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プロローグ
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「ふぇっ⁉︎」
ものすごく気の抜けた声を上げて、
呆然と隣を見る。
そこには私とおんなじように
ラグの上に体育座りしてにこにこと
こちらへ微笑んでいる超絶美人がいた。
波打つ柔らかそうな金髪、
優しげに細められて私を見る瞳は
ずっと見ていたくなるような、
とってもキレイな菫色。
あと・・・すんごい爆乳。
白い薄衣みたいな、
ドレープのたっぷりした
ノースリーブドレスの胸元からのぞく
白い肌が艶かしくてめちゃ柔らかそう。
ボリュームに乏しい我が身と比べて
とても羨ましい。
ーていうか、誰なんだろう?
見た目はもう完全に女神さま、って
感じなんだけど。
「わたくしもね、わたくし達の世界に
来てもいいよ~、っていう方を探していたの。
でもそんな方、なかなかいなくて。
もう本当に困っていたのよ?
そうしたらあなたの声が聞こえて。」
幸運だったわ、と微笑む美女。
いや、だから誰なんですか。
マイペース美女はニコニコ微笑んで
私を見ている。
「あ、あの、どちらさまで・・・?」
そしてどうやって、いつの間に入ってきた?
あらあらまあまあ、と美女が
おっとりとその細い指を頬にあてて
小首を傾げた。
「異世界、ご希望でしょう?そう聞こえたわ。
とっても疲れ切った声が。
なので、わたくしがあなたの願いを
叶えようかと。お嫌かしら?」
『事情はよく分からないけど、
あなたがとても頑張っている事は感じられるわ。
そうよね、たまには褒められたいわよね』
いい子ねぇ、とそのまま
子供にするようによしよしと
頭を撫でられて何だか無性に
泣きたくなった。
じんわりと目のふちに涙が滲んだのを感じて、
それを見られたくなくて慌てて下を向く。
そうしたら彼女はそのまま、
やんわりと優しく私の頭を撫でながら
話してくれた。
自分はこことは違う世界を
見守っている者だということ。
(やっぱり本物の女神さま⁉︎)
今、自分のいる世界は
神々の争いが影響して荒れ果てたため
再建中だということ。
自分は直接人間たちの
世界の立て直しに関与できないため、
代わりに自分の力を用いて
手伝ってくれる者を探していること。
そして彼女の力は、その世界に住む者よりも
別の世界に住む者に加護を与えて使う方が
より強く発揮できること。
そのため、自分達の世界に
召喚する人間を探していたという。
「でもね、わたくしがいくら
来て欲しいと思っても
誰でもいいと言うわけではないの。
それに応えてくれる人でなければ、
お互いの意志が一致していなければ
駄目なの。」
美女がため息をついた。
無理やりそちらの世界に呼び込んでも、
呼ばれた側の人間の意志が伴わなければ
自分の加護を与えられないのだという。
「わたくしは、向こうの世界では
癒しと豊穣の女神イリューディアと
呼ばれている者。
与えることのできる力も癒しと豊穣。
わたくしの愛しい世界に緑豊かな風景を
取り戻すお手伝いをしてもらえないかしら?」
一度行ったらこちらに戻ることは
難しいのだけれど、
どうかお願いできないかしら?
と女神が美しい菫色の瞳を潤ませて私を見つめた。
目が合った瞬間、脳内イメージで広がったのは
いつかの北海道出張で見た
視界いっぱいに広がる緑の草原と
豊かな金色の小麦畑、青い空。
頑張って協力したら、ご褒美にそんなところで
のんびり暮らせるってこと?
地獄の深夜帰宅エンドレス労働から
解放される?
どうせ両親は早くに亡くし、
兄弟や恋人がいるわけでもない。
友人達は・・・少し未練があるけど
親友というほどの仲でもなかったし
多分私がいなくても平気だろう。
あれ?これ結構どうにか
なりそうな感じじゃないかしら?
思った時には
「行きます」
無意識に声が出ていた。
ものすごく気の抜けた声を上げて、
呆然と隣を見る。
そこには私とおんなじように
ラグの上に体育座りしてにこにこと
こちらへ微笑んでいる超絶美人がいた。
波打つ柔らかそうな金髪、
優しげに細められて私を見る瞳は
ずっと見ていたくなるような、
とってもキレイな菫色。
あと・・・すんごい爆乳。
白い薄衣みたいな、
ドレープのたっぷりした
ノースリーブドレスの胸元からのぞく
白い肌が艶かしくてめちゃ柔らかそう。
ボリュームに乏しい我が身と比べて
とても羨ましい。
ーていうか、誰なんだろう?
見た目はもう完全に女神さま、って
感じなんだけど。
「わたくしもね、わたくし達の世界に
来てもいいよ~、っていう方を探していたの。
でもそんな方、なかなかいなくて。
もう本当に困っていたのよ?
そうしたらあなたの声が聞こえて。」
幸運だったわ、と微笑む美女。
いや、だから誰なんですか。
マイペース美女はニコニコ微笑んで
私を見ている。
「あ、あの、どちらさまで・・・?」
そしてどうやって、いつの間に入ってきた?
あらあらまあまあ、と美女が
おっとりとその細い指を頬にあてて
小首を傾げた。
「異世界、ご希望でしょう?そう聞こえたわ。
とっても疲れ切った声が。
なので、わたくしがあなたの願いを
叶えようかと。お嫌かしら?」
『事情はよく分からないけど、
あなたがとても頑張っている事は感じられるわ。
そうよね、たまには褒められたいわよね』
いい子ねぇ、とそのまま
子供にするようによしよしと
頭を撫でられて何だか無性に
泣きたくなった。
じんわりと目のふちに涙が滲んだのを感じて、
それを見られたくなくて慌てて下を向く。
そうしたら彼女はそのまま、
やんわりと優しく私の頭を撫でながら
話してくれた。
自分はこことは違う世界を
見守っている者だということ。
(やっぱり本物の女神さま⁉︎)
今、自分のいる世界は
神々の争いが影響して荒れ果てたため
再建中だということ。
自分は直接人間たちの
世界の立て直しに関与できないため、
代わりに自分の力を用いて
手伝ってくれる者を探していること。
そして彼女の力は、その世界に住む者よりも
別の世界に住む者に加護を与えて使う方が
より強く発揮できること。
そのため、自分達の世界に
召喚する人間を探していたという。
「でもね、わたくしがいくら
来て欲しいと思っても
誰でもいいと言うわけではないの。
それに応えてくれる人でなければ、
お互いの意志が一致していなければ
駄目なの。」
美女がため息をついた。
無理やりそちらの世界に呼び込んでも、
呼ばれた側の人間の意志が伴わなければ
自分の加護を与えられないのだという。
「わたくしは、向こうの世界では
癒しと豊穣の女神イリューディアと
呼ばれている者。
与えることのできる力も癒しと豊穣。
わたくしの愛しい世界に緑豊かな風景を
取り戻すお手伝いをしてもらえないかしら?」
一度行ったらこちらに戻ることは
難しいのだけれど、
どうかお願いできないかしら?
と女神が美しい菫色の瞳を潤ませて私を見つめた。
目が合った瞬間、脳内イメージで広がったのは
いつかの北海道出張で見た
視界いっぱいに広がる緑の草原と
豊かな金色の小麦畑、青い空。
頑張って協力したら、ご褒美にそんなところで
のんびり暮らせるってこと?
地獄の深夜帰宅エンドレス労働から
解放される?
どうせ両親は早くに亡くし、
兄弟や恋人がいるわけでもない。
友人達は・・・少し未練があるけど
親友というほどの仲でもなかったし
多分私がいなくても平気だろう。
あれ?これ結構どうにか
なりそうな感じじゃないかしら?
思った時には
「行きます」
無意識に声が出ていた。
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