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番外編
チャイルド・プレイ 5
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「・・・待て、じゃあこれは本当にユーリなのか?」
シェラさんから事情を聞いたレジナスさんは、まるで頭痛がするとでも言いたげに額に手を当ててそう言った。
「はい、そうでしゅ。ごめんしゃいレジーしゃん、めいわくかけて。」
さっきシェラさんの腕の中から降ろしてもらったのでそのままその場でぺこりとお辞儀をする。
私のせいでシェラさんが遅刻した上に、ここにその私まで同行したから今日はもう打ち合わせにならないんじゃ・・・と思うと申し訳ない。
と、そんな私を見たレジナスさんの動きがぴたりと止まりその目元がほんのりと色付いた。
「いや、ユーリが謝ることじゃない。そもそもはシグウェルの作った魔法薬の不具合なんだろう?」
「でもルーしゃんにおねがいしたの、わたし。わたしが悪いの。」
「気にするな。そうだ、訓練の合間の軽食用に果物がある。食べるか?」
「食べましゅ‼︎」
私が落ち込んだと思ったのかおやつを勧めて来たレジナスさんに、思わず反射的に頷く。
「ハチミツを用意させるから甘い果実水も作ってやろう」
「レジーしゃん、ありがとー‼︎」
抱き上げてくれたレジナスさんにお礼を言えば、目が合ったレジナスさんも穏やかに微笑んでくれた。
そしてそんな私達の後ろでは、集められていた騎士さん達がひそひそと
「あれがユーリ様だって・・・?」
「見ろ、レジナス様のあの表情。あんなに頬を緩ませているレジナス様、見た事ないぞ?」
「お辞儀したユーリ様の後ろで猫の尻尾みたいにリボンが揺れてるのがまた何とも・・・」
「おい、ノイエ領ではあの猫耳ユーリ様がウサギと戯れていたんだろ?どこかにウサギはいないのか⁉︎今すぐここに連れて来て放てよ」
「非常食用に飼育してるのがどっかにいるけどそれを知ったらユーリ様泣くだろ・・・」
好き勝手な事を言っていたけど果物に気を取られた私には全然聞こえていない。
そしてそんな騎士さん達にはシェラさんが、
「さてあなた達、休憩は終わりです。レジナスがユーリ様のお相手をしている間、オレがあなた達の相手をしましょう。遅れて来た分みっちり詰め込みで訓練しますよ。ユーリ様の護衛役に相応しいかどうか証明していただきましょう。」
と色気と殺気を滴らせて笑顔を見せていた。
ひい、と言う悲鳴はさすがに聞こえてきたので
「シェラしゃん、いじめるのはなしよ?」
と一応注意したけど
「いじめているように見えるかも知れませんがれっきとした訓練ですのでご安心を。」
とにっこり微笑まれてしまう。でもその後ろで騎士さん達が一斉に首を横に振ってるんですけど。
仕方ない、おかしな事をしないように見張っていよう。
そう思って果実水を急いで全部飲み干してからレジナスさんに椅子から降ろしてもらう。
そして歩き出せばリン、と鳴るのはあの靴の音だ。
「うっ・・・」
恥ずかしい。レジナスさんも何だそれは?と言っている。
ここまでずっと抱き上げられたままで歩く機会がなかったのですっかり忘れていた。
「ま、迷子防止でしゅよ・・・」
渋々説明すれば、顔をうっすらと赤くしたレジナスさんがごほんと咳払いを一つして口元を押さえながらそうか、と言った。
「あっ、笑ってましゅねレジーしゃん‼︎」
「違うぞ」
「うしょだぁ‼︎」
何とか音を出さずに歩けないものかと、シェラさんの所へ抜き足差し足ゆっくりと歩いて見るけどどうしても音がなる。
ていうか、ゆっくり歩くほどリン・・・リ・・・ン、と不規則で目立つ音がした。これなら普通に歩く方がマシっぽい。
しかも周りで騎士さん達が
「え、何すかあれめっちゃ可愛いんですけど・・・」
「仔猫がこっそり隠れて歩いてるみたいだな、隠れてないけど」
「フラフラ歩いてるけど大丈夫なんでしょうか、駆け寄ってお支えしてあげた方が・・・」
と言っているのが聞こえてきて恥ずかしくなった。たまらず、
「レジーしゃん、抱っこ‼︎」
と振り向いて手を伸ばし、そのままエル君に
「エル君、シンシャーしゃんかマリーしゃんに靴、もらって!」
と頼んでしまった。
「でも僕は護衛なのでユーリ様のお側を離れるのは」
とエル君は渋ったけど、他の人に頼むよりも早そうなんだもん。
「おねがいしましゅ・・・」
早くこの靴から解放されたいと見上げれば、さすがのエル君も言葉につまって珍しくほんのり頬を染めると
「分かりました・・・すぐに戻るので大人しくしていて下さい」
とふいと目を逸らした。あのエル君の表情が動くなんて上目遣いでの幼児のお願い効果は絶大だ。
「レジーしゃんもシェラしゃんも、騎士しゃん達もいるからへーき!」
行ってらっしゃい、と手を振ってエル君を送り出す。
私はそのままシェラさんが指導している場所の近くのベンチでレジナスさんの膝の上に座らせられた。
そうして少しの間、騎士さん達が訓練したりシェラさんがそれに指導したり、たまにレジナスさんがまた別のアドバイスをしたりするのを眺めていたけど・・・。
「どうした、ユーリ?落ち着かないな?」
ふとレジナスさんにそう聞かれてしまった。
あ、バレた。実はちょっと前からトイレに行きたくなっていた。
魔導士院でミルクを何倍もおかわりしたし、ここでもさっき冷たくておいしい果実水をごくごく飲んだせいだ。
「レジーしゃん、おトイレ・・・」
小さい声でそう言ったらレジナスさんが固まった。
「いやちょっと待て、ユーリ・・・その大きさで一人でも用を足せるのか⁉︎」
そう、それが問題だ。
「むりでしゅ・・・」
まさか結婚もしないうちからレジナスさんにトイレ介助を頼む羽目になるなんて。
「少し我慢出来るか?すぐ近くに来賓用の迎賓館がある。そこまで行けばそこの侍女に頼めるから」
そう言うとがばっと抱き上げられた。
「ユーリ様?レジナス?」
不審な様子の私にシェラさんが不思議そうな顔をしたけど、
「急用だ、すぐ戻る」
レジナスさんは足早に演習場を後にする。そのまま建物の外に出ると屋根に飛び上がりそこを駆けて大きな青い屋根に金で装飾された白い壁の大きな建物を目指す。
屋根に飛び上がった時も、その後そこを走ったり別の建物へジャンプした時も、ほとんど揺れずに振動も感じない。
おかげで尿意も刺激されずに無事迎賓館の前に着いた。
そのまま門の衛兵さんに話して侍女さんを呼んでもらい、中へと入る。
衛兵さんも中へと案内してくれる侍女さんも、レジナスさんとその手に抱えられている幼児の関係性が気になるらしくチラチラ見られていたけどこっちはそんな事を気にしていられない。
「では頼んだ、俺は外で待っている」
私をトイレの前で侍女さんに託したレジナスさんがほっとした様子で玄関の方へと向かうのを見送って、私も迎賓館の侍女さんと一緒にトイレに入る。
「まあまあ、可愛らしいお嬢さんですこと。あのレジナス様自らがお連れになるなんてよほど大切にされている方なんですね。もしかしてユーリ様のご関係者でしょうか?お顔立ちもよく似ておりますね。」
そんな事を言われたけど本当の事を言って混乱を招くわけにもいかないので
「違いましゅ・・・」
と一応答えた。関係者どころか本人だしね。
トイレから出たら乱れたドレスや髪を整えてくれると言うので、レジナスさんを待たせるのは悪いと思ったけど侍女さんに案内されてトイレの後は隣の部屋へと入った。
そのまま
「猫耳が良くお似合いですね」
とか何とか話されながら髪を整えてもらっていたら、
「あらやだ!まだこんな所にお嬢様が残っていたの⁉︎」
と突然声を掛けられた。
きょとんとして声のした方を見れば、別の侍女さんが目を丸くしてこちらを見ていた。
「もうみんなお庭の方へ移動されたとばかり思っていたのに。急いで‼︎」
「あら?ではこの子も招待客の一人なの?どおりでレジナス様がお連れになったはずだわ」
「そうなの⁉︎レジナス様がお連れになるなんて、それは王族の関係者ではなくて⁉︎急がないと‼︎」
一体何の話だろうか。私の頭上でよく分からないやりとりがされている。
ただ、何となくこれは良くない流れな気がする。
「あの、わたし、レジーしゃんのとこ行きたいでしゅ!」
二人の侍女さんの会話に思い切って割り込んだけど、手を取られて歩き出されてしまった。
そしてそのまま侍女さんは私に説明する。
「レジナス様にはわたくし達からお話しますから大丈夫ですよ。ですのでお嬢さまは先にお庭に行きましょうね。他のお嬢さま方は皆様もうお集まりですし、レニ皇太子殿下もすぐにお見えになりますから遅刻は厳禁ですよ。」
「えっ」
なぜそこでレニ様の名前が?思いがけない名前に驚いていたら、そのまま来た時とは別の扉を通って外へと出る。
「こちらの方が庭園への近道ですので」
あれよあれよという間に連れ出されてしまった。リンリン、という軽やかな音が足元でしている。
「レ、レジーしゃん‼︎」
私の声とこの靴の音に、耳の良いレジナスさんは気付いてくれないものか。
そう願って声をあげたけど、そのまま私は侍女さんに手を引かれて王宮の庭園らしい場所へと案内されたのだった。
シェラさんから事情を聞いたレジナスさんは、まるで頭痛がするとでも言いたげに額に手を当ててそう言った。
「はい、そうでしゅ。ごめんしゃいレジーしゃん、めいわくかけて。」
さっきシェラさんの腕の中から降ろしてもらったのでそのままその場でぺこりとお辞儀をする。
私のせいでシェラさんが遅刻した上に、ここにその私まで同行したから今日はもう打ち合わせにならないんじゃ・・・と思うと申し訳ない。
と、そんな私を見たレジナスさんの動きがぴたりと止まりその目元がほんのりと色付いた。
「いや、ユーリが謝ることじゃない。そもそもはシグウェルの作った魔法薬の不具合なんだろう?」
「でもルーしゃんにおねがいしたの、わたし。わたしが悪いの。」
「気にするな。そうだ、訓練の合間の軽食用に果物がある。食べるか?」
「食べましゅ‼︎」
私が落ち込んだと思ったのかおやつを勧めて来たレジナスさんに、思わず反射的に頷く。
「ハチミツを用意させるから甘い果実水も作ってやろう」
「レジーしゃん、ありがとー‼︎」
抱き上げてくれたレジナスさんにお礼を言えば、目が合ったレジナスさんも穏やかに微笑んでくれた。
そしてそんな私達の後ろでは、集められていた騎士さん達がひそひそと
「あれがユーリ様だって・・・?」
「見ろ、レジナス様のあの表情。あんなに頬を緩ませているレジナス様、見た事ないぞ?」
「お辞儀したユーリ様の後ろで猫の尻尾みたいにリボンが揺れてるのがまた何とも・・・」
「おい、ノイエ領ではあの猫耳ユーリ様がウサギと戯れていたんだろ?どこかにウサギはいないのか⁉︎今すぐここに連れて来て放てよ」
「非常食用に飼育してるのがどっかにいるけどそれを知ったらユーリ様泣くだろ・・・」
好き勝手な事を言っていたけど果物に気を取られた私には全然聞こえていない。
そしてそんな騎士さん達にはシェラさんが、
「さてあなた達、休憩は終わりです。レジナスがユーリ様のお相手をしている間、オレがあなた達の相手をしましょう。遅れて来た分みっちり詰め込みで訓練しますよ。ユーリ様の護衛役に相応しいかどうか証明していただきましょう。」
と色気と殺気を滴らせて笑顔を見せていた。
ひい、と言う悲鳴はさすがに聞こえてきたので
「シェラしゃん、いじめるのはなしよ?」
と一応注意したけど
「いじめているように見えるかも知れませんがれっきとした訓練ですのでご安心を。」
とにっこり微笑まれてしまう。でもその後ろで騎士さん達が一斉に首を横に振ってるんですけど。
仕方ない、おかしな事をしないように見張っていよう。
そう思って果実水を急いで全部飲み干してからレジナスさんに椅子から降ろしてもらう。
そして歩き出せばリン、と鳴るのはあの靴の音だ。
「うっ・・・」
恥ずかしい。レジナスさんも何だそれは?と言っている。
ここまでずっと抱き上げられたままで歩く機会がなかったのですっかり忘れていた。
「ま、迷子防止でしゅよ・・・」
渋々説明すれば、顔をうっすらと赤くしたレジナスさんがごほんと咳払いを一つして口元を押さえながらそうか、と言った。
「あっ、笑ってましゅねレジーしゃん‼︎」
「違うぞ」
「うしょだぁ‼︎」
何とか音を出さずに歩けないものかと、シェラさんの所へ抜き足差し足ゆっくりと歩いて見るけどどうしても音がなる。
ていうか、ゆっくり歩くほどリン・・・リ・・・ン、と不規則で目立つ音がした。これなら普通に歩く方がマシっぽい。
しかも周りで騎士さん達が
「え、何すかあれめっちゃ可愛いんですけど・・・」
「仔猫がこっそり隠れて歩いてるみたいだな、隠れてないけど」
「フラフラ歩いてるけど大丈夫なんでしょうか、駆け寄ってお支えしてあげた方が・・・」
と言っているのが聞こえてきて恥ずかしくなった。たまらず、
「レジーしゃん、抱っこ‼︎」
と振り向いて手を伸ばし、そのままエル君に
「エル君、シンシャーしゃんかマリーしゃんに靴、もらって!」
と頼んでしまった。
「でも僕は護衛なのでユーリ様のお側を離れるのは」
とエル君は渋ったけど、他の人に頼むよりも早そうなんだもん。
「おねがいしましゅ・・・」
早くこの靴から解放されたいと見上げれば、さすがのエル君も言葉につまって珍しくほんのり頬を染めると
「分かりました・・・すぐに戻るので大人しくしていて下さい」
とふいと目を逸らした。あのエル君の表情が動くなんて上目遣いでの幼児のお願い効果は絶大だ。
「レジーしゃんもシェラしゃんも、騎士しゃん達もいるからへーき!」
行ってらっしゃい、と手を振ってエル君を送り出す。
私はそのままシェラさんが指導している場所の近くのベンチでレジナスさんの膝の上に座らせられた。
そうして少しの間、騎士さん達が訓練したりシェラさんがそれに指導したり、たまにレジナスさんがまた別のアドバイスをしたりするのを眺めていたけど・・・。
「どうした、ユーリ?落ち着かないな?」
ふとレジナスさんにそう聞かれてしまった。
あ、バレた。実はちょっと前からトイレに行きたくなっていた。
魔導士院でミルクを何倍もおかわりしたし、ここでもさっき冷たくておいしい果実水をごくごく飲んだせいだ。
「レジーしゃん、おトイレ・・・」
小さい声でそう言ったらレジナスさんが固まった。
「いやちょっと待て、ユーリ・・・その大きさで一人でも用を足せるのか⁉︎」
そう、それが問題だ。
「むりでしゅ・・・」
まさか結婚もしないうちからレジナスさんにトイレ介助を頼む羽目になるなんて。
「少し我慢出来るか?すぐ近くに来賓用の迎賓館がある。そこまで行けばそこの侍女に頼めるから」
そう言うとがばっと抱き上げられた。
「ユーリ様?レジナス?」
不審な様子の私にシェラさんが不思議そうな顔をしたけど、
「急用だ、すぐ戻る」
レジナスさんは足早に演習場を後にする。そのまま建物の外に出ると屋根に飛び上がりそこを駆けて大きな青い屋根に金で装飾された白い壁の大きな建物を目指す。
屋根に飛び上がった時も、その後そこを走ったり別の建物へジャンプした時も、ほとんど揺れずに振動も感じない。
おかげで尿意も刺激されずに無事迎賓館の前に着いた。
そのまま門の衛兵さんに話して侍女さんを呼んでもらい、中へと入る。
衛兵さんも中へと案内してくれる侍女さんも、レジナスさんとその手に抱えられている幼児の関係性が気になるらしくチラチラ見られていたけどこっちはそんな事を気にしていられない。
「では頼んだ、俺は外で待っている」
私をトイレの前で侍女さんに託したレジナスさんがほっとした様子で玄関の方へと向かうのを見送って、私も迎賓館の侍女さんと一緒にトイレに入る。
「まあまあ、可愛らしいお嬢さんですこと。あのレジナス様自らがお連れになるなんてよほど大切にされている方なんですね。もしかしてユーリ様のご関係者でしょうか?お顔立ちもよく似ておりますね。」
そんな事を言われたけど本当の事を言って混乱を招くわけにもいかないので
「違いましゅ・・・」
と一応答えた。関係者どころか本人だしね。
トイレから出たら乱れたドレスや髪を整えてくれると言うので、レジナスさんを待たせるのは悪いと思ったけど侍女さんに案内されてトイレの後は隣の部屋へと入った。
そのまま
「猫耳が良くお似合いですね」
とか何とか話されながら髪を整えてもらっていたら、
「あらやだ!まだこんな所にお嬢様が残っていたの⁉︎」
と突然声を掛けられた。
きょとんとして声のした方を見れば、別の侍女さんが目を丸くしてこちらを見ていた。
「もうみんなお庭の方へ移動されたとばかり思っていたのに。急いで‼︎」
「あら?ではこの子も招待客の一人なの?どおりでレジナス様がお連れになったはずだわ」
「そうなの⁉︎レジナス様がお連れになるなんて、それは王族の関係者ではなくて⁉︎急がないと‼︎」
一体何の話だろうか。私の頭上でよく分からないやりとりがされている。
ただ、何となくこれは良くない流れな気がする。
「あの、わたし、レジーしゃんのとこ行きたいでしゅ!」
二人の侍女さんの会話に思い切って割り込んだけど、手を取られて歩き出されてしまった。
そしてそのまま侍女さんは私に説明する。
「レジナス様にはわたくし達からお話しますから大丈夫ですよ。ですのでお嬢さまは先にお庭に行きましょうね。他のお嬢さま方は皆様もうお集まりですし、レニ皇太子殿下もすぐにお見えになりますから遅刻は厳禁ですよ。」
「えっ」
なぜそこでレニ様の名前が?思いがけない名前に驚いていたら、そのまま来た時とは別の扉を通って外へと出る。
「こちらの方が庭園への近道ですので」
あれよあれよという間に連れ出されてしまった。リンリン、という軽やかな音が足元でしている。
「レ、レジーしゃん‼︎」
私の声とこの靴の音に、耳の良いレジナスさんは気付いてくれないものか。
そう願って声をあげたけど、そのまま私は侍女さんに手を引かれて王宮の庭園らしい場所へと案内されたのだった。
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