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妖怪族の国54
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怪鳥卵料理美味しかったなぁ
なんてことを思いながらミズキさんとミナちゃんについてやってきたのはウワバミ酒造工場
お酒が大好きな種族である妖蛇族が一番力を入れているところだ
一応僕は精霊で、年齢の概念もなくてお酒を飲んでも体に影響はない。でもお酒は二十歳になってからにしようと思う
「こ、ここは!」
突然エンシュたちが叫んだ
「ど、どうしたの?」
聞いてみるとエンシュは目を輝かせて教えてくれた
なんでもジャクズレ印という特別なお酒があって、それは清酒や日本酒のようなお米で作られたものから、芋や麦から作られたもの、葡萄酒や林檎酒まであるみたいだ
とにかくその種類は豊富で、しかもどれもこれもが最高においしいらしい
エンシュはここのお酒が大好物で、世界各地で精霊に供えられる食べ物などの中には当然四大精霊あてのものもある
中でもエンシュへの贈り物はお酒が多くて、そのなかで最もエンシュが喜ぶのがこのジャクズレ印のお酒なのだ
「早く入りましょうリディエラ様!」
エンシュはやや駆け足になってウワバミ酒造工場へと入って行った。最後の方はスキップになってたよ
「何ということなのでしょう! リディエラ様、ここが天国というものなのでしょうか?」
うん違う。でもまぁお酒大好きエンシュにとっては天国と言っていいのかもしれない
前にも酒蔵に行ったけど、その時以上にエンシュは興奮してる
四大精霊それぞれが思い思いのお酒を飲んでいる中、僕はぶどうジュースやリンゴジュースと言ったアルコールが全く入っていない飲み物をもらった
ぶどうジュースは濃厚なのにさっぱりとしてて、リンゴジュースのふんわりとした甘みは最高だった
ふと四大精霊を見ると、ワインを飲んでいた。その姿はまるで一枚の絵画みたいに優雅だ
「王女様、こちらをどうぞ」
ミナちゃんが陶器のお皿に何かを置いてもってきてくれた
甘い香り、これは、お饅頭?
「こちらは酒まんじゅうと言いまして、お酒を造る際にでた酒粕というものをお饅頭の生地に練り込んで焼き上げたものです」
一口かじってみると、あまりきつくないお酒のいい香りとあんこの甘さが何とも言えない美味しさで、次から次へと頬張りたくなる
そして一緒に出されたのが甘酒だ
この甘酒もジャクズレ印のものは人気が高くて、今どこに行っても品薄状態で工場は嬉しい悲鳴を上げているんだとか
エンシュたちはまだ飲んでいるみたいだし、僕は少し工場内を回ってみるかな?
ミナちゃんが案内してくれるみたいだ
「王女様、工場見学など楽しいですか? あまり見る物もないかと思われますが」
「うーん、結構楽しいよ? 作る工程とか、皆の働いてる姿とか、一生懸命にいいものを作ろうって努力してる姿を見るの、僕は好きなんだ」
「そうですか。では精いっぱい案内に務めさせていただきます!」
それからミナちゃんと工場内の色々なところを回った
びっくりすることに、この工場で使われる原材料のお米、麦や様々な果物は全て工場横にある広大な畑で賄っているみたい
ハウス栽培で一年中とれるから不足することはないんだって
この酒蔵がここまで発展したのも、数十年前に異世界人が技術を教えてくれたからだそうだ
そう言えば僕はまだ異世界人に数人しか会えていない
それもみんな冒険者とかじゃない一般の人たちばかり
異世界人で冒険者をやってる人は少ないのかな?
まぁいきなり飛ばされた魔物もいるような世界でいきなり戦えって言うのは無理な話しだもんね
エンシュたちも満足し、僕も工場見学を終えた頃、工場の外が騒がしくなってきた
「どうしたの?」
ミズキさんに事情を聞くと、どうやら里の近くで巨大な魔物が現れたみたいだ
僕たちはすぐに場所を聞いて魔物を退治しに走った
そいつは、とてつもなく大きくて、その口で街一つのみ込めるような化け物蛇だった
名をアヤカシ
大昔の妖蛇族が作り出した戦闘兵器
アヤカシはどこからともなく現れて、突然里に向かって這いずり始めたそうだ
しかもこいつのおかしいところは、アヤカシは通常海にしか出ない
水がないと活動できない魔物だ
つまりこいつは突然変異か、そういう風に改造された可能性があるってことだ
「リディエラ様、あれの強さは別格です! リディエラ様は隠れててください」
そうは言うけど、僕だって今までの僕じゃない
たとえ相手がSSSランクと呼ばれる化け物だったとしても戦える
だって僕は、あの時のフェンリルのような神話級と戦えるよう特訓しているんだから
「大丈夫だよテュネ、僕も一緒に、戦うよ!」
僕の言葉にその信念を感じ取ってくれたのか、テュネたちはそれ以上何も言わず、僕を連れて行ってくれた
「このままでは里が壊滅してしまいます! 他里からの応援はもう間もなく到着するそうですが、間に合いそうにありません!」
妖怪族の全種族からの救援が来るみたいなんだけど、アヤカシの方が若干早くて、到着する前に妖蛇族の里は壊滅してしまう
ここは僕達で何としても守り切る!
巨大すぎるアヤカシと向き合い、僕は力を最大限に解放した
なんてことを思いながらミズキさんとミナちゃんについてやってきたのはウワバミ酒造工場
お酒が大好きな種族である妖蛇族が一番力を入れているところだ
一応僕は精霊で、年齢の概念もなくてお酒を飲んでも体に影響はない。でもお酒は二十歳になってからにしようと思う
「こ、ここは!」
突然エンシュたちが叫んだ
「ど、どうしたの?」
聞いてみるとエンシュは目を輝かせて教えてくれた
なんでもジャクズレ印という特別なお酒があって、それは清酒や日本酒のようなお米で作られたものから、芋や麦から作られたもの、葡萄酒や林檎酒まであるみたいだ
とにかくその種類は豊富で、しかもどれもこれもが最高においしいらしい
エンシュはここのお酒が大好物で、世界各地で精霊に供えられる食べ物などの中には当然四大精霊あてのものもある
中でもエンシュへの贈り物はお酒が多くて、そのなかで最もエンシュが喜ぶのがこのジャクズレ印のお酒なのだ
「早く入りましょうリディエラ様!」
エンシュはやや駆け足になってウワバミ酒造工場へと入って行った。最後の方はスキップになってたよ
「何ということなのでしょう! リディエラ様、ここが天国というものなのでしょうか?」
うん違う。でもまぁお酒大好きエンシュにとっては天国と言っていいのかもしれない
前にも酒蔵に行ったけど、その時以上にエンシュは興奮してる
四大精霊それぞれが思い思いのお酒を飲んでいる中、僕はぶどうジュースやリンゴジュースと言ったアルコールが全く入っていない飲み物をもらった
ぶどうジュースは濃厚なのにさっぱりとしてて、リンゴジュースのふんわりとした甘みは最高だった
ふと四大精霊を見ると、ワインを飲んでいた。その姿はまるで一枚の絵画みたいに優雅だ
「王女様、こちらをどうぞ」
ミナちゃんが陶器のお皿に何かを置いてもってきてくれた
甘い香り、これは、お饅頭?
「こちらは酒まんじゅうと言いまして、お酒を造る際にでた酒粕というものをお饅頭の生地に練り込んで焼き上げたものです」
一口かじってみると、あまりきつくないお酒のいい香りとあんこの甘さが何とも言えない美味しさで、次から次へと頬張りたくなる
そして一緒に出されたのが甘酒だ
この甘酒もジャクズレ印のものは人気が高くて、今どこに行っても品薄状態で工場は嬉しい悲鳴を上げているんだとか
エンシュたちはまだ飲んでいるみたいだし、僕は少し工場内を回ってみるかな?
ミナちゃんが案内してくれるみたいだ
「王女様、工場見学など楽しいですか? あまり見る物もないかと思われますが」
「うーん、結構楽しいよ? 作る工程とか、皆の働いてる姿とか、一生懸命にいいものを作ろうって努力してる姿を見るの、僕は好きなんだ」
「そうですか。では精いっぱい案内に務めさせていただきます!」
それからミナちゃんと工場内の色々なところを回った
びっくりすることに、この工場で使われる原材料のお米、麦や様々な果物は全て工場横にある広大な畑で賄っているみたい
ハウス栽培で一年中とれるから不足することはないんだって
この酒蔵がここまで発展したのも、数十年前に異世界人が技術を教えてくれたからだそうだ
そう言えば僕はまだ異世界人に数人しか会えていない
それもみんな冒険者とかじゃない一般の人たちばかり
異世界人で冒険者をやってる人は少ないのかな?
まぁいきなり飛ばされた魔物もいるような世界でいきなり戦えって言うのは無理な話しだもんね
エンシュたちも満足し、僕も工場見学を終えた頃、工場の外が騒がしくなってきた
「どうしたの?」
ミズキさんに事情を聞くと、どうやら里の近くで巨大な魔物が現れたみたいだ
僕たちはすぐに場所を聞いて魔物を退治しに走った
そいつは、とてつもなく大きくて、その口で街一つのみ込めるような化け物蛇だった
名をアヤカシ
大昔の妖蛇族が作り出した戦闘兵器
アヤカシはどこからともなく現れて、突然里に向かって這いずり始めたそうだ
しかもこいつのおかしいところは、アヤカシは通常海にしか出ない
水がないと活動できない魔物だ
つまりこいつは突然変異か、そういう風に改造された可能性があるってことだ
「リディエラ様、あれの強さは別格です! リディエラ様は隠れててください」
そうは言うけど、僕だって今までの僕じゃない
たとえ相手がSSSランクと呼ばれる化け物だったとしても戦える
だって僕は、あの時のフェンリルのような神話級と戦えるよう特訓しているんだから
「大丈夫だよテュネ、僕も一緒に、戦うよ!」
僕の言葉にその信念を感じ取ってくれたのか、テュネたちはそれ以上何も言わず、僕を連れて行ってくれた
「このままでは里が壊滅してしまいます! 他里からの応援はもう間もなく到着するそうですが、間に合いそうにありません!」
妖怪族の全種族からの救援が来るみたいなんだけど、アヤカシの方が若干早くて、到着する前に妖蛇族の里は壊滅してしまう
ここは僕達で何としても守り切る!
巨大すぎるアヤカシと向き合い、僕は力を最大限に解放した
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