上 下
450 / 1,022

魔族国再び3

しおりを挟む
 ドレスをもらった後は街を見て回った
 数年前まではほとんど魔族の人達ばかりだったけど、今では様々な種族が商業に観光にとやって来ている
 魔族と一番仲が悪かったエルフ族までいたのにはびっくりだね
 しかもエルフと魔族のカップルに、その子供であるダークエルフもいる
 かなり多種多様になって来てるみたいで安心したよ
 まぁ魔族だって元々戦いたい人達ばかりじゃなかったし、平和になった今多種族と仲良くなれたのも必然だよね
 それで街を見て回ってるんだけど、魔都というだけあってマジックアイテムの数が尋常じゃない
 エルフ、ドワーフ、魔族とマジックアイテムを作れる種族は限られてくるんだけど、その中でも魔族は魔力の扱いに長けてる
 したがってここでは高魔力を込めてあるマジックアイテムが多いんだ
 まぁ僕らはマジックアイテムが無くても支障はないから見てるだけ
 そんな中とあるお店で珍しいものを見つけた
「あれ?これって」
「はい、黒族の技術とドワーフの技術、エルフの繊細な加工と魔族の魔力、それらを総結集させた魔法の指輪と言うものです」
「魔法の指輪?」
 店の店員さんによると、魔力が全くない人でも中級までの魔法が扱えるようになるもので、今はまだ試作段階だけど安全性や効果は保証されてるらしい
 値段は・・・。ゲッ、この世界で宮殿が一城買えるじゃないか
 それなのにもう数個売れてるんだとか
 基本的に魔力の少ない人間族の貴族とかが買ってるみたい
 ちなみに人間族の貴族、他種族を見下してそうなイメージがあったけど、この世界は人格者がかなり多いみたい
 それが旅で得た僕の知識だけど、なんでも腹黒貴族とかは人間族の王が徹底的に排除していった結果、ちゃんと市民を守る貴族ばかりになったらしい
 まあそれでも少しばかりはいるんだけど、王様が目を光らせてるからどうもできない
 それに僕ら精霊もそういった貴族に一切加護も何も与えないから、自然とそう言った輩は淘汰されていくんだ
 
 街を見て回っているうちにお昼になった
 今日は城下の食堂にでも行こうって話になってた
 色々と魔王としての仕事を終えたキーラちゃんも合流して、一緒にキーラちゃんおススメの店に行くことになったよ
 それがここ、魔王拉麺だ
 キーラちゃんリスペクトって言うことじゃなくて、辛いラーメンを出すみたいなんだ
 なんでも異世界から来た人が大将なんだとか
「大将! いつもの!」
 キーラちゃんは入ってすぐにそう叫んだ
「あいよ! キーラちゃん今日も元気だね。おや、今日はお友達も連れて・・・。おいキーラちゃん、お兄さんにそこの実目麗しい女性たちを紹介してくれ、いやしてください」
「おお、こっちは精霊王女のリディエラちゃんで、こっちは鬼ヶ島の姫二人、黒い方がクロハちゃん、白い方がハクラちゃんだぞ」
「なんと、姫君達であらせられましたか、これはとんだご無礼を」
 この人謝ってるけど、僕とクロハさんの胸をジー―――っと見てる
 なんてオープンなスケベなんだろう
「よし、今日は腕によりをかけて作っちゃうぞ!」
 大将は見た目二十代後半くらいで、筋骨隆々なムッキムキのお兄さん
 一時期冒険者もしてたけど、かねてよりの夢だったラーメン屋をどうしても開きたくて、魔物の肉や骨などを使って美味しいラーメンの研究をしたらしい
 で、数年前にここで店を開いて大繁盛というわけだ
「ここにはよく来るの?」
「魔王様は週五回は来てますね」
 ヘビーリピーターじゃないか
 でもそれだけ美味しいなら期待大だね
 しばらく待ってるとラーメンが運ばれてきた
 あれ?全員同じだ
「ここのメニューは一種類だけですよ」
 リドリリさんは不思議そうに見ている僕の気持ちを悟ったのかそういった
「あれ?でもキーラちゃんがいつものって」
「常連になったらそう言うのがマナーだって大将が言ってたの」
 ああ、キーラちゃんにそう言わせたくて大将が餌付けしたのか・・・
 でもまぁ確かにいつもの!って元気よく言うキーラちゃんの笑顔は癒されるからしょうがないね
 運ばれてきたラーメンは野菜たっぷりの濃い味ラーメンで、豚骨のような香りがある
 いわゆる家系ラーメンのようなものだ
 でも味は濃いように見えてあっさりしてて、風味も豚骨だけじゃなくて魚介のような味も含まれてる。それでいて辛さもあっていい感じ
 野菜がかなり多いから食べきれるか心配だったけど、皆その美味しさに全て平らげてしまった
「どう? 美味しかったでしょ!」
「うん、キーラちゃんほっぺに麺が付いてるよ」
 それに気づいたリドリリさんがハンカチを取り出して拭いてあげてる
 この二人は親友というより親子か姉妹みたいだ
 で、ハクラちゃんとクロハさんを見ると、クロハさんはハクラちゃんの口元に付いてるスープを指でぬぐってペロペロしてる
 こっちはちょっと危ない関係だ
 ハクラちゃんはいつもやられてるのか何の反応もしてないけどね・・・
しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

異世界でも男装標準装備~性別迷子とか普通だけど~

結城 朱煉
ファンタジー
日常から男装している木原祐樹(25歳)は 気が付くと真っ白い空間にいた 自称神という男性によると 部下によるミスが原因だった 元の世界に戻れないので 異世界に行って生きる事を決めました! 異世界に行って、自由気ままに、生きていきます ~☆~☆~☆~☆~☆ 誤字脱字など、気を付けていますが、ありましたら教えて頂けると助かります! また、感想を頂けると大喜びします 気が向いたら書き込んでやって下さい ~☆~☆~☆~☆~☆ カクヨム・小説家になろうでも公開しています もしもシリーズ作りました<異世界でも男装標準装備~もしもシリーズ~> もし、よろしければ読んであげて下さい

プラス的 異世界の過ごし方

seo
ファンタジー
 日本で普通に働いていたわたしは、気がつくと異世界のもうすぐ5歳の幼女だった。田舎の山小屋みたいなところに引っ越してきた。そこがおさめる領地らしい。伯爵令嬢らしいのだが、わたしの多少の知識で知る貴族とはかなり違う。あれ、ひょっとして、うちって貧乏なの? まあ、家族が仲良しみたいだし、楽しければいっか。  呑気で細かいことは気にしない、めんどくさがりズボラ女子が、神様から授けられるギフト「+」に助けられながら、楽しんで生活していきます。  乙女ゲーの脇役家族ということには気づかずに……。 #不定期更新 #物語の進み具合のんびり #カクヨムさんでも掲載しています

貴族に生まれたのに誘拐され1歳で死にかけた

佐藤醤油
ファンタジー
 貴族に生まれ、のんびりと赤ちゃん生活を満喫していたのに、気がついたら世界が変わっていた。  僕は、盗賊に誘拐され魔力を吸われながら生きる日々を過ごす。  魔力枯渇に陥ると死ぬ確率が高いにも関わらず年に1回は魔力枯渇になり死にかけている。  言葉が通じる様になって気がついたが、僕は他の人が持っていないステータスを見る力を持ち、さらに異世界と思われる世界の知識を覗ける力を持っている。  この力を使って、いつか脱出し母親の元へと戻ることを夢見て過ごす。  小さい体でチートな力は使えない中、どうにか生きる知恵を出し生活する。 ------------------------------------------------------------------  お知らせ   「転生者はめぐりあう」 始めました。 ------------------------------------------------------------------ 注意  作者の暇つぶし、気分転換中の自己満足で公開する作品です。  感想は受け付けていません。  誤字脱字、文面等気になる方はお気に入りを削除で対応してください。

喰らう度強くなるボクと姉属性の女神様と異世界と。〜食べた者のスキルを奪うボクが異世界で自由気ままに冒険する!!〜

田所浩一郎
ファンタジー
中学でいじめられていた少年冥矢は女神のミスによりできた空間の歪みに巻き込まれ命を落としてしまう。 謝罪代わりに与えられたスキル、《喰らう者》は食べた存在のスキルを使い更にレベルアップすることのできるチートスキルだった! 異世界に転生させてもらうはずだったがなんと女神様もついてくる事態に!?  地球にはない自然や生き物に魔物。それにまだ見ぬ珍味達。 冥矢は心を踊らせ好奇心を満たす冒険へと出るのだった。これからずっと側に居ることを約束した女神様と共に……

チート転生~チートって本当にあるものですね~

水魔沙希
ファンタジー
死んでしまった片瀬彼方は、突然異世界に転生してしまう。しかも、赤ちゃん時代からやり直せと!?何げにステータスを見ていたら、何やら面白そうなユニークスキルがあった!! そのスキルが、随分チートな事に気付くのは神の加護を得てからだった。 亀更新で気が向いたら、随時更新しようと思います。ご了承お願いいたします。

積みかけアラフォーOL、公爵令嬢に転生したのでやりたいことをやって好きに生きる!

ぽらいと
ファンタジー
アラフォー、バツ2派遣OLが公爵令嬢に転生したので、やりたいことを好きなようにやって過ごす、というほのぼの系の話。 悪役等は一切出てこない、優しい世界のお話です。

5歳で前世の記憶が混入してきた  --スキルや知識を手に入れましたが、なんで中身入ってるんですか?--

ばふぉりん
ファンタジー
 「啞"?!@#&〆々☆¥$€%????」   〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜  五歳の誕生日を迎えた男の子は家族から捨てられた。理由は 「お前は我が家の恥だ!占星の儀で訳の分からないスキルを貰って、しかも使い方がわからない?これ以上お前を育てる義務も義理もないわ!」    この世界では五歳の誕生日に教会で『占星の儀』というスキルを授かることができ、そのスキルによってその後の人生が決まるといっても過言では無い。  剣聖 聖女 影朧といった上位スキルから、剣士 闘士 弓手といった一般的なスキル、そして家事 農耕 牧畜といったもうそれスキルじゃないよね?といったものまで。  そんな中、この五歳児が得たスキルは  □□□□  もはや文字ですら無かった ~~~~~~~~~~~~~~~~~  本文中に顔文字を使用しますので、できれば横読み推奨します。  本作中のいかなる個人・団体名は実在するものとは一切関係ありません。  

転生してチートを手に入れました!!生まれた時から精霊王に囲まれてます…やだ

如月花恋
ファンタジー
…目の前がめっちゃ明るくなったと思ったら今度は…真っ白? 「え~…大丈夫?」 …大丈夫じゃないです というかあなた誰? 「神。ごめんね~?合コンしてたら死んじゃってた~」 …合…コン 私の死因…神様の合コン… …かない 「てことで…好きな所に転生していいよ!!」 好きな所…転生 じゃ異世界で 「異世界ってそんな子供みたいな…」 子供だし 小2 「まっいっか。分かった。知り合いのところ送るね」 よろです 魔法使えるところがいいな 「更に注文!?」 …神様のせいで死んだのに… 「あぁ!!分かりました!!」 やたね 「君…結構策士だな」 そう? 作戦とかは楽しいけど… 「う~ん…だったらあそこでも大丈夫かな。ちょうど人が足りないって言ってたし」 …あそこ? 「…うん。君ならやれるよ。頑張って」 …んな他人事みたいな… 「あ。爵位は結構高めだからね」 しゃくい…? 「じゃ!!」 え? ちょ…しゃくいの説明ぃぃぃぃ!!

処理中です...