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第十六章 君の瞳は一億ボルト
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さっきのあれは一体何⁉︎
私はただ、自分の命を粗末にするみたいなシェラさん
を叱りたかっただけなのにそれがどうしてプロポーズ
される羽目に⁉︎
熱くて真っ赤に揺らぐ空気を感じる方へと走りながら
私の頭の中は混乱している。
そういえば、オーウェン様の温室でのお茶会に
シェラさんに縦抱っこで運ばれていた時の会話の
中でも、シェラさんは口説いているんですよと
言っていた。
あの時私は本気なのか、もし本気ならそれは一体
いつから?と混乱していたっけ。
この騒ぎですっかり忘れていたけど。
それがまさかこのタイミングで改めて告白される
とは思わなかった。
火に巻かれて死にそうになったから今言わないとでも
思ったのかな⁉︎
「あ~もう、全ッ然分っかんない‼︎」
思いがけない告白に冷めたと思っていた酔いが、
また戻ってきた気がする。
頬が熱を持って頭もなんだかポワポワしていて
考えがまとまらない。
と、そんな私の頭を切り替えるように走っていた先の
空気が一段と熱を持った。
熱波のような熱い空気の流れを体全体に受けて
立ち止まれば、私の目の前の景色いっぱいを右手から
左へとゆっくりドロドロと流れ続ける溶岩が見える。
まるで溶岩の川だ。
思っていたよりもその範囲が広い。
事前にレジナスさんと打ち合わせた時は、近くの
山の斜面でも崩して川の流れの方へ溶岩を誘導する
ことにしていたんだけど。
少し山を崩したくらいじゃこの広い溶岩の流れを
変えたりせき止めたりするのは難しそうだ。
だけどこのまま放っておけば、溶岩の流れる左手側を
行った先には避難先や別の集落、穀倉地帯がある。
「もっと上から止めないと・・・!」
この流れの元を断ち切って、それから雨を降らせて
今流れている溶岩を冷やせないかな。
氷結魔法は無理だけど、雷と一緒に雨雲は呼べない
だろうか。
レジナスさんが打ち合わせで見ていた地図を思い出し
ながら溶岩の流れてくる右手の方向へとさらに走る。
確か火山は魔物避けのあの長い城壁の向こうに
あった。溶岩はそこの城壁を壊してこちら側に
流れ込んで来ているはずだ。
走るほど体にお酒が回る気がしてちょっと気持ち悪く
なってきた頃に、目の前に崩れた城壁とそこから
流れ込んでいる溶岩が見えてきた。
あそこだ。あそこからの流れを止められれば大丈夫。
「ええっと、勇者様はなんて言ってたっけ?」
息を整えながら魔石鉱山でのレンさんを思い出す。
『砕けろ、魔物!デンさんスペシャル‼︎』
頭の中にあの時のレンさんの気合いの入った声が
甦る。
「デンさんすぺしゃる・・・」
それってどれ位の威力なんだろう。あの時キリウさん
に掴まっていたら突然目の前が真っ白くなって何も
見えなかったので、実際レンさんがどんな風に技を
使ったのか分からない。
山が一つ粉々になるくらいだから相当なんだろう
けど。辺りをぐるりと見渡して、どこからどこまで
雷を落とせばいいのか考える。
・・・考えるけど、冷静になるとつい、さっきの
シェラさんの告白も思い出してしまう。
『・・・ユーリ様の全てをオレにください』
『伴侶として、ずっと側に置いてオレを愛して
下さい』
『はいと言って』
私に聞こえていないからと、何度も言葉を重ねて
そう言ってきたけどあれはわざとだ。
絶対聞こえてるって分かってるくせに・・・私も
聞こえてるって言ったのに、押し切るためなのか
私に自分を意識させるためなのかわざと何度も
言葉を重ねて言ったんだ。
今この場にシェラさんはいないのに、その言葉が
私をじわじわと内側から蝕むように落ち着かない
気恥ずかしさに誘い込む。
『甘い毒ですか、なれるものならそれもいいですね』
そんな事も言ってシェラさんは満足そうに頷いて
いたっけ。
本当に、甘い毒みたいにその言葉は私を段々と
動けなくする。
「・・・ああもう‼︎」
今こんな事を考えている場合じゃないのに。
まったく、なんてタイミングで告白してくれたんだ。
そう思うと、感情のコントロールがききにくく
なっている私の中に苛立ちと腹立たしさが頭を
もたげる。
ごちゃごちゃ考えるのはやめた。とりあえず、
大きな雷をここに一つ落とせばこのイライラも
少しはすっきりするに違いない。
うん、そうだ。きっとそうだ。
すう、と大きく深呼吸をして両足でしっかりと
地面を踏みしめる。
ビシ、と足元の地面にヒビが入った。
両手を頭上に掲げて目を閉じる。
どこか遠くで雷鳴が鳴っているのが聞こえてきた。
その音を聞きながら、雷が落ちて目の前の地面が
抉れ土の壁が出来て、それで溶岩がせき止められる
様子を想像する。
そこまでイメージをすると、パチリと目を開け私は
思い切り声を出して両手を振り下ろした。
「砕けろ地面!裂けて崩れて、ぜーんぶ壊せ‼︎」
ついでに最後に、「シェラさんのばかー!」と
付け足した。
叫んで振り下ろされた両手が上から下へと動くのに
合わせて噴煙で黒々と広がっていた雲の間から
真っ白に輝く雷が糸を引くように降り注いできた
のが見えた。
それも一つじゃない。
ドドドド、ドォン‼︎と連続でいくつもの太い雷が
目の前の崩れた城壁からまだ残っていた城壁まで、
壁に沿うようにして数百メートルに渡って落ちた。
衝撃で私の立っているところまで地面が大きく
揺れてしっかりと踏みしめていたのに体が跳ねた。
溶岩の流れもその衝撃で粘度を持った液体のように
ゆるく跳ね上がる。
「うわあ、びっくりした。やっぱりグノーデルさんの
力ってすごい。」
でもおかげでさっきまでのもやもやした気分も
吹き飛んだ。
「ああさっぱりしたぁー」
うーん、と伸びをすればヒック、としゃっくりが
一つ出た。
雷の落ちた先を見れば、ここからはちょっと距離が
あって分かりにくいけど城壁のこちらとあちらを
境目に地面が割れていて、溶岩はどろどろとその
裂け目に落ちて行っている。
これで良し。これなら溶岩はもうこちら側には
流れ込んでこないはずだ。あとはそうだ。
「グノーデルさぁん、お水ください、雨がほしー
です!」
まだ雷鳴が轟き頭上に垂れこめている暗い雲に
向かって両手を振る。
グノーデルさんはいつも私を見守っているって
言ってくれていた。
だからダーヴィゼルドの時のように空に向かって
手を振れば、それに応えてくれるように一際大きな
音で雷鳴が轟いた。
そして空を見上げる私の頬にぽつりと雨の雫が
落ちてくる。
「あっ」
私のお願いがちゃんと届いたらしい。急いで頭から
ローブを被り直す。
ポツポツと落ち始めた雨はすぐにざあっと大きな
雨音を立ててスコールのような土砂降りになる。
同時に、流れていた溶岩がジュウ、と音を立てて
白い煙をあげるとみるみる黒い塊へと変わって
冷え固まり始めた。
これで良し。もう大丈夫だ。
「いい仕事したぁ」
叫んだらちょっとだけ気分もすっきりしたし。
上機嫌で、降り注ぐ雨が目の前に広がる溶岩を
完全に固まらせていく様子をしっかりと見届ける。
そうしてやがて雨は降り止み、それにお礼を言って
また空に手を振れば、それに応えてくれるように
黒い雲はその切れ目から眩しい陽の光を覗かせて
くれたのだった。
私はただ、自分の命を粗末にするみたいなシェラさん
を叱りたかっただけなのにそれがどうしてプロポーズ
される羽目に⁉︎
熱くて真っ赤に揺らぐ空気を感じる方へと走りながら
私の頭の中は混乱している。
そういえば、オーウェン様の温室でのお茶会に
シェラさんに縦抱っこで運ばれていた時の会話の
中でも、シェラさんは口説いているんですよと
言っていた。
あの時私は本気なのか、もし本気ならそれは一体
いつから?と混乱していたっけ。
この騒ぎですっかり忘れていたけど。
それがまさかこのタイミングで改めて告白される
とは思わなかった。
火に巻かれて死にそうになったから今言わないとでも
思ったのかな⁉︎
「あ~もう、全ッ然分っかんない‼︎」
思いがけない告白に冷めたと思っていた酔いが、
また戻ってきた気がする。
頬が熱を持って頭もなんだかポワポワしていて
考えがまとまらない。
と、そんな私の頭を切り替えるように走っていた先の
空気が一段と熱を持った。
熱波のような熱い空気の流れを体全体に受けて
立ち止まれば、私の目の前の景色いっぱいを右手から
左へとゆっくりドロドロと流れ続ける溶岩が見える。
まるで溶岩の川だ。
思っていたよりもその範囲が広い。
事前にレジナスさんと打ち合わせた時は、近くの
山の斜面でも崩して川の流れの方へ溶岩を誘導する
ことにしていたんだけど。
少し山を崩したくらいじゃこの広い溶岩の流れを
変えたりせき止めたりするのは難しそうだ。
だけどこのまま放っておけば、溶岩の流れる左手側を
行った先には避難先や別の集落、穀倉地帯がある。
「もっと上から止めないと・・・!」
この流れの元を断ち切って、それから雨を降らせて
今流れている溶岩を冷やせないかな。
氷結魔法は無理だけど、雷と一緒に雨雲は呼べない
だろうか。
レジナスさんが打ち合わせで見ていた地図を思い出し
ながら溶岩の流れてくる右手の方向へとさらに走る。
確か火山は魔物避けのあの長い城壁の向こうに
あった。溶岩はそこの城壁を壊してこちら側に
流れ込んで来ているはずだ。
走るほど体にお酒が回る気がしてちょっと気持ち悪く
なってきた頃に、目の前に崩れた城壁とそこから
流れ込んでいる溶岩が見えてきた。
あそこだ。あそこからの流れを止められれば大丈夫。
「ええっと、勇者様はなんて言ってたっけ?」
息を整えながら魔石鉱山でのレンさんを思い出す。
『砕けろ、魔物!デンさんスペシャル‼︎』
頭の中にあの時のレンさんの気合いの入った声が
甦る。
「デンさんすぺしゃる・・・」
それってどれ位の威力なんだろう。あの時キリウさん
に掴まっていたら突然目の前が真っ白くなって何も
見えなかったので、実際レンさんがどんな風に技を
使ったのか分からない。
山が一つ粉々になるくらいだから相当なんだろう
けど。辺りをぐるりと見渡して、どこからどこまで
雷を落とせばいいのか考える。
・・・考えるけど、冷静になるとつい、さっきの
シェラさんの告白も思い出してしまう。
『・・・ユーリ様の全てをオレにください』
『伴侶として、ずっと側に置いてオレを愛して
下さい』
『はいと言って』
私に聞こえていないからと、何度も言葉を重ねて
そう言ってきたけどあれはわざとだ。
絶対聞こえてるって分かってるくせに・・・私も
聞こえてるって言ったのに、押し切るためなのか
私に自分を意識させるためなのかわざと何度も
言葉を重ねて言ったんだ。
今この場にシェラさんはいないのに、その言葉が
私をじわじわと内側から蝕むように落ち着かない
気恥ずかしさに誘い込む。
『甘い毒ですか、なれるものならそれもいいですね』
そんな事も言ってシェラさんは満足そうに頷いて
いたっけ。
本当に、甘い毒みたいにその言葉は私を段々と
動けなくする。
「・・・ああもう‼︎」
今こんな事を考えている場合じゃないのに。
まったく、なんてタイミングで告白してくれたんだ。
そう思うと、感情のコントロールがききにくく
なっている私の中に苛立ちと腹立たしさが頭を
もたげる。
ごちゃごちゃ考えるのはやめた。とりあえず、
大きな雷をここに一つ落とせばこのイライラも
少しはすっきりするに違いない。
うん、そうだ。きっとそうだ。
すう、と大きく深呼吸をして両足でしっかりと
地面を踏みしめる。
ビシ、と足元の地面にヒビが入った。
両手を頭上に掲げて目を閉じる。
どこか遠くで雷鳴が鳴っているのが聞こえてきた。
その音を聞きながら、雷が落ちて目の前の地面が
抉れ土の壁が出来て、それで溶岩がせき止められる
様子を想像する。
そこまでイメージをすると、パチリと目を開け私は
思い切り声を出して両手を振り下ろした。
「砕けろ地面!裂けて崩れて、ぜーんぶ壊せ‼︎」
ついでに最後に、「シェラさんのばかー!」と
付け足した。
叫んで振り下ろされた両手が上から下へと動くのに
合わせて噴煙で黒々と広がっていた雲の間から
真っ白に輝く雷が糸を引くように降り注いできた
のが見えた。
それも一つじゃない。
ドドドド、ドォン‼︎と連続でいくつもの太い雷が
目の前の崩れた城壁からまだ残っていた城壁まで、
壁に沿うようにして数百メートルに渡って落ちた。
衝撃で私の立っているところまで地面が大きく
揺れてしっかりと踏みしめていたのに体が跳ねた。
溶岩の流れもその衝撃で粘度を持った液体のように
ゆるく跳ね上がる。
「うわあ、びっくりした。やっぱりグノーデルさんの
力ってすごい。」
でもおかげでさっきまでのもやもやした気分も
吹き飛んだ。
「ああさっぱりしたぁー」
うーん、と伸びをすればヒック、としゃっくりが
一つ出た。
雷の落ちた先を見れば、ここからはちょっと距離が
あって分かりにくいけど城壁のこちらとあちらを
境目に地面が割れていて、溶岩はどろどろとその
裂け目に落ちて行っている。
これで良し。これなら溶岩はもうこちら側には
流れ込んでこないはずだ。あとはそうだ。
「グノーデルさぁん、お水ください、雨がほしー
です!」
まだ雷鳴が轟き頭上に垂れこめている暗い雲に
向かって両手を振る。
グノーデルさんはいつも私を見守っているって
言ってくれていた。
だからダーヴィゼルドの時のように空に向かって
手を振れば、それに応えてくれるように一際大きな
音で雷鳴が轟いた。
そして空を見上げる私の頬にぽつりと雨の雫が
落ちてくる。
「あっ」
私のお願いがちゃんと届いたらしい。急いで頭から
ローブを被り直す。
ポツポツと落ち始めた雨はすぐにざあっと大きな
雨音を立ててスコールのような土砂降りになる。
同時に、流れていた溶岩がジュウ、と音を立てて
白い煙をあげるとみるみる黒い塊へと変わって
冷え固まり始めた。
これで良し。もう大丈夫だ。
「いい仕事したぁ」
叫んだらちょっとだけ気分もすっきりしたし。
上機嫌で、降り注ぐ雨が目の前に広がる溶岩を
完全に固まらせていく様子をしっかりと見届ける。
そうしてやがて雨は降り止み、それにお礼を言って
また空に手を振れば、それに応えてくれるように
黒い雲はその切れ目から眩しい陽の光を覗かせて
くれたのだった。
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