385 / 1,022
猿人族の国6
しおりを挟む
さらに先に進んでいくと今度は大きな木々が生える森になっている場所に出た
あれ? 次の階層への扉ってまだなのかな?
不思議に思いつつも道が続くのでまっすぐ進んでいく
なんだか森のそこかしこから見られてる気がするんだけど
「精霊様、気を付けるネ。もう囲まれてるヨ」
「え、やっぱり何かいるの?」
「恐らく狒々ネ。群れで敵を襲う厄介な魔物ヨ。凶暴で、迷宮以外でも人を食べることあるヨ」
「そういえばこの迷宮の名前って“狒々王の迷宮”って言ってたね。ってことは、やっぱり最奥には狒々の王がいるってこと?」
「私は入ったことなかったから分からないヨ。ワスカ様なら何度か入ってるネ」
「勇気が試されるって言ってたけど、どういうことなんだろ?」
「それも分からないヨ。でもエコ様が結構中を変えてるっておしゃてたから、ワスカ様が挑戦した時とは違うかもしれないヨ」
「そっか、あれ? ハクラちゃん何してるの?」
「その、ちょっと、頭上に、何かいませんか?」
しきりにキョロキョロしてるハクラちゃんの上を見ると、複数の狒々と見られる魔物が不気味な笑い顔でハクラちゃんを見ていた
そして僕らが気づいたと同時に、一気にとびかかってきた
「うわ!」
「ひっこの!」
「何するかこの変態!」
「それはルカナさんに言われたくないと思、ちょ、ほんとにどこ触ってるんだよ!」
狒々たちは僕らの体をまさぐっている
なんていやらしい手つきなんだ
僕とハクラちゃんはお尻を、ルカナさんは胸を揉みしだかれる
「この! いい加減にしろ!」
怒って魔力を思いっきり解放して精霊魔法を撃ち込む
燃え上がる狒々たち。だけどすぐに体についた火は消えて、狒々はニヤリと笑う
「こいつら、魔法に耐性あるみたいヨ。私がボッコボコにするネ!」
「私も、アフン。手伝います。アヒッ」
拳に気力を溜めて殴り始めるルカナさんに続いて、つやめかしい声をあげながら刀を抜くハクラちゃん
ハクラちゃんのお尻にはずっと狒々の一匹が張り付いていやらしい顔をしている
それを引きはがして斬りつけた
どうやら刀や拳による物理攻撃なら有効みたいだね
僕も体にまとわりついていた狒々を引きはがしてハクラちゃんの方に投げ、それをハクラちゃんが斬り伏せる
数が数だけに結構時間を食ったし、体力、というか精神的に疲れたよ
終わったころには三人とも満身創痍
とりあえず森の先にあった広場で休むことにした
「うひぃ、お尻がぁ」
「そちはまだいいヨ。こちなんて胸ネ。もうお嫁いけないヨ。精霊様貰てネ」
「あ、遠慮します」
「はぁ、姫はいいヨ。胸ないから」
「な!? 私だって少しありますよほら!」
「胸張っても出ないて相当ネ。お尻はいい形してるヨ」
「・・・。やっぱり、もう成長しないですよね?」
「精神生命体になったんだから、その辺調整できるんじゃないの?」
「それが、なぜか胸だけサイズが変わらないんです。あ、やばいです、泣きそうです」
なんというか、かける言葉が見つからないな
僕はまだ精霊の幼体と言っていいから、この先成長する見込みもあるんだけど、鬼神についてはまったくわかっていないしなぁ
もしかしたら他の世界なら鬼神に関する情報があるかも
あ、でも神様自体が鬼神の情報があまりないって言ってたしなぁ
やっぱりかつてこの世界から旅立ったっていう絶桜鬼さんに会うしかないのかな?
いつか帰ってくるって言ってたみたいだけど、それから何万年も経ってるみたいだし、もう帰ってこない可能性もある
とりあえずうなだれるハクラちゃんを励まして、また先へ進み始めた
まだまだ森は続き、狒々の数も増えてきて、本当に精神がすり減っていく
なんだよこれ、セクハラの森だよ
ルカナさんが言うには、本来の狒々はただ襲ってきて人を傷つけるんだけど、ここの狒々は何かおかしいみたい
何故かセクハラばかりしてくる
狒々を蹴散らしつつとにかく森の奥へ奥へ進んで、やっと次の階層への扉を見つけた
そしてその前には、恐らく数百匹はいるであろう狒々の大群がいたんだ
「お、多いですね。もう、お尻触られたくないです」
涙目のハクラちゃんの言うこともごもっとも
近寄ってくる前に全部蹴散らしてやる!
「精霊様、姫、少し離れて戦て欲しネ。最大限力発揮するヨ」
「分かった。ハクラちゃん」
「はい!」
僕とハクラちゃんはルカナさんから離れた場所で戦いを始めた
一人になったルカナさんを一斉に狒々が取り囲んで、彼女を埋め尽くした
「あ! ルカナさん!」
大変だ! あんな変態猿たちに囲まれたら、ルカナさんが!
助けに入ろうとしたけど、何か大きな力の流れを感じて止まった
バチバチという激しい音がして、狒々たちのあいだから上に如意棒が伸びる
その如意棒は雷を帯びていた
「雷哮!」
ルカナさんの声が狒々の塊の中から響いて、如意棒が打ち付けられるととてつもない衝撃が地面に走った
狒々たちは雷に打たれたかのように黒焦げになって地面に転がる
その一撃だけでルカナさんの周りにいた狒々は一気に全滅
残りの狒々たちも僕とハクラちゃんで一掃出来た
ルカナさん、まだこんな隠し玉を持ってたんだ
あれ? 次の階層への扉ってまだなのかな?
不思議に思いつつも道が続くのでまっすぐ進んでいく
なんだか森のそこかしこから見られてる気がするんだけど
「精霊様、気を付けるネ。もう囲まれてるヨ」
「え、やっぱり何かいるの?」
「恐らく狒々ネ。群れで敵を襲う厄介な魔物ヨ。凶暴で、迷宮以外でも人を食べることあるヨ」
「そういえばこの迷宮の名前って“狒々王の迷宮”って言ってたね。ってことは、やっぱり最奥には狒々の王がいるってこと?」
「私は入ったことなかったから分からないヨ。ワスカ様なら何度か入ってるネ」
「勇気が試されるって言ってたけど、どういうことなんだろ?」
「それも分からないヨ。でもエコ様が結構中を変えてるっておしゃてたから、ワスカ様が挑戦した時とは違うかもしれないヨ」
「そっか、あれ? ハクラちゃん何してるの?」
「その、ちょっと、頭上に、何かいませんか?」
しきりにキョロキョロしてるハクラちゃんの上を見ると、複数の狒々と見られる魔物が不気味な笑い顔でハクラちゃんを見ていた
そして僕らが気づいたと同時に、一気にとびかかってきた
「うわ!」
「ひっこの!」
「何するかこの変態!」
「それはルカナさんに言われたくないと思、ちょ、ほんとにどこ触ってるんだよ!」
狒々たちは僕らの体をまさぐっている
なんていやらしい手つきなんだ
僕とハクラちゃんはお尻を、ルカナさんは胸を揉みしだかれる
「この! いい加減にしろ!」
怒って魔力を思いっきり解放して精霊魔法を撃ち込む
燃え上がる狒々たち。だけどすぐに体についた火は消えて、狒々はニヤリと笑う
「こいつら、魔法に耐性あるみたいヨ。私がボッコボコにするネ!」
「私も、アフン。手伝います。アヒッ」
拳に気力を溜めて殴り始めるルカナさんに続いて、つやめかしい声をあげながら刀を抜くハクラちゃん
ハクラちゃんのお尻にはずっと狒々の一匹が張り付いていやらしい顔をしている
それを引きはがして斬りつけた
どうやら刀や拳による物理攻撃なら有効みたいだね
僕も体にまとわりついていた狒々を引きはがしてハクラちゃんの方に投げ、それをハクラちゃんが斬り伏せる
数が数だけに結構時間を食ったし、体力、というか精神的に疲れたよ
終わったころには三人とも満身創痍
とりあえず森の先にあった広場で休むことにした
「うひぃ、お尻がぁ」
「そちはまだいいヨ。こちなんて胸ネ。もうお嫁いけないヨ。精霊様貰てネ」
「あ、遠慮します」
「はぁ、姫はいいヨ。胸ないから」
「な!? 私だって少しありますよほら!」
「胸張っても出ないて相当ネ。お尻はいい形してるヨ」
「・・・。やっぱり、もう成長しないですよね?」
「精神生命体になったんだから、その辺調整できるんじゃないの?」
「それが、なぜか胸だけサイズが変わらないんです。あ、やばいです、泣きそうです」
なんというか、かける言葉が見つからないな
僕はまだ精霊の幼体と言っていいから、この先成長する見込みもあるんだけど、鬼神についてはまったくわかっていないしなぁ
もしかしたら他の世界なら鬼神に関する情報があるかも
あ、でも神様自体が鬼神の情報があまりないって言ってたしなぁ
やっぱりかつてこの世界から旅立ったっていう絶桜鬼さんに会うしかないのかな?
いつか帰ってくるって言ってたみたいだけど、それから何万年も経ってるみたいだし、もう帰ってこない可能性もある
とりあえずうなだれるハクラちゃんを励まして、また先へ進み始めた
まだまだ森は続き、狒々の数も増えてきて、本当に精神がすり減っていく
なんだよこれ、セクハラの森だよ
ルカナさんが言うには、本来の狒々はただ襲ってきて人を傷つけるんだけど、ここの狒々は何かおかしいみたい
何故かセクハラばかりしてくる
狒々を蹴散らしつつとにかく森の奥へ奥へ進んで、やっと次の階層への扉を見つけた
そしてその前には、恐らく数百匹はいるであろう狒々の大群がいたんだ
「お、多いですね。もう、お尻触られたくないです」
涙目のハクラちゃんの言うこともごもっとも
近寄ってくる前に全部蹴散らしてやる!
「精霊様、姫、少し離れて戦て欲しネ。最大限力発揮するヨ」
「分かった。ハクラちゃん」
「はい!」
僕とハクラちゃんはルカナさんから離れた場所で戦いを始めた
一人になったルカナさんを一斉に狒々が取り囲んで、彼女を埋め尽くした
「あ! ルカナさん!」
大変だ! あんな変態猿たちに囲まれたら、ルカナさんが!
助けに入ろうとしたけど、何か大きな力の流れを感じて止まった
バチバチという激しい音がして、狒々たちのあいだから上に如意棒が伸びる
その如意棒は雷を帯びていた
「雷哮!」
ルカナさんの声が狒々の塊の中から響いて、如意棒が打ち付けられるととてつもない衝撃が地面に走った
狒々たちは雷に打たれたかのように黒焦げになって地面に転がる
その一撃だけでルカナさんの周りにいた狒々は一気に全滅
残りの狒々たちも僕とハクラちゃんで一掃出来た
ルカナさん、まだこんな隠し玉を持ってたんだ
0
お気に入りに追加
113
あなたにおすすめの小説
あなたの冒険者資格は失効しました〜最強パーティが最下級から成り上がるお話
此寺 美津己
ファンタジー
祖国が田舎だってわかってた。
電車もねえ、駅もねえ、騎士さま馬でぐーるぐる。
信号ねえ、あるわけねえ、おらの国には電気がねえ。
そうだ。西へ行こう。
西域の大国、別名冒険者の国ランゴバルドへ、ぼくらはやってきた。迷宮内で知り合った仲間は強者ぞろい。
ここで、ぼくらは名をあげる!
ランゴバルドを皮切りに世界中を冒険してまわるんだ。
と、思ってた時期がぼくにもありました…
攫われた聖女~魔族って、本当に悪なの?~
月輪林檎
ファンタジー
人々を恐怖に陥れる存在や魔族を束ねる王と呼ばれる魔王。そんな魔王に対抗できる力を持つ者を勇者と言う。
そんな勇者を支える存在の一人として、聖女と呼ばれる者がいた。聖女は、邪な存在を浄化するという特性を持ち、勇者と共に魔王を打ち破ったとさえ言われている。
だが、代が変わっていく毎に、段々と聖女の技が魔族に効きにくくなっていた……
今代の聖女となったクララは、勇者パーティーとして旅をしていたが、ある日、勇者にパーティーから出て行けと言われてしまう。
勇者達と別れて、街を歩いていると、突然話しかけられ眠らされてしまう。眼を覚ました時には、目の前に敵である魔族の姿が……
人々の敵である魔族。その魔族は本当に悪なのか。クララは、魔族と暮らしていく中でその事について考えていく。
転生貴族の異世界無双生活
guju
ファンタジー
神の手違いで死んでしまったと、突如知らされる主人公。
彼は、神から貰った力で生きていくものの、そうそう幸せは続かない。
その世界でできる色々な出来事が、主人公をどう変えて行くのか!
ハーレム弱めです。
俺と幼女とエクスカリバー
鏡紫郎
ファンタジー
憧れた世界で人をやめ、彼女と出会い、そして俺は初めてあたりまえの恋におちた。
見知らぬ少女を助け死んだ俺こと明石徹(アカシトオル)は、中二病をこじらせ意気揚々と異世界転生を果たしたものの、目覚めるとなんと一本の「剣」になっていた。
最初の持ち主に使いものにならないという理由であっさりと捨てられ、途方に暮れる俺の目の前に現れたのは……なんと幼女!?
しかもこの幼女俺を復讐のために使うとか言ってるし、でもでも意思疎通ができるのは彼女だけで……一体この先どうなっちゃうの!?
剣になった少年と無口な幼女の冒険譚、ここに開幕
ダンジョン発生から20年。いきなり玄関の前でゴブリンに遭遇してフリーズ中←今ココ
高遠まもる
ファンタジー
カクヨム、なろうにも掲載中。
タイトルまんまの状況から始まる現代ファンタジーです。
ダンジョンが有る状況に慣れてしまった現代社会にある日、異変が……。
本編完結済み。
外伝、後日譚はカクヨムに載せていく予定です。
異世界転生してしまったがさすがにこれはおかしい
増月ヒラナ
ファンタジー
不慮の事故により死んだ主人公 神田玲。
目覚めたら見知らぬ光景が広がっていた
3歳になるころ、母に催促されステータスを確認したところ
いくらなんでもこれはおかしいだろ!
オタクおばさん転生する
ゆるりこ
ファンタジー
マンガとゲームと小説を、ゆるーく愛するおばさんがいぬの散歩中に異世界召喚に巻き込まれて転生した。
天使(見習い)さんにいろいろいただいて犬と共に森の中でのんびり暮そうと思っていたけど、いただいたものが思ったより強大な力だったためいろいろ予定が狂ってしまい、勇者さん達を回収しつつ奔走するお話になりそうです。
投稿ものんびりです。(なろうでも投稿しています)
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる