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妖怪族の国44
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さてお次はどこかな? スキップしてガチャガチャと音を立てるセトカちゃんの後をついて次の目的地へ
始終セトカちゃんはご機嫌で、鼻歌も歌っている
「つきましたでござる! 割れ物再生工場ー!」
「割れ物再生? 割れた物が再生されるの?」
「そうでござる! 拙者たちはいずれ必ず寿命が訪れ、割れて死んでしまう。でもここはその割れ物たちを再生して再び体に戻れるようにするのでござる! 記憶は失うけど、彼らはまた付喪神としての生を受けるのでござるよ」
九十九族、付喪神は死してその記憶をなくし、また新しい体に宿る。それも大切にされた道具に
「これを見てくださいでござる」
セトカちゃんが手にしたのは欠けた器で元々は宿屋のおかみさんだったそうだ。優しくて活発な人で、セトカちゃんもよくお菓子をもらっていたそうだ。つい先日転んだ拍子に欠け処が悪くて亡くなってしまった
他にもここにはたくさんの亡骸があり、その亡骸をここで炎によって弔っているのだ
いわばここは火葬場のようなものなのかもしれない
火葬場、普通なら観光地にするような場所じゃないけど、ここは新たな命を生む場所でもあるのだ
きっとセトカちゃんはそれを知ってほしかったんだと思う
「では次へ参りましょう!」
この次はセトカちゃん一押しの場所らしい。なんと異世界技術の髄を集めた場所だ
「ふっふっふ、実はここが一番見せたかった場所なのでござる! 見て驚き下され! その名も大大大カラクリ工房!!」
機械音と共に日本家屋風の建物が変形し、いかにもな研究所のような建物となり、さらにその周囲を建物を照らすためのライトが囲う
看板には大大大カラクリ工房と書かれてるね
セトカちゃんのアドリブじゃなくて本当にそういう工房だったのか
「ここでは異世界から来たカラクリ博士数人の元、世界中から集まった方たちによって、より良い生活を目指すための研究がなされているのでござる!」
中に入ると白衣を着た様々な種族の人達が出迎えてくれて、その中で一番高齢の男性が僕たちの前まで来た
白いひげに白髪、黒縁眼鏡のおじいちゃんで、彼こそこの工房を作った異世界人の工房長。名前はトーマス・B・リットーさん
「ようこそ我が工房へ。いやはや生きているうちに精霊様に会えるとは思いませんでしたぞ」
握手を求めてきたので快く応じると、トーマスさんの手がポロリと落ちた
「うわぁあああ、と、取れちゃった! どどどどうしようテュネ! そ、そうだ! 精霊召喚!」
僕は大慌てで癒しの精霊カイユを呼んだ
「あらー、お久しぶりですねリディエラ様。誰かお怪我をされたのですかー?」
ぐるりとあたりを見渡してトーマスさんに目を止めるカイユ
「あらら? いないみたいですねー」
「え?」
そんなはずはない。 だって現にトーマスさんの手が
「これ、作り物ですよリディエラ様」
あ、よく見るとおもちゃだ。恥ずかしくて僕は顔を真っ赤にした
「ほっほっほ、いやぁ申し訳ない。ついつい可愛らしいお嬢さんを見ると驚かせたくなりましてな」
「トーマスおじいちゃん! 悪い癖でござるよ!」
びっくりしすぎてまだ心臓がドキドキしてる、気がする(心臓はない)けど、トーマスさんが御茶目だってことは分かった
でもこれ以上はやらないでね。僕はともかく、テュネが般若のような形相に・・・
「ではこれまでの研究成果を見せるでござるよ」
「ふむ、まずこれを見て下され」
それは今いたずらに使ったおもちゃだ。それを拾い上げると手首から線を伸ばしてこめかみに刺した
比喩ではなく本当に刺したのだ
「ああ、このこめかみが気になるのですかな? これは皮膚の内側にチップが内蔵されてましてな。おっと、チップがまずわからないでしょう。簡単に説明すると、脳の働きを助けるカラクリというわけです。これにこの線を接続すると、ほれ」
そのおもちゃの腕がまるで本当の腕のように動き出した。滑らかに。少しカシャカシャと機械音がするけど、これはすごい発明だ!
「これはですな、手を失った方の義手として作ったのです。こうやってチップに接続することで脳からの電気指令を直接この義手に伝えることができ、さらには触覚までをも再現するという優れものです」
トーマスさんの発明はこれだけじゃなくて、他には自在に動く義足、空を飛ぶ荷車、付喪神化させるための機械人形、テレビのようなものなどなど、日常生活が便利になるような物ばかり
まだまだ実用化はできてないけど、これからどんどん発展すること間違いなしだね
特に機械人形はすごくて、AIを搭載したハイテクな人形で、研究テーマは“AIに魂は宿るのか?”らしい
説明を聞いてもいまいちわからなかったけど、凄そうなのは分かる
セトカちゃんも初めて見る物がいくつかあったみたいで目がらんらんと輝いていた
実に有意義な時間だったと思う
これからも研究を続けてもらって、この世界をより良くしてもらいたいものだね
黒族の科学者にもここを紹介しようかな? 多分同じ研究者どうし気が合うと思うんだ
始終セトカちゃんはご機嫌で、鼻歌も歌っている
「つきましたでござる! 割れ物再生工場ー!」
「割れ物再生? 割れた物が再生されるの?」
「そうでござる! 拙者たちはいずれ必ず寿命が訪れ、割れて死んでしまう。でもここはその割れ物たちを再生して再び体に戻れるようにするのでござる! 記憶は失うけど、彼らはまた付喪神としての生を受けるのでござるよ」
九十九族、付喪神は死してその記憶をなくし、また新しい体に宿る。それも大切にされた道具に
「これを見てくださいでござる」
セトカちゃんが手にしたのは欠けた器で元々は宿屋のおかみさんだったそうだ。優しくて活発な人で、セトカちゃんもよくお菓子をもらっていたそうだ。つい先日転んだ拍子に欠け処が悪くて亡くなってしまった
他にもここにはたくさんの亡骸があり、その亡骸をここで炎によって弔っているのだ
いわばここは火葬場のようなものなのかもしれない
火葬場、普通なら観光地にするような場所じゃないけど、ここは新たな命を生む場所でもあるのだ
きっとセトカちゃんはそれを知ってほしかったんだと思う
「では次へ参りましょう!」
この次はセトカちゃん一押しの場所らしい。なんと異世界技術の髄を集めた場所だ
「ふっふっふ、実はここが一番見せたかった場所なのでござる! 見て驚き下され! その名も大大大カラクリ工房!!」
機械音と共に日本家屋風の建物が変形し、いかにもな研究所のような建物となり、さらにその周囲を建物を照らすためのライトが囲う
看板には大大大カラクリ工房と書かれてるね
セトカちゃんのアドリブじゃなくて本当にそういう工房だったのか
「ここでは異世界から来たカラクリ博士数人の元、世界中から集まった方たちによって、より良い生活を目指すための研究がなされているのでござる!」
中に入ると白衣を着た様々な種族の人達が出迎えてくれて、その中で一番高齢の男性が僕たちの前まで来た
白いひげに白髪、黒縁眼鏡のおじいちゃんで、彼こそこの工房を作った異世界人の工房長。名前はトーマス・B・リットーさん
「ようこそ我が工房へ。いやはや生きているうちに精霊様に会えるとは思いませんでしたぞ」
握手を求めてきたので快く応じると、トーマスさんの手がポロリと落ちた
「うわぁあああ、と、取れちゃった! どどどどうしようテュネ! そ、そうだ! 精霊召喚!」
僕は大慌てで癒しの精霊カイユを呼んだ
「あらー、お久しぶりですねリディエラ様。誰かお怪我をされたのですかー?」
ぐるりとあたりを見渡してトーマスさんに目を止めるカイユ
「あらら? いないみたいですねー」
「え?」
そんなはずはない。 だって現にトーマスさんの手が
「これ、作り物ですよリディエラ様」
あ、よく見るとおもちゃだ。恥ずかしくて僕は顔を真っ赤にした
「ほっほっほ、いやぁ申し訳ない。ついつい可愛らしいお嬢さんを見ると驚かせたくなりましてな」
「トーマスおじいちゃん! 悪い癖でござるよ!」
びっくりしすぎてまだ心臓がドキドキしてる、気がする(心臓はない)けど、トーマスさんが御茶目だってことは分かった
でもこれ以上はやらないでね。僕はともかく、テュネが般若のような形相に・・・
「ではこれまでの研究成果を見せるでござるよ」
「ふむ、まずこれを見て下され」
それは今いたずらに使ったおもちゃだ。それを拾い上げると手首から線を伸ばしてこめかみに刺した
比喩ではなく本当に刺したのだ
「ああ、このこめかみが気になるのですかな? これは皮膚の内側にチップが内蔵されてましてな。おっと、チップがまずわからないでしょう。簡単に説明すると、脳の働きを助けるカラクリというわけです。これにこの線を接続すると、ほれ」
そのおもちゃの腕がまるで本当の腕のように動き出した。滑らかに。少しカシャカシャと機械音がするけど、これはすごい発明だ!
「これはですな、手を失った方の義手として作ったのです。こうやってチップに接続することで脳からの電気指令を直接この義手に伝えることができ、さらには触覚までをも再現するという優れものです」
トーマスさんの発明はこれだけじゃなくて、他には自在に動く義足、空を飛ぶ荷車、付喪神化させるための機械人形、テレビのようなものなどなど、日常生活が便利になるような物ばかり
まだまだ実用化はできてないけど、これからどんどん発展すること間違いなしだね
特に機械人形はすごくて、AIを搭載したハイテクな人形で、研究テーマは“AIに魂は宿るのか?”らしい
説明を聞いてもいまいちわからなかったけど、凄そうなのは分かる
セトカちゃんも初めて見る物がいくつかあったみたいで目がらんらんと輝いていた
実に有意義な時間だったと思う
これからも研究を続けてもらって、この世界をより良くしてもらいたいものだね
黒族の科学者にもここを紹介しようかな? 多分同じ研究者どうし気が合うと思うんだ
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