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閑話休題 紳士協定・2
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王都の郊外に広がる大森林、その中にある
中央騎士団の野営訓練地で闇夜に焚き火の火の粉が
パチパチと爆ぜている。
野営地のあちこちにある焚き火、それを各々囲むのは
野営訓練の最終日を翌日に控えて酒を片手に
くつろいでいる騎士の面々だ。
今回は三日間の日程とはいえ主だった模擬戦闘や
索敵訓練は終えていて、最終日はこの二日間の
訓練結果を受けての訓練成績の優秀者が団長から
発表されて少し長めの休暇がもらえる。
「いやあ今回の訓練はほぼユーリ様の見学のために
やったようなもんだったから、いつもより楽な
行程で良かったな。」
「まあ副団長はいつも通り怖かったけどな・・・」
「明日発表の成績優秀者、上位に入っていれば
ユーリ様の加護がついた酒が貰えるんだよな?
楽しみだよなあ。」
マジか、と目を剥く騎士に団長の話を聞いて
なかったのかよ。と別の騎士が呆れる。
「い、いやあの時はユーリ様を見るのに必死で
団長が何言ってたか全然覚えてないんだよ!
でも別に酒を貰えなくても、ユーリ様は俺の作った
メシを美味いって褒めておかわりしてくれたし!」
強がるように言えば、他の騎士もそれを言うなら
オレだって、と声を上げる。
「オレの焼いた魚も皮がパリッと焼けてて
焼き加減が絶妙だって言ってくれたからな⁉︎」
「先輩、それを言うなら自分も魔獣の解体の
手際の良さを褒められたっす。」
「俺の渡した花を嬉しそうに受け取ってくれた時は
俺とバッチリ目が合って微笑んでくれたぞ⁉︎」
張り合うように口々にそう言い合う騎士達は
初日に野営地を訪れた癒し子の顔を思い浮かべる。
しかし、そうすると決まって一緒にチラつく
顔がある。
「「「シェラザード隊長が邪魔だ・・・」」」
あの、騎士団所属とは到底思えないまるで
色街の怪しい店で働いていると言われた方が
よっぽど説得力のある恐ろしく美しい美貌の持ち主。
その美貌に吸い寄せられて何も知らずにうっかり
手を出そうとしてあっという間に血の海に沈められた
者達を騎士団の面々は何人も知っている。
そう。キリウ小隊隊長のシェラザード・イル・ザハリ
という男は顔はいいがキレやすく、機嫌を損ねると
一切の容赦なく相手を叩きのめす。
そして美しいものが好きなことでも有名だ。
そんな彼が、先日王都での窃盗団騒ぎでは癒し子の
救助に動いてかつ後日、リオン殿下を経由した
報告書を出してきて当日の騎士団の警備体制に
ついて不備と改善の指摘をして来た時は騎士団員の
皆が震え上がった。
特にあの時護衛についていた8人は、彼に
殺されるのではないかと真っ青になっていた。
そしてその報告書を受け取り何よりも、ついに
あの美しいもの好きな隊長にユーリ様のことが
バレてしまったと騎士達は落胆した。
これで辺境への癒し子の護衛は
あの隊長に取られるのだと。
案の定、ダーヴィゼルド領へと秘密裏に旅立った
ユーリ様の護衛はシェラザード隊長とキリウ小隊の
騎士だった。しかも並の騎士でもなかなか使わない
非常時用の特殊な山道を強行軍で行ったという。
崖下りだの渓流越えをしたと言う、ウソのような話を
聞いた時は騎士団の者達は耳を疑ったが、
団長の子息で魔導士団所属のユリウス副団長が
騒いでいたので間違いない。
いくら本人が希望したとはいえ、年端もいかない
少女にそんな難易度の高い山越えをさせるか⁉︎
これはさすがに、あの顔が良く物腰柔らかな隊長でも
ユーリ様に嫌われたのではないか。
そうしたら、今後キリウ小隊の辺境への護衛は
ないかも知れない。
密かにそう期待した騎士団の者達はしかし、
今回の野営訓練の見学に現れた二人を見て
衝撃を受けた。
二人の距離が近い。やけに親しげで仲がいいのだ。
これはあれか?苦労をして山越えをした結果、
絆が深まったとかそういう・・・?
皆に動揺が走った。
加えて、現れたユーリ様の格好が騎士団と
お揃いなのも騎士達の心を更に揺さぶった。
念願の、例の猫耳。
しかもその首には赤いリボンで飾られた鈴まで
ついている。ノイエ領の護衛についた騎士から
鈴付きの猫耳の話を聞いた時には誰がそんな
特殊性癖を披露したんだと言ったが前言撤回だ。
この猫耳は鈴が付いて完璧な姿になるのだ。
可愛い黒猫の騎士がそこにはいた。
しかしもの凄く可愛くてずっと見ていたいのに、
見ようとすると否が応でもあのシェラザード隊長と
仲睦まじく馬に二人乗りをしている姿を目に
することになるのがどうにも納得できない。
これ見よがしにこそこそと顔を寄せて何事かを話し
微笑みかけ、あの華奢で可愛らしい体に腕を回して
周りに気を配る隊長がどうにも気に食わなかった。
だが少しでも不満げな気配をそちらに向ければ
それは倍返しの殺気を孕んだ視線になって
自分達に返ってくる。
ユーリ様と一緒にいる分にはこちらに何か
してくることはなさそうだったが本当に
面倒くさくて厄介な隊長だ。
「・・・しかも、何がオレの女神だよ、ユーリ様は
シェラザード隊長だけのもんじゃねぇし‼︎」
悔しげに思わずそう言って酒を煽った騎士に、
他の面々も頷き同意する。
「ユーリ様はまんざらでもなさそうだったけど、
それを言うならユーリ様はオレ達の女神だからな‼︎」
「そうだそうだ‼︎」
おはようございますと恥ずかしそうにはにかんで
ほんのりと頬を赤く染めたまま、笑顔を見せて
小さく手を振ってくれたあの姿はまさに女神だ。
あまりの可愛らしさに直視した騎士達は
皆動けなくなりその場に崩れ落ちた。
そして団長の天幕から出てきた時、自分達に
囲まれてるのに気付き驚いて思わずといった風に
隊長の後ろに隠れた後、申し訳なさそうに可愛い顔を
覗かせながらあの美しい瞳をパチパチと瞬く姿だって
控えめに言っても最高だった。
おかげで副団長の説教も気にならなかった。
そんなオレ達の女神をあの隊長は見学している間中
ずっと我が物顔でその手に抱いて見せびらかすように
野営地を歩き回っていた。
話によればレジナス様との賭け試合中の、
先行条件に勝った結果だというが納得できない。
そう思っている者は多かったようで、たまらずに
レジナス様は?とその所在を探す声があの時は
どこからともなく上がったのだ。
「・・・俺はレジナス様を応援するぞ。」
一人の騎士がぽつりと言った。
「・・・?一体なんの話だ?」
「知らないのか?リオン殿下がユーリ様に
求婚して、ユーリ様もそれを受け入れたんだよ。」
「何⁉︎」
奥の院に務める騎士は口が固く守秘義務を
護っている、王家に忠実な面々だ。
しかし、そこに勤める噂好きな侍女の口に
閂は掛けられない。
何より彼女らは年頃の娘達なので恋愛話には
目がないのだ。
求婚の噂話を持ち出したのは、例のいとこが
王宮勤めの侍女だという騎士だった。
「まあ、リオン殿下の態度を見てればそうなるのも
時間の問題だったとは思うが。すでに陛下へ
了承も取り付けて、明日明後日にはそのために
奥の院も二人のための改修工事がはいるそうだ。」
「はあ~なるほどねぇ・・・」
「で、何でそれがレジナス様に関係するんだ?」
「いや、レジナス様もユーリ様のことを
慕ってるだろ?」
「はあ⁉︎」
場がざわついた。そうだよな、あれは絶対
好きだろ。と頷いている騎士もいれば、全然
気付かなかった!と衝撃を受けている者もいる。
衝撃を受けている騎士を見て、お前ら一体どこまで
脳筋なんだよ・・・と呆れた言い出しっぺの
騎士は話を続ける。
「お前らも知ってるだろ?勇者様は7人も
嫁がいたのは有名な話だ。だったら同じ召喚者の
ユーリ様だってリオン殿下だけじゃなくもう一人位
相手がいてもいいと思わないか?」
「いや、そうか・・・?」
「うーん、でも確かにレジナス様とユーリ様は
二人でいるとお似合いって言うか、見ていても
しっくりくるよなあ。」
「ユーリ様といる時のレジナス様は心なしか
雰囲気が柔らかいしな。」
「シェラザード隊長に我が物顔でユーリ様を
占有されてるよりはずっといい。」
なるほどなあ、と納得し始めた面々を見回して
そうだろう?と最初に言い出した騎士は頷く。
いつの間にか5、6人だけで囲んでいたはずの
焚き火の周りにはだいぶ騎士達が集まって来ていた。
何の話だ?とまた後ろからやって来た別の騎士に、
今の話を聞かせてやっている者もいる。
「それにレジナス様は俺達と同じ庶民の出だ。
この世界の、唯一無二の召喚者の配偶者が
俺達と同じ庶民から選ばれたら凄くないか?」
レジナス・ヴィルヘルムはある意味伝説的な人物と
して騎士の間では有名だった。
貧しい辺境出身で、王都へはたまたま両親の仕事の
都合で越して来た。田舎では多少剣に自信があり
王都でも剣術学校へ幼くして推薦で入ると、
その剣の腕を見込まれて庶民にも関わらず
そのまま王族の遊び相手にも選ばれた。
そして成長と共にその剣の腕は更に上達すると、
あっという間に最年少でキリウ小隊の隊長にまで
昇りつめてしまう。しかも普通は魔力持ちで
魔力や魔法を組み合わせた剣技で強くなっていく
者が多い中、一切魔力を持たない魔力なしの人間が
純粋に剣の腕一本でのし上がったのだ。
キリウ小隊の隊長になったその後も立てた武勲は
数知れず、まるで戦神の如き苛烈な戦いぶりは
他国からルーシャの黒狼と呼ばれて今でも
畏怖されているほどだ。
過日、怪我により隊長職は辞したもののそれでも
キリウ小隊としての任務は難なくこなし、
リオン殿下の大怪我においてはその名誉ある隊を
惜しまれながらもあっさりと辞して殿下の
補佐に徹した。
その上普通なら畑違いの仕事でこなすのが難しい
殿下の公務の補助までそつなくこなし、第二王子の
代理人としての責務まで立派に勤め上げていたのだ。
護衛騎士ながらもやっていることは
今ではほぼ殿下の側近そのものだ。
一介の辺境生まれで魔力なし、庶民出身の騎士が
剣の腕一本であれよあれよと言う間にたった数年で
王子の側近もどきまでのし上がるなど、そこらの
物語やおとぎ話も顔負けの、ウソのような話である。
彼のことを知らない人間にこんな話をしても
そんな夢物語あるもんか、と到底信じては
もらえないだろう。
そしてもしもその人物が王家の姫君も顔負けの
優しく美しい召喚者と結ばれたのなら。
もうそれ以上の物語はない。
「やべぇ・・・そう思ったら俄然二人にくっついて
もらいたくなってきた・・・」
「召喚者の配偶者が庶民で辺境出身の騎士とか
夢があるな」
「シェラザード隊長にユーリ様の護衛をずっと
独占されるくらいならレジナス様とユーリ様を
応援するぞオレは。」
「あの堅物で浮いた噂一つないレジナスに
そんな相手ができるならオレは大歓迎だね。」
「俺もだ。うちの息子とレジナスのとこの子供を
一緒の剣術学校に通わせてえなあ。」
「いや、それは気が早いだろ。」
がやがやと好き放題言い始めた皆を満足そうに
見回した騎士は言う。
「キリウ小隊にユーリ様のことがバレた以上は、
これから俺達はレジナス様とユーリ様の仲を
見守って応援する事にするけどいいよな?」
おう!と野太い声が上がる。
よし、あのお二人に乾杯だ!と酒が新たに回される。
そんな中、一人の騎士が懐から木製の額縁に嵌まった
小さな絵画紙を取り出してそれを大事そうに
こっそりと眺めていた。
「でもなあ・・・こういうユーリ様もちょっと
見てみたい気もするんだよなあ・・・」
そう独りごちていたのをめざとく見つけられる。
「あっ‼︎お、お前それは・・・‼︎」
ん?とその声に周りも気付く。
「なんっ、なんでそんなの持ってんだ⁉︎一体どこから
手を回してそれを手に入れやがった⁉︎」
「うわあマジかぁ、俺もそれ欲しかったのに
どうやっても手に入らなかったんだよ、頼むから
ちょっと見せてくれ!」
「あっ‼︎」
騎士の手から絵画が取り上げられて、周りの者達が
何だ何だとそれに群がる。
それは手の平に乗るほど小さなサイズの薄く
色付けされた絵画だ。
まるで一幅の宗教画のように繊細な筆致で描かれて
木製の額縁で飾られたその絵は、イリューディア神の
大神殿に仕える王家出身の姫巫女、カティヤ・
シュアラディア・アルマ・ルーシャとユーリ様が
口付けを交わしているものだった。
「ま、まじでこの絵は存在したんだな・・・」
「てっきり都市伝説かと思ってた」
「え?じゃあ奥の院を訪れたカティヤ様がユーリ様に
突然口付けて騒然となったって言うのは本当の話?」
「でなければこんな絵が存在するかよ、想像で
こんなの描いてたら不敬罪か国家騒乱罪で
処罰ものだろ」
「うわあ・・・」
取り囲んでその絵を見つめる皆がなんとも言えない、
今までに感じたことのない気分になる。
「なんだろうな、この物凄くいけないものを
見てしまったような気分は・・・」
「分かる。でもつい見てしまうな。」
「良かった、これを見たのがユーリ様に会った後で。
じゃなきゃまともに顔を見られなかったわ」
「やべえ、なんか変な扉が開きそう。」
「これはこれでアリっちゃあアリか・・・?」
そわそわと落ち着かない雰囲気になり始めたところで
騎士の一人がその絵をパッと取り上げて持ち主に
押し付けて返す。
「やめろお前ら!俺達はレジナス様とユーリ様を
応援するんだろ⁉︎ほら、酒を取れ!乾杯だ‼︎」
その声に皆がハッと我に返った。
「お、おお!そうだった‼︎」
「危ねぇ、危うく別の世界に目覚めるところだった」
よし乾杯だ。今夜は飲むぞ。
騎士達のそんな盛り上がりを団長のマディウスと
副団長のトレヴェは呆れたように眺めながら
彼らと離れたところで飲んでいる。
「あいつら、一応明日も午前中までは訓練だって
分かってるよな?」
酔いで元々鋭い目元を更に鋭くしたトレヴェが
そう言えば、マディウスは
「どうだかな、なんだかユーリ様とレジナスの奴の
仲を取り持つのにすっかり夢中になってるが。」
ニヤニヤと顎ヒゲを撫でる。
「バカバカしい。そんなのは肝心の本人が
動こうとしない限り何の意味もない。
・・・魔導士にでも頼んで真実自分の気持ちを
相手に伝えない限り出られない部屋でも作るか?」
「なんだよ、お前も乗り気じゃねぇか!
まあ何だ、あんまりいじるとレジナスの奴が
かわいそうだからほどほどにするように
あいつらには後で釘を刺しておくかな。」
トレヴェの呟きを笑い飛ばし、マディウスは
ぐいと酒を煽る。
周りが騒ぐほどあいつは身動きが取れなくなる。
黙って放っておいてやるくらいが丁度いいんだが。
それにシェラの奴もあれはなあ・・・。
口には出さずにマディウスは酒と一緒に思うところを
黙って飲み込んだ。
その後も、静かな森の夜には騎士達の騒ぐ声だけが
遅くまでいつまでも賑やかに響き渡り、
皆が二日酔いの頭を抱えて訓練を終えると言う
滅多にない事態で三日間の野営訓練は終わりを
告げるのだった。
中央騎士団の野営訓練地で闇夜に焚き火の火の粉が
パチパチと爆ぜている。
野営地のあちこちにある焚き火、それを各々囲むのは
野営訓練の最終日を翌日に控えて酒を片手に
くつろいでいる騎士の面々だ。
今回は三日間の日程とはいえ主だった模擬戦闘や
索敵訓練は終えていて、最終日はこの二日間の
訓練結果を受けての訓練成績の優秀者が団長から
発表されて少し長めの休暇がもらえる。
「いやあ今回の訓練はほぼユーリ様の見学のために
やったようなもんだったから、いつもより楽な
行程で良かったな。」
「まあ副団長はいつも通り怖かったけどな・・・」
「明日発表の成績優秀者、上位に入っていれば
ユーリ様の加護がついた酒が貰えるんだよな?
楽しみだよなあ。」
マジか、と目を剥く騎士に団長の話を聞いて
なかったのかよ。と別の騎士が呆れる。
「い、いやあの時はユーリ様を見るのに必死で
団長が何言ってたか全然覚えてないんだよ!
でも別に酒を貰えなくても、ユーリ様は俺の作った
メシを美味いって褒めておかわりしてくれたし!」
強がるように言えば、他の騎士もそれを言うなら
オレだって、と声を上げる。
「オレの焼いた魚も皮がパリッと焼けてて
焼き加減が絶妙だって言ってくれたからな⁉︎」
「先輩、それを言うなら自分も魔獣の解体の
手際の良さを褒められたっす。」
「俺の渡した花を嬉しそうに受け取ってくれた時は
俺とバッチリ目が合って微笑んでくれたぞ⁉︎」
張り合うように口々にそう言い合う騎士達は
初日に野営地を訪れた癒し子の顔を思い浮かべる。
しかし、そうすると決まって一緒にチラつく
顔がある。
「「「シェラザード隊長が邪魔だ・・・」」」
あの、騎士団所属とは到底思えないまるで
色街の怪しい店で働いていると言われた方が
よっぽど説得力のある恐ろしく美しい美貌の持ち主。
その美貌に吸い寄せられて何も知らずにうっかり
手を出そうとしてあっという間に血の海に沈められた
者達を騎士団の面々は何人も知っている。
そう。キリウ小隊隊長のシェラザード・イル・ザハリ
という男は顔はいいがキレやすく、機嫌を損ねると
一切の容赦なく相手を叩きのめす。
そして美しいものが好きなことでも有名だ。
そんな彼が、先日王都での窃盗団騒ぎでは癒し子の
救助に動いてかつ後日、リオン殿下を経由した
報告書を出してきて当日の騎士団の警備体制に
ついて不備と改善の指摘をして来た時は騎士団員の
皆が震え上がった。
特にあの時護衛についていた8人は、彼に
殺されるのではないかと真っ青になっていた。
そしてその報告書を受け取り何よりも、ついに
あの美しいもの好きな隊長にユーリ様のことが
バレてしまったと騎士達は落胆した。
これで辺境への癒し子の護衛は
あの隊長に取られるのだと。
案の定、ダーヴィゼルド領へと秘密裏に旅立った
ユーリ様の護衛はシェラザード隊長とキリウ小隊の
騎士だった。しかも並の騎士でもなかなか使わない
非常時用の特殊な山道を強行軍で行ったという。
崖下りだの渓流越えをしたと言う、ウソのような話を
聞いた時は騎士団の者達は耳を疑ったが、
団長の子息で魔導士団所属のユリウス副団長が
騒いでいたので間違いない。
いくら本人が希望したとはいえ、年端もいかない
少女にそんな難易度の高い山越えをさせるか⁉︎
これはさすがに、あの顔が良く物腰柔らかな隊長でも
ユーリ様に嫌われたのではないか。
そうしたら、今後キリウ小隊の辺境への護衛は
ないかも知れない。
密かにそう期待した騎士団の者達はしかし、
今回の野営訓練の見学に現れた二人を見て
衝撃を受けた。
二人の距離が近い。やけに親しげで仲がいいのだ。
これはあれか?苦労をして山越えをした結果、
絆が深まったとかそういう・・・?
皆に動揺が走った。
加えて、現れたユーリ様の格好が騎士団と
お揃いなのも騎士達の心を更に揺さぶった。
念願の、例の猫耳。
しかもその首には赤いリボンで飾られた鈴まで
ついている。ノイエ領の護衛についた騎士から
鈴付きの猫耳の話を聞いた時には誰がそんな
特殊性癖を披露したんだと言ったが前言撤回だ。
この猫耳は鈴が付いて完璧な姿になるのだ。
可愛い黒猫の騎士がそこにはいた。
しかしもの凄く可愛くてずっと見ていたいのに、
見ようとすると否が応でもあのシェラザード隊長と
仲睦まじく馬に二人乗りをしている姿を目に
することになるのがどうにも納得できない。
これ見よがしにこそこそと顔を寄せて何事かを話し
微笑みかけ、あの華奢で可愛らしい体に腕を回して
周りに気を配る隊長がどうにも気に食わなかった。
だが少しでも不満げな気配をそちらに向ければ
それは倍返しの殺気を孕んだ視線になって
自分達に返ってくる。
ユーリ様と一緒にいる分にはこちらに何か
してくることはなさそうだったが本当に
面倒くさくて厄介な隊長だ。
「・・・しかも、何がオレの女神だよ、ユーリ様は
シェラザード隊長だけのもんじゃねぇし‼︎」
悔しげに思わずそう言って酒を煽った騎士に、
他の面々も頷き同意する。
「ユーリ様はまんざらでもなさそうだったけど、
それを言うならユーリ様はオレ達の女神だからな‼︎」
「そうだそうだ‼︎」
おはようございますと恥ずかしそうにはにかんで
ほんのりと頬を赤く染めたまま、笑顔を見せて
小さく手を振ってくれたあの姿はまさに女神だ。
あまりの可愛らしさに直視した騎士達は
皆動けなくなりその場に崩れ落ちた。
そして団長の天幕から出てきた時、自分達に
囲まれてるのに気付き驚いて思わずといった風に
隊長の後ろに隠れた後、申し訳なさそうに可愛い顔を
覗かせながらあの美しい瞳をパチパチと瞬く姿だって
控えめに言っても最高だった。
おかげで副団長の説教も気にならなかった。
そんなオレ達の女神をあの隊長は見学している間中
ずっと我が物顔でその手に抱いて見せびらかすように
野営地を歩き回っていた。
話によればレジナス様との賭け試合中の、
先行条件に勝った結果だというが納得できない。
そう思っている者は多かったようで、たまらずに
レジナス様は?とその所在を探す声があの時は
どこからともなく上がったのだ。
「・・・俺はレジナス様を応援するぞ。」
一人の騎士がぽつりと言った。
「・・・?一体なんの話だ?」
「知らないのか?リオン殿下がユーリ様に
求婚して、ユーリ様もそれを受け入れたんだよ。」
「何⁉︎」
奥の院に務める騎士は口が固く守秘義務を
護っている、王家に忠実な面々だ。
しかし、そこに勤める噂好きな侍女の口に
閂は掛けられない。
何より彼女らは年頃の娘達なので恋愛話には
目がないのだ。
求婚の噂話を持ち出したのは、例のいとこが
王宮勤めの侍女だという騎士だった。
「まあ、リオン殿下の態度を見てればそうなるのも
時間の問題だったとは思うが。すでに陛下へ
了承も取り付けて、明日明後日にはそのために
奥の院も二人のための改修工事がはいるそうだ。」
「はあ~なるほどねぇ・・・」
「で、何でそれがレジナス様に関係するんだ?」
「いや、レジナス様もユーリ様のことを
慕ってるだろ?」
「はあ⁉︎」
場がざわついた。そうだよな、あれは絶対
好きだろ。と頷いている騎士もいれば、全然
気付かなかった!と衝撃を受けている者もいる。
衝撃を受けている騎士を見て、お前ら一体どこまで
脳筋なんだよ・・・と呆れた言い出しっぺの
騎士は話を続ける。
「お前らも知ってるだろ?勇者様は7人も
嫁がいたのは有名な話だ。だったら同じ召喚者の
ユーリ様だってリオン殿下だけじゃなくもう一人位
相手がいてもいいと思わないか?」
「いや、そうか・・・?」
「うーん、でも確かにレジナス様とユーリ様は
二人でいるとお似合いって言うか、見ていても
しっくりくるよなあ。」
「ユーリ様といる時のレジナス様は心なしか
雰囲気が柔らかいしな。」
「シェラザード隊長に我が物顔でユーリ様を
占有されてるよりはずっといい。」
なるほどなあ、と納得し始めた面々を見回して
そうだろう?と最初に言い出した騎士は頷く。
いつの間にか5、6人だけで囲んでいたはずの
焚き火の周りにはだいぶ騎士達が集まって来ていた。
何の話だ?とまた後ろからやって来た別の騎士に、
今の話を聞かせてやっている者もいる。
「それにレジナス様は俺達と同じ庶民の出だ。
この世界の、唯一無二の召喚者の配偶者が
俺達と同じ庶民から選ばれたら凄くないか?」
レジナス・ヴィルヘルムはある意味伝説的な人物と
して騎士の間では有名だった。
貧しい辺境出身で、王都へはたまたま両親の仕事の
都合で越して来た。田舎では多少剣に自信があり
王都でも剣術学校へ幼くして推薦で入ると、
その剣の腕を見込まれて庶民にも関わらず
そのまま王族の遊び相手にも選ばれた。
そして成長と共にその剣の腕は更に上達すると、
あっという間に最年少でキリウ小隊の隊長にまで
昇りつめてしまう。しかも普通は魔力持ちで
魔力や魔法を組み合わせた剣技で強くなっていく
者が多い中、一切魔力を持たない魔力なしの人間が
純粋に剣の腕一本でのし上がったのだ。
キリウ小隊の隊長になったその後も立てた武勲は
数知れず、まるで戦神の如き苛烈な戦いぶりは
他国からルーシャの黒狼と呼ばれて今でも
畏怖されているほどだ。
過日、怪我により隊長職は辞したもののそれでも
キリウ小隊としての任務は難なくこなし、
リオン殿下の大怪我においてはその名誉ある隊を
惜しまれながらもあっさりと辞して殿下の
補佐に徹した。
その上普通なら畑違いの仕事でこなすのが難しい
殿下の公務の補助までそつなくこなし、第二王子の
代理人としての責務まで立派に勤め上げていたのだ。
護衛騎士ながらもやっていることは
今ではほぼ殿下の側近そのものだ。
一介の辺境生まれで魔力なし、庶民出身の騎士が
剣の腕一本であれよあれよと言う間にたった数年で
王子の側近もどきまでのし上がるなど、そこらの
物語やおとぎ話も顔負けの、ウソのような話である。
彼のことを知らない人間にこんな話をしても
そんな夢物語あるもんか、と到底信じては
もらえないだろう。
そしてもしもその人物が王家の姫君も顔負けの
優しく美しい召喚者と結ばれたのなら。
もうそれ以上の物語はない。
「やべぇ・・・そう思ったら俄然二人にくっついて
もらいたくなってきた・・・」
「召喚者の配偶者が庶民で辺境出身の騎士とか
夢があるな」
「シェラザード隊長にユーリ様の護衛をずっと
独占されるくらいならレジナス様とユーリ様を
応援するぞオレは。」
「あの堅物で浮いた噂一つないレジナスに
そんな相手ができるならオレは大歓迎だね。」
「俺もだ。うちの息子とレジナスのとこの子供を
一緒の剣術学校に通わせてえなあ。」
「いや、それは気が早いだろ。」
がやがやと好き放題言い始めた皆を満足そうに
見回した騎士は言う。
「キリウ小隊にユーリ様のことがバレた以上は、
これから俺達はレジナス様とユーリ様の仲を
見守って応援する事にするけどいいよな?」
おう!と野太い声が上がる。
よし、あのお二人に乾杯だ!と酒が新たに回される。
そんな中、一人の騎士が懐から木製の額縁に嵌まった
小さな絵画紙を取り出してそれを大事そうに
こっそりと眺めていた。
「でもなあ・・・こういうユーリ様もちょっと
見てみたい気もするんだよなあ・・・」
そう独りごちていたのをめざとく見つけられる。
「あっ‼︎お、お前それは・・・‼︎」
ん?とその声に周りも気付く。
「なんっ、なんでそんなの持ってんだ⁉︎一体どこから
手を回してそれを手に入れやがった⁉︎」
「うわあマジかぁ、俺もそれ欲しかったのに
どうやっても手に入らなかったんだよ、頼むから
ちょっと見せてくれ!」
「あっ‼︎」
騎士の手から絵画が取り上げられて、周りの者達が
何だ何だとそれに群がる。
それは手の平に乗るほど小さなサイズの薄く
色付けされた絵画だ。
まるで一幅の宗教画のように繊細な筆致で描かれて
木製の額縁で飾られたその絵は、イリューディア神の
大神殿に仕える王家出身の姫巫女、カティヤ・
シュアラディア・アルマ・ルーシャとユーリ様が
口付けを交わしているものだった。
「ま、まじでこの絵は存在したんだな・・・」
「てっきり都市伝説かと思ってた」
「え?じゃあ奥の院を訪れたカティヤ様がユーリ様に
突然口付けて騒然となったって言うのは本当の話?」
「でなければこんな絵が存在するかよ、想像で
こんなの描いてたら不敬罪か国家騒乱罪で
処罰ものだろ」
「うわあ・・・」
取り囲んでその絵を見つめる皆がなんとも言えない、
今までに感じたことのない気分になる。
「なんだろうな、この物凄くいけないものを
見てしまったような気分は・・・」
「分かる。でもつい見てしまうな。」
「良かった、これを見たのがユーリ様に会った後で。
じゃなきゃまともに顔を見られなかったわ」
「やべえ、なんか変な扉が開きそう。」
「これはこれでアリっちゃあアリか・・・?」
そわそわと落ち着かない雰囲気になり始めたところで
騎士の一人がその絵をパッと取り上げて持ち主に
押し付けて返す。
「やめろお前ら!俺達はレジナス様とユーリ様を
応援するんだろ⁉︎ほら、酒を取れ!乾杯だ‼︎」
その声に皆がハッと我に返った。
「お、おお!そうだった‼︎」
「危ねぇ、危うく別の世界に目覚めるところだった」
よし乾杯だ。今夜は飲むぞ。
騎士達のそんな盛り上がりを団長のマディウスと
副団長のトレヴェは呆れたように眺めながら
彼らと離れたところで飲んでいる。
「あいつら、一応明日も午前中までは訓練だって
分かってるよな?」
酔いで元々鋭い目元を更に鋭くしたトレヴェが
そう言えば、マディウスは
「どうだかな、なんだかユーリ様とレジナスの奴の
仲を取り持つのにすっかり夢中になってるが。」
ニヤニヤと顎ヒゲを撫でる。
「バカバカしい。そんなのは肝心の本人が
動こうとしない限り何の意味もない。
・・・魔導士にでも頼んで真実自分の気持ちを
相手に伝えない限り出られない部屋でも作るか?」
「なんだよ、お前も乗り気じゃねぇか!
まあ何だ、あんまりいじるとレジナスの奴が
かわいそうだからほどほどにするように
あいつらには後で釘を刺しておくかな。」
トレヴェの呟きを笑い飛ばし、マディウスは
ぐいと酒を煽る。
周りが騒ぐほどあいつは身動きが取れなくなる。
黙って放っておいてやるくらいが丁度いいんだが。
それにシェラの奴もあれはなあ・・・。
口には出さずにマディウスは酒と一緒に思うところを
黙って飲み込んだ。
その後も、静かな森の夜には騎士達の騒ぐ声だけが
遅くまでいつまでも賑やかに響き渡り、
皆が二日酔いの頭を抱えて訓練を終えると言う
滅多にない事態で三日間の野営訓練は終わりを
告げるのだった。
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