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妖怪族の国38
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件族は特殊な種族で、見た目は牛のような角を持った人間。ただしこの種族は絶対に男性と女性の双子で生まれるのだ
女性が最初に生まれて吉凶を予言し、男性が次に生まれてその対抗策を予言する
この時の予言は絶対に避けることのできない予言で、生涯に一度しかできない。死ぬと予言されれば確実に死ぬらしい
その精度ゆえに昔は不気味がられていたけど、最近ではこの予言はアカシックレコードに接続して、その確定された未来を告げているものだとわかったため、仕方のないこととして受け入れられた
ここでアカシックレコードについて説明しておくと、情報そのものが集約した一つの世界だと思ってもらえればいいかな
僕も母さんや神様たちに聞いただけだから詳しくは分からないけど、全ての世界の過去、現在、未来の記録が詰まった場所?らしい
つまり件族はそこから情報の一部を読み取っているってわけだ。ちなみにこれは件たちだけじゃなくて、世に言う予言者や、大発明家、超有名音楽家などもアクセスしているらしくて、彼らはそこからインスピレーションを受けて優れた功績を遺すんだとか
「あらあらー、いらっしゃーいませ。また会いましたーね。族長のミカヅキーですよー」
おっとり系で胸の大きな件族のお姉さん。それがミカヅキさんだ
まだ年齢は若いけど、その予言と占いの精度、そして戦闘力の高さから全ての件族に認められて族長になった
この見た目でネムリちゃんやレナちゃんより年下だと言うから驚きです
「さてー、まず占いの館に行かれますー? 私監修でー、精度の高い占い師たちがそろってーますよー」
占いの館はこの里のメイン観光地で、当然観光客は多い。それもそのはずで、超高精度で当たるからだ
地球での占いと言えば大まかな未来を読み解いてアドバイスを与えるものが多い。でもここは違う
絶対に来る未来を占った上にそれがもし凶事なら回避方法までをも教えてくれるのだ
当然絶対回避できない未来というのも予言されるんだけど、客はだれしもそれを理解しているので、死を予言された人はそれに備えるんだそうだ
「実はーこの館のオーナーって私の母なんですー。母は前族長にしてー、大預言者としてー知られていましたー。およそ二百年前のー魔王復活とー勇者誕生の予言をーしたのもー母なんですー」
件族は代々多種族の予言者たちと協力して世界に影響が及ぶほどの凶事を発信していた。でも、魔王は二度と復活しない(正確には現魔王であるキーラちゃんは邪悪な魔王の魂に体を乗っ取られなかったため友好的な関係を築けたからだ)
それにより肩の荷が下りたミカヅキさんのお母さんは、ミカヅキさんに家督を譲って現役を退いたそうだ
「ではー、私が皆さんをー占いますのでー、順番に並んでーくだーさい」
まずはクノエちゃんからだ
手を出してミカヅキさんがその手をギュッと握って目をつむる。手を握るから手相を見るものだと思ったけどそうじゃないみたいだ
「ふむふむー、クノエちゃんを―視るのは―久しぶりだけどー、前に視たときとー運命は変わってないよー。このまま研鑽を続ければ―立派な領主になれるよー。タマモ陛下以上に素晴らしくて綺麗なクノエちゃんがー視えるよー」
「ほんと!? わっちこれからも頑張るね!」
大喜びで飛び跳ねるクノエちゃん。まわりに視られているのに気が付いてちょっと顔を赤らめておとなしくなった
「次は私ですね」
「テュネ様ーですねー」
今度はテュネの手を握って目をつむった。テュネの未来かぁ、僕も気になるところだね
しばらく待っているとミカヅキさんはゆっくりを目を開いた
彼女が予言するには、これから数年以内に悲しい別れがあるとのこと。しかしそれは死別ではなくて、いずれ再開できる別れだ
その未来の映像の中でテュネは大号泣していたらしいから、よっぽど大切な人と別れるってことだね。ただ、この誰かの顔は靄で視えなかったみたいだ
こんな風に時折視えない未来もあるそうで、そういった場合は大概世界全体にかかわる事態のことが多い
次にエンシュ
彼女からは何かと戦って傷ついている姿が視えたようだ
その未来を回避する方法は、とにかく僕を鍛えること、らしい
精霊が傷つくということは、その魂や精神に攻撃できる何かに遭遇したってことか。でもどういうわけかそれ以上の未来には靄がかかっていてはっきりとしないという
次はフーレンで、彼女の未来は女王である僕の母さんと涙を流す姿
そこにはエンシュ、テュネ、アスラムもいて、誰かを見送っている
これにも靄がかかっていたらしい
お次はアスラム
彼女はどこかの森で神と対面し、話しをしている姿が視えたそうだ
その神は双子で、一人は破壊の神、もう一人は能力の神
恐らく黒族の国で出会った双子の女神のことだと思われる
その彼女たちに何かを聞いて驚いている様子。でもその会話が聞き取りづらくて何を言っているかまでは分からなかったみたい
最後は僕だ
ミカヅキさんに手を握ってもらう
女性特有の柔らかい感触でちょっとドキドキしたけど、何やらミカヅキさんの表情が変わったので僕もしっかりとミカヅキさんの話を聞こうと身を乗り出した
「これはー、なぜでしょうかー。未来全体に靄がかかってー、まるで何かが見せないように遮っているようですー。恐らくこれはーこの世界全体にーかかわることーに間違いーありませんよー」
僕の未来はまったく見通すことができなかったけど、この数年以内に何か大事件が起こるのは事実だ
僕はこれまで経験した中でのことでところどころにそれに繋がるピースがあることに気づいた。でもそれらが本当にこれからのことにかかわってくるのかは分からない
それに今すぐにと言うことじゃない。数年以内。それまでには僕はその何かに備えれているんだろうか?
女性が最初に生まれて吉凶を予言し、男性が次に生まれてその対抗策を予言する
この時の予言は絶対に避けることのできない予言で、生涯に一度しかできない。死ぬと予言されれば確実に死ぬらしい
その精度ゆえに昔は不気味がられていたけど、最近ではこの予言はアカシックレコードに接続して、その確定された未来を告げているものだとわかったため、仕方のないこととして受け入れられた
ここでアカシックレコードについて説明しておくと、情報そのものが集約した一つの世界だと思ってもらえればいいかな
僕も母さんや神様たちに聞いただけだから詳しくは分からないけど、全ての世界の過去、現在、未来の記録が詰まった場所?らしい
つまり件族はそこから情報の一部を読み取っているってわけだ。ちなみにこれは件たちだけじゃなくて、世に言う予言者や、大発明家、超有名音楽家などもアクセスしているらしくて、彼らはそこからインスピレーションを受けて優れた功績を遺すんだとか
「あらあらー、いらっしゃーいませ。また会いましたーね。族長のミカヅキーですよー」
おっとり系で胸の大きな件族のお姉さん。それがミカヅキさんだ
まだ年齢は若いけど、その予言と占いの精度、そして戦闘力の高さから全ての件族に認められて族長になった
この見た目でネムリちゃんやレナちゃんより年下だと言うから驚きです
「さてー、まず占いの館に行かれますー? 私監修でー、精度の高い占い師たちがそろってーますよー」
占いの館はこの里のメイン観光地で、当然観光客は多い。それもそのはずで、超高精度で当たるからだ
地球での占いと言えば大まかな未来を読み解いてアドバイスを与えるものが多い。でもここは違う
絶対に来る未来を占った上にそれがもし凶事なら回避方法までをも教えてくれるのだ
当然絶対回避できない未来というのも予言されるんだけど、客はだれしもそれを理解しているので、死を予言された人はそれに備えるんだそうだ
「実はーこの館のオーナーって私の母なんですー。母は前族長にしてー、大預言者としてー知られていましたー。およそ二百年前のー魔王復活とー勇者誕生の予言をーしたのもー母なんですー」
件族は代々多種族の予言者たちと協力して世界に影響が及ぶほどの凶事を発信していた。でも、魔王は二度と復活しない(正確には現魔王であるキーラちゃんは邪悪な魔王の魂に体を乗っ取られなかったため友好的な関係を築けたからだ)
それにより肩の荷が下りたミカヅキさんのお母さんは、ミカヅキさんに家督を譲って現役を退いたそうだ
「ではー、私が皆さんをー占いますのでー、順番に並んでーくだーさい」
まずはクノエちゃんからだ
手を出してミカヅキさんがその手をギュッと握って目をつむる。手を握るから手相を見るものだと思ったけどそうじゃないみたいだ
「ふむふむー、クノエちゃんを―視るのは―久しぶりだけどー、前に視たときとー運命は変わってないよー。このまま研鑽を続ければ―立派な領主になれるよー。タマモ陛下以上に素晴らしくて綺麗なクノエちゃんがー視えるよー」
「ほんと!? わっちこれからも頑張るね!」
大喜びで飛び跳ねるクノエちゃん。まわりに視られているのに気が付いてちょっと顔を赤らめておとなしくなった
「次は私ですね」
「テュネ様ーですねー」
今度はテュネの手を握って目をつむった。テュネの未来かぁ、僕も気になるところだね
しばらく待っているとミカヅキさんはゆっくりを目を開いた
彼女が予言するには、これから数年以内に悲しい別れがあるとのこと。しかしそれは死別ではなくて、いずれ再開できる別れだ
その未来の映像の中でテュネは大号泣していたらしいから、よっぽど大切な人と別れるってことだね。ただ、この誰かの顔は靄で視えなかったみたいだ
こんな風に時折視えない未来もあるそうで、そういった場合は大概世界全体にかかわる事態のことが多い
次にエンシュ
彼女からは何かと戦って傷ついている姿が視えたようだ
その未来を回避する方法は、とにかく僕を鍛えること、らしい
精霊が傷つくということは、その魂や精神に攻撃できる何かに遭遇したってことか。でもどういうわけかそれ以上の未来には靄がかかっていてはっきりとしないという
次はフーレンで、彼女の未来は女王である僕の母さんと涙を流す姿
そこにはエンシュ、テュネ、アスラムもいて、誰かを見送っている
これにも靄がかかっていたらしい
お次はアスラム
彼女はどこかの森で神と対面し、話しをしている姿が視えたそうだ
その神は双子で、一人は破壊の神、もう一人は能力の神
恐らく黒族の国で出会った双子の女神のことだと思われる
その彼女たちに何かを聞いて驚いている様子。でもその会話が聞き取りづらくて何を言っているかまでは分からなかったみたい
最後は僕だ
ミカヅキさんに手を握ってもらう
女性特有の柔らかい感触でちょっとドキドキしたけど、何やらミカヅキさんの表情が変わったので僕もしっかりとミカヅキさんの話を聞こうと身を乗り出した
「これはー、なぜでしょうかー。未来全体に靄がかかってー、まるで何かが見せないように遮っているようですー。恐らくこれはーこの世界全体にーかかわることーに間違いーありませんよー」
僕の未来はまったく見通すことができなかったけど、この数年以内に何か大事件が起こるのは事実だ
僕はこれまで経験した中でのことでところどころにそれに繋がるピースがあることに気づいた。でもそれらが本当にこれからのことにかかわってくるのかは分からない
それに今すぐにと言うことじゃない。数年以内。それまでには僕はその何かに備えれているんだろうか?
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