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翼人族の国再び2
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実を言うとこの国にはもう一つの名前がある
というのも元々サリーシアという名前だったこの国には翼人族しかいなかったんだけど、鳥人族も住まうようになってから国土も広がって、二つ目の名前で呼ばれることも多くなった
それがバーデラルキングダム
翼を持つ者たちの国という意味を込めてるらしい
そしてこの国を治めているのは翼王ゼラーヴァさんという大きな翼が特徴の力強いおじさん
彼の娘である王女ナーリャちゃんはハクラちゃんの幼馴染なんだそうだ
空を飛んで切り立った山々を抜けてようやく城にたどり着くと兵が慌てたように飛び出してきた
「ハクラ様! もしやまた神話級の魔物が出たのでしょうか!?」
「いえ、今日来たのは迷宮に行くためなんですけど」
「そ、そうでしたか。早とちりしました」
「取りあえずゼラーヴァさんの所へ案内お願いします」
「はい! あ、その、そちらの方は?」
「こちらは精霊王女様です」
「なんと! 精霊の! それはそれはこのようなところまで来ていただき、感激であります」
「そんなに緊張しないで下さい。視察とかじゃないですから」
「は、はいぃい!」
声が震えてる
でもまぁ案内はしっかりしてくれた
それでゼラーヴァさんは初めて会ったけど、すらっとした渋いおじさんでかっこいい
お妃の姿は見えないけど、この日は公務で他国に行ってたみたい
「これはこれは精霊様! よくぞお越しいただきました。私がこの国の王ゼラーヴァです。ハクラ姫も、この前はありがとう」
そう言って椅子から降りて僕に膝ま付くゼラーヴァさん
「いえいえ、お礼ならお姉ちゃんに言ってください」
「ほれナーリャ、ご挨拶しなさい」
「はいお父様」
ゼラーヴァさんの隣に立っていた可愛らしい胸のかなり大きな女の子、それがナーリャちゃんらしい
ハクラちゃんよりも若くてほんわかした雰囲気
彼女は大きな胸をユサユサと揺らしながらお辞儀をした
うう、僕とハクラちゃんのコンプレックスをえぐってくれるじゃないか
「して本日は視察でしょうか? いかがでしょうかこの国は?」
「素晴らしい国だと思います。運送業が廃れ行く中でも別の仕事を見つけて様々な国との懸け橋にしている。それに自然と調和のとれた生活で僕達精霊にも住みよい場所だと感じま・・・。あ、違うんです。今日は視察ではなくてですね、迷宮に挑戦させてもらおうかなって」
「おお、そうでしたか! 迷宮はこの城の丁度真下、山の麓にあるのです。すぐに許可を出させますのでしばらくおまちください」
「はい」
「ハ、ハクラお姉ちゃん、待ってる間私がいれたお茶でもどうですか? 精霊様も是非!」
「うん、いただこうかな」
ナーリャちゃんに自室に案内されて香り高いハーブティーを出してもらった
すごくいい匂いで心が安らぐ
「そっか、お姉ちゃん、鬼神になれたんだ。やっぱりお姉ちゃんはすごいよ」
「えへへ、それほどでも」
「ハクラちゃんは努力家だからねぇ」
「はい! そうなんですよ精霊様! お姉ちゃんはいつでも頑張り屋さんですごいんです! 私が小っちゃい頃もいっぱい助けてくれて、それでそれで」
ナーリャちゃんは怒涛の勢いでハクラちゃん、それからクロハさんとの思い出を語り始めた
およそ一時間はずっと話し続けたと思う
最後に冷めたハーブティーをごくりと飲み下したところで扉がノックされた
「失礼いたします姫様、精霊様とハクラ様の迷宮手続きが完了いたしましたのでご報告を」
「ありがとうバルクス。さ、精霊様、お姉ちゃん、迷宮までは私が案内しますね」
ナーリャちゃんは嬉しそうに、それこそ宙に浮くかのような気持ちで僕らを城にある大扉の前まで連れてきてくれた
「これはえれべーたーという機械で、黒族の皆さんに取り付けてもらったものなのですが、これがまたすごく便利でして、迷宮まで一気に降りれるんです」
「わ、凄いねこれ」
「では行きましょう!」
ナーリャちゃんテンション高いなぁ
可愛い
僕とハクラちゃんもナーリャちゃんに続いてエレベーターに乗り込んだ
するとボタンが見当たらない
え、これどうやって動かすの?って思ってたけどいきなりエレベーターが動き出した
「魔力操作なんだこれ」
「はい、ここにあるオーブに魔力を注ぐと動く仕組みになってるんです。各階層に降りるためには何階かを思い浮かべればいいだけなんですよ。すごくないですか!?」
「ナーリャちゃんは機械に興味があるの?」
「機械?ですか?」
「こういう装置のことだよ」
「はい! 凄いですよねこれ! 私いつか黒族の国に行っていろんな、その、機械ですか? 機械に触れてみたいんですよ!」
「それはいい夢だね。もしよかったら今度黒族に話しておくよ」
「本当ですか! 是非にお願いしたいです!」
「ナ、ナーリャ! 精霊王女様だからそんなにがっついちゃだめだよ!」
「あわわわわ! ごめんなさい!」
「大丈夫だってば。ハクラちゃんももっと気さくに話してくれればいいのに」
「そ、そういうわけには」
「いいってば。友達でしょ?」
「はい!」
ハクラちゃんが嬉しそうにしてる
友達でしょって言うのは少し恥ずかしかったけど、ハクラちゃんもそう思っててくれてよかったよ
さてエレベーターは三千メートル以上の標高を一気に降りてもう麓に到着した
凄い速さなのにこの中の気圧が変わらないのは黒族の特殊技術によるものらしい
よし、気を入れなおして迷宮に挑戦しようっと
というのも元々サリーシアという名前だったこの国には翼人族しかいなかったんだけど、鳥人族も住まうようになってから国土も広がって、二つ目の名前で呼ばれることも多くなった
それがバーデラルキングダム
翼を持つ者たちの国という意味を込めてるらしい
そしてこの国を治めているのは翼王ゼラーヴァさんという大きな翼が特徴の力強いおじさん
彼の娘である王女ナーリャちゃんはハクラちゃんの幼馴染なんだそうだ
空を飛んで切り立った山々を抜けてようやく城にたどり着くと兵が慌てたように飛び出してきた
「ハクラ様! もしやまた神話級の魔物が出たのでしょうか!?」
「いえ、今日来たのは迷宮に行くためなんですけど」
「そ、そうでしたか。早とちりしました」
「取りあえずゼラーヴァさんの所へ案内お願いします」
「はい! あ、その、そちらの方は?」
「こちらは精霊王女様です」
「なんと! 精霊の! それはそれはこのようなところまで来ていただき、感激であります」
「そんなに緊張しないで下さい。視察とかじゃないですから」
「は、はいぃい!」
声が震えてる
でもまぁ案内はしっかりしてくれた
それでゼラーヴァさんは初めて会ったけど、すらっとした渋いおじさんでかっこいい
お妃の姿は見えないけど、この日は公務で他国に行ってたみたい
「これはこれは精霊様! よくぞお越しいただきました。私がこの国の王ゼラーヴァです。ハクラ姫も、この前はありがとう」
そう言って椅子から降りて僕に膝ま付くゼラーヴァさん
「いえいえ、お礼ならお姉ちゃんに言ってください」
「ほれナーリャ、ご挨拶しなさい」
「はいお父様」
ゼラーヴァさんの隣に立っていた可愛らしい胸のかなり大きな女の子、それがナーリャちゃんらしい
ハクラちゃんよりも若くてほんわかした雰囲気
彼女は大きな胸をユサユサと揺らしながらお辞儀をした
うう、僕とハクラちゃんのコンプレックスをえぐってくれるじゃないか
「して本日は視察でしょうか? いかがでしょうかこの国は?」
「素晴らしい国だと思います。運送業が廃れ行く中でも別の仕事を見つけて様々な国との懸け橋にしている。それに自然と調和のとれた生活で僕達精霊にも住みよい場所だと感じま・・・。あ、違うんです。今日は視察ではなくてですね、迷宮に挑戦させてもらおうかなって」
「おお、そうでしたか! 迷宮はこの城の丁度真下、山の麓にあるのです。すぐに許可を出させますのでしばらくおまちください」
「はい」
「ハ、ハクラお姉ちゃん、待ってる間私がいれたお茶でもどうですか? 精霊様も是非!」
「うん、いただこうかな」
ナーリャちゃんに自室に案内されて香り高いハーブティーを出してもらった
すごくいい匂いで心が安らぐ
「そっか、お姉ちゃん、鬼神になれたんだ。やっぱりお姉ちゃんはすごいよ」
「えへへ、それほどでも」
「ハクラちゃんは努力家だからねぇ」
「はい! そうなんですよ精霊様! お姉ちゃんはいつでも頑張り屋さんですごいんです! 私が小っちゃい頃もいっぱい助けてくれて、それでそれで」
ナーリャちゃんは怒涛の勢いでハクラちゃん、それからクロハさんとの思い出を語り始めた
およそ一時間はずっと話し続けたと思う
最後に冷めたハーブティーをごくりと飲み下したところで扉がノックされた
「失礼いたします姫様、精霊様とハクラ様の迷宮手続きが完了いたしましたのでご報告を」
「ありがとうバルクス。さ、精霊様、お姉ちゃん、迷宮までは私が案内しますね」
ナーリャちゃんは嬉しそうに、それこそ宙に浮くかのような気持ちで僕らを城にある大扉の前まで連れてきてくれた
「これはえれべーたーという機械で、黒族の皆さんに取り付けてもらったものなのですが、これがまたすごく便利でして、迷宮まで一気に降りれるんです」
「わ、凄いねこれ」
「では行きましょう!」
ナーリャちゃんテンション高いなぁ
可愛い
僕とハクラちゃんもナーリャちゃんに続いてエレベーターに乗り込んだ
するとボタンが見当たらない
え、これどうやって動かすの?って思ってたけどいきなりエレベーターが動き出した
「魔力操作なんだこれ」
「はい、ここにあるオーブに魔力を注ぐと動く仕組みになってるんです。各階層に降りるためには何階かを思い浮かべればいいだけなんですよ。すごくないですか!?」
「ナーリャちゃんは機械に興味があるの?」
「機械?ですか?」
「こういう装置のことだよ」
「はい! 凄いですよねこれ! 私いつか黒族の国に行っていろんな、その、機械ですか? 機械に触れてみたいんですよ!」
「それはいい夢だね。もしよかったら今度黒族に話しておくよ」
「本当ですか! 是非にお願いしたいです!」
「ナ、ナーリャ! 精霊王女様だからそんなにがっついちゃだめだよ!」
「あわわわわ! ごめんなさい!」
「大丈夫だってば。ハクラちゃんももっと気さくに話してくれればいいのに」
「そ、そういうわけには」
「いいってば。友達でしょ?」
「はい!」
ハクラちゃんが嬉しそうにしてる
友達でしょって言うのは少し恥ずかしかったけど、ハクラちゃんもそう思っててくれてよかったよ
さてエレベーターは三千メートル以上の標高を一気に降りてもう麓に到着した
凄い速さなのにこの中の気圧が変わらないのは黒族の特殊技術によるものらしい
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