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猿人族の国7

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 全狒々を倒し終えたところでようやく扉が開いた
 少し休んでから僕らは扉をくぐった
 扉の先にはそれはそれは見事な雪景色が広がっていて、ハクラちゃんが白いオーラを纏い始めた
「雪は私を強化してくれるんです。どんどん力が高まっていますよ!」
「ホントだ、神力もなんかすごいことになってる気がする」
「確かに、周囲が歪むほどの力になてるネ。その特殊な能力は鬼神になてからなのカ?」
「いえ、これは生まれつきですね。私達鬼仙や鬼人は色にまつわる能力を持っていることが多いのですが、例えば赤鬼のアカネなら炎、黄鬼のキキなら雷、青鬼ソウカなら風といったように、様々な能力があるんです。あ、あとお姉ちゃんは闇ですね。闇と言っても結構万能で、闇の炎やブラックホールのようなものも作り出せますね」
「ほえー、あなたのおねさんヤバそネ」
「そうだね、怒らせたりハクラちゃんのこととなるととんでもないことになるかも」
「妹思いなんですよ」
「妹重いの間違いじゃないかネ?」
「な!? 失礼ですね! 失礼ですね!」
 ハクラちゃんはぷんぷんと怒っているけど、ハクラちゃんをからかえて満足そうなルカナさんを見て怒る気を無くしたらしい
 それからふぅとため息をついて歩き始めた
 幸いにも吹雪いてないから歩きやすい
 まぁ吹雪いたとしても僕が止めるけどね
 あ、でもここ迷宮だからできないのかも
「ねぇ、これって、どこに向かえばいいんだろう」
「あ、確かにそうですね、扉からまっすぐ歩いてきましたけど、指針が示されてませんね。どこに行けばいいんでしょうかね?」
「うーん、目印もないヨ」
 参った、とりあえずまっすぐ進んでるけど目的地が分からないしなにか導になるようなものもないし、手づまり?
 いや、ちょっと空を飛んでみるかな?
 僕は魔力を込める
 よかった、ここは空が飛べるみたいだ
「ハクラちゃん、飛べそうだよ」
「はい! 私も飛びます。ルカナさん、掴まってください」
「私精霊様がいいヨ」
「あなたは精霊様に変なことをしそうなので駄目です」
「えー、せかくチャンスと思たのに」
「ほら早く掴まってください」
「わかたヨ。こちで我慢するネ」
 ルカナさんはそういうとハクラちゃんのお尻を思いっきり鷲掴みにした
「キャアアア! 何してるんですか!」
「私姫もイケるヨ。むしろ好物ネ」
「もう歩いてください」
「ままま待てヨ! 冗談、冗談ネ。いやちょと本気だけどもうしないヨ!」
 ハクラちゃんに必死で謝ってようやく機嫌を直してもらってる
 全くこの人は
「ねぇハクラちゃん、あっちの方に何か光ってるよ」
「そっちに行ってみましょう!」
 現在地から遥か東に何か赤く光るものが見えたのでそちらの方向へ飛んだ
 歩きならかなりの距離だったろうけど、空から行けばすぐだった
 で、赤く光っているのは次の階層への扉で、その天井部にあるランプが光ってたんだ
 ただ扉自体は開いてなくて、押しても引いても駄目
「これって何か条件を達成すれば開くんですかね?」
「そみたいヨ。さっきのとこも狒々全部倒したら開いたネ」
「じゃぁさっきみたいに何か倒さないといけないのかな?」
「そだと思うヨ」
 何か見落としてないか思い出していると、突然地鳴りがして遠くの方から雪煙が上がり、何かが走ってきているのが見えた
 お、大きい! かなりの大きさの何かだ
「あれって魔物?」
「そうですね」
「あんな大きい魔物、倒すの?」
「そうネ」
 大きな、それこそ小山ほどもある白いゴリラ?
 それがいきなり腕を振り下ろしてきた
「これはイエティネ。でもこのサイズ、明らかに普通じゃないヨ!」
「イエティ!? 初めて見た」
「悠長なこと言ってる場合じゃないです! また攻撃が来ます!」
 がんがんとまるでゴキブリをつぶすかのように怒涛の攻撃が迫る
 僕らはその攻撃をよけながら攻撃を開始した
 僕は魔法で、ハクラちゃんは神力と刀で、ルカナさんは雷を纏った如意棒でそれぞれ攻撃
 ルカナさんの雷が一番効いてるみたいだ
 それならと、僕も雷系の魔法に切り替えてとにかく足を攻撃した
 なかなかダメージを与えられないけど、少しずつ痺れさせてようやく膝をつかせた
「今ヨ!」
「鬼仙剣術極! 白式小円はくしきこえん、天!」
 刀で小さな円を描くようにして前を切ると、そこの空間に穴が開いた
 というより空間ごとイエティの腹部に穴が開いてる
「姫すごいネ。これほどの剣技、なかなかお目にかかれないヨ!」
「褒めても何も出ませんよ」
「ちっ、あわよくばお尻もみもみできると思たノニ」
「やめてくださいそういうの!」
 この人は、セクハラせずにはいられないんだろうか?
 あとでワスカさんに叱ってもらっておこう
 まぁここから生きて出られたらだけど
 この先もこんな強敵が出るかもしれないし
 でもどうしたんだろう? しばらく待ってるけど一向に扉が開かない
 もしかしてまだ条件を達成してないのかな?
 それからまた待ってみたけど、全然開かないからもう一度空を飛んで周囲を見渡してみた
 するとまた地鳴りがして、今度は三匹の巨大イエティが走って来た
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