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第十六章 君の瞳は一億ボルト
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シェラさんに手の甲を取られたまま動けないでいれば
「子ウサギのような愛らしさでそんな風にじっと
見つめられると、今この場にはオレ達以外の者もいて
二人きりではないというのに、まるで神の試練を受け
我慢を試されているような気分です。獣の気持ちが
よく分かる。」
私を見ている金色の瞳が三日月の形に笑みを作る。
その独特の言い回しに意味が分からないでいると
おや、お分かりにならない?と立ち上がりながら
耳元に口を寄せたシェラさんが
「今すぐ食べてしまいたいということですよ、
オレの女神。」
そう囁いた。
「なっ・・・!」
なんて事を言うのだ。
「言うことが子ども向けじゃないですよシェラさん
・・・‼︎」
注意をすれば、
「ユーリ様を子ども扱いなどとんでもない。オレは
子どもに求婚する趣味など持っておりませんよ。
美しく愛らしいオレの女神に心を捧げ、愛を囁き
振り向いてもらおうと一心に努めているだけです。」
などと言う。物は言いようとはまさにこの事じゃ
ないだろうか⁉︎
「そんな綺麗な言葉で誤魔化されませんからね⁉︎」
「食べ物が絡む例え話でないと冷静ですねぇ・・・」
「それ、暗にシェラさんも私のことを騙されやすくて
チョロいって思ってるでしょう⁉︎」
まさか、と肩をすくめるシェラさんにわあわあ言う
私という図を前にユリウスさんがエル君に、
「この人はうちの団長並みに見た目がずば抜けて
色男な上に物腰丁寧な言い回しをしてるから、
一見騙されそうになるっすけど言ってることが
その相手の年齢を考えると性犯罪者一歩手前っす
よね・・・」
と生ぬるい目をして見つめながら呟いていた。
「ああいう言い方とやり方しか出来ないのが
シェラザード様ですから。それでも、ユーリ様に
危害は加えないと信じているので僕はただ見守る
だけです」
「エル君はエル君で歳の割に達観し過ぎっすよ」
そんな二人に思わず声を掛ける。
「見守らなくてもいいんですよ⁉︎エル君、シェラさん
を信じるのもいいけど私のことも助けて欲しいんです
けど!」
「人様の求婚している場を邪魔するなんて僕には
出来ません」
おかしい。私の味方がいない・・・⁉︎
かぶりを振って私の言葉を断るエル君のことを
素晴らしい判断です。と満足げに頷いて評価する
シェラさん、私と目が合うと「助けてあげたいけど
俺は脳筋騎士の暴力の前には無力っすから無理
っす‼︎」と、さっと目を逸らした薄情極まりない
ユリウスさん。
呆気に取られていたところにようやくレジナスさんが
やって来た。
「どうしたユーリ、なぜそんなにぽかんとした顔を
している?何かあったのか?」
「レジナスさん!レジナスさんだけは私の味方
ですよね⁉︎」
ひしっ!とその足にしがみつく。
「な、なんだ突然‼︎当たり前だろう⁉︎まさかまた
シェラが何かしたのか?」
ひょいと抱き上げてくれたレジナスさんがぎろりと
シェラさんを見た。
「シェラさんは恥ずかしくなるような事を私に言って
エル君はそれを黙って見ているし、ユリウスさんは
我が身可愛さに私を見捨てました‼︎」
「いやユーリ様言い方‼︎それ、俺が一番ひどい人間
みたいに聞こえるんすけど⁉︎」
抗議したユリウスさんもレジナスさんにひと睨み
されると「ヒェッ!魔物‼︎」と小さく叫び声を上げて
サッとエル君の後ろに隠れた。
「誤解ですよレジナス。ユーリ様はオレの求婚が
恥ずかしくて照れ隠しでそんな事を言っているだけ
です。ユーリ様が本当に困っていたらエルが助けに
入らないわけがないでしょう?」
シェラさんはそんな事も分からないのですか?と
首を振った。
「騙されないでくださいレジナスさん!」
いつもとは逆に思わずレジナスさんお決まりのセリフ
を私の方が口にすれば、
「ユーリが恥ずかしがり屋だというのが分かった上で
困らせるような事を言うのはどうかと思うぞ。
そんなことでは伴侶にしてもらうのもまだまだ先に
なるな。」
フッ、と勝ち誇ったようにレジナスさんは笑うと
シェラさんを見た。
だけどシェラさんは、長い指先を形の良い顎先に
当てるとふむ、と小首を傾げて言い返す。
「・・・ですがレジナス、困ったように恥ずかしがる
ユーリ様のお顔ほど愛らしいものはないのでは?
ほんのりと薄紅色に染まった頬と寄せた眉の下の、
長いまつ毛の間から見え隠れする潤んだ瞳で見上げ
られたりしたら、いつまでもその表情は見ていたく
なるし構いたくなるでしょう?あなただってその
ようなお顔のユーリ様を煽り立てた事があるのでは
ないですか?」
その言葉にレジナスさんの体がぎくりと僅かに
揺れた。
私が瞬時に思い出したのは、グノーデルさんの力に
体を乗っ取られて大きい姿のまま、レジナスさんと
リオン様の二人に前後からもみくちゃにされた時の
ことだ。
気のせいでなければ多分レジナスさんも今それを
思い出したはず。
ちらっとレジナスさんを見たら視線が合って目を
逸らされた。目元がほんのりと赤くなっていて、
さっきまでの勝ち誇った態度はどこへやらだ。
「・・・カマをかけただけだったのですが、本当に
そんな事をしていたとは。呆れた男ですね。」
非難がましく目を細めて言ったシェラさんに、
「俺だけじゃない!あの時はリオン様が・・・!」
レジナスさんが余計なことを言いかけた。
「レジナスさん⁉︎」
ちょっと⁉︎と私も思わず声を上げる。
「何言ってるんですか、もう‼︎やっぱり降ろして
ください‼︎」
私を抱えている腕をぽかぽか殴って降ろしてもらう。
「あっ、ユーリ・・・‼︎」
「帰る準備が出来たから迎えに来てくれたんです
よね?行きますよエル君‼︎」
走ると危ない、と言うレジナスさんから逃げて
部屋の扉へと駆け寄り振り返る。
「ほらね、ご覧なさい。紅潮させた頬を膨らませて
潤んだ瞳でこちらを見つめるあの姿の可愛らしい
こと。多少恥ずかしがられてもあのお顔を見られる
のなら、オレはいくらでも言葉も態度も尽くします
よ。」
「犯行予告っす・・・っ‼︎」
ユリウスさんが恐ろしげに言う。
それでもにこやかな態度を崩さずこちらを見つめる
シェラさんの目から逃れるように、私はエル君を
連れて部屋から駆け出した。
後ろではシェラさんの、
「おや、弾んだ足取りが本当に子ウサギのようで
愛らしいですね。ですが逃げるとその分だけ獣は
反射的に追いかけてしまうものですよ。足元に
お気を付けください。」
そんな気遣ってるんだか口説いているんだか良く
分からない声が私を追いかけて来たのだった。
「子ウサギのような愛らしさでそんな風にじっと
見つめられると、今この場にはオレ達以外の者もいて
二人きりではないというのに、まるで神の試練を受け
我慢を試されているような気分です。獣の気持ちが
よく分かる。」
私を見ている金色の瞳が三日月の形に笑みを作る。
その独特の言い回しに意味が分からないでいると
おや、お分かりにならない?と立ち上がりながら
耳元に口を寄せたシェラさんが
「今すぐ食べてしまいたいということですよ、
オレの女神。」
そう囁いた。
「なっ・・・!」
なんて事を言うのだ。
「言うことが子ども向けじゃないですよシェラさん
・・・‼︎」
注意をすれば、
「ユーリ様を子ども扱いなどとんでもない。オレは
子どもに求婚する趣味など持っておりませんよ。
美しく愛らしいオレの女神に心を捧げ、愛を囁き
振り向いてもらおうと一心に努めているだけです。」
などと言う。物は言いようとはまさにこの事じゃ
ないだろうか⁉︎
「そんな綺麗な言葉で誤魔化されませんからね⁉︎」
「食べ物が絡む例え話でないと冷静ですねぇ・・・」
「それ、暗にシェラさんも私のことを騙されやすくて
チョロいって思ってるでしょう⁉︎」
まさか、と肩をすくめるシェラさんにわあわあ言う
私という図を前にユリウスさんがエル君に、
「この人はうちの団長並みに見た目がずば抜けて
色男な上に物腰丁寧な言い回しをしてるから、
一見騙されそうになるっすけど言ってることが
その相手の年齢を考えると性犯罪者一歩手前っす
よね・・・」
と生ぬるい目をして見つめながら呟いていた。
「ああいう言い方とやり方しか出来ないのが
シェラザード様ですから。それでも、ユーリ様に
危害は加えないと信じているので僕はただ見守る
だけです」
「エル君はエル君で歳の割に達観し過ぎっすよ」
そんな二人に思わず声を掛ける。
「見守らなくてもいいんですよ⁉︎エル君、シェラさん
を信じるのもいいけど私のことも助けて欲しいんです
けど!」
「人様の求婚している場を邪魔するなんて僕には
出来ません」
おかしい。私の味方がいない・・・⁉︎
かぶりを振って私の言葉を断るエル君のことを
素晴らしい判断です。と満足げに頷いて評価する
シェラさん、私と目が合うと「助けてあげたいけど
俺は脳筋騎士の暴力の前には無力っすから無理
っす‼︎」と、さっと目を逸らした薄情極まりない
ユリウスさん。
呆気に取られていたところにようやくレジナスさんが
やって来た。
「どうしたユーリ、なぜそんなにぽかんとした顔を
している?何かあったのか?」
「レジナスさん!レジナスさんだけは私の味方
ですよね⁉︎」
ひしっ!とその足にしがみつく。
「な、なんだ突然‼︎当たり前だろう⁉︎まさかまた
シェラが何かしたのか?」
ひょいと抱き上げてくれたレジナスさんがぎろりと
シェラさんを見た。
「シェラさんは恥ずかしくなるような事を私に言って
エル君はそれを黙って見ているし、ユリウスさんは
我が身可愛さに私を見捨てました‼︎」
「いやユーリ様言い方‼︎それ、俺が一番ひどい人間
みたいに聞こえるんすけど⁉︎」
抗議したユリウスさんもレジナスさんにひと睨み
されると「ヒェッ!魔物‼︎」と小さく叫び声を上げて
サッとエル君の後ろに隠れた。
「誤解ですよレジナス。ユーリ様はオレの求婚が
恥ずかしくて照れ隠しでそんな事を言っているだけ
です。ユーリ様が本当に困っていたらエルが助けに
入らないわけがないでしょう?」
シェラさんはそんな事も分からないのですか?と
首を振った。
「騙されないでくださいレジナスさん!」
いつもとは逆に思わずレジナスさんお決まりのセリフ
を私の方が口にすれば、
「ユーリが恥ずかしがり屋だというのが分かった上で
困らせるような事を言うのはどうかと思うぞ。
そんなことでは伴侶にしてもらうのもまだまだ先に
なるな。」
フッ、と勝ち誇ったようにレジナスさんは笑うと
シェラさんを見た。
だけどシェラさんは、長い指先を形の良い顎先に
当てるとふむ、と小首を傾げて言い返す。
「・・・ですがレジナス、困ったように恥ずかしがる
ユーリ様のお顔ほど愛らしいものはないのでは?
ほんのりと薄紅色に染まった頬と寄せた眉の下の、
長いまつ毛の間から見え隠れする潤んだ瞳で見上げ
られたりしたら、いつまでもその表情は見ていたく
なるし構いたくなるでしょう?あなただってその
ようなお顔のユーリ様を煽り立てた事があるのでは
ないですか?」
その言葉にレジナスさんの体がぎくりと僅かに
揺れた。
私が瞬時に思い出したのは、グノーデルさんの力に
体を乗っ取られて大きい姿のまま、レジナスさんと
リオン様の二人に前後からもみくちゃにされた時の
ことだ。
気のせいでなければ多分レジナスさんも今それを
思い出したはず。
ちらっとレジナスさんを見たら視線が合って目を
逸らされた。目元がほんのりと赤くなっていて、
さっきまでの勝ち誇った態度はどこへやらだ。
「・・・カマをかけただけだったのですが、本当に
そんな事をしていたとは。呆れた男ですね。」
非難がましく目を細めて言ったシェラさんに、
「俺だけじゃない!あの時はリオン様が・・・!」
レジナスさんが余計なことを言いかけた。
「レジナスさん⁉︎」
ちょっと⁉︎と私も思わず声を上げる。
「何言ってるんですか、もう‼︎やっぱり降ろして
ください‼︎」
私を抱えている腕をぽかぽか殴って降ろしてもらう。
「あっ、ユーリ・・・‼︎」
「帰る準備が出来たから迎えに来てくれたんです
よね?行きますよエル君‼︎」
走ると危ない、と言うレジナスさんから逃げて
部屋の扉へと駆け寄り振り返る。
「ほらね、ご覧なさい。紅潮させた頬を膨らませて
潤んだ瞳でこちらを見つめるあの姿の可愛らしい
こと。多少恥ずかしがられてもあのお顔を見られる
のなら、オレはいくらでも言葉も態度も尽くします
よ。」
「犯行予告っす・・・っ‼︎」
ユリウスさんが恐ろしげに言う。
それでもにこやかな態度を崩さずこちらを見つめる
シェラさんの目から逃れるように、私はエル君を
連れて部屋から駆け出した。
後ろではシェラさんの、
「おや、弾んだ足取りが本当に子ウサギのようで
愛らしいですね。ですが逃げるとその分だけ獣は
反射的に追いかけてしまうものですよ。足元に
お気を付けください。」
そんな気遣ってるんだか口説いているんだか良く
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