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蛇人族の国5
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いよいよミコ様がいる階層だけど、とにかくアポピスさんの体が長すぎたからもう何日もずっとあそこにいた感じだ
どんな神様なのかと扉をくぐると、そこには炬燵が置かれていて、その裾から蛇の尻尾がちょろんと出ていた
さらに裏に回り込んで見ると、小さな女の子が口を開け、よだれを垂らしながら眠っていた
「えーっと、ミコ様? もしもーし」
「んしゅぅ、シュララ、むにゃむにゃ、から揚げいっぱいで幸せでしゅぅ」
「すっごくよく寝てますね」
「うん、起きないね。ゆすってみるかな」
僕がミコ様らしき少女をゆすってみると
「むにゃあ、ふひゃ、なんなんでしゅかあなた達は! しゅらら!敵でしゅか! なら容赦しないでしゅよ!」
「えっと、ミコ様ですよね?」
「いかにもあたしゅはミコでしゅ! かかってくるがいいでしゅよ!」
「あのミコ様、僕達」
「問答無用でしゅ! ぼっこぼこのぼっこぼこにしてやるでしゅ! こうみえてあたしゅは強いのでしゅ! さぁ来いでしゅ!」
目が完全に座ってる
多分寝ぼけてる上に酔っぱらってるよこれ
炬燵の上にたくさんのビールやお酒の空き缶が転がってるし
見た目に寄らず物凄い酒豪、まさにウワバミだ
とりあえず話を聞いてくれそうにないのでその勝負を受けて立つことにした
「しゅらら! あたしゅに挑むとは見上げた根性でしゅね! あたしゅこそアマテラシュしゃまの右腕との呼び声を自称している蛇神ミコなのでしゅ! とりゃああああ!!」
「ハクラちゃん構えて!」
「はい!」
でもミコ様がとびかかってくることはなかった
ピタリと動きを止めるとその場に吐いてしまったのだ
「うぶっ、ジャロロロロロロロロロロ、おえっぷ、ジャロロロ」
「うわぁ・・・」
「うぇへぇ・・・」
とりあえずそばにあったミネラルウォーターのペットボトルを開けてミコ様に渡した
そのペットボトルをガバッと掴むと一気に飲み干すミコ様
「うへえあああ、ジャー、申し訳ないでしゅ、ちょっと冷静に、なったでしゅよ」
「大丈夫ですか?」
「うひゅろろろ、らいじょうぶでしゅ。酔いも冷めてきたでしゅよ。すまなかったでしゅね、あたしゅはミコ、アマテラス様に仕える十二獣神でしゅ」
「はい、よろしくお願いします。ところでここでは何をすればいいのですか?」
「ジュロロ、何も考えてないからあたしゅとお話でもしてもらおうかな」
「え、そんなことでいいんですか?」
「あたしゅの話は長いってもっぱらの噂でしゅ。覚悟するがいいでしゅよ」
「は、はぁ」
そこからミコ様の話は驚くほど長い間続いた
蛇足による蛇足で、これまでの僕らの冒険談を聞いてきたかと思いきやすぐに自分の冒険談を語り始め、その話も細部まで細かく話すから一節が終わるまで一日かかるほどだったよ
これは忍耐力のいることだと踏ん張って聞いていたけど、一週間くらい経った頃になってようやくアポピスさんが見に来てくれた
既にグロッキーで心なしかやつれたハクラちゃんを見てアポピスさんは慌ててミコ様の口をふさいだ
「何じゃお前たち、真面目にこいつの話をきいていたのかえ? 全く何を馬鹿なことをしておるのだ。いいか? こいつは相手が死ぬまで話していたことがあるほどのおしゃべりじゃ。こうして止めなければ永遠に語り続けるぞ。まったく白鬼もこんなにやつれて、可愛そうにのう」
「た、助かり、ました」
「おいこらミコ、お主話が長すぎるといつもアマテラスのやつに言われておろうが。何千年その性格治らぬのだ」
「これはもうあたしゅの性分でしゅ。治らないかもしれないでしゅね。シュララララララ!」
「笑っておる場合か! 精霊の方が消えかかっておろうが! 殺す気かえ!?」
「シュロ! それは大変でしゅ! アポピス、なんとかしてほしいよ!」
「はぁ、しょうがないのう。ほれ魔力を分けてやるぞ精霊の」
「す、すみません」
「良い良い、言っておらなんだ私も悪いのだ」
あまりにも長い長い長話を聞いてたおかげでだんだんと生命力が削られて魔力が抜け出てたみたいだ
危うく死ぬところだったよ
ある意味今までで一番大変な試練だったかもしれない
でもおかげで忍耐力はかなりついたと思う
ハクラちゃんなんて途中から話を聞き流して相槌だけうつよう技術を身に着けてたし
とにかくアポピスさんにすごく感謝した
「真面目過ぎるのも考え物だぞお前たち。時には柔軟に受け流すような対応力を見せねば今のように危険な状況に落ちかねん。ゆめゆめ忘れるな」
「はい、ありがとうございました」
「なんだかアポピスが試練を出したみたいになってましゅね。あたしゅの試練の筈なのに」
「お主の話を聞くのがもうすでに試練じゃて」
「シュラ~、アポピスは手厳しいでしゅ」
「まぁなんじゃ、ここでは特に試練はないようじゃな。次は確かの?」
「うにゅ、兎神トコの所へいくのでしゅ。シュラララ、トコの所へ、行くのでしゅ」
「面白くないぞ」
「シュラ~・・・。行っていいでしゅ。また会おうでしゅ」
あ、いじけた
それにしても変な試練だった
いや試練じゃないか
どんな神様なのかと扉をくぐると、そこには炬燵が置かれていて、その裾から蛇の尻尾がちょろんと出ていた
さらに裏に回り込んで見ると、小さな女の子が口を開け、よだれを垂らしながら眠っていた
「えーっと、ミコ様? もしもーし」
「んしゅぅ、シュララ、むにゃむにゃ、から揚げいっぱいで幸せでしゅぅ」
「すっごくよく寝てますね」
「うん、起きないね。ゆすってみるかな」
僕がミコ様らしき少女をゆすってみると
「むにゃあ、ふひゃ、なんなんでしゅかあなた達は! しゅらら!敵でしゅか! なら容赦しないでしゅよ!」
「えっと、ミコ様ですよね?」
「いかにもあたしゅはミコでしゅ! かかってくるがいいでしゅよ!」
「あのミコ様、僕達」
「問答無用でしゅ! ぼっこぼこのぼっこぼこにしてやるでしゅ! こうみえてあたしゅは強いのでしゅ! さぁ来いでしゅ!」
目が完全に座ってる
多分寝ぼけてる上に酔っぱらってるよこれ
炬燵の上にたくさんのビールやお酒の空き缶が転がってるし
見た目に寄らず物凄い酒豪、まさにウワバミだ
とりあえず話を聞いてくれそうにないのでその勝負を受けて立つことにした
「しゅらら! あたしゅに挑むとは見上げた根性でしゅね! あたしゅこそアマテラシュしゃまの右腕との呼び声を自称している蛇神ミコなのでしゅ! とりゃああああ!!」
「ハクラちゃん構えて!」
「はい!」
でもミコ様がとびかかってくることはなかった
ピタリと動きを止めるとその場に吐いてしまったのだ
「うぶっ、ジャロロロロロロロロロロ、おえっぷ、ジャロロロ」
「うわぁ・・・」
「うぇへぇ・・・」
とりあえずそばにあったミネラルウォーターのペットボトルを開けてミコ様に渡した
そのペットボトルをガバッと掴むと一気に飲み干すミコ様
「うへえあああ、ジャー、申し訳ないでしゅ、ちょっと冷静に、なったでしゅよ」
「大丈夫ですか?」
「うひゅろろろ、らいじょうぶでしゅ。酔いも冷めてきたでしゅよ。すまなかったでしゅね、あたしゅはミコ、アマテラス様に仕える十二獣神でしゅ」
「はい、よろしくお願いします。ところでここでは何をすればいいのですか?」
「ジュロロ、何も考えてないからあたしゅとお話でもしてもらおうかな」
「え、そんなことでいいんですか?」
「あたしゅの話は長いってもっぱらの噂でしゅ。覚悟するがいいでしゅよ」
「は、はぁ」
そこからミコ様の話は驚くほど長い間続いた
蛇足による蛇足で、これまでの僕らの冒険談を聞いてきたかと思いきやすぐに自分の冒険談を語り始め、その話も細部まで細かく話すから一節が終わるまで一日かかるほどだったよ
これは忍耐力のいることだと踏ん張って聞いていたけど、一週間くらい経った頃になってようやくアポピスさんが見に来てくれた
既にグロッキーで心なしかやつれたハクラちゃんを見てアポピスさんは慌ててミコ様の口をふさいだ
「何じゃお前たち、真面目にこいつの話をきいていたのかえ? 全く何を馬鹿なことをしておるのだ。いいか? こいつは相手が死ぬまで話していたことがあるほどのおしゃべりじゃ。こうして止めなければ永遠に語り続けるぞ。まったく白鬼もこんなにやつれて、可愛そうにのう」
「た、助かり、ました」
「おいこらミコ、お主話が長すぎるといつもアマテラスのやつに言われておろうが。何千年その性格治らぬのだ」
「これはもうあたしゅの性分でしゅ。治らないかもしれないでしゅね。シュララララララ!」
「笑っておる場合か! 精霊の方が消えかかっておろうが! 殺す気かえ!?」
「シュロ! それは大変でしゅ! アポピス、なんとかしてほしいよ!」
「はぁ、しょうがないのう。ほれ魔力を分けてやるぞ精霊の」
「す、すみません」
「良い良い、言っておらなんだ私も悪いのだ」
あまりにも長い長い長話を聞いてたおかげでだんだんと生命力が削られて魔力が抜け出てたみたいだ
危うく死ぬところだったよ
ある意味今までで一番大変な試練だったかもしれない
でもおかげで忍耐力はかなりついたと思う
ハクラちゃんなんて途中から話を聞き流して相槌だけうつよう技術を身に着けてたし
とにかくアポピスさんにすごく感謝した
「真面目過ぎるのも考え物だぞお前たち。時には柔軟に受け流すような対応力を見せねば今のように危険な状況に落ちかねん。ゆめゆめ忘れるな」
「はい、ありがとうございました」
「なんだかアポピスが試練を出したみたいになってましゅね。あたしゅの試練の筈なのに」
「お主の話を聞くのがもうすでに試練じゃて」
「シュラ~、アポピスは手厳しいでしゅ」
「まぁなんじゃ、ここでは特に試練はないようじゃな。次は確かの?」
「うにゅ、兎神トコの所へいくのでしゅ。シュラララ、トコの所へ、行くのでしゅ」
「面白くないぞ」
「シュラ~・・・。行っていいでしゅ。また会おうでしゅ」
あ、いじけた
それにしても変な試練だった
いや試練じゃないか
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