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獣人族の国再び8
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五階層目
もはや迷宮探索も慣れたもので、僕とハクラちゃんはナイスなチームワークでずんずん進んでいった
確実にSランク以上の強さを持ってる魔物でもハクラちゃんとのコンビネーションで簡単に倒せた
ただ迷路は前階層までより格段に難しくなってきていた
分かれ道がいくつもあって、何度も何度も迷っては印をつけて、ここでもないそっちでもないって迷い続けながらようやく守護者らしき魔物がいるフロアまでたどり着いた
ただここには転移用の扉が無いみたいだから、もしかしたらこういったフロアがいくつかあるのかも
とりあえずは今目の前にいる敵に集中しないと
ぐにょぐにょとした触手で出来たような犬の魔物、マッドドックローパーって言うらしい
魔力から考えるとBランクほどの魔物だから大して強くなさそう
先ほどまでと同じようにハクラちゃんが前衛から中衛で、僕が中衛から後衛で戦うことにした
まずハクラちゃんがその魔物の触手を斬りつけた
すると切り口からさらに多くの触手が生えてきてグネグネ動く。さらに切り落としだ触手までうねりながらこちらに向かってきた
「うわ気持ち悪い!」
すぐに炎魔法で燃やしたんだけど、それがいけなかった
どうやらこの触手は炎でさらに活性化するみたいで、いきなり大きくなって僕とはくれちゃんに絡みついた
「ひゃあ! 気持ち悪いよぉ」
「あふん、何なんですかこれ! ねばねばしますぅ」
触手の感触は本当に気持ち悪くて、にゅるにゅると僕たちの体にまとわりついてくる
それに、変なところに入ってくるからたちが悪い
これが人間族とかだったらとんでもないことになってるだろうけど、幸いにも僕らは精神生命体だから体が無いも同じ
「ハクラちゃん、いったん魔力を拡散させて構成している体をばらけさせて」
「は、はい!」
僕らはほぼ同時に魔力を散らせて体を変換させた
このまま散らしたままだと死んじゃうから、すぐに意識を集中させて体を元に戻す
ハクラちゃんの方を見ると、戻るのに苦労しているのか体が透けてる
「ハクラちゃん、元の体を強く意識してみて」
「やってみます」
彼女がグッと目をつむって意識を集中させている間、触手がまた襲ってきたから僕は氷魔法でそれを凍らせた
今度は効果があったみたいで、触手はカチコチに凍ってしまった
それを見ていて安心していたら、元に戻っていたハクラちゃんが今度は触手犬の本体に襲われて、口では言い合わらせないような姿になっていた
これはまずいまずいまずいですよ
モザイクがかかりそうな姿に僕は慌ててハクラちゃんごと触手犬を凍らせてしまった
でもさすが氷に耐性、それどころか無効化までしてしまうハクラちゃん、その氷からするりと抜け出してきた
「精霊様、びっくりするじゃないですか・・・」
「ごめんね、ちょっとハクラちゃんが大変なことになりすぎてて慌てちゃった」
「でも助かりました、ありがとうございます」
とりあえず触手犬を倒せたところで、さっきまでなかった道が現れた
これはどうやらさらに奥へ向かって同じようなことを繰り返す迷路なのかも
で、また彷徨って彷徨い続けて、精神的に参ってるころ合いで次の部屋が見つかった
そこには今度は犬の頭を持った巨人が立っていた
大きさ七メートルほどで、こちらを見た瞬間に走って来た
「うわ! 好戦的だなぁ」
「一刀、白銀の天風」
氷の刃が空中を舞って犬巨人を斬りつける
スパスパと皮膚を少し傷つけただけでそんなに効いてないみたいだ
「あれぇ、鉄でも切り裂くんですけどね」
「言ってる場合じゃないよ! 拳迫ってる!」
「精霊様は傷つけさせません!」
ハクラちゃんが刀でその拳を受け止めると、地面がボコンとくぼんだ
相当な力で攻撃されたのにも関わらず、ハクラちゃんはその拳を涼しい顔で受けてるからすごい
体が小さくなってるのに、パワーは変わってないのかな?
「散雪、あなたの力を見せてあげて」
刀に、話しかけてる?
ハクラちゃんの神刀である散雪はその言葉にこたえるように淡く光って、犬巨人を段々と凍らせていった
「ハァッ!」
完全に凍った犬巨人をハクラちゃんは一気に砕いて破壊した
その直後にまた次の道への扉が開く
「さっきのと違ってすぐ倒せたね」
「はい、でもあの犬頭の巨人、なんだか表情が私に甘えて来るお姉ちゃんの表情と同じだったような」
「ここはそんな魔物しかいないのか・・・」
「へ?」
「う、ううん、こっちの話」
「そうですか」
不思議そうな顔をしてるけど、この子にはこのまま純粋でいて欲しいから何も言わない
さて、気を取り直して先に進もう
やっぱり同じように迷いながら進んで、どうやら最後の部屋に到着した
そこには歴戦の戦士風のコボルトが二人立っていて、こちらを見て剣を抜いた
「もうやる気満々のようですよ。見たところ剣の達人のようです」
「ハクラちゃん、倒せそう?」
「任せてください! こういう時のために修行していたのですから!」
ハクラちゃんも刀を抜いて構える
片方のコボルトはそれを見てその場に座り込んだ
どうやら武人気質みたいで、一人ずつ戦うみたい
ハクラちゃんは目をつむって精神を統一させる
どちらも一部の隙も無くて、動こうとしない
二人ともどちらかが動くのを待っているのだろう
やがてハクラちゃんが目をカッと見開いて、一瞬でコボルトとの間合いを詰めて胴を薙いだ
「すご、全然見えなかった」
「相手も、かなりの実力の持ち主でした。みて下さいこれ」
うわ、物理攻撃がほぼ無効のハクラちゃんの腕に傷がピーっとついてる
すぐにその傷を回復させると、もう一人のコボルトが立ち上がって剣を構えた
次は自分の番ってことだね
もはや迷宮探索も慣れたもので、僕とハクラちゃんはナイスなチームワークでずんずん進んでいった
確実にSランク以上の強さを持ってる魔物でもハクラちゃんとのコンビネーションで簡単に倒せた
ただ迷路は前階層までより格段に難しくなってきていた
分かれ道がいくつもあって、何度も何度も迷っては印をつけて、ここでもないそっちでもないって迷い続けながらようやく守護者らしき魔物がいるフロアまでたどり着いた
ただここには転移用の扉が無いみたいだから、もしかしたらこういったフロアがいくつかあるのかも
とりあえずは今目の前にいる敵に集中しないと
ぐにょぐにょとした触手で出来たような犬の魔物、マッドドックローパーって言うらしい
魔力から考えるとBランクほどの魔物だから大して強くなさそう
先ほどまでと同じようにハクラちゃんが前衛から中衛で、僕が中衛から後衛で戦うことにした
まずハクラちゃんがその魔物の触手を斬りつけた
すると切り口からさらに多くの触手が生えてきてグネグネ動く。さらに切り落としだ触手までうねりながらこちらに向かってきた
「うわ気持ち悪い!」
すぐに炎魔法で燃やしたんだけど、それがいけなかった
どうやらこの触手は炎でさらに活性化するみたいで、いきなり大きくなって僕とはくれちゃんに絡みついた
「ひゃあ! 気持ち悪いよぉ」
「あふん、何なんですかこれ! ねばねばしますぅ」
触手の感触は本当に気持ち悪くて、にゅるにゅると僕たちの体にまとわりついてくる
それに、変なところに入ってくるからたちが悪い
これが人間族とかだったらとんでもないことになってるだろうけど、幸いにも僕らは精神生命体だから体が無いも同じ
「ハクラちゃん、いったん魔力を拡散させて構成している体をばらけさせて」
「は、はい!」
僕らはほぼ同時に魔力を散らせて体を変換させた
このまま散らしたままだと死んじゃうから、すぐに意識を集中させて体を元に戻す
ハクラちゃんの方を見ると、戻るのに苦労しているのか体が透けてる
「ハクラちゃん、元の体を強く意識してみて」
「やってみます」
彼女がグッと目をつむって意識を集中させている間、触手がまた襲ってきたから僕は氷魔法でそれを凍らせた
今度は効果があったみたいで、触手はカチコチに凍ってしまった
それを見ていて安心していたら、元に戻っていたハクラちゃんが今度は触手犬の本体に襲われて、口では言い合わらせないような姿になっていた
これはまずいまずいまずいですよ
モザイクがかかりそうな姿に僕は慌ててハクラちゃんごと触手犬を凍らせてしまった
でもさすが氷に耐性、それどころか無効化までしてしまうハクラちゃん、その氷からするりと抜け出してきた
「精霊様、びっくりするじゃないですか・・・」
「ごめんね、ちょっとハクラちゃんが大変なことになりすぎてて慌てちゃった」
「でも助かりました、ありがとうございます」
とりあえず触手犬を倒せたところで、さっきまでなかった道が現れた
これはどうやらさらに奥へ向かって同じようなことを繰り返す迷路なのかも
で、また彷徨って彷徨い続けて、精神的に参ってるころ合いで次の部屋が見つかった
そこには今度は犬の頭を持った巨人が立っていた
大きさ七メートルほどで、こちらを見た瞬間に走って来た
「うわ! 好戦的だなぁ」
「一刀、白銀の天風」
氷の刃が空中を舞って犬巨人を斬りつける
スパスパと皮膚を少し傷つけただけでそんなに効いてないみたいだ
「あれぇ、鉄でも切り裂くんですけどね」
「言ってる場合じゃないよ! 拳迫ってる!」
「精霊様は傷つけさせません!」
ハクラちゃんが刀でその拳を受け止めると、地面がボコンとくぼんだ
相当な力で攻撃されたのにも関わらず、ハクラちゃんはその拳を涼しい顔で受けてるからすごい
体が小さくなってるのに、パワーは変わってないのかな?
「散雪、あなたの力を見せてあげて」
刀に、話しかけてる?
ハクラちゃんの神刀である散雪はその言葉にこたえるように淡く光って、犬巨人を段々と凍らせていった
「ハァッ!」
完全に凍った犬巨人をハクラちゃんは一気に砕いて破壊した
その直後にまた次の道への扉が開く
「さっきのと違ってすぐ倒せたね」
「はい、でもあの犬頭の巨人、なんだか表情が私に甘えて来るお姉ちゃんの表情と同じだったような」
「ここはそんな魔物しかいないのか・・・」
「へ?」
「う、ううん、こっちの話」
「そうですか」
不思議そうな顔をしてるけど、この子にはこのまま純粋でいて欲しいから何も言わない
さて、気を取り直して先に進もう
やっぱり同じように迷いながら進んで、どうやら最後の部屋に到着した
そこには歴戦の戦士風のコボルトが二人立っていて、こちらを見て剣を抜いた
「もうやる気満々のようですよ。見たところ剣の達人のようです」
「ハクラちゃん、倒せそう?」
「任せてください! こういう時のために修行していたのですから!」
ハクラちゃんも刀を抜いて構える
片方のコボルトはそれを見てその場に座り込んだ
どうやら武人気質みたいで、一人ずつ戦うみたい
ハクラちゃんは目をつむって精神を統一させる
どちらも一部の隙も無くて、動こうとしない
二人ともどちらかが動くのを待っているのだろう
やがてハクラちゃんが目をカッと見開いて、一瞬でコボルトとの間合いを詰めて胴を薙いだ
「すご、全然見えなかった」
「相手も、かなりの実力の持ち主でした。みて下さいこれ」
うわ、物理攻撃がほぼ無効のハクラちゃんの腕に傷がピーっとついてる
すぐにその傷を回復させると、もう一人のコボルトが立ち上がって剣を構えた
次は自分の番ってことだね
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