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第十六章 君の瞳は一億ボルト
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朝っぱらからまたシェラさんに告白されて、
「今はまだ他にもやることありますよね⁉︎もう少し
考えさせて下さい‼︎」
そう返すのが精一杯だった。
だけど飄々とした態度のシェラさんは涼しい顔で
「ええ、全然構いませんとも。また後でお聞きします
から」
そんな事を言っている。また聞く・・・⁉︎
「いい返事が聞けるまで何度でも口説くって、うちの
団長の時と同じパターンじゃないすかそれ。さっさと
腹を括った方がいいっすよ」
ユリウスさんはそう言ったけど、ペンを折った
レジナスさんは新しいペンを手に取り書類を
書きながらその言葉に忠告をした。
「ユリウス、余計なことを言うな。大事な事だから
ユーリが一人できちんと熟慮をした上で結論を出す
べきだ。」
そうだよね。人一人の一生がかかってるんだもんね。
頷く私をシェラさんは猫のように目を細めてじっと
見つめながら言う。
「熟慮の上で出された結論が色良い返事であったなら
オレはもう何も遠慮しなくていいんですよね?
これでも相当自制している方だと思うんですが。」
「不穏‼︎一体何をしようとしてるんすか⁉︎また熟す
前の青いリーモがなんちゃらとか言い出さないっす
よね⁉︎」
声を上げたユリウスさんは顔を赤くしたり青くしたり
と忙しい。
「なんでそこでリーモの話になるんですか?」
急に話が見えなくなった。首を傾げればシェラさんが
「固いリーモを甘く蕩けさせておいしく食べるお話
ですよ。前に彼とその話をした事があるんですが、
その時のことを急に今思い出したみたいですね。
なぜでしょう?」
にっこりと小首を傾げて意味あり気に私に微笑んで
みせた。
「なぜでしょう?じゃないっすよ、恐ろしい‼︎」
ヒェッ、とユリウスさんは小さく叫んだけど
ますます意味が分からない。
「何だかよく分からないけど二人だけの秘密のお話
ですか?リーモはお酒に出来るだけじゃなくて、
おいしく食べるのにそんなに内緒にするような特別な
食べ方があるんですか?」
ユリウスさんが恐ろしい、と声を上げるほどだから
よっぽど変わった食べ方なんだろうか。
あの桃みたいに甘くておいしいリーモからは想像も
つかないけど。
首をひねればシェラさんはまた私に微笑む。
「知りたいのであれば、ユーリ様には特別にそのうち
こっそりと教えて差し上げますよ。多分お気に召して
いただけると思います。」
「えっ、本当ですか⁉︎」
「ええ、ほっぺが落ちそうなくらい甘くておいしい
食べ方です。時間をかけてゆっくりとクタクタに、
これ以上はないというほどじっくり蕩かしていく
んです。その方法は今はまだ秘密です。」
なんだなんだ、煮るのかな?それとも果実酒を作る
みたいに漬け込むのかな?
ちょっと興味を惹かれたら、
「いやダメっすよユーリ様‼︎未成年にはまだ早い
っす‼︎どうしてこう食べ物が絡む話になるとチョロい
んすか⁉︎」
ユリウスさんが文句を言った。レジナスさんも、
「・・・俺にも話が全く見えないが、シェラが
碌でもない事を考えていてまたユーリを騙そうと
しているということだけは分かる。気を付けろ
ユーリ。今から出掛けるがそいつとは離れろ、
俺の馬に乗れ。」
そんな事まで言ってきた。たかがリーモの食べ方の
話でどう騙すって言うんだろう。
「意味が分からないですね・・・?」
「まったくです。オレはただユーリ様に聞かれるが
ままにリーモの話をしただけなのにとんだ濡れ衣
です。その上オレとユーリ様が一緒の馬に乗る機会
まで奪うとは。」
やれやれと大袈裟に首を振ったシェラさんはすがる
ような目で私を見る。
「ねぇユーリ様。オレが可哀想だと思いませんか?
ユーリ様との二人乗りならオレの方がずっと慣れて
いますからね、オレと一緒の方がいいですよね?」
同情を引く作戦に出たらしい。
「えっと・・・」
私は別に誰と一緒でもいいんだけどな。それよりも
大事なのは早くあの溶岩の流れを止めたところを
見に行くことだし。
出掛ける前からこんなに時間が掛かるめんどくさい
事になるとは思わなかった。
私をどちらの馬に乗せるかで牽制し合うレジナスさん
とシェラさんの間で二人を交互に見る。
そしてその結果。
「なんで俺が巻き込まれるんすか⁉︎」
私はユリウスさんの馬に乗った。
「二人の視線が痛いっす‼︎」
レジナスさんとシェラさんは、ユリウスさんと私の
乗る馬の斜め後ろの左右に陣取ってついて来ながら
私達を見ている。
「団長が言ってたこの人達の緩衝材になれって言葉は
結局俺が被害を受けるだけじゃないっすか!」
「まあまあ、ある意味シグウェルさんは正しいんじゃ
ないですか?これなら二人とも喧嘩にならないし。
さすがシグウェルさん‼︎」
「そこは団長を褒めるよりも俺を労って欲しいとこ
なんすけどね・・・」
ユリウスさんはぶつぶつ文句を言ってるけど、あの
二人が無駄に争わないためにも第三者の存在は丁度
いいと思うんだよね。
まあ物凄く後ろから視線を感じるけど。
そんな感じで昨日必死で馬で駆け抜けた道をなぞる
ように行けば、やがてあの焼け焦げた森が目の前に
見えてきた。
私が温泉を出した場所だ。
昨日は避難する人達の治療を優先して温泉に加護を
付けられなかったので、私が雷を落とした場所へ
行く前に立ち寄って癒しの加護を付けることにして
いた。
見れば、何人もの人達が木材や石を運んだりして
忙しそうに立ち回っている。
「もうここに建物を建てる準備に入ってるっすね。
オーウェン様にも連絡をしたからこれからも建築に
必要な物資がどんどん運ばれてくるはずっす。」
ユリウスさんの説明に、レジナスさんも働く人達を
じっと見て続ける。
「ユーリの力による落雷や溶岩で木の根っこまで
焼けてなくなったのが功を奏したな。下草もなく
地面も硬くなったからこれから建物を建てるにも
便利なはずだ。」
ああ、それは分かる。元の世界で建設現場にも行く
ことがあったけど、地盤が弱いとパイルを打ったり
土を入れ替えて土壌を固めたりして地震なんかにも
耐えられるように整地するのが大事だった。
図らずも今は私の力や火事のおかげでその下処理が
終わっているみたいなものなのかな。
なるほどと眺めていると、私達に気付いた人達が
集まって来た。
「おいみんな、ユーリ様だぞ!」
「ありがたいなぁ」
そんな事を口々に言って作業の手を休めてぞろぞろと
やって来る。
帽子を取りお辞儀をしてくれる人はまだましな方で、
手を合わせて拝んでくる人やお花をどうぞと手渡して
くれる子までいて気恥ずかしいことこの上ない。
「早いところ加護をつけて先を急ぎましょう!」
昨日湧いた温泉の噴水まで行って馬を降り、そこに
手を浸せば金色の光が溢れる。
おお、というざわめきがまた起きて注目されたので
思わずユリウスさんの後ろに隠れた。
するとシェラさんが
「ユーリ様・・・彼の後ろに隠れるくらいならオレの
ローブのうちに隠れてくださればいいのに。大切に
包み込んで馬上へお運びいたしますよ。」
残念そうに言ってローブを開いてみせたけど、
「どさくさに紛れてユーリを自分の馬に乗せようと
するな!」
そうレジナスさんに怒られていた。いや二人とも、
私が言うのも何だけど少しは大人になろうよ・・・。
「今はまだ他にもやることありますよね⁉︎もう少し
考えさせて下さい‼︎」
そう返すのが精一杯だった。
だけど飄々とした態度のシェラさんは涼しい顔で
「ええ、全然構いませんとも。また後でお聞きします
から」
そんな事を言っている。また聞く・・・⁉︎
「いい返事が聞けるまで何度でも口説くって、うちの
団長の時と同じパターンじゃないすかそれ。さっさと
腹を括った方がいいっすよ」
ユリウスさんはそう言ったけど、ペンを折った
レジナスさんは新しいペンを手に取り書類を
書きながらその言葉に忠告をした。
「ユリウス、余計なことを言うな。大事な事だから
ユーリが一人できちんと熟慮をした上で結論を出す
べきだ。」
そうだよね。人一人の一生がかかってるんだもんね。
頷く私をシェラさんは猫のように目を細めてじっと
見つめながら言う。
「熟慮の上で出された結論が色良い返事であったなら
オレはもう何も遠慮しなくていいんですよね?
これでも相当自制している方だと思うんですが。」
「不穏‼︎一体何をしようとしてるんすか⁉︎また熟す
前の青いリーモがなんちゃらとか言い出さないっす
よね⁉︎」
声を上げたユリウスさんは顔を赤くしたり青くしたり
と忙しい。
「なんでそこでリーモの話になるんですか?」
急に話が見えなくなった。首を傾げればシェラさんが
「固いリーモを甘く蕩けさせておいしく食べるお話
ですよ。前に彼とその話をした事があるんですが、
その時のことを急に今思い出したみたいですね。
なぜでしょう?」
にっこりと小首を傾げて意味あり気に私に微笑んで
みせた。
「なぜでしょう?じゃないっすよ、恐ろしい‼︎」
ヒェッ、とユリウスさんは小さく叫んだけど
ますます意味が分からない。
「何だかよく分からないけど二人だけの秘密のお話
ですか?リーモはお酒に出来るだけじゃなくて、
おいしく食べるのにそんなに内緒にするような特別な
食べ方があるんですか?」
ユリウスさんが恐ろしい、と声を上げるほどだから
よっぽど変わった食べ方なんだろうか。
あの桃みたいに甘くておいしいリーモからは想像も
つかないけど。
首をひねればシェラさんはまた私に微笑む。
「知りたいのであれば、ユーリ様には特別にそのうち
こっそりと教えて差し上げますよ。多分お気に召して
いただけると思います。」
「えっ、本当ですか⁉︎」
「ええ、ほっぺが落ちそうなくらい甘くておいしい
食べ方です。時間をかけてゆっくりとクタクタに、
これ以上はないというほどじっくり蕩かしていく
んです。その方法は今はまだ秘密です。」
なんだなんだ、煮るのかな?それとも果実酒を作る
みたいに漬け込むのかな?
ちょっと興味を惹かれたら、
「いやダメっすよユーリ様‼︎未成年にはまだ早い
っす‼︎どうしてこう食べ物が絡む話になるとチョロい
んすか⁉︎」
ユリウスさんが文句を言った。レジナスさんも、
「・・・俺にも話が全く見えないが、シェラが
碌でもない事を考えていてまたユーリを騙そうと
しているということだけは分かる。気を付けろ
ユーリ。今から出掛けるがそいつとは離れろ、
俺の馬に乗れ。」
そんな事まで言ってきた。たかがリーモの食べ方の
話でどう騙すって言うんだろう。
「意味が分からないですね・・・?」
「まったくです。オレはただユーリ様に聞かれるが
ままにリーモの話をしただけなのにとんだ濡れ衣
です。その上オレとユーリ様が一緒の馬に乗る機会
まで奪うとは。」
やれやれと大袈裟に首を振ったシェラさんはすがる
ような目で私を見る。
「ねぇユーリ様。オレが可哀想だと思いませんか?
ユーリ様との二人乗りならオレの方がずっと慣れて
いますからね、オレと一緒の方がいいですよね?」
同情を引く作戦に出たらしい。
「えっと・・・」
私は別に誰と一緒でもいいんだけどな。それよりも
大事なのは早くあの溶岩の流れを止めたところを
見に行くことだし。
出掛ける前からこんなに時間が掛かるめんどくさい
事になるとは思わなかった。
私をどちらの馬に乗せるかで牽制し合うレジナスさん
とシェラさんの間で二人を交互に見る。
そしてその結果。
「なんで俺が巻き込まれるんすか⁉︎」
私はユリウスさんの馬に乗った。
「二人の視線が痛いっす‼︎」
レジナスさんとシェラさんは、ユリウスさんと私の
乗る馬の斜め後ろの左右に陣取ってついて来ながら
私達を見ている。
「団長が言ってたこの人達の緩衝材になれって言葉は
結局俺が被害を受けるだけじゃないっすか!」
「まあまあ、ある意味シグウェルさんは正しいんじゃ
ないですか?これなら二人とも喧嘩にならないし。
さすがシグウェルさん‼︎」
「そこは団長を褒めるよりも俺を労って欲しいとこ
なんすけどね・・・」
ユリウスさんはぶつぶつ文句を言ってるけど、あの
二人が無駄に争わないためにも第三者の存在は丁度
いいと思うんだよね。
まあ物凄く後ろから視線を感じるけど。
そんな感じで昨日必死で馬で駆け抜けた道をなぞる
ように行けば、やがてあの焼け焦げた森が目の前に
見えてきた。
私が温泉を出した場所だ。
昨日は避難する人達の治療を優先して温泉に加護を
付けられなかったので、私が雷を落とした場所へ
行く前に立ち寄って癒しの加護を付けることにして
いた。
見れば、何人もの人達が木材や石を運んだりして
忙しそうに立ち回っている。
「もうここに建物を建てる準備に入ってるっすね。
オーウェン様にも連絡をしたからこれからも建築に
必要な物資がどんどん運ばれてくるはずっす。」
ユリウスさんの説明に、レジナスさんも働く人達を
じっと見て続ける。
「ユーリの力による落雷や溶岩で木の根っこまで
焼けてなくなったのが功を奏したな。下草もなく
地面も硬くなったからこれから建物を建てるにも
便利なはずだ。」
ああ、それは分かる。元の世界で建設現場にも行く
ことがあったけど、地盤が弱いとパイルを打ったり
土を入れ替えて土壌を固めたりして地震なんかにも
耐えられるように整地するのが大事だった。
図らずも今は私の力や火事のおかげでその下処理が
終わっているみたいなものなのかな。
なるほどと眺めていると、私達に気付いた人達が
集まって来た。
「おいみんな、ユーリ様だぞ!」
「ありがたいなぁ」
そんな事を口々に言って作業の手を休めてぞろぞろと
やって来る。
帽子を取りお辞儀をしてくれる人はまだましな方で、
手を合わせて拝んでくる人やお花をどうぞと手渡して
くれる子までいて気恥ずかしいことこの上ない。
「早いところ加護をつけて先を急ぎましょう!」
昨日湧いた温泉の噴水まで行って馬を降り、そこに
手を浸せば金色の光が溢れる。
おお、というざわめきがまた起きて注目されたので
思わずユリウスさんの後ろに隠れた。
するとシェラさんが
「ユーリ様・・・彼の後ろに隠れるくらいならオレの
ローブのうちに隠れてくださればいいのに。大切に
包み込んで馬上へお運びいたしますよ。」
残念そうに言ってローブを開いてみせたけど、
「どさくさに紛れてユーリを自分の馬に乗せようと
するな!」
そうレジナスさんに怒られていた。いや二人とも、
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