精霊王女になった僕はチートクラスに強い仲間と世界を旅します

ルニアの異放6

　次から次へとその空間から流れ出て来る人々
　その中には見知ったヒーローの顔もあったため、間違いなくこの空間に全員が引き込まれたのだろう
「もしもーし、大丈夫？　おーいグットラッキーさん？」
　倒れている顔見知りのヒーローの顔をペチペチと叩いて起こす
　グットラッキ―と呼ばれる、運を底上げして幸運の力で物事を解決するヒーローだ
　珍しい力だが、そこまで幸運になるわけでもなく、せいぜいが宝くじで三千円買うと必ず千円が当たるという程度である
　だがコツコツと小さな成果を上げるため意外と人気は高い
「う、ぐう、あれ？　君は確か」
「ええ、ルニアよ。トップギアはどこ？　それとこの状況は何があったの？」
「それが・・・」
　グットラッキーが語り始める
　まず初めに突如としてこの場所にこの空間が開いた
　最初の内はただ気味の悪い空間があり、中身が気持ち悪いからヒーローで対処しようということになった
　特に悪いことが起きているわけでもないし、ただ気持ち悪いだけだったが、空間を操れるヒーローたちでなんとか塞げた
　そう、一度は塞がったのだ
　しかしそこからが問題だった
　いきなり空間が爆発したかのように再度開き、空間を操るヒーローたちを飲み込んだ
　まるで舌で舐めとるように
　その空間は口のように動き、今度は周囲にいたやじうまたちを飲み込む
　そうして空間は少しずつ広がっていき、街一つ分の人々をあっという間に平らげてしまった
　事態を重く見た協会は世界中に呼びかけ、手練れのヒーローを集めたが、その全てがなすすべなく飲み込まれ、やがてこの国の人々がいなくなり、隣国、他国とどんどん人だけが飲み込まれて行った
　そうして今の状況となったのである
　空間はたった一つ
　それにもかかわらず、遠く離れた国々の人までのみ込んだのだ
「これは一体何なの」
　現在動きを止めているその空間を見てルニアは改めて疑問に思った