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第十九章 聖女が街にやって来た
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夜遅くにリオン様とシグウェルさんの訪問を受けて寝不足のまま朝を迎えた。
ふわぁ、とあくびを一つもらせば私の髪を櫛削ってくれている背後のシェラさんが笑みをもらす。
「その分ですと久しぶりに会う殿下達に手を焼いたようですね。」
「知ってたんですか⁉︎」
「直接見たわけではありませんが、二人にはユーリ様が寂しい思いをされていると伝えておきましたから。」
あの二人がそれを聞いてユーリ様を放っておくわけはないでしょう?
シェラさんはそう笑っている。
「おかげで昨日は大変な目に遭いましたけど・・・。でもありがとうございます。」
会えて嬉しかったのは本当だ。
仕事で忙しい合間を縫って来させてしまったのは申し訳ないけど。
「でもレジナスさんは元気ですか?レジナスさんにもここ数日会っていないので気になっているんですけど・・・」
鏡越しにシェラさんを見つめて尋ねれば、ああ。と頷かれた。
「彼はここ数日、王都の周囲の警備に当たっています。」
「そうなんですか⁉︎」
リオン様の側も離れてそんな任務についているとは知らなかった。
「ユーリ様のつけた結界に変化を感じたシグウェル魔導士団長からの依頼です。もし結界が綻んでいたらそこから何が入り込むか分からないとのことで。」
王都ってかなり広いのに。そんな広範囲を警備するのは大変だろう。
「休憩や交代でこっちに戻ってくることはないんですか?疲れが取れるように力を使って上げたいんですけど・・・」
そう聞けば、すいすいと私の髪に複雑な編み込みを施しながらシェラさんは話を続ける。
「今日のユーリ様の謁見の場には立ち会えませんが、明日の夜にある陛下主催の宮中晩餐会までには戻れる予定ですよ。」
宮中晩餐会。そういえば陛下のところへお昼を食べに行った時、色んな話をした中でそんな事もチラッと聞いたなあ。
私は特に挨拶もないから、ただ黙って座っておいしくご飯を食べてればいいっていう話だった。
そう思い出していれば、
「晩餐会にはユーリ様の伴侶としてオレ達四人とも陛下に招待を受けておりますからね。レジナスもそこに向けて万が一にも王都に何もないようにとそれまでは交代もなしで警備に当たっております。」
シェラさんの口から初めて聞く話が出て来た。
「え?わ、私の伴侶で四人とも出席するんですか⁉︎」
王子様や魔導士団長、騎士としてじゃなく?
ふと頭の片隅によぎったのは、謁見の話をした陛下が
『ユーリちゃんの周りに伴侶を侍らせて、モテモテなとこを見てみてぇなあ!』
と面白そうに言っていたことだ。
まさかそれ、謁見では見られないから晩餐会でやろうとしてる⁉︎
「まだ正式な発表も儀式もしておりませんが、ユーリ様にはすでに決められたお相手がいると他国の者達にも知らせる良い機会だと思いますよ。」
「それ、このタイミングで公表する必要あります⁉︎」
「ユーリ様の伴侶を国王陛下も認めているのだと一目瞭然で分かっていいですよね?」
むしろどこに問題が?と鏡の向こうでシェラさんは不思議そうに小首を傾げた。
「晩餐会には他国からの来訪者だけでなくルーシャ国の主だった貴族も出席しますから、公文書を発布したり大々的なお披露目の場を別に設けて伴侶を発表するよりも手っ取り早くて良いと思います。」
「でも恥ずかしいんですけど!」
「そこは慣れていただきませんと。これから先、将来的には何度もそういう機会があると思いますよ?」
慣れるものなんだろうか。
「勇者様って七人も奥さんがいてそういう時はどうしていたんでしょうね・・・」
思わずぽつりと漏らせば、
「文献に添えられた絵でしか見たことはありませんがそれはもう壮観だったようですよ?両脇に二人のご正妃が座り、更にその両脇にその他のご伴侶様がずらっと」
「一列に横並びですか⁉︎」
まるで企業の圧迫面接だ。
「じゃあ私もそんな風にリオン様やシェラさん達を並ばせるんですか?」
「恐らくそうだと思いますが、席順などは晩餐会当日まで不明ですね。陛下の裁量によるものですからまだ何とも・・・」
黙ってご飯を食べてるだけで気楽なはずの晩餐会に一気に行きたくなくなってきた。
気が重くなった私とは逆にシェラさんは
「公式な場でもユーリ様のお側で気兼ねなくお世話出来るのは嬉しいですねぇ」
と楽しそうにしている。
そして楽しげに機嫌が良いせいかいつも以上にあの器用な指先はよく動き、あっという間に私の髪型は出来上がった。
ドレスや靴の準備をしていたマリーさん達の手が思わず止まってしまい、その工程を見てしまっていたほどの複雑な編み込みが施された髪型だ。
「さて、今回は成長されたことですし公式な場ですからお化粧も少ししましょうか」
そう言うと首元に布をかけられて椅子をくるりとシェラさんの方に回されて目をつぶるよう促される。
「元々ユーリ様は目鼻立ちがはっきりしていらっしゃいますし、今回は聖女との謁見ですからね・・・派手過ぎずごく薄く、目元と口元だけにしますよ」
そんな声がして、目の近くに筆や指の触れている感触がした。
そっとあごにも手を掛けられて、
「少しだけお口を開けていただけますか?」
と言われその通りにすれば唇も筆でなぞられる。
丁寧に何度か筆が唇を往復した後に
「さあ、目を開けてください」
というシェラさんの声がしてパチパチとまばたく。
すると目の前にはシェラさんやシンシアさんがいてその仕上がりを確認するように私を見つめていた。
「まあまあ・・・手を加えたのはほんの少しだけですのにとてもお化粧映えいたしますね。」
シンシアさんがほんのりと赤らめた頬に手を当てている。
マリーさんもドレスに最後につけるローブを手に握りしめ、こくこく頷いて同意してくれた。
さすがイリューディアさん謹製の美少女姿だ。
自分で言うのもなんだけど普段でもなかなかの美人度が化粧をすると更にその度合いが増すらしい。
シェラさんはというと、まだ口紅を塗った筆を手にうっとりと私を見つめていた。
「どうしましょう・・・こんなにも美しいオレの女神を人目に晒すのは惜しくなってまいりました。口付けても良いですか?」
いや最後。
「何でですか、ダメですよ!」
慌てて椅子から立ち上がる。そろそろ陛下の騎士さん達が来る頃だ。
「せめてオレも一緒について行きたかったですね・・・そのローブの裾を持たせていただきたかったです」
そう言いながらまだ残念そうに私の肩口にローブを留めてくれてその裾にうやうやしく口付けられた。
今日はシンシアさんとルルーさんが私のお供をしてくれる。
ドレスの裾より少し長めで床に引きずるような白く薄いローブの端を持ってくれるのだ。
そういう一人だけでは裾を捌けないドレスを着るのもこの世界に来てからは初めてだ。
ドレスには白を基調にイリューディアさんの象徴の白百合や、すっかり私の意匠にされたリンゴの花を金糸でふんだんに刺繍してある。
色の付いた宝石は使われていないかわりに大小の真珠を使って幾何学模様のような飾りも施されていて、清楚ながらもよくよく見れば手間がかかっていて豪華なドレスだ。
「これならヘイデス国の聖女様にも負けませんよ!」
マリーさんはなぜか聖女様に対抗心を持っている。
「当然です。元よりユーリ様の足元にも及びませんが、この美しさではその足元にひれ伏してその足の甲に口付けてもおかしくありませんね。」
そろそろイリューディアさん原理主義が狂信者の域にまで達していそうなシェラさんも相変わらずだ。
そんな面々に送り出されて、私は少し緊張しながら聖女様との初めての謁見に臨んだ。
ふわぁ、とあくびを一つもらせば私の髪を櫛削ってくれている背後のシェラさんが笑みをもらす。
「その分ですと久しぶりに会う殿下達に手を焼いたようですね。」
「知ってたんですか⁉︎」
「直接見たわけではありませんが、二人にはユーリ様が寂しい思いをされていると伝えておきましたから。」
あの二人がそれを聞いてユーリ様を放っておくわけはないでしょう?
シェラさんはそう笑っている。
「おかげで昨日は大変な目に遭いましたけど・・・。でもありがとうございます。」
会えて嬉しかったのは本当だ。
仕事で忙しい合間を縫って来させてしまったのは申し訳ないけど。
「でもレジナスさんは元気ですか?レジナスさんにもここ数日会っていないので気になっているんですけど・・・」
鏡越しにシェラさんを見つめて尋ねれば、ああ。と頷かれた。
「彼はここ数日、王都の周囲の警備に当たっています。」
「そうなんですか⁉︎」
リオン様の側も離れてそんな任務についているとは知らなかった。
「ユーリ様のつけた結界に変化を感じたシグウェル魔導士団長からの依頼です。もし結界が綻んでいたらそこから何が入り込むか分からないとのことで。」
王都ってかなり広いのに。そんな広範囲を警備するのは大変だろう。
「休憩や交代でこっちに戻ってくることはないんですか?疲れが取れるように力を使って上げたいんですけど・・・」
そう聞けば、すいすいと私の髪に複雑な編み込みを施しながらシェラさんは話を続ける。
「今日のユーリ様の謁見の場には立ち会えませんが、明日の夜にある陛下主催の宮中晩餐会までには戻れる予定ですよ。」
宮中晩餐会。そういえば陛下のところへお昼を食べに行った時、色んな話をした中でそんな事もチラッと聞いたなあ。
私は特に挨拶もないから、ただ黙って座っておいしくご飯を食べてればいいっていう話だった。
そう思い出していれば、
「晩餐会にはユーリ様の伴侶としてオレ達四人とも陛下に招待を受けておりますからね。レジナスもそこに向けて万が一にも王都に何もないようにとそれまでは交代もなしで警備に当たっております。」
シェラさんの口から初めて聞く話が出て来た。
「え?わ、私の伴侶で四人とも出席するんですか⁉︎」
王子様や魔導士団長、騎士としてじゃなく?
ふと頭の片隅によぎったのは、謁見の話をした陛下が
『ユーリちゃんの周りに伴侶を侍らせて、モテモテなとこを見てみてぇなあ!』
と面白そうに言っていたことだ。
まさかそれ、謁見では見られないから晩餐会でやろうとしてる⁉︎
「まだ正式な発表も儀式もしておりませんが、ユーリ様にはすでに決められたお相手がいると他国の者達にも知らせる良い機会だと思いますよ。」
「それ、このタイミングで公表する必要あります⁉︎」
「ユーリ様の伴侶を国王陛下も認めているのだと一目瞭然で分かっていいですよね?」
むしろどこに問題が?と鏡の向こうでシェラさんは不思議そうに小首を傾げた。
「晩餐会には他国からの来訪者だけでなくルーシャ国の主だった貴族も出席しますから、公文書を発布したり大々的なお披露目の場を別に設けて伴侶を発表するよりも手っ取り早くて良いと思います。」
「でも恥ずかしいんですけど!」
「そこは慣れていただきませんと。これから先、将来的には何度もそういう機会があると思いますよ?」
慣れるものなんだろうか。
「勇者様って七人も奥さんがいてそういう時はどうしていたんでしょうね・・・」
思わずぽつりと漏らせば、
「文献に添えられた絵でしか見たことはありませんがそれはもう壮観だったようですよ?両脇に二人のご正妃が座り、更にその両脇にその他のご伴侶様がずらっと」
「一列に横並びですか⁉︎」
まるで企業の圧迫面接だ。
「じゃあ私もそんな風にリオン様やシェラさん達を並ばせるんですか?」
「恐らくそうだと思いますが、席順などは晩餐会当日まで不明ですね。陛下の裁量によるものですからまだ何とも・・・」
黙ってご飯を食べてるだけで気楽なはずの晩餐会に一気に行きたくなくなってきた。
気が重くなった私とは逆にシェラさんは
「公式な場でもユーリ様のお側で気兼ねなくお世話出来るのは嬉しいですねぇ」
と楽しそうにしている。
そして楽しげに機嫌が良いせいかいつも以上にあの器用な指先はよく動き、あっという間に私の髪型は出来上がった。
ドレスや靴の準備をしていたマリーさん達の手が思わず止まってしまい、その工程を見てしまっていたほどの複雑な編み込みが施された髪型だ。
「さて、今回は成長されたことですし公式な場ですからお化粧も少ししましょうか」
そう言うと首元に布をかけられて椅子をくるりとシェラさんの方に回されて目をつぶるよう促される。
「元々ユーリ様は目鼻立ちがはっきりしていらっしゃいますし、今回は聖女との謁見ですからね・・・派手過ぎずごく薄く、目元と口元だけにしますよ」
そんな声がして、目の近くに筆や指の触れている感触がした。
そっとあごにも手を掛けられて、
「少しだけお口を開けていただけますか?」
と言われその通りにすれば唇も筆でなぞられる。
丁寧に何度か筆が唇を往復した後に
「さあ、目を開けてください」
というシェラさんの声がしてパチパチとまばたく。
すると目の前にはシェラさんやシンシアさんがいてその仕上がりを確認するように私を見つめていた。
「まあまあ・・・手を加えたのはほんの少しだけですのにとてもお化粧映えいたしますね。」
シンシアさんがほんのりと赤らめた頬に手を当てている。
マリーさんもドレスに最後につけるローブを手に握りしめ、こくこく頷いて同意してくれた。
さすがイリューディアさん謹製の美少女姿だ。
自分で言うのもなんだけど普段でもなかなかの美人度が化粧をすると更にその度合いが増すらしい。
シェラさんはというと、まだ口紅を塗った筆を手にうっとりと私を見つめていた。
「どうしましょう・・・こんなにも美しいオレの女神を人目に晒すのは惜しくなってまいりました。口付けても良いですか?」
いや最後。
「何でですか、ダメですよ!」
慌てて椅子から立ち上がる。そろそろ陛下の騎士さん達が来る頃だ。
「せめてオレも一緒について行きたかったですね・・・そのローブの裾を持たせていただきたかったです」
そう言いながらまだ残念そうに私の肩口にローブを留めてくれてその裾にうやうやしく口付けられた。
今日はシンシアさんとルルーさんが私のお供をしてくれる。
ドレスの裾より少し長めで床に引きずるような白く薄いローブの端を持ってくれるのだ。
そういう一人だけでは裾を捌けないドレスを着るのもこの世界に来てからは初めてだ。
ドレスには白を基調にイリューディアさんの象徴の白百合や、すっかり私の意匠にされたリンゴの花を金糸でふんだんに刺繍してある。
色の付いた宝石は使われていないかわりに大小の真珠を使って幾何学模様のような飾りも施されていて、清楚ながらもよくよく見れば手間がかかっていて豪華なドレスだ。
「これならヘイデス国の聖女様にも負けませんよ!」
マリーさんはなぜか聖女様に対抗心を持っている。
「当然です。元よりユーリ様の足元にも及びませんが、この美しさではその足元にひれ伏してその足の甲に口付けてもおかしくありませんね。」
そろそろイリューディアさん原理主義が狂信者の域にまで達していそうなシェラさんも相変わらずだ。
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