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閑話休題 神様だって間違える
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「おい、、、ユーリ大丈夫か?
なんかいきなりあのクソ女の仲間だと
思われてないか?
あの様子だと誤解はちゃんと
とけたのかよく分からんな」
痛てて・・・とイリューディアに
抱き上げられながら
水鏡で地上を覗いていた
グノーデルが呻いた。
毛皮のあちこちにハゲができている。
ヨナスと取っ組み合いのケンカの末に
自慢の毛並が犠牲になった。
同じ神様同士の争いで出来たハゲなので
さすがのイリューディアの癒しの力も
効力はない。
もっとも、グノーデルとて
黙ってやられていたわけではない。
最終的にヨナスは尾が数本に分かれた
真っ黒なキツネの姿に変化して
ほうほうの体で逃げていった。
「あれだけ痛めつけてやれば
元の姿に戻るのに数百年はかかるはずだ。
後はどこへ逃げようとも探し出して
必ず封印してやる」
ざまあみろクソ女、と前足をペロペロ舐める。
「ヨナス、大丈夫かしら?
あなたったら少しは手加減してあげても
良かったのでは?」
「ふん、あれでも物足りないくらいだわ。
まああそこまであのクソ女の力を削いでやれば
地上にこれ以上魔物を
呼び寄せる余裕などないはず。
多少はユーリの手助けになったかな」
だが問題はユーリのあの姿だ。
「さっきクソ女に首を絞められたのと、
オレの加護が原因だろうなあ・・・」
あの時ヨナスはユーリを呪い殺そうと
自分の力を彼女に注ぎ込んだ。
が、その前にグノーデルが自分の加護を
ユーリに与えていた事が幸いした。
グノーデルの与えた破壊の加護の力が
無意識に発動して、
ヨナスの呪いを壊そうとしたのだ。
結果、完全に呪いは破壊できなかったが
ユーリは死なずに済んだ。
イリューディアが、痛ましい姿に
なってしまった夫の背中を優しく撫でる。
「それを言ったらわたくしも
悪いのかもしれないわ。
最後にユーリを押し出したあの時、
彼女を守りたくてその想いが
強く出てしまったのね・・・
せっかくあなたが壊してくれて
四散しようとしていたヨナスの呪いが
ユーリの体の中に留まってしまったのよ」
外に飛び出すはずだった呪いが、
ユーリの体を包み込むように守ろうとした
イリューディアの力のせいで外に出られず
彼女の体の中に留まってしまった。
「多分、わたくしとあなた、ヨナスの力が
複雑に絡み合ってしまったのね。
ユーリの体に変化が起きたのはそのせいだわ」
せっかくあの姿を喜んでくれていたのに
悪いことをしたわ・・・と
イリューディアはしょんぼりした。
「おまけにヨナスの力は外に出られずに、
ユーリの首元に装身具の形で
留まってしまっているし・・・
あれではまだ呪いが続いているようなものだわ。
あなた。あなたの力であれを
壊すことはできなくて?」
ルルーに抱き締められて赤面している
ユーリの姿を水鏡で見ながら
グノーデルは首を振った。
「無理だな。お前の言う通り、
ユーリの体には俺たち3人の力が
複雑に絡み合ってしまっている。
どれか1つだけ破壊するのは難しいだろう。
こうなったら、あの姿と力に馴染んでもらって
コントロールする方が早いかも知れん」
呪いのようなものだとすれば、
うまく馴染んで力を使えるようになった時
自分の与えた破壊の加護を利用して、
ユーリ自ら解呪できるかもしれない。
または、絡み合った力のうちヨナスの
ものだけをうまく押さえつけてしまうとか。
そうすれば、元々イリューディアに
与えられた姿に戻れるのかも。
・・・前例のない事態なので、
イリューディアもグノーデルも
全くの手探り状態で想像するしかないのだが。
「どこでどう間違って
こうなってしまったんだろうなあ・・・」
いつもは豪胆で悩むこともない
さすがのグノーデルも首を捻る。
「ユーリには悪いことをしてしまったわ・・・」
イリューディアも自らの失態を反省した。
「折を見て姫巫女を通じこの事を
うまく伝えられるといいのだけれど」
・・・複雑な事態になってしまったが、
願わくば人間達に疎ましがられることなく
皆から愛され大事にされますように。
イリューディアは己の心からの願いを
この世界へ降り注ぐように祈ったのだった。
なんかいきなりあのクソ女の仲間だと
思われてないか?
あの様子だと誤解はちゃんと
とけたのかよく分からんな」
痛てて・・・とイリューディアに
抱き上げられながら
水鏡で地上を覗いていた
グノーデルが呻いた。
毛皮のあちこちにハゲができている。
ヨナスと取っ組み合いのケンカの末に
自慢の毛並が犠牲になった。
同じ神様同士の争いで出来たハゲなので
さすがのイリューディアの癒しの力も
効力はない。
もっとも、グノーデルとて
黙ってやられていたわけではない。
最終的にヨナスは尾が数本に分かれた
真っ黒なキツネの姿に変化して
ほうほうの体で逃げていった。
「あれだけ痛めつけてやれば
元の姿に戻るのに数百年はかかるはずだ。
後はどこへ逃げようとも探し出して
必ず封印してやる」
ざまあみろクソ女、と前足をペロペロ舐める。
「ヨナス、大丈夫かしら?
あなたったら少しは手加減してあげても
良かったのでは?」
「ふん、あれでも物足りないくらいだわ。
まああそこまであのクソ女の力を削いでやれば
地上にこれ以上魔物を
呼び寄せる余裕などないはず。
多少はユーリの手助けになったかな」
だが問題はユーリのあの姿だ。
「さっきクソ女に首を絞められたのと、
オレの加護が原因だろうなあ・・・」
あの時ヨナスはユーリを呪い殺そうと
自分の力を彼女に注ぎ込んだ。
が、その前にグノーデルが自分の加護を
ユーリに与えていた事が幸いした。
グノーデルの与えた破壊の加護の力が
無意識に発動して、
ヨナスの呪いを壊そうとしたのだ。
結果、完全に呪いは破壊できなかったが
ユーリは死なずに済んだ。
イリューディアが、痛ましい姿に
なってしまった夫の背中を優しく撫でる。
「それを言ったらわたくしも
悪いのかもしれないわ。
最後にユーリを押し出したあの時、
彼女を守りたくてその想いが
強く出てしまったのね・・・
せっかくあなたが壊してくれて
四散しようとしていたヨナスの呪いが
ユーリの体の中に留まってしまったのよ」
外に飛び出すはずだった呪いが、
ユーリの体を包み込むように守ろうとした
イリューディアの力のせいで外に出られず
彼女の体の中に留まってしまった。
「多分、わたくしとあなた、ヨナスの力が
複雑に絡み合ってしまったのね。
ユーリの体に変化が起きたのはそのせいだわ」
せっかくあの姿を喜んでくれていたのに
悪いことをしたわ・・・と
イリューディアはしょんぼりした。
「おまけにヨナスの力は外に出られずに、
ユーリの首元に装身具の形で
留まってしまっているし・・・
あれではまだ呪いが続いているようなものだわ。
あなた。あなたの力であれを
壊すことはできなくて?」
ルルーに抱き締められて赤面している
ユーリの姿を水鏡で見ながら
グノーデルは首を振った。
「無理だな。お前の言う通り、
ユーリの体には俺たち3人の力が
複雑に絡み合ってしまっている。
どれか1つだけ破壊するのは難しいだろう。
こうなったら、あの姿と力に馴染んでもらって
コントロールする方が早いかも知れん」
呪いのようなものだとすれば、
うまく馴染んで力を使えるようになった時
自分の与えた破壊の加護を利用して、
ユーリ自ら解呪できるかもしれない。
または、絡み合った力のうちヨナスの
ものだけをうまく押さえつけてしまうとか。
そうすれば、元々イリューディアに
与えられた姿に戻れるのかも。
・・・前例のない事態なので、
イリューディアもグノーデルも
全くの手探り状態で想像するしかないのだが。
「どこでどう間違って
こうなってしまったんだろうなあ・・・」
いつもは豪胆で悩むこともない
さすがのグノーデルも首を捻る。
「ユーリには悪いことをしてしまったわ・・・」
イリューディアも自らの失態を反省した。
「折を見て姫巫女を通じこの事を
うまく伝えられるといいのだけれど」
・・・複雑な事態になってしまったが、
願わくば人間達に疎ましがられることなく
皆から愛され大事にされますように。
イリューディアは己の心からの願いを
この世界へ降り注ぐように祈ったのだった。
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