遅れていたらとんでもない目に合うところだった。
「お、遅いですよ・・・!」
思わず泣き言を言えば申し訳ないっす!と謝られた。
「自領に帰っている団長から報告期限が間近の書類があったのを忘れてたって連絡が今朝方来て、それに手間取ってたっす。マジであの人にはいてもいなくても振り回されるっす。それよりも、」
そう言ってユリウス様は二人の侍従達へと向き直った。
「リース君もアンリ君も、今日はお客様を連れて行くからよろしくって言っといたじゃないっすか!俺がいないからってからかうなんて失礼っすよ!この人は他の国からの大事なお客様なんすからね⁉︎」
「だって何だか怪しい包みを持ったままそれを離そうとしないし、ユリウス様は一緒じゃないし、万が一不審者だったらどうするんですか?」
リースという子がそう言えば、アンリという子もそれに同調する。
「そうですよ、後ろめたいところがなくてユーリ様への思いが強い人なら、ちょっと脅したくらいで逃げ出しはしないでしょうし。」
「だからって、ユーリ様からの加護の力を脅しに使うなんてダメっす!」
ユリウス様はヒビの入った大理石を見て何があったのか大体は分かったらしい。
「これがシェラザード様なら良くやったって褒めてくれるのに・・・」
二人がそう言って不満そうにしたものだから、
「あの人を基準にしちゃダメっすよ⁉︎あそこまでいったら狂信者っす、人生が破綻するっす!キミ達はまだ若いんだから、あんな風になっちゃダメ‼︎」
この世の終わりのような顔をしてそう叫んだユリウス様は二人の頭をがしっと掴むと無理やり下げさせた。
「本当に申し訳ないっす!この子達、侍従としての基本的な礼儀作法は完璧なんすけど、奉仕の心とか精神的な部分をシェラザード様に教え込まれたせいでちょっとその辺がズレてるんすよ。後でちゃんと叱っておくんで許してください!」
まるで彼らの保護者みたいに二人と一緒に謝られてしまった。
「ま、まあこうして親身になって叱ってくれる人がいるのはいいことですよね。幸い僕も男のままでいられたことだし、大丈夫ですから・・・」
「男のまま・・・?」
僕の言葉に首を傾げたユリウス様が、あっと声を上げた。
「キミ達、さっきシーリンさんに迫ってたのはそーいう事っすか⁉︎一体何を言ってるのかと思ったら・・・自分がされて嫌だった事を他人にしちゃダメじゃないすか!しかもわりと深刻なやつ‼︎」
うん、そうだよね。虐待されて男じゃなくなったのを自分からネタにしてくるとか、されたこっちがどう反応していいか分からなくなる。
だけどアンリという子はけろりとして、
「こうして自分の口から言えるようになった位には心の傷が癒えているって事だと思いませんか?全部助けてくれた上にここで働くことを許してくれたユーリ様のおかげです!」
なんて微笑んでいる。何を言われても懲りないその態度に、さすがのユリウス様もがっくりと肩を落として諦めた。なんかかわいそう。
「・・・とりあえず、中に通してもらってもいいっすか?殿下とユーリ様をお待たせしてしまって申し訳ないっすから・・・」
その言葉に、待ってましたとばかりに二人は揃ってはーいと返事をするとやっとその玄関の扉を開けてくれた。
「どうぞ、お手拭きです。お荷物はこちらへ置いてください。上着もお預かりします。」
「靴の汚れを落としますので、こちらに掛けてくださいね。飲み物もどうぞ。」
さっきまでの不審者に対する用心モードはどこへやら、てきぱきと二人は僕とユリウス様を玄関の隣の部屋へと案内して椅子へ座らせた。
そうしてさっと軽く靴を磨き、その間に待っている僕らが手持ち無沙汰にならないように冷たい飲み物まで出してくれて、ついでに座る前に預けた上着にも丁寧にブラシをかけて埃を取ってくれる至れり尽くせりぶりだ。
そんな二人にユリウス様は
「ホント、こういうところはちゃんとしてるんすけどねぇ・・・」
とぶつぶつ呟いていた。そうして準備が整うと、別の年若い快活そうな侍女が部屋へと顔を出した。
「ようこそユリウス様、お客様もようこそお越しくださいました。」
ユーリ様付きの侍女の一人だというその人はマリーと名乗って丁寧な挨拶をしてくれた。よく見ればその人の胸にもあのリンゴと矢の金色のブローチが付いている。
「急な申し出だったのに申し訳ないっすね。しかも少し遅れてしまって・・・」
ユリウス様が謝れば、
「大丈夫ですよ!ユーリ様も東国の珍しい物が見られるのを楽しみにしておられましたから!それにユリウス様の仕事が立て込んで遅れるというのも、ご連絡をいただいていましたし。」
とマリーさんというその人は僕らを建物の奥へと案内してくれながら笑っている。
どうやら僕への連絡は間に合わなかったらしいけど、さすがにリオン王弟殿下へは連絡済みだったらしい。
てことは、あのリースとアンリっていう二人もユリウス様が遅れることは知ってたんじゃないの?
僕を不審者だのなんだのって言って中へ入れてくれなかったけど、あれはやっぱりからかわれてた・・・?
あれ?と首を傾げていた僕の前を歩いていたユリウス様に、マリーさんというその侍女はある扉の前で立ち止まると
「ただ、お昼ご飯も済んでくつろいでいたところにユリウス様の到着が思いがけず遅れましたでしょう?ですからユーリ様、ちょっと眠くなってしまったようでして・・・。」
「え、もしかして寝ちゃったんすか?俺が待たせたせいっすね、申し訳ないんで昼寝をしてるなら待ちますけど」
マリーさんの言葉にユリウス様が恐縮した。
「いえいえ、まどろんでいる程度だったので!私がリース君達に呼ばれて部屋を出ている間にリオン殿下が起こしてくれているはずですから。」
そう言いながらマリーさんは目の前の扉を静かにそうっと、少しずつ開けていく。
やっとユーリ様に会って皇子からの贈り物を渡せる。僕は心底ほっとして、その扉の向こうにいるだろうユーリ様の姿を見るのを心待ちにした。
金髪巻毛のアンリという子は見た目を裏切らない天使のような笑顔でにっこり笑ってそう言いながら、上着をちらりとめくって見せた。
その内側に着ているベストの胸ポケットには薄紫色の水晶のような形をした魔石が入っている。
い、いやいや、天使みたいな見た目でなんて恐ろしいことを言ってんの?
ものすっごい痛みって言った?しかもそれ、『多分』一瞬?多分って何、回復魔法をかけるタイミングがズレたら悲惨な事になるんじゃないの?冗談じゃないよ!
「ちょ、ちょっと待って!男子禁制って言うなら君たちもでしょ⁉︎」
悪あがきのような僕の言葉に二人は顔を見合わせて誇らしげに胸を張った。
「ボク達はユーリ様専属の侍従だからいいんです。ほら、その印にユーリ様が直接くださった特別なブローチも付けてるんですよ!」
そう言う胸元にはリンゴと矢を組み合わせた金色のブローチが光っている。あ、いいなあそれ。ユーリ様の専属従者しか持てないやつなんだ?
ちょっと羨ましく思いながらそれを見ていたらリースという子がそれに、と口を開いた。その声の調子が今までと違って少し真面目な口調だったのではっとする。
「僕たちはユーリ様に命を救っていただいたご恩があるので、何があってもあの方に生涯お仕えするって決めているんです。だからそれができるのなら、男じゃないままだとかどうでもいいし。」
・・・ん?何その意味深な言葉。まるで自分達は男じゃないみたいな言い方じゃないか?
不思議に思ったのが顔に出ていたのか、アンリという子が
「あ、ボク達色々と事情があって男じゃないんです。その事情も含めてユーリ様には助けていただいたんですけどここには基本、男は勤められないからそれもまあ結果的にいい方に転がった感じで!」
とあっけらかんと言い放った。お、男じゃない?
「それってまさか、『ない』の・・・?」
あえてナニが、とは言わないけど恐る恐る聞けばあっさり頷かれた。
「まあそういう虐待みたいな目に遭ってたと思ってもらえれば。ユーリ様は治してあげるって仰ってくださったんですけど、そうしたらここでは働けないでしょう?だからボクもリースもそのままでいいって言ったんです。」
ニコニコしながらとんでもない事を言われた。そんな込み入った事情があったなんて聞いて良かったんだろうか。
でもそれでこの二人が妙に中性的な雰囲気の理由も納得だ。そんでもって、そんな二人を助けてここで雇ってあげているなんてユーリ様もいい人だなあ。
思いもよらず、綺麗な見た目とは裏腹の重たい事情を聞いてしまった。と、少ししんみりしたというのにそんな僕にアンリという子は
「そんなわけで!」
明るく続けた。
「後処理はきちんと回復魔法ですぐにするし、少なくともボクらの時よりは悲惨な事にはならないと思います!この建物の中に入りたかったら男を捨ててもらいましょうか?」
あ、あれ?まだやるつもり?リースという子の足元を見ればまだぴきぴきと大理石にヒビが入っているから、その足に込めた力はまだ抜いていないらしい。
と、その時だ。
「こらぁっ!二人とも何やってるっすか⁉︎」
ユリウス様の声がした。
「あっ、ユリウス様」
「こんにちは!お待ちしてました!」
二人の侍従は叱られたというのに全く気にもせず、光り輝くような綺麗な笑顔でユリウス様に挨拶をしている。
助かった。これ以上この人の来るのが遅れていたらとんでもない目に合うところだった。
「お、遅いですよ・・・!」
思わず泣き言を言えば申し訳ないっす!と謝られた。
「自領に帰っている団長から報告期限が間近の書類があったのを忘れてたって連絡が今朝方来て、それに手間取ってたっす。マジであの人にはいてもいなくても振り回されるっす。それよりも、」
そう言ってユリウス様は二人の侍従達へと向き直った。
「リース君もアンリ君も、今日はお客様を連れて行くからよろしくって言っといたじゃないっすか!俺がいないからってからかうなんて失礼っすよ!この人は他の国からの大事なお客様なんすからね⁉︎」
「だって何だか怪しい包みを持ったままそれを離そうとしないし、ユリウス様は一緒じゃないし、万が一不審者だったらどうするんですか?」
リースという子がそう言えば、アンリという子もそれに同調する。
「そうですよ、後ろめたいところがなくてユーリ様への思いが強い人なら、ちょっと脅したくらいで逃げ出しはしないでしょうし。」
「だからって、ユーリ様からの加護の力を脅しに使うなんてダメっす!」
ユリウス様はヒビの入った大理石を見て何があったのか大体は分かったらしい。
「これがシェラザード様なら良くやったって褒めてくれるのに・・・」
二人がそう言って不満そうにしたものだから、
「あの人を基準にしちゃダメっすよ⁉︎あそこまでいったら狂信者っす、人生が破綻するっす!キミ達はまだ若いんだから、あんな風になっちゃダメ‼︎」
この世の終わりのような顔をしてそう叫んだユリウス様は二人の頭をがしっと掴むと無理やり下げさせた。
「本当に申し訳ないっす!この子達、侍従としての基本的な礼儀作法は完璧なんすけど、奉仕の心とか精神的な部分をシェラザード様に教え込まれたせいでちょっとその辺がズレてるんすよ。後でちゃんと叱っておくんで許してください!」
まるで彼らの保護者みたいに二人と一緒に謝られてしまった。
「ま、まあこうして親身になって叱ってくれる人がいるのはいいことですよね。幸い僕も男のままでいられたことだし、大丈夫ですから・・・」
「男のまま・・・?」
僕の言葉に首を傾げたユリウス様が、あっと声を上げた。
「キミ達、さっきシーリンさんに迫ってたのはそーいう事っすか⁉︎一体何を言ってるのかと思ったら・・・自分がされて嫌だった事を他人にしちゃダメじゃないすか!しかもわりと深刻なやつ‼︎」
うん、そうだよね。虐待されて男じゃなくなったのを自分からネタにしてくるとか、されたこっちがどう反応していいか分からなくなる。
だけどアンリという子はけろりとして、
「こうして自分の口から言えるようになった位には心の傷が癒えているって事だと思いませんか?全部助けてくれた上にここで働くことを許してくれたユーリ様のおかげです!」
なんて微笑んでいる。何を言われても懲りないその態度に、さすがのユリウス様もがっくりと肩を落として諦めた。なんかかわいそう。
「・・・とりあえず、中に通してもらってもいいっすか?殿下とユーリ様をお待たせしてしまって申し訳ないっすから・・・」
その言葉に、待ってましたとばかりに二人は揃ってはーいと返事をするとやっとその玄関の扉を開けてくれた。
「どうぞ、お手拭きです。お荷物はこちらへ置いてください。上着もお預かりします。」
「靴の汚れを落としますので、こちらに掛けてくださいね。飲み物もどうぞ。」
さっきまでの不審者に対する用心モードはどこへやら、てきぱきと二人は僕とユリウス様を玄関の隣の部屋へと案内して椅子へ座らせた。
そうしてさっと軽く靴を磨き、その間に待っている僕らが手持ち無沙汰にならないように冷たい飲み物まで出してくれて、ついでに座る前に預けた上着にも丁寧にブラシをかけて埃を取ってくれる至れり尽くせりぶりだ。
そんな二人にユリウス様は
「ホント、こういうところはちゃんとしてるんすけどねぇ・・・」
とぶつぶつ呟いていた。そうして準備が整うと、別の年若い快活そうな侍女が部屋へと顔を出した。
「ようこそユリウス様、お客様もようこそお越しくださいました。」
ユーリ様付きの侍女の一人だというその人はマリーと名乗って丁寧な挨拶をしてくれた。よく見ればその人の胸にもあのリンゴと矢の金色のブローチが付いている。
「急な申し出だったのに申し訳ないっすね。しかも少し遅れてしまって・・・」
ユリウス様が謝れば、
「大丈夫ですよ!ユーリ様も東国の珍しい物が見られるのを楽しみにしておられましたから!それにユリウス様の仕事が立て込んで遅れるというのも、ご連絡をいただいていましたし。」
とマリーさんというその人は僕らを建物の奥へと案内してくれながら笑っている。
どうやら僕への連絡は間に合わなかったらしいけど、さすがにリオン王弟殿下へは連絡済みだったらしい。
てことは、あのリースとアンリっていう二人もユリウス様が遅れることは知ってたんじゃないの?
僕を不審者だのなんだのって言って中へ入れてくれなかったけど、あれはやっぱりからかわれてた・・・?
あれ?と首を傾げていた僕の前を歩いていたユリウス様に、マリーさんというその侍女はある扉の前で立ち止まると
「ただ、お昼ご飯も済んでくつろいでいたところにユリウス様の到着が思いがけず遅れましたでしょう?ですからユーリ様、ちょっと眠くなってしまったようでして・・・。」
「え、もしかして寝ちゃったんすか?俺が待たせたせいっすね、申し訳ないんで昼寝をしてるなら待ちますけど」
マリーさんの言葉にユリウス様が恐縮した。
「いえいえ、まどろんでいる程度だったので!私がリース君達に呼ばれて部屋を出ている間にリオン殿下が起こしてくれているはずですから。」
そう言いながらマリーさんは目の前の扉を静かにそうっと、少しずつ開けていく。
やっとユーリ様に会って皇子からの贈り物を渡せる。僕は心底ほっとして、その扉の向こうにいるだろうユーリ様の姿を見るのを心待ちにした。
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