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三獣鬼と三妖鬼14
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資料整理も終わったから私はしばらく里をフラフラと歩いた
自分だけ皆に取り残されてる気がしてどうしても落ち着かなかったから
訓練所の方へ行ってみるとあのマリハが子供達を指導していた
言っていることは何を言っているのかは分からないけど、真面目に指導してるみたいでびっくり
あ、なんだか急に雰囲気が変わった。あれ、本気のマリハじゃない
大丈夫なのかしら子供達、とは思ったけど、マリハは面倒見がいいし、子供達が変な言葉を覚えちゃうってのだけが心配
マリハの様子をしばらく眺めた後私は港に行ってみた
アカネが兵たちの訓練のためにアヤカシに挑んだと聞いたけど、大丈夫かな?
あの子は確かに強いし、今のあの子ならアヤカシ一匹くらいならどうとでもなる
でも胸騒ぎが・・・
港に来るとその胸騒ぎが当たっていたみたいだったわ
港にはボロボロの船と満身創痍の兵たち、それと傷だらけのアカネが寝かされていた
幸い軽傷みたいでよかったけど、一体何があったのかしら
「アカネ、アカネ、どうしたの? あなたほどの戦士がそんなに傷だらけで」
「う、みっともないとこ見せちゃったっすねキキ、実は、沖にいたのはアヤカシじゃなかったんす。あれは、今まで見たこともないこの国どころかこの世界にはいないはずの、龍のような魔物だったっす。あの強さ、恐らく神話級っすね。あたし一人じゃ殺されてたと思うとゾッとしないっすよ。まあこいつらが予想以上に強くなっててくれたから助かったってとこっすね」
そういえば兵の男たちは力を使い果たして眠りこけてる
よく頑張ったってことね。って何人か進化してるじゃない!
鬼仙は鬼子童子きしどうじという童子ほどじゃないけどそれなりに強い種族に、鬼人たちはその全てが獄卒や幽鬼、妖鬼へと進化を果たしていた
ここ数千年、ここまでの大規模な進化はなかった
鬼ヶ島の鬼たちに何か起きていると考えられるけど、この成長はいいものだと思う
それにまたしても現れた神話級の魔物
こんなのがホイホイ現れたんじゃ溜まったものじゃないわね
早急に原因を調査しないと
そういえば以前妖怪族の国に現れた神話級は封印を解かれていたと言われていたわね
その封印が解かれる少し前に見られた黒いフードを着た何か
各国で共有されているその情報に何か手掛かりがあるかもしれない
早速この港で聞き込みを始めましょう
私はアカネたちが運ばれていくのを見送ってから港町の調査を開始した
私だけでは手が足りそうにないので一応アカネに伝言を頼んでおいたけど、来てくれるかしらカイラ
あの子コクウさんの言うことしか聞いてくれないから
まあアカネもそのことを知ってるからコクウさんに話してコクウさんからカイラに話がいくはず
こういった調査にはカイラは非常に優秀なのよね
どんなものでも見抜く目と聞き逃さない耳を持つ諜報部のトップ、それがカイラ
あの子も、才能ある子
なら才能のない私は? 何をすればいい?
分かってる、地道に足を使って努力するしかない
才能の差は努力で埋められるものじゃないけど、努力すれば少なくとも・・・
足は引っ張りたくない
私は聞き込みをしながらカイラの到着を待ち、夕方ごろにようやくカイラがやって来た
「まーーったく、何のようなんだわ! わちきってば今日はコクウ様を追跡してその行動を一部始終監視する日なのに!」
「カイラ、今はそんな場合じゃありませんよ。コクウさんにも言われたでしょう?」
「う、そりゃそうだけどよ、わちきはコクウ様の一挙手一投足を見逃したくないんだわ。まぁ来たからにはちゃんと仕事はするわな」
カイラが仙力を使う
いつ見ても洗練されてて美しいとさえ思う
カイラはウサギ耳をピーンと立てると周囲を見回した
「あんたのことだからどうせ大した情報も得られなかったでしょ? 全く、わちきがそれらしい目撃をしたやつを何人か見つけといたからそいつらに聞いてみればいいわな。じゃ、わちきは帰るわな」
それだけ言うとカイラはとっとと帰ってしまった
リストアップしてくれたのは助かったけど、もう少しいてくれてもいいのに
あの子も昔はああじゃなかった
甘えん坊でいつも皆の後をついて来ていた一番小さな子だった
特にハクラちゃんにべったりだった覚えがある
みんな、変わっていくもんなんだね
私だけ変わらない、いえ、変われない
進化したからなんだって言うんだろう
もっと、もっと力が欲しい、私みたいに弱くてとりえもない鬼なんて
いる価値があるのかしら
考えこめば思いが次から次へと溢れて来る
ひとまずリストアップにあった人々に話を聞いたところ
やっぱり黒いフードを着た人物を見たという情報が得れた
ただ、以前まであった情報と違ってその見た目は女性のようだったらしい
それまでの情報は大柄の男
この黒いフード、複数いるってことなの?
ひとまず今私のことなんてどうでもいい
私は今私のやれることをやらなくちゃ
そう思って港町から去ろうとした瞬間、私は急に気が遠くなって意識を失った
そして目覚めたとき、洞窟のような場所で私は縛られ、目の前には黒いフードの女が立っていた
その女は一言
「いい素材見つけた」
私は恐怖に顔を引きつらせながらその女の手が伸びるのをただ見ていた
自分だけ皆に取り残されてる気がしてどうしても落ち着かなかったから
訓練所の方へ行ってみるとあのマリハが子供達を指導していた
言っていることは何を言っているのかは分からないけど、真面目に指導してるみたいでびっくり
あ、なんだか急に雰囲気が変わった。あれ、本気のマリハじゃない
大丈夫なのかしら子供達、とは思ったけど、マリハは面倒見がいいし、子供達が変な言葉を覚えちゃうってのだけが心配
マリハの様子をしばらく眺めた後私は港に行ってみた
アカネが兵たちの訓練のためにアヤカシに挑んだと聞いたけど、大丈夫かな?
あの子は確かに強いし、今のあの子ならアヤカシ一匹くらいならどうとでもなる
でも胸騒ぎが・・・
港に来るとその胸騒ぎが当たっていたみたいだったわ
港にはボロボロの船と満身創痍の兵たち、それと傷だらけのアカネが寝かされていた
幸い軽傷みたいでよかったけど、一体何があったのかしら
「アカネ、アカネ、どうしたの? あなたほどの戦士がそんなに傷だらけで」
「う、みっともないとこ見せちゃったっすねキキ、実は、沖にいたのはアヤカシじゃなかったんす。あれは、今まで見たこともないこの国どころかこの世界にはいないはずの、龍のような魔物だったっす。あの強さ、恐らく神話級っすね。あたし一人じゃ殺されてたと思うとゾッとしないっすよ。まあこいつらが予想以上に強くなっててくれたから助かったってとこっすね」
そういえば兵の男たちは力を使い果たして眠りこけてる
よく頑張ったってことね。って何人か進化してるじゃない!
鬼仙は鬼子童子きしどうじという童子ほどじゃないけどそれなりに強い種族に、鬼人たちはその全てが獄卒や幽鬼、妖鬼へと進化を果たしていた
ここ数千年、ここまでの大規模な進化はなかった
鬼ヶ島の鬼たちに何か起きていると考えられるけど、この成長はいいものだと思う
それにまたしても現れた神話級の魔物
こんなのがホイホイ現れたんじゃ溜まったものじゃないわね
早急に原因を調査しないと
そういえば以前妖怪族の国に現れた神話級は封印を解かれていたと言われていたわね
その封印が解かれる少し前に見られた黒いフードを着た何か
各国で共有されているその情報に何か手掛かりがあるかもしれない
早速この港で聞き込みを始めましょう
私はアカネたちが運ばれていくのを見送ってから港町の調査を開始した
私だけでは手が足りそうにないので一応アカネに伝言を頼んでおいたけど、来てくれるかしらカイラ
あの子コクウさんの言うことしか聞いてくれないから
まあアカネもそのことを知ってるからコクウさんに話してコクウさんからカイラに話がいくはず
こういった調査にはカイラは非常に優秀なのよね
どんなものでも見抜く目と聞き逃さない耳を持つ諜報部のトップ、それがカイラ
あの子も、才能ある子
なら才能のない私は? 何をすればいい?
分かってる、地道に足を使って努力するしかない
才能の差は努力で埋められるものじゃないけど、努力すれば少なくとも・・・
足は引っ張りたくない
私は聞き込みをしながらカイラの到着を待ち、夕方ごろにようやくカイラがやって来た
「まーーったく、何のようなんだわ! わちきってば今日はコクウ様を追跡してその行動を一部始終監視する日なのに!」
「カイラ、今はそんな場合じゃありませんよ。コクウさんにも言われたでしょう?」
「う、そりゃそうだけどよ、わちきはコクウ様の一挙手一投足を見逃したくないんだわ。まぁ来たからにはちゃんと仕事はするわな」
カイラが仙力を使う
いつ見ても洗練されてて美しいとさえ思う
カイラはウサギ耳をピーンと立てると周囲を見回した
「あんたのことだからどうせ大した情報も得られなかったでしょ? 全く、わちきがそれらしい目撃をしたやつを何人か見つけといたからそいつらに聞いてみればいいわな。じゃ、わちきは帰るわな」
それだけ言うとカイラはとっとと帰ってしまった
リストアップしてくれたのは助かったけど、もう少しいてくれてもいいのに
あの子も昔はああじゃなかった
甘えん坊でいつも皆の後をついて来ていた一番小さな子だった
特にハクラちゃんにべったりだった覚えがある
みんな、変わっていくもんなんだね
私だけ変わらない、いえ、変われない
進化したからなんだって言うんだろう
もっと、もっと力が欲しい、私みたいに弱くてとりえもない鬼なんて
いる価値があるのかしら
考えこめば思いが次から次へと溢れて来る
ひとまずリストアップにあった人々に話を聞いたところ
やっぱり黒いフードを着た人物を見たという情報が得れた
ただ、以前まであった情報と違ってその見た目は女性のようだったらしい
それまでの情報は大柄の男
この黒いフード、複数いるってことなの?
ひとまず今私のことなんてどうでもいい
私は今私のやれることをやらなくちゃ
そう思って港町から去ろうとした瞬間、私は急に気が遠くなって意識を失った
そして目覚めたとき、洞窟のような場所で私は縛られ、目の前には黒いフードの女が立っていた
その女は一言
「いい素材見つけた」
私は恐怖に顔を引きつらせながらその女の手が伸びるのをただ見ていた
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