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番外編
冒険の書 2
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俺が正式にルーシャ国の王位を継いでからずっと書類仕事と、魔物討伐を伴わない単純な地方視察ばかりで実は少し体を動かしたかった。
ていうか、気分転換に城からちょっと離れたかった。
そこにちょうどキリウさんがいまだにユーリちゃんにこだわりながらやって来た。
・・・ユーリちゃんは召喚者なはずだけど、ちょっと毛色が変わっていて俺やキリウさんの力や知識の及ばないデンさん達神様や精霊の領分の存在ぽい。
一緒に過ごしたのは半日にも満たない時間だったけどそう感じた。
一体どこからどうやってやって来たのかは分からないけど、あまり深く詮索しない方がいいと思ったんだ。
だからユーリちゃんの話題から目を逸らして、俺も体を動かせるから辺境にいる魔物の残党狩りはピッタリな気がした。
それなのに結局キリウさんはユーリちゃんに関係した場所に行こうっていうし。
「でもただの泉を見物しに行ったってつまんないじゃないですか。どうせならみんなの為になるように魔物討伐で出掛けたかったなあ・・・」
パカパカと軽快な蹄の音を響かせて走る馬上でそうこぼせば、パンを齧りながら並走しているキリウさんがまた呆れたように俺を見る。
「お前、意外と好戦的だよなぁ。それもグノーデル神様の影響か何かなわけ?ここに来たばっかの時はそうでもなかったと思うんだけど」
「そうですか?」
・・・いやそりゃあね?格闘技や剣道を習ってたわけでもない「将来の夢は自分の店を持つこと」な、ただの料理好きのライトオタクだったもん、俺。
たまたまバイトからの帰り道、道に飛び出したネコを助けようとして死んでスカウトされただけだし。
勇者とか召喚者って言葉の響きにワクワクして来たはいいけど、いきなりバカでかい見たこともない魔物の前に放り出されてごらんよ?
とりあえず持ってる知識の中で戦うしかないじゃん?
やけくそで叫んだナントカ流星拳が実際自分の握り拳から出た時はびっくりしたけど、その後は好奇心からあれこれ漫画やアニメの必殺技を試したよね。
キリウさんはご丁寧にも俺がいつどんな技を使ったとか書類にまとめて残してるけど、アニメの必殺技だよ?
この先俺以外に使える人、出てくるかなあ・・・。
イメージさえできればいくつか魔法で再現出来そうな技もあるけどさ。ゲーキ・ダマーとか。
あれも最初は文献に書かれた時は「著作権ー‼︎」って焦ったけど、幸いにも元々の技名をこっちの人達が聞き間違えてゲーキ・ダマーって言ってるうちにそれで定着したからセーフだと思いたいよね・・・。
そんな昔のあれこれをつらつらと思い出していたら
「お?あれコーンウェル伯爵じゃね?」
キリウさんがパン屑を服から払いながら言った。
その視線の先を見れば、確かに鈍い黒に光る肩当てを付け弓矢を背負った大きな人影が馬に跨っているのが見えた。
その後ろには同じような格好の人達が数人付き従っている。
「本当だ。わざわざ迎えに来てくれたんですかね?」
この辺りはもうコーンウェル領か。自分で領土をあげておきながら、いまだに良く分かっていない。
向こうも俺たちの姿を認めると、馬から降りて待っていてくれた。
近付いてみれば筋骨隆々とした大男で、背中に背負った弓はその背丈と同じくらいはあるほど大きい。
女の人達が好きそうなキリウさんみたいなモデル顔の美形とは違う、体育会系な見た目通りで男っぽい・・・だけどおおらかさも感じる人の良い顔の左頬には大きな傷跡が走っている。
「やっぱり!サウルスさんだ‼︎わざわざ迎えに来てくれたんですか?」
サウルス・コーンウェル伯爵は生粋の騎士家系で、昔からこの西の辺境の人達を守ってくれている。
人情家で状況判断や人への指示も的確な上にすごく強い。特に弓矢の腕は超一流で、空からの魔物の攻撃からは俺も何度も助けられた。
この人ならこれから先もこの西の辺境を任せられると、この辺り一帯を領土としてあげたのはつい最近の話だ。
だけど喜んで駆け寄った俺にサウルスさんは申し訳なさそうに眉をハの字にした。
「いえ・・・私がここにいたのはただの偶然と言うか・・・すみません、ただの通りすがりです。目的地への道中に偶然ここを通りがかったら、部下が誰かがこちらへやって来るというものでそれを確かめようと思い待っておりました。」
それがまさかレン様とキリウ様だったとは。
そう言って後ろの人達ともども頭を下げられた。
そういえばちょっと泉を確かめたら後は周辺をぐるっと適当に周って野営しながら魔物討伐するつもりだったから、コーンウェル領には何の連絡もしてなかったっけ。
サウルスさん達が俺がここに来ることを知るはずもない。
「俺達、久しぶりに例の泉を見ながら魔物でも狩ろうかって話してたまたまこっちに来たんです。サウルスさん達はどうしてここに?」
俺の説明の魔物狩り、という単語に頭を下げていたサウルスさんがハッとして頭を上げた。
「それならばぜひお力を貸していただけませんか⁉︎」
「ん?」
「ここから南に下った集落に、夜な夜な魔物が現れては放牧されている家畜を襲っているようなのです。このままでは住民にも被害が出かねないのでこれから討伐に向かうところでした。」
「えー行きます行きます!俺でお役に立てるならぜひ‼︎」
どんな魔物なんだろう。家畜を襲うなら肉食だから、きっとその肉には臭みがある。
倒した後、料理をする時は臭み消しのハーブがいるけど手持ちの分で間に合うかな?
二つ返事で喜んだそんな俺を
「おいレン君よ。お前さん今、魔物を倒すことより倒した後どうやって食うかしか考えてないでしょ?やめてくんない、そういう士気が盛り下がるようなこと。」
とキリウさんがちろりと横目で見て苦言を呈してきた。
「なんでですか!魔物、死ぬ。ご飯、うまい。最高じゃないですか、気分は盛り上がるばっかりですよ?」
「だってそういうキラッキラした目で魔物に向かう時のお前、掛け声が『いただきます‼︎』なんだもん。おかしくね?それ、飯を食う時の挨拶でしょ?士気が下がるっつーの。あとなんでカタコトなんだよ」
それはなんかノリです。
「まあまあ、魔物がいなくなるんなら何でもいいじゃないですか!さあ行きましょうサウルスさん、案内をお願いします‼︎」
そう言ってキリウさんの背中を叩き、馬の手綱を握り直す。
喜び勇んで同行すると言った俺にサウルスさんもほっとしたようだ。
ありがとうございますと丁寧な騎士の礼を返された。
「討伐が終わりましたらぜひ領館にもお立ち寄り下さい。周辺はまだ整備中ですが、最近裏山に天然の温泉が湧いているのを見つけました。レン様、お好きでしたでしょう?」
「やった、マジで⁉︎天然露天風呂とか最高‼︎魔物からつまみになりそうな料理も作んなくちゃ。ね?キリウさん‼︎」
「オレはそれより魔石が欲しいよ・・・。魔石の取れる魔物ならいいんだけどなあ。そろそろ新しい魔法の開発用に大きめのやつが欲しい。」
魔物を倒した後のあれこれを賑やかに話す俺とキリウさんに、これから魔物討伐だと気負ってピリピリしていたサウルスさん達の雰囲気も少し和らぐ。
よしよし。多少の緊張感は必要だけど、あまり固くなっていてもいい結果は出ないからね。
「どうせなら集落の人達全員に料理を振る舞えるくらい魔物がいっぱいいるといいですね、キリウさん!」
「お前それがミミックワームの群れでも同じこと言えんの?いや、言うか。だけどその時は多分誰もそんなの食べないからね?」
「ええー⁉︎」
ひどいなあ、と笑えばつられたようにサウルスさん達も笑う。
そうして俺達はなり行きから魔物討伐の手伝いに同行することになったのだった。
ていうか、気分転換に城からちょっと離れたかった。
そこにちょうどキリウさんがいまだにユーリちゃんにこだわりながらやって来た。
・・・ユーリちゃんは召喚者なはずだけど、ちょっと毛色が変わっていて俺やキリウさんの力や知識の及ばないデンさん達神様や精霊の領分の存在ぽい。
一緒に過ごしたのは半日にも満たない時間だったけどそう感じた。
一体どこからどうやってやって来たのかは分からないけど、あまり深く詮索しない方がいいと思ったんだ。
だからユーリちゃんの話題から目を逸らして、俺も体を動かせるから辺境にいる魔物の残党狩りはピッタリな気がした。
それなのに結局キリウさんはユーリちゃんに関係した場所に行こうっていうし。
「でもただの泉を見物しに行ったってつまんないじゃないですか。どうせならみんなの為になるように魔物討伐で出掛けたかったなあ・・・」
パカパカと軽快な蹄の音を響かせて走る馬上でそうこぼせば、パンを齧りながら並走しているキリウさんがまた呆れたように俺を見る。
「お前、意外と好戦的だよなぁ。それもグノーデル神様の影響か何かなわけ?ここに来たばっかの時はそうでもなかったと思うんだけど」
「そうですか?」
・・・いやそりゃあね?格闘技や剣道を習ってたわけでもない「将来の夢は自分の店を持つこと」な、ただの料理好きのライトオタクだったもん、俺。
たまたまバイトからの帰り道、道に飛び出したネコを助けようとして死んでスカウトされただけだし。
勇者とか召喚者って言葉の響きにワクワクして来たはいいけど、いきなりバカでかい見たこともない魔物の前に放り出されてごらんよ?
とりあえず持ってる知識の中で戦うしかないじゃん?
やけくそで叫んだナントカ流星拳が実際自分の握り拳から出た時はびっくりしたけど、その後は好奇心からあれこれ漫画やアニメの必殺技を試したよね。
キリウさんはご丁寧にも俺がいつどんな技を使ったとか書類にまとめて残してるけど、アニメの必殺技だよ?
この先俺以外に使える人、出てくるかなあ・・・。
イメージさえできればいくつか魔法で再現出来そうな技もあるけどさ。ゲーキ・ダマーとか。
あれも最初は文献に書かれた時は「著作権ー‼︎」って焦ったけど、幸いにも元々の技名をこっちの人達が聞き間違えてゲーキ・ダマーって言ってるうちにそれで定着したからセーフだと思いたいよね・・・。
そんな昔のあれこれをつらつらと思い出していたら
「お?あれコーンウェル伯爵じゃね?」
キリウさんがパン屑を服から払いながら言った。
その視線の先を見れば、確かに鈍い黒に光る肩当てを付け弓矢を背負った大きな人影が馬に跨っているのが見えた。
その後ろには同じような格好の人達が数人付き従っている。
「本当だ。わざわざ迎えに来てくれたんですかね?」
この辺りはもうコーンウェル領か。自分で領土をあげておきながら、いまだに良く分かっていない。
向こうも俺たちの姿を認めると、馬から降りて待っていてくれた。
近付いてみれば筋骨隆々とした大男で、背中に背負った弓はその背丈と同じくらいはあるほど大きい。
女の人達が好きそうなキリウさんみたいなモデル顔の美形とは違う、体育会系な見た目通りで男っぽい・・・だけどおおらかさも感じる人の良い顔の左頬には大きな傷跡が走っている。
「やっぱり!サウルスさんだ‼︎わざわざ迎えに来てくれたんですか?」
サウルス・コーンウェル伯爵は生粋の騎士家系で、昔からこの西の辺境の人達を守ってくれている。
人情家で状況判断や人への指示も的確な上にすごく強い。特に弓矢の腕は超一流で、空からの魔物の攻撃からは俺も何度も助けられた。
この人ならこれから先もこの西の辺境を任せられると、この辺り一帯を領土としてあげたのはつい最近の話だ。
だけど喜んで駆け寄った俺にサウルスさんは申し訳なさそうに眉をハの字にした。
「いえ・・・私がここにいたのはただの偶然と言うか・・・すみません、ただの通りすがりです。目的地への道中に偶然ここを通りがかったら、部下が誰かがこちらへやって来るというものでそれを確かめようと思い待っておりました。」
それがまさかレン様とキリウ様だったとは。
そう言って後ろの人達ともども頭を下げられた。
そういえばちょっと泉を確かめたら後は周辺をぐるっと適当に周って野営しながら魔物討伐するつもりだったから、コーンウェル領には何の連絡もしてなかったっけ。
サウルスさん達が俺がここに来ることを知るはずもない。
「俺達、久しぶりに例の泉を見ながら魔物でも狩ろうかって話してたまたまこっちに来たんです。サウルスさん達はどうしてここに?」
俺の説明の魔物狩り、という単語に頭を下げていたサウルスさんがハッとして頭を上げた。
「それならばぜひお力を貸していただけませんか⁉︎」
「ん?」
「ここから南に下った集落に、夜な夜な魔物が現れては放牧されている家畜を襲っているようなのです。このままでは住民にも被害が出かねないのでこれから討伐に向かうところでした。」
「えー行きます行きます!俺でお役に立てるならぜひ‼︎」
どんな魔物なんだろう。家畜を襲うなら肉食だから、きっとその肉には臭みがある。
倒した後、料理をする時は臭み消しのハーブがいるけど手持ちの分で間に合うかな?
二つ返事で喜んだそんな俺を
「おいレン君よ。お前さん今、魔物を倒すことより倒した後どうやって食うかしか考えてないでしょ?やめてくんない、そういう士気が盛り下がるようなこと。」
とキリウさんがちろりと横目で見て苦言を呈してきた。
「なんでですか!魔物、死ぬ。ご飯、うまい。最高じゃないですか、気分は盛り上がるばっかりですよ?」
「だってそういうキラッキラした目で魔物に向かう時のお前、掛け声が『いただきます‼︎』なんだもん。おかしくね?それ、飯を食う時の挨拶でしょ?士気が下がるっつーの。あとなんでカタコトなんだよ」
それはなんかノリです。
「まあまあ、魔物がいなくなるんなら何でもいいじゃないですか!さあ行きましょうサウルスさん、案内をお願いします‼︎」
そう言ってキリウさんの背中を叩き、馬の手綱を握り直す。
喜び勇んで同行すると言った俺にサウルスさんもほっとしたようだ。
ありがとうございますと丁寧な騎士の礼を返された。
「討伐が終わりましたらぜひ領館にもお立ち寄り下さい。周辺はまだ整備中ですが、最近裏山に天然の温泉が湧いているのを見つけました。レン様、お好きでしたでしょう?」
「やった、マジで⁉︎天然露天風呂とか最高‼︎魔物からつまみになりそうな料理も作んなくちゃ。ね?キリウさん‼︎」
「オレはそれより魔石が欲しいよ・・・。魔石の取れる魔物ならいいんだけどなあ。そろそろ新しい魔法の開発用に大きめのやつが欲しい。」
魔物を倒した後のあれこれを賑やかに話す俺とキリウさんに、これから魔物討伐だと気負ってピリピリしていたサウルスさん達の雰囲気も少し和らぐ。
よしよし。多少の緊張感は必要だけど、あまり固くなっていてもいい結果は出ないからね。
「どうせなら集落の人達全員に料理を振る舞えるくらい魔物がいっぱいいるといいですね、キリウさん!」
「お前それがミミックワームの群れでも同じこと言えんの?いや、言うか。だけどその時は多分誰もそんなの食べないからね?」
「ええー⁉︎」
ひどいなあ、と笑えばつられたようにサウルスさん達も笑う。
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