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第十三章 好きこそものの上手なれ
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「・・・僕達の付けた跡は消したのに、どうして
シグウェルのはそのままなのさ?」
リオン様は不満そうな声を上げてシグウェルさんの
つけた口付けの跡をそっとなぞった。
レジナスさんは何も言わずに、ひたすらじっとその
部分を見つめている。
「消そうと思ってたんですけど、あの時は私の部屋が
どうとか侍従さん達のお持ち帰りがどうだとかで
それどころじゃなくなってたんですよ・・・」
嫌なら消しましょうか?と聞けば、少し考え込んだ
リオン様がいや、と首を振った。
そのまま私を膝の上に乗せると頭を撫でてきて、
「ユーリ、多対一の複数配偶者制度がうまくいくコツ
を教えようか。」
そんな事を言って来た。突然なんだろうと思ったけど
確かに一夫多妻やら一妻多夫やらに馴染みのない私に
必要なことかも知れない。ヒルダ様にもそれは聞いて
ないし。
そう思って頷いたらにこりと微笑まれた。
「一人の夫や妻に対して複数の配偶者は互いに嫉妬
し合わずにそのたった一人のことを第一に考えて
大切にすることが大事なんだけどね、」
私の頭を撫でながらじいっと見つめてくる。
「逆にその夫や妻は自分の複数の伴侶に対して全員を
平等に扱うことが大事なんだ。」
「平等。」
「そう。誰か一人に愛情が偏らないように、全ての
伴侶を皆平等に大切に愛し慈しむんだ。それが複数の
伴侶を持ちながら末長く仲良く幸せに過ごすコツ
だよ。」
なるほど。確かに誰か一人に愛情が偏ればそれは
余計な嫉妬心を生んで争いの元になるだろう。
それって伴侶の数が増えるほど難しそう。
それにしても・・・
「それは分かりましたけど、どうして今それを
教えてくれたんですか?」
不思議に思えば
「あれ?まだ分からない?」
逆にリオン様の方に不思議そうに首を傾げられた。
そのまま私の頭を撫でていた手がシグウェルさんの
口付けの跡が残るところを少し押される。
「だから、平等だよ。この跡は消さない代わりに
僕とレジナスもここに跡を残すから。」
「えっ⁉︎」
リオン様の言葉に驚く。レジナスさんもちょっと
驚いたみたいだけど何も言わない。まさかそれに
同意なのかな⁉︎
「わざわざそんなことをするよりも、私が跡を消す
方が早くないですか⁉︎」
その方が無駄な嫉妬心を煽らないでしょうに。
そう思ったのになぜか二人揃って首を振ってそれを
頑なに拒否した上に、
「俺もリオン様の言うことに賛成だ。」
レジナスさんまでそんな事を言う。
「ほら、多数決で決まったよ。じゃあそういう事で」
青い瞳を麗しくきらりと煌めかせたリオン様は私を
見つめてもう一度にっこりと微笑んだ。
そのままはい、とレジナスさんの方に赤い跡の残る
私の腕をまるで予防注射をするように差し出す。
リオン様の膝の上から降りて逃げようとしても、
当然のようにお腹の辺りをがっちりホールドされて
いるから無駄な抵抗だった。
「大丈夫だよユーリ、この間みたいに色々しない
から。ここにちょっと跡を付けるだけ、少しピリッと
するだけだから。」
後ろからそんな風にリオン様が囁く。だからそれが
恥ずかしいんだってば!
それなのにレジナスさんはさっさと片膝をついて
恭しく私の腕に手を添えて顔を近付けている。
「なんにもだいじょぶじゃないですよ⁉︎」
慌て過ぎて久々に語彙力がなくなり辿々しくなって
しまえば、そんな私をちらりと見たレジナスさんは
何とも言えない顔をして眉を顰めた。
「そんな顔で俺を見るのはやめてくれ、加減が
出来なくなる」
「またわたしのせい⁉︎」
そう聞いた私にはもう返事をせずに、二の腕を
やんわりと掴んだレジナスさんはシグウェルさんの
残した跡の近くに唇を寄せた。
自分じゃない体温と唇の柔らかさに無意識で体が
びくんと跳ねればそれをリオン様が後ろからしっかり
抱き締める。
「ふふ、かわいいけどちょっとだけなんだか色っぽい
のが困るね。どうしようかなあ。」
楽しそうに弾んだリオン様の声に僅かに艶っぽさが
滲んで聞こえて、これはまずいと思う。
「どうもしなくていいんですよ、レジナスさんも
もういいんじゃないですか⁉︎」
まだ私の二の腕に口付けたままのレジナスさんに
声をかける。
レジナスさんはそんな私をちらりと見上げると
黙ってまた目を伏せてしまった。
「え⁉︎まだですか⁉︎ちょっと長くな・・にゃっ⁉︎」
文句を言おうとしたら一際強い感触を腕に感じる。
「あはは、何それユーリ。仔猫みたいな悲鳴をあげる
なんて可愛すぎるでしょ?色々我慢しようと思ってる
僕達をあんまり煽らないでくれる?」
くすくす笑うリオン様はかわいいなあ、と更にきつく
私を抱きしめてきた。
「わ、私だってそんなつもりないですよ!これは
レジナスさんが悪いんです‼︎」
そのレジナスさんはといえば、やっと私の腕から口を
離すと立ち上がった。
自分の口元を手の甲でぐいと拭うとその手を顔に
当てたまま、リオン様の膝の上の私を見下ろしている
その目元はうっすらと赤く、あのオレンジ色の瞳も
色気を纏っている。
「・・・いや、本当に。頼むからあまり煽らないで
くれ」
目を伏せてそう言ったレジナスさんは、テーブルに
あった温かなおしぼりでたった今まで自分が口付けて
いたところを丁寧に拭った。
そして次はリオン様の番です、なんて言っている。
ふと見ればシグウェルさんのつけたその跡のすぐ
近くに、それよりもくっきりと赤い跡がついていた。
自分が何をされたのかを改めて確かめてしまい
頬が熱い。
「どれ」
そんな真っ赤になった私をくるりと反転させて
向かい合わせに膝の上に抱え直したリオン様は、
私の二の腕を触りながらレジナスさんのつけた跡を
確かめていた。
「なるほどね、じゃあ僕はこの辺りにしようかな」
そんなことを言って指先で二つの赤い跡があるすぐ側
をふにふにと押している。
「ちょっ、やめて下さい!くすぐったいです‼︎」
二の腕の内側なんて普段そんなに触らない場所だから
くすぐったくて仕方ない。
「我慢だよユーリ。」
そう言ってリオン様も私の二の腕を取った。
そのままそこにちゅうっと吸い付かれれば、
くすぐったさに加えて更に背中がむず痒くなるような
妙な感覚に襲われて背筋がぴんと伸びる。
また笑われるから、んんっ!と声が出そうになるのを
我慢すれば腕に口付けたまま私の反応を見ていた
リオン様は、腕に添えているのとは別の手で耳の後ろ
から首筋にかけて撫でてくる。
その感触に顔が耳までカッと赤くなったのを自覚して
首筋をすくめたらレジナスさんが
「ユーリ、肩に力が入り過ぎじゃないか?」
もっと力を抜け。そう言って急に後ろで私のうなじ
から背中にかけてそっと意味深な撫で方をするもの
だからまた体が意図せず跳ねた。
「くすぐったいの、我慢してるんだからやめて下さい
レジナスさん!あとリオン様もあちこち触らないで
下さい‼︎」
やっとの思いでそう言う。レジナスさんの大きな手は
撫でるのをやめただけで私の背中に添えられたまま、
跳ねた私の体がリオン様の膝から落ちないように
支えている。
それを上目遣いで確かめたリオン様は、さっきの
レジナスさんみたいに一際強く私の肌を吸い上げた。
「ふわっ!」
我慢出来ずにまた声が出て反射的に体が動いたけど、
後ろからレジナスさんがしっかりと支えていたので
体はほんの少しだけ身じろいだだけで身を引くことも
出来なかった。
「終わりましたか⁉︎」
もういいでしょ、とリオン様に声を掛ければちらりと
見上げられて名残惜しそうに口を離される。
「・・・はぁ、もう少しだけ口付けていたかったな」
そんな風に言って今まで口付けていたところを撫でる
リオン様の指先が触れる部分を見れば、レジナスさん
やシグウェルさんのつけた跡のすぐ側にもう一つ
赤い跡が鮮やかに散っている。
器用にもまるで小さな赤い薔薇の花が咲いたようにも
見える形にされたその跡は、見れば見るほど私の
羞恥心を煽ってくる。
それなのに更に重ねてリオン様は
「ユーリの腕はしっとりと柔らかく吸い付いてきて
体温の暖かさを感じるのも心地良いからずっと触れて
いたくなるね。どうして今まで触れたことがなかった
んだろう。」
今度また触らせてね、なんて嫌な予感しかしない
お願いごとと聞いてるだけで恥ずかしくなる、私の
二の腕の感想を言ってきた。
「だっ、駄目ですよ何言ってるんです⁉︎今回は
シグウェルさんと平等にするって言うから我慢
したんですよ⁉︎」
リオン様の言葉に反論したら、私の後ろにいた
レジナスさんの手が添えている背中を静かに撫でた。
「俺も機会があればまた触れたい。頼むユーリ。」
レジナスさんまで⁉︎まさか二人揃ってそんな事を
言ってくるとは思わなかった。
「ほ、保留ですっ、また後で考えさせて下さい!
今日はもうおしまいですよ!」
どうしていいか分からなくなったその時の私に
出来たのは、返事を誤魔化して逃げ出すことだけ
だった。
リオン様の腕の力が緩んだのでさっと膝から降りて
自分の寝室の扉へ駆け寄る。
そして寝室へ入る時に二人を振り返って
「言うことを聞いたんですから、明日の朝食はまた
デザートを一品追加ですよ!」
捨てゼリフのようにそう言っておやすみなさい!と
寝室へ逃げ込んだ。
だからその時、
「・・・なんだかあの言い方だと食事の時にデザート
を一品追加さえすれば何をしても許されそうな気が
してくるね?」
「俺にもそうとしか聞こえませんでした。」
なんてやり取りを二人がしているのに全然気が
付かなかった。
どうやら私は自分の知らないところでまた墓穴を
掘っていたらしい・・・。
シグウェルのはそのままなのさ?」
リオン様は不満そうな声を上げてシグウェルさんの
つけた口付けの跡をそっとなぞった。
レジナスさんは何も言わずに、ひたすらじっとその
部分を見つめている。
「消そうと思ってたんですけど、あの時は私の部屋が
どうとか侍従さん達のお持ち帰りがどうだとかで
それどころじゃなくなってたんですよ・・・」
嫌なら消しましょうか?と聞けば、少し考え込んだ
リオン様がいや、と首を振った。
そのまま私を膝の上に乗せると頭を撫でてきて、
「ユーリ、多対一の複数配偶者制度がうまくいくコツ
を教えようか。」
そんな事を言って来た。突然なんだろうと思ったけど
確かに一夫多妻やら一妻多夫やらに馴染みのない私に
必要なことかも知れない。ヒルダ様にもそれは聞いて
ないし。
そう思って頷いたらにこりと微笑まれた。
「一人の夫や妻に対して複数の配偶者は互いに嫉妬
し合わずにそのたった一人のことを第一に考えて
大切にすることが大事なんだけどね、」
私の頭を撫でながらじいっと見つめてくる。
「逆にその夫や妻は自分の複数の伴侶に対して全員を
平等に扱うことが大事なんだ。」
「平等。」
「そう。誰か一人に愛情が偏らないように、全ての
伴侶を皆平等に大切に愛し慈しむんだ。それが複数の
伴侶を持ちながら末長く仲良く幸せに過ごすコツ
だよ。」
なるほど。確かに誰か一人に愛情が偏ればそれは
余計な嫉妬心を生んで争いの元になるだろう。
それって伴侶の数が増えるほど難しそう。
それにしても・・・
「それは分かりましたけど、どうして今それを
教えてくれたんですか?」
不思議に思えば
「あれ?まだ分からない?」
逆にリオン様の方に不思議そうに首を傾げられた。
そのまま私の頭を撫でていた手がシグウェルさんの
口付けの跡が残るところを少し押される。
「だから、平等だよ。この跡は消さない代わりに
僕とレジナスもここに跡を残すから。」
「えっ⁉︎」
リオン様の言葉に驚く。レジナスさんもちょっと
驚いたみたいだけど何も言わない。まさかそれに
同意なのかな⁉︎
「わざわざそんなことをするよりも、私が跡を消す
方が早くないですか⁉︎」
その方が無駄な嫉妬心を煽らないでしょうに。
そう思ったのになぜか二人揃って首を振ってそれを
頑なに拒否した上に、
「俺もリオン様の言うことに賛成だ。」
レジナスさんまでそんな事を言う。
「ほら、多数決で決まったよ。じゃあそういう事で」
青い瞳を麗しくきらりと煌めかせたリオン様は私を
見つめてもう一度にっこりと微笑んだ。
そのままはい、とレジナスさんの方に赤い跡の残る
私の腕をまるで予防注射をするように差し出す。
リオン様の膝の上から降りて逃げようとしても、
当然のようにお腹の辺りをがっちりホールドされて
いるから無駄な抵抗だった。
「大丈夫だよユーリ、この間みたいに色々しない
から。ここにちょっと跡を付けるだけ、少しピリッと
するだけだから。」
後ろからそんな風にリオン様が囁く。だからそれが
恥ずかしいんだってば!
それなのにレジナスさんはさっさと片膝をついて
恭しく私の腕に手を添えて顔を近付けている。
「なんにもだいじょぶじゃないですよ⁉︎」
慌て過ぎて久々に語彙力がなくなり辿々しくなって
しまえば、そんな私をちらりと見たレジナスさんは
何とも言えない顔をして眉を顰めた。
「そんな顔で俺を見るのはやめてくれ、加減が
出来なくなる」
「またわたしのせい⁉︎」
そう聞いた私にはもう返事をせずに、二の腕を
やんわりと掴んだレジナスさんはシグウェルさんの
残した跡の近くに唇を寄せた。
自分じゃない体温と唇の柔らかさに無意識で体が
びくんと跳ねればそれをリオン様が後ろからしっかり
抱き締める。
「ふふ、かわいいけどちょっとだけなんだか色っぽい
のが困るね。どうしようかなあ。」
楽しそうに弾んだリオン様の声に僅かに艶っぽさが
滲んで聞こえて、これはまずいと思う。
「どうもしなくていいんですよ、レジナスさんも
もういいんじゃないですか⁉︎」
まだ私の二の腕に口付けたままのレジナスさんに
声をかける。
レジナスさんはそんな私をちらりと見上げると
黙ってまた目を伏せてしまった。
「え⁉︎まだですか⁉︎ちょっと長くな・・にゃっ⁉︎」
文句を言おうとしたら一際強い感触を腕に感じる。
「あはは、何それユーリ。仔猫みたいな悲鳴をあげる
なんて可愛すぎるでしょ?色々我慢しようと思ってる
僕達をあんまり煽らないでくれる?」
くすくす笑うリオン様はかわいいなあ、と更にきつく
私を抱きしめてきた。
「わ、私だってそんなつもりないですよ!これは
レジナスさんが悪いんです‼︎」
そのレジナスさんはといえば、やっと私の腕から口を
離すと立ち上がった。
自分の口元を手の甲でぐいと拭うとその手を顔に
当てたまま、リオン様の膝の上の私を見下ろしている
その目元はうっすらと赤く、あのオレンジ色の瞳も
色気を纏っている。
「・・・いや、本当に。頼むからあまり煽らないで
くれ」
目を伏せてそう言ったレジナスさんは、テーブルに
あった温かなおしぼりでたった今まで自分が口付けて
いたところを丁寧に拭った。
そして次はリオン様の番です、なんて言っている。
ふと見ればシグウェルさんのつけたその跡のすぐ
近くに、それよりもくっきりと赤い跡がついていた。
自分が何をされたのかを改めて確かめてしまい
頬が熱い。
「どれ」
そんな真っ赤になった私をくるりと反転させて
向かい合わせに膝の上に抱え直したリオン様は、
私の二の腕を触りながらレジナスさんのつけた跡を
確かめていた。
「なるほどね、じゃあ僕はこの辺りにしようかな」
そんなことを言って指先で二つの赤い跡があるすぐ側
をふにふにと押している。
「ちょっ、やめて下さい!くすぐったいです‼︎」
二の腕の内側なんて普段そんなに触らない場所だから
くすぐったくて仕方ない。
「我慢だよユーリ。」
そう言ってリオン様も私の二の腕を取った。
そのままそこにちゅうっと吸い付かれれば、
くすぐったさに加えて更に背中がむず痒くなるような
妙な感覚に襲われて背筋がぴんと伸びる。
また笑われるから、んんっ!と声が出そうになるのを
我慢すれば腕に口付けたまま私の反応を見ていた
リオン様は、腕に添えているのとは別の手で耳の後ろ
から首筋にかけて撫でてくる。
その感触に顔が耳までカッと赤くなったのを自覚して
首筋をすくめたらレジナスさんが
「ユーリ、肩に力が入り過ぎじゃないか?」
もっと力を抜け。そう言って急に後ろで私のうなじ
から背中にかけてそっと意味深な撫で方をするもの
だからまた体が意図せず跳ねた。
「くすぐったいの、我慢してるんだからやめて下さい
レジナスさん!あとリオン様もあちこち触らないで
下さい‼︎」
やっとの思いでそう言う。レジナスさんの大きな手は
撫でるのをやめただけで私の背中に添えられたまま、
跳ねた私の体がリオン様の膝から落ちないように
支えている。
それを上目遣いで確かめたリオン様は、さっきの
レジナスさんみたいに一際強く私の肌を吸い上げた。
「ふわっ!」
我慢出来ずにまた声が出て反射的に体が動いたけど、
後ろからレジナスさんがしっかりと支えていたので
体はほんの少しだけ身じろいだだけで身を引くことも
出来なかった。
「終わりましたか⁉︎」
もういいでしょ、とリオン様に声を掛ければちらりと
見上げられて名残惜しそうに口を離される。
「・・・はぁ、もう少しだけ口付けていたかったな」
そんな風に言って今まで口付けていたところを撫でる
リオン様の指先が触れる部分を見れば、レジナスさん
やシグウェルさんのつけた跡のすぐ側にもう一つ
赤い跡が鮮やかに散っている。
器用にもまるで小さな赤い薔薇の花が咲いたようにも
見える形にされたその跡は、見れば見るほど私の
羞恥心を煽ってくる。
それなのに更に重ねてリオン様は
「ユーリの腕はしっとりと柔らかく吸い付いてきて
体温の暖かさを感じるのも心地良いからずっと触れて
いたくなるね。どうして今まで触れたことがなかった
んだろう。」
今度また触らせてね、なんて嫌な予感しかしない
お願いごとと聞いてるだけで恥ずかしくなる、私の
二の腕の感想を言ってきた。
「だっ、駄目ですよ何言ってるんです⁉︎今回は
シグウェルさんと平等にするって言うから我慢
したんですよ⁉︎」
リオン様の言葉に反論したら、私の後ろにいた
レジナスさんの手が添えている背中を静かに撫でた。
「俺も機会があればまた触れたい。頼むユーリ。」
レジナスさんまで⁉︎まさか二人揃ってそんな事を
言ってくるとは思わなかった。
「ほ、保留ですっ、また後で考えさせて下さい!
今日はもうおしまいですよ!」
どうしていいか分からなくなったその時の私に
出来たのは、返事を誤魔化して逃げ出すことだけ
だった。
リオン様の腕の力が緩んだのでさっと膝から降りて
自分の寝室の扉へ駆け寄る。
そして寝室へ入る時に二人を振り返って
「言うことを聞いたんですから、明日の朝食はまた
デザートを一品追加ですよ!」
捨てゼリフのようにそう言っておやすみなさい!と
寝室へ逃げ込んだ。
だからその時、
「・・・なんだかあの言い方だと食事の時にデザート
を一品追加さえすれば何をしても許されそうな気が
してくるね?」
「俺にもそうとしか聞こえませんでした。」
なんてやり取りを二人がしているのに全然気が
付かなかった。
どうやら私は自分の知らないところでまた墓穴を
掘っていたらしい・・・。
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