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エルフの国10

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 しばらくするとシノノの部下、木陰の精霊コノハと木漏れ日の精霊ヨウカから連絡があった
 コノハはプランティアであの怪しい少女の調査をしていた精霊で、ヨウカは新種の魔物の調査をしていた精霊だ
 まずはコノハの報告から
 どうやら怪しい少女の問題は解決したらしい
 それは植物人やコノハが解決したわけではなく、なんと勇者が解決したそうなのだ
 話を聞いてみると、どうやら少女は魔王の暗殺をしようとしていたらしく、それを勇者は追っていた
 しかし、その暗殺も少女の本意ではなく無理やりにやらされていたそうで、少女は無事勇者に保護されてプランティアで暮らすことになった
 あそこは悪しき者は絶対に入れないので安心だろうとのこと
 それと魔王暗殺の大本となる誰かが裏にいるみたいで、それも現在調査中らしい
 勇者も情報を共有したいと言っているそうなので、僕は快く許可を出した
 勇者なら信用できるからね。まだ会ったことないけど
 また情報がわかれば連絡をくれると言って通信を切った
 次にヨウカの報告
 新種の熊型の魔物の死体を調べ、まずどの魔物がベースとなっているのかを確かめたらしい
 その結果、どこにでもいる魔物でも何でもない熊が何かを食べたことで突然変異したと言う
 胃の内容物の中には今まで見たことのない邪悪な気配のする玉があり、人為的に引き起こされた可能性もあるのだとか
 とにかくその玉を調べるために持ってきてもらうことにした
 テュネなら何かわかるかもしれない
 その後ヨウカから玉を渡されたテュネはそれを一見して首を傾げた
「これは、なぜこんなものが今頃になって・・・」
「え?何? これのこと知ってるの?」
 テュネは厳しい表情で答えてくれる
「これは、前魔王が使っていた秘術、魔化玉まかぎょくです。魔王が滅んだ今となってはこの秘術を使える者は現魔王くらいしか・・・。しかし聞いていた話では現魔王は争いを嫌う優しい魔王のはずです。正確な情報なので現魔王の仕業とは考えにくいでしょう」
「ということは、もしかして・・・」
 僕は恐ろしい結論に達した
「はい、前魔王は滅んでいなかったかもしれません」
 これはあくまでも仮設段階だから確定事項じゃないけど、もしそうならまた世界に争いの波が押し寄せるかもしれない
 そんなの絶対だめだ
 せっかく世界中の種族が手を取り合ってきているというのに・・・
 とにかく今は情報がもっと必要だ。更なる情報収集をヨウカに任せた
 これでひとまずできることはやった
 念のためエルフの国に戦闘力の高い上級精霊数体を配備しておこう
 そうだなぁ、樹木の精霊キュライア(ドライアドのまとめ役)と雲の精霊カイウあたりかな
 テュネ曰く、この二人は広範囲の情報を入手できるうえに戦闘能力もそれなりに高いらしい
 二人で協力すればSランクでも倒せるんだって。それなら安心だ
 次の日、僕たちはエルフの国を発つ準備をして女王に挨拶をした
「精霊様たちには感謝してもしきれません。再びこの国に来られた時は国を挙げての歓迎会をもようしますね」
「元気でね。また何か問題があったら遠慮なく僕たちを頼ってね」
 エルフたち一同が深々と頭を下げて見送ってくれた
 次に僕らが目指すのはプランティアだ
 この国からも近いし、何より勇者が助けた少女から魔王暗殺についての情報を直接聞きたいからね
 プランティアの植物人たちは精霊に近い種族だ
 さらにドライアドも多くいるらしいので彼女たちにも会っておこう
 ついでに勇者にも会えたらいいんだけど、勇者は忙しいから一か所にとどまらないってテュネが言ってるので、会うのは難しいかもしれない
 まぁ行ってみよう。もし会えなかったとしてもいつか勇者に会えればいいな

 エルフの国を出立してから約三時間ほど、世界樹を超えてさらに森を抜けてすぐにプランティアはあった
 早速入国しようとするけど門もなく、兵士もいない
 勝手に入っていいのかな?と思っていたら地面から綺麗な女の人が伸びあがって来た
「まぁ精霊様! ようこそプランティアへ!」
 満面の笑みで出迎えてくれる植物人の女性
 さらにその後ろにはドライアドやニンフと言った精霊の姿も見えた
 国の中に案内してもらい、話を聞くことにする
 話してくれるのは植物人の王女ヒリアさんだ
 とてもおっとりしていて優し気な印象で、たれ目の可愛らしい人である
 そして僕らは歓迎されながら国の中へと入っていった
 まずは少女から話を聞いてみようと思う
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