上 下
428 / 1,022

人間族の国再び3

しおりを挟む
 古代魔法はまず一つの力を覚えることでそこから応用で色々な魔法につなげていく方式らしい
 最初に教わったのは初歩の初歩になるセトラという力を集約したレーザーで、これは先ほどヨウコ様が放ったセロファタの一番威力が弱い古代魔法みたい
 これが意外なほど難しくて、今までの精霊魔法や上級魔法なんかとは比べ物にならないほどの習得難度。形になるまで何度も何度も練習したおかげで習得はできそうなんだけど、魔力消費が激しいから一日での習得は無理だったよ
「いやぁ確かに一日じゃ無理だったっすけど、それでもここまで掴んできたならあと少しっす。この魔法さえ覚えればコツが掴めるはずっすから、そしたら順次強力な古代魔法を覚えてもらうんすけど、なんか透けてないっすか? あ、魔力切れっすね。ちょっと待っててくださいっす」
 魔力が切れかかってて最早フラフラの僕を置いてヨウコ様はどこかへ飛んでいった
 ふと見るとアコ様とトコ様が一緒に遊んでいるのが見える。まるで親子のように仲がいいのは癒される光景だけど、今はあまりにも疲れすぎていてそれを見て体力が回復することはできそうにない
「おまたっせっす~」
 ヨウコ様が戻ってくると手には串団子が握られていた。何だろうこれ、魔力が宿ってる
「これは魔力を回復してくれる団子っす。串に刺しておいたから一気に食べるっすよ」
「はい、ありがとうございます」
 串団子を受け取ってパクリと食べてみた。うっぷ、何これすごく苦い!
「げぇ、こ、これすごい味で、うぶぅ」
「吐いちゃ駄目っすよ。ちゃんと全部飲み込むっす。あっという間に魔力回復する優れものっすからね」
「うぐぅ、わ、分かりましたぁ」
 口の中に何を入れてるのか分からないほど苦くておいしくない団子だけど、食べるごとに体が軽くなっていくのが分かった
 凄い回復力で、全部食べ終わるころには僕の膨大な魔力は回復しきっていたよ。まさしく良薬は口に苦しってことだね
「取りあえず今日は休むっす。魔力は回復してるだろうけど無理は禁物なんすよ。とにかくちゃんと身に着けてしっかりと使えるようになることが大切っす。何せ古代魔法より上の魔法は暴走しやすくて周囲にまで危険を及ぼすっす。現にアコさんも身に着けるのは苦労してたんすよ」
「アコ様も修行をしていたんですか?」
「そうっす。リディエラちゃんほどの才能は俺もアコさんもなかったっすから、努力でここまで伸ばしたっす。でもリディエラちゃんは才能があるっす。その上努力すれば必ず俺らなんか目じゃないほどの力に目覚めるはずっすよ」
 ヨウコ様の言葉のおかげで僕はこれからも頑張っていけそうな自信がわいてきたよ
 
 そして翌日
 再び初歩の古代魔法を完全に扱えるようになるための修行が始まった
 今度は少しコツがつかめてきたため前日よりも制度が増している。その上魔力を抑えて節約できる方法までもなんとなく分かって来たよ
「さすがっすね。ここまで呑み込みが早いと教えがいがあるっす。あともう少し威力が上がれば完璧っすね、魔力を込める量を少し上げてみるっす」
 的確なアドバイスのおかげで次の一回で僕は完全にこの初歩古代魔法であるセトラをマスターすることだできた
 完全にコツをつかんだから魔力ある限りいくらでも撃てそうだよ
「いいっすねいいっすね。あとは俺の真似をして古代魔法を撃っていくっすよ!」
「はい、よろしくお願いします!」
 それからの古代魔法習得は意外なほどあっさりとできていった
 何せコツが掴めているから、それに沿って同じように力の流れを感じ、力の込め方を少し変えたリ込めるエレメントを変えたリするだけで色々な古代魔法を発揮できるようになった
「もうほぼ完璧っすね。それじゃあ最後に、俺が最初に撃ったあのセロファタを教えるっす。リディエラちゃんの防御魔法には防がれちゃったっすけど、今のリディエラちゃんの力ならあれよりも強力なセロファタを撃てるはずっすよ」
「そうなんですか?」
「リディエラちゃんの魔力はとんでもないっすからね。いやぁその才能が妬ましいっす。とまあ冗談は置いておいて、早速やってみるっす。まずはエレメント全てを込める感じっす」
「こう、ですか?」
「そうそう、さすが呑み込みが早いっす。次に魔力の込める量を調整するっす。そうっすね、セトラの十二倍くらいをイメージするとやりやすいと思うっす」
 確かにその通り、言われた通りの魔力量を込めるとあの時ヨウコ様が放ったセロファタと同じくらいの威力になった
「おお、ここまでコントロールできてるならもっと魔力を込めても大丈夫そうっすね。俺のよりもはるかに威力が高くてもコントロールできるはずっす。一度やってみるっす」
「はい!」
 今度はさらに魔力を込めてみる。さっきは十二倍込めたから、今度は二十倍くらいでね
 それで撃ってみると、案の定とんでもない威力のセロファタが迷宮の遥か向こうにまで突き抜けていった
 うわぁ、これはエグイ
「エグイっすねぇ。でもこれでも恐らく足りないっす」
「これでも、ですか・・・」
「まあ気を落とさないでほしいっす。あとはアコさんにお任せして俺は少し休むっすよ。それが終わったらまた俺が大事なことを教えるっすからね。おーいアコさ~ん」
「終わったみたいだな。それじゃあ俺の修行を始めるとしよう。トコ、すまないがしばらく待っててくれるか」
「うん! いっぱい遊んでもらったから大丈夫だっち。リディエラ、頑張るっちよ!」
 トコ様に激励されてやる気も十分。やってやりますよ!
しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

異世界でも男装標準装備~性別迷子とか普通だけど~

結城 朱煉
ファンタジー
日常から男装している木原祐樹(25歳)は 気が付くと真っ白い空間にいた 自称神という男性によると 部下によるミスが原因だった 元の世界に戻れないので 異世界に行って生きる事を決めました! 異世界に行って、自由気ままに、生きていきます ~☆~☆~☆~☆~☆ 誤字脱字など、気を付けていますが、ありましたら教えて頂けると助かります! また、感想を頂けると大喜びします 気が向いたら書き込んでやって下さい ~☆~☆~☆~☆~☆ カクヨム・小説家になろうでも公開しています もしもシリーズ作りました<異世界でも男装標準装備~もしもシリーズ~> もし、よろしければ読んであげて下さい

プラス的 異世界の過ごし方

seo
ファンタジー
 日本で普通に働いていたわたしは、気がつくと異世界のもうすぐ5歳の幼女だった。田舎の山小屋みたいなところに引っ越してきた。そこがおさめる領地らしい。伯爵令嬢らしいのだが、わたしの多少の知識で知る貴族とはかなり違う。あれ、ひょっとして、うちって貧乏なの? まあ、家族が仲良しみたいだし、楽しければいっか。  呑気で細かいことは気にしない、めんどくさがりズボラ女子が、神様から授けられるギフト「+」に助けられながら、楽しんで生活していきます。  乙女ゲーの脇役家族ということには気づかずに……。 #不定期更新 #物語の進み具合のんびり #カクヨムさんでも掲載しています

貴族に生まれたのに誘拐され1歳で死にかけた

佐藤醤油
ファンタジー
 貴族に生まれ、のんびりと赤ちゃん生活を満喫していたのに、気がついたら世界が変わっていた。  僕は、盗賊に誘拐され魔力を吸われながら生きる日々を過ごす。  魔力枯渇に陥ると死ぬ確率が高いにも関わらず年に1回は魔力枯渇になり死にかけている。  言葉が通じる様になって気がついたが、僕は他の人が持っていないステータスを見る力を持ち、さらに異世界と思われる世界の知識を覗ける力を持っている。  この力を使って、いつか脱出し母親の元へと戻ることを夢見て過ごす。  小さい体でチートな力は使えない中、どうにか生きる知恵を出し生活する。 ------------------------------------------------------------------  お知らせ   「転生者はめぐりあう」 始めました。 ------------------------------------------------------------------ 注意  作者の暇つぶし、気分転換中の自己満足で公開する作品です。  感想は受け付けていません。  誤字脱字、文面等気になる方はお気に入りを削除で対応してください。

喰らう度強くなるボクと姉属性の女神様と異世界と。〜食べた者のスキルを奪うボクが異世界で自由気ままに冒険する!!〜

田所浩一郎
ファンタジー
中学でいじめられていた少年冥矢は女神のミスによりできた空間の歪みに巻き込まれ命を落としてしまう。 謝罪代わりに与えられたスキル、《喰らう者》は食べた存在のスキルを使い更にレベルアップすることのできるチートスキルだった! 異世界に転生させてもらうはずだったがなんと女神様もついてくる事態に!?  地球にはない自然や生き物に魔物。それにまだ見ぬ珍味達。 冥矢は心を踊らせ好奇心を満たす冒険へと出るのだった。これからずっと側に居ることを約束した女神様と共に……

チート転生~チートって本当にあるものですね~

水魔沙希
ファンタジー
死んでしまった片瀬彼方は、突然異世界に転生してしまう。しかも、赤ちゃん時代からやり直せと!?何げにステータスを見ていたら、何やら面白そうなユニークスキルがあった!! そのスキルが、随分チートな事に気付くのは神の加護を得てからだった。 亀更新で気が向いたら、随時更新しようと思います。ご了承お願いいたします。

積みかけアラフォーOL、公爵令嬢に転生したのでやりたいことをやって好きに生きる!

ぽらいと
ファンタジー
アラフォー、バツ2派遣OLが公爵令嬢に転生したので、やりたいことを好きなようにやって過ごす、というほのぼの系の話。 悪役等は一切出てこない、優しい世界のお話です。

5歳で前世の記憶が混入してきた  --スキルや知識を手に入れましたが、なんで中身入ってるんですか?--

ばふぉりん
ファンタジー
 「啞"?!@#&〆々☆¥$€%????」   〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜  五歳の誕生日を迎えた男の子は家族から捨てられた。理由は 「お前は我が家の恥だ!占星の儀で訳の分からないスキルを貰って、しかも使い方がわからない?これ以上お前を育てる義務も義理もないわ!」    この世界では五歳の誕生日に教会で『占星の儀』というスキルを授かることができ、そのスキルによってその後の人生が決まるといっても過言では無い。  剣聖 聖女 影朧といった上位スキルから、剣士 闘士 弓手といった一般的なスキル、そして家事 農耕 牧畜といったもうそれスキルじゃないよね?といったものまで。  そんな中、この五歳児が得たスキルは  □□□□  もはや文字ですら無かった ~~~~~~~~~~~~~~~~~  本文中に顔文字を使用しますので、できれば横読み推奨します。  本作中のいかなる個人・団体名は実在するものとは一切関係ありません。  

転生してチートを手に入れました!!生まれた時から精霊王に囲まれてます…やだ

如月花恋
ファンタジー
…目の前がめっちゃ明るくなったと思ったら今度は…真っ白? 「え~…大丈夫?」 …大丈夫じゃないです というかあなた誰? 「神。ごめんね~?合コンしてたら死んじゃってた~」 …合…コン 私の死因…神様の合コン… …かない 「てことで…好きな所に転生していいよ!!」 好きな所…転生 じゃ異世界で 「異世界ってそんな子供みたいな…」 子供だし 小2 「まっいっか。分かった。知り合いのところ送るね」 よろです 魔法使えるところがいいな 「更に注文!?」 …神様のせいで死んだのに… 「あぁ!!分かりました!!」 やたね 「君…結構策士だな」 そう? 作戦とかは楽しいけど… 「う~ん…だったらあそこでも大丈夫かな。ちょうど人が足りないって言ってたし」 …あそこ? 「…うん。君ならやれるよ。頑張って」 …んな他人事みたいな… 「あ。爵位は結構高めだからね」 しゃくい…? 「じゃ!!」 え? ちょ…しゃくいの説明ぃぃぃぃ!!

処理中です...