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蛇人族の国3

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 内部はドーム型の構造みたいで迷路になってるみたいだ
 天井が丸くてかなり広そう
 一階層しかないのかそれともたどり着いた先に次の階層へ行く道があるのかは分からないけど、進んでみるしかない
 ハクラちゃんが警戒しつつ前を歩いてくれるみたい
「なんだか前よりも感知能力がさえわたってる気がするんです。これはこの迷宮も素早くクリアできそうですよ!」
「ふふ、張り切ってるね」
「はい! 鬼ヶ島に帰った時お姉ちゃんに強くなった姿を見せたいですから」
「そっか、じゃあそのためにも頑張らないとね。でもクロハさんは今何をしてるんだろうね」
「お姉ちゃんのことですからきっと自分を高めてると思います。それに島には私の友人達、アカネたちもいますから、多分あの子達を鍛えてると思いますよ」
「ああ、スパルタそうだね」
「そうでもないですよ? お姉ちゃん教え方が上手いから皆習いたがります。実はアカネの方がスパルタなんですよ」
「そうなんだ、まぁでもアカネちゃんはそういうとこ真面目だもんね」
「そうなんですよ。こと訓練に関しては鬼教官です」
 そうやって話しながら迷宮を歩いて行くと角に差し掛かる手前でハクラちゃんが歩みを止めた
「精霊様、何かいます」
「魔物かな?」
「この魔力は恐らくそうです。でもそこまで強くなさそうですね。迎え撃ちましょう」
「うん」
 角を曲がったとたんこん棒を振り下ろしてきた何か
 それは牛の頭を持つミノタウロスだった
 結構おっきい上に顔が怖い
 そいつのこん棒攻撃を軽々避けて顔に蹴りをお見舞いした
 うわ、全然効いてない
「精霊様、こいつの皮膚は鋼鉄のように固いみたいです」
「それなら魔法だ! 極大魔法を一点に集中させるから、その間時間を稼いで!」
「はい! 神力解放! 秘剣技、白弧月しろこげつ!」
 刀を抜いて神力を刀に込めるとハクラちゃんは高く飛び上がって弧を描くようにミノタウロスの頭を斬りつけた
 すごい、少しだけど角に傷がついてる
 ハクラちゃんはその傷を寸分の違いもなく回転しながら斬り続け、なんと角を切り飛ばしてしまった
「ブグガァアアアアアアア!!」
「よし! ハクラちゃん下がって!」
「はい!」
 ハクラちゃんが下がってすぐに角を折られて暴れるミノタウロスに向かって極大魔法の集中砲火を行った
「極大魔法、トワイライトディレリア」
 棍棒を振り回して迷路の壁を叩きまくるミノタウロス、その腹部にレールガンのような魔法が直撃した
 焦げた大穴が腹部に空いてミノタウロスは倒れた
 消えていく死体、やっぱりここの迷宮の魔物も神様が作り出したものみたい
「ふぅ、動きが遅かったから何とかなったね」
「はい、私の剣技どうでしたか?」
「すごかったよ。あの角の硬度、ダイアモンドくらい固くなかった? 刀も刃こぼれ一つしてないし」
「ああ、それなんですが、なんだかこの刀、脈打ってておかしいんです?」
「え!?」
 刀が持ち主の力を受けて変化するのはよくあるみたいだけど、脈打つってどういうことなんだろう?
 僕の刀も僕の力を受けて神刀にまで昇華してるけど、脈打ったことはない
 ハクラちゃんの刀も確か神刀で、大昔の名工が打った一振りらしい
「分からないからやっぱり鬼神さんに聞こう」
「そうですね。早く会いたいです」
 それからまた歩き続けてまた曲がり角で魔物と出くわした
 今度もハクラちゃんが事前に察知してくれたおかげで先制攻撃に移れた
 ここで遭遇したのはアシッドスライムという魔物が数体で、このスライムは獲物を取り込んで溶かして食べちゃう恐ろしい魔物
 当然物理攻撃は効かないから魔法だね
 ハクラちゃんの神力が宿った刀による攻撃も効かなかったのには驚きだけど、スライムの核の部分をうまく狙って攻撃してる辺りさすがだ
「精霊魔法! フレアボルト!」
 炎と雷を混ぜた魔法で一気に殲滅、そしてやっぱり魔物はスーッと消えた
 その後もところどころで魔物と出くわすけど、うまく潜り抜けて探索は続く
 それにしてもこの迷路、何かがおかしい
 今までの迷宮だったらその土地にいる種族に関する魔物が出ていたけど、ここでは蛇型の魔物が一切でないんだ
 まぁそういうこともあるのかな?
 それよりも今は前に進むことだけを考えよう
「あ、見て下さい精霊様、この一本道の先、扉が見えますよ」
「ようやく、かな?」
「でしょうね、他に道もないようですし」
 そのまままっすぐ歩いて扉の前へ
 ゆっくりと扉を開くと次の階層へと繋がっているのが見えた
「ここであってるみたいですね」
「うん、結構あっさり来れたね」
 次の階層への扉を通り、二階層へ
 次の階層はなんだか生臭い変なタイルが張られた床のある場所で、くねった道がずーーーっと続いてるのが見えた
 壁もなくて道だけで、落ちたら戻ってこれなそうなほど底の見えない空間
 でも道が結構広いから大丈夫かな
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