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無能の異世界人2
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「頭痛い、体もなんだか動かない・・・。ねぇ、あんたたちも私と一緒? あいつに突然連れてこられてさ、わけわかんないもん植えられて」
「ああ、そうみたいだ。僕も全く動けないよ。それに体の中から何かが爆発しそうな感じ」
「う、うん、私、も」
「くっふぅ、そっちはまだいいけど、この頭痛はどうにかならないもんかな」
「さぁ? なるようにしかならないさね。何の能力もない私達じゃ抗う術なんて心も持ちようくらいなんだからさ」
五人はアウルによって種を植え付けられ、そのまま地面へと突っ伏していた
激しい頭痛と眩暈、それに体の麻痺
皆気づいてはいなかったが、これは世界の種によって体が作り替えられている症状だった
無能から能力者へ作り変わる
それは並大抵の精神力ではもたなかっただろう
異世界で無能力のまま過ごし、それでも希望を見失わずずっと立ち上がり続けてきた彼らだからこそ、世界の種は根付き力を与えた
だがやはり作り変わる際の激痛は尋常ではない
五人は気絶し、痛みでまた覚醒するというのを繰り返した
およそ三日ほどが経った
五人の中で一番年齢が上の少年が立ち上がる
自分の手を見て動くことを確認し、他の四人の様子を見た
未だ激痛に耐えている一番小さな少女、もう少しで立ち上がれそうなようやくティーンエイジャーになったばかりの少女、髪の色が黒から白みがかった青色に変色している自分より少し年下らしい少年、年齢は若いが言動がおばさんっぽい少女
彼ら四人はもう間もなく体に力が定着するだろう
最初に立ち上がれた少年は引き続きまだ立ち上がれない仲間たちを懸命に介護した
それから数時間が経過、ティーンエイジャーになったばかりの少女がスクッと立ち上がった
「もう大丈夫なのかい?」
「え、ええ、ものすごく体が軽い感じ。何かしら、万能感?みたいなものがあるわ」
少女は歩き、少年の横に座った
立ち上がれたとはいえまだ体は回復していないようで、少しふらついていたものの、少年に差し出された干し肉を受け取り齧りついた
少年はどうやら立ち上がったあと一番最初に周囲に食料を探しに行ったようで、かなりの数の食料と水が確保されていた
「僕はアーキア・アーカイブス。君は?」
「私はレノンナ。ただのレノンナよ」
「よろしくレノンナ」
二人は軽く挨拶を済ませるとまだ苦しんでいる一番小さな少女の汗をぬぐい、水を与えた
それからさらに一日後、一番小さな少女以外が立ち上がり二人に加わった
「僕はアモン・デビライト。よろしくね」
「私はエーテリア・グレー。エーテさんとでも呼んでほしいさね」
二人の自己紹介も終わり、残る小さな少女を四人で介抱し続ける
そして三日が経過した
少女が目を開けてぴょこんと立ち上がる
「あれ、もう、痛くない、です」
ぴょんぴょんと飛び跳ね自分の体に異常がないことをアピールする少女
四人もホッと胸をなでおろした
何せこの少女の痛がり方は他の四人とは比べ物にならず、その際に失禁したのか衣服は汚れていた
ひとまず女性陣が少女の世話をしていたので問題はないが、衣服が見当たらなかったため、その辺りにあった布切れで少女の服を作った
即席のため無いよりまし程度ではあるが、それでも少女は喜んだ
「わ、私は、小林りえと言います。よ、よろしくお願いします!」
こうして五人全員が世界の種の力を体に宿した
五人の目的はただ一つ
ウルのリーダーであるアウルを止めることだ
彼の目的はあの日、出会ったあの時に聞いている
だからこそ彼らは立ち上がったのだった
「ああ、そうみたいだ。僕も全く動けないよ。それに体の中から何かが爆発しそうな感じ」
「う、うん、私、も」
「くっふぅ、そっちはまだいいけど、この頭痛はどうにかならないもんかな」
「さぁ? なるようにしかならないさね。何の能力もない私達じゃ抗う術なんて心も持ちようくらいなんだからさ」
五人はアウルによって種を植え付けられ、そのまま地面へと突っ伏していた
激しい頭痛と眩暈、それに体の麻痺
皆気づいてはいなかったが、これは世界の種によって体が作り替えられている症状だった
無能から能力者へ作り変わる
それは並大抵の精神力ではもたなかっただろう
異世界で無能力のまま過ごし、それでも希望を見失わずずっと立ち上がり続けてきた彼らだからこそ、世界の種は根付き力を与えた
だがやはり作り変わる際の激痛は尋常ではない
五人は気絶し、痛みでまた覚醒するというのを繰り返した
およそ三日ほどが経った
五人の中で一番年齢が上の少年が立ち上がる
自分の手を見て動くことを確認し、他の四人の様子を見た
未だ激痛に耐えている一番小さな少女、もう少しで立ち上がれそうなようやくティーンエイジャーになったばかりの少女、髪の色が黒から白みがかった青色に変色している自分より少し年下らしい少年、年齢は若いが言動がおばさんっぽい少女
彼ら四人はもう間もなく体に力が定着するだろう
最初に立ち上がれた少年は引き続きまだ立ち上がれない仲間たちを懸命に介護した
それから数時間が経過、ティーンエイジャーになったばかりの少女がスクッと立ち上がった
「もう大丈夫なのかい?」
「え、ええ、ものすごく体が軽い感じ。何かしら、万能感?みたいなものがあるわ」
少女は歩き、少年の横に座った
立ち上がれたとはいえまだ体は回復していないようで、少しふらついていたものの、少年に差し出された干し肉を受け取り齧りついた
少年はどうやら立ち上がったあと一番最初に周囲に食料を探しに行ったようで、かなりの数の食料と水が確保されていた
「僕はアーキア・アーカイブス。君は?」
「私はレノンナ。ただのレノンナよ」
「よろしくレノンナ」
二人は軽く挨拶を済ませるとまだ苦しんでいる一番小さな少女の汗をぬぐい、水を与えた
それからさらに一日後、一番小さな少女以外が立ち上がり二人に加わった
「僕はアモン・デビライト。よろしくね」
「私はエーテリア・グレー。エーテさんとでも呼んでほしいさね」
二人の自己紹介も終わり、残る小さな少女を四人で介抱し続ける
そして三日が経過した
少女が目を開けてぴょこんと立ち上がる
「あれ、もう、痛くない、です」
ぴょんぴょんと飛び跳ね自分の体に異常がないことをアピールする少女
四人もホッと胸をなでおろした
何せこの少女の痛がり方は他の四人とは比べ物にならず、その際に失禁したのか衣服は汚れていた
ひとまず女性陣が少女の世話をしていたので問題はないが、衣服が見当たらなかったため、その辺りにあった布切れで少女の服を作った
即席のため無いよりまし程度ではあるが、それでも少女は喜んだ
「わ、私は、小林りえと言います。よ、よろしくお願いします!」
こうして五人全員が世界の種の力を体に宿した
五人の目的はただ一つ
ウルのリーダーであるアウルを止めることだ
彼の目的はあの日、出会ったあの時に聞いている
だからこそ彼らは立ち上がったのだった
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