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エルフの国2
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始まりは数ヵ月前、森の食べ物がいつもより減っていることに食料調達隊の人達が気づいたことからだ
この森は精霊の加護もあってか年中作物や果物が実る豊かな土地だったらしい
それがどんどん採れる量も減り、見る見るうちに何も採れなくなった
原因は不明で、精霊の加護がなくなったということも感じられない
「今現在も、調査中なのですが、これと言って異変はなく、もはやお手上げの状態でして、このままでは、エルフは滅んでしまいます」
やせ細って栄養失調のため免疫力も落ち、病気を併発しているようでハァハァと息をあげながらゆっくりと説明してくれたところで、彼女は力尽きたように倒れた
慌てて支え、ベッドに眠らせる
ひとまず病気を治すために僕が治療用魔法をかけておいたけど、このままの状態が続けばルニアさんの命が危ない
早急に原因を究明して問題を解決しなきゃ
とりあえずその場をエルフのお付きの人達に任せて、僕たちは原因を調査するために畑や果物が実る森へと向かった
調査を始めてしばらくたつと、アスラムが声をあげた
「これは、なるほど、どうやらこの辺りの龍脈がかなり乱れているようです。これでは精霊の加護も働かず、むしろ悪い影響が出始めていますね」
「龍脈?ってなに?」
龍脈何て知らない僕は素直に聞いてみた
「それはですね、地下を流れる力の流れです。その力が流れる土地は栄養に富んでいたり、傷の回復が速くなったりと、様々な恩恵をもたらせてくれます」
なるほど、それが乱れたからおかしなことになったのか
「で、どうすれば治るの?」
「恐らく大本となる場所で何かが流れを塞いでいるのだと思います。その原因を取り除けば回復するかと」
それなら単純だ。もし魔物とかなら倒せばいいし、岩なら取り除けばいい
「よし、その大本ってところに案内して、原因を取り除くんだ」
「はい!」
アスラムの案内の元森を進み、山を登り始めた
結構標高の高そうな山を飛んで頂上まで向かうと、途中で大型の猿のような魔物に襲われた
まぁエンシュが一瞬で灰にしちゃってたけど
特に労することもなく頂上に着くと、アスラムが龍脈を調べ始めた
「ここです、ここに何かが入り込んでいますね。掘るので少し離れててください」
そう言うと土の精霊魔法でまるで素潜りでもするようにみるみる掘っていった
やがて龍脈の大本へたどり着いたらしく、通信魔法で連絡が来た
僕たちも穴の中へ飛び降りアスラムのいる場所まで着くと、かなり広い洞窟のような場所に出た
驚いたことに、そこの中央に寝息を立てている巨大な生物がいたんだ
岩のように硬そうなうろこ、小山のように巨大な体、蛇のように長い尾、顔はどことなくカエルに似ているけど大きな牙が口から飛び出ている
背中には鋭い棘のような毛が生えていて、頭からは触覚が二本ぴょこんと生えていた
「これは、ボルガザという魔物ですね。見た目に反しておとなしく、岩を食べる魔物です。あの巨体が龍脈を塞いでしまっているようです。排除すべきですが、この子は恐らく龍脈を塞いでいるという認識がありません。できれば穏便にどこかへ逃がしてやりたいのですが?」
うん、全く異論はないね
おとなしくて人に害をなすことはあまりないみたいだし、害をなすことがあるとしたらその巨体がたまに邪魔になるくらいらしい
よし、この子をどこか安全な岩場にでも返してあげよう。とはいってもどうやって運んだらいいんだろう?
いくら僕らでもこんな大きな生物を運べないしなぁ
「どうやって運ぶ?」
素直にテュネに聞いてみると
「でしたら精霊召喚をお願いします。 巨躯を持つイフリートやヴォジャノーイを呼びましょう」
「わかった。早速呼ぼう」
僕は力を使い、精霊達を召喚した
出てきたのは炎に包まれた大きな男精霊と、顔はカエル、体は人間の男という精霊だ
名前はイフリートの方はロウ、ヴォジャノーイの方はヴォヴォヴェというらしい
ところで、イフリートは分かるけど、後から呼ばれたこのヴォジャノーイって精霊は何なのだろう?
ボケーっと立ってるし・・・。僕はその顔から段々と視線を下へとずらしていった
「キャッ!」
おもわず女の子っぽい声を出してしまった
その、なんというか、思いっきり見ちゃったよ・・・
アスラムが慌てて葉っぱで出来たパンツをはかせている
ひとまず落ち着いたので二人に頼んでボルガザを運んでもらった
ボルガザもおとなしく目を細めてされるがままに運ばれている
なんだか愛嬌があってかわいい
背中に生えている棘はどうやら見かけだけで、本当は柔らかいみたい
「じゃ、俺たちこいつを人のいないとこまで運んできます。リディエラ様、今度一緒に酒でも飲みましょうや」
ロウはそう気さくに言って去って行った
ちなみにヴォヴォヴェの方はゆっくりと「リディエラ様ぁ~ 失礼いたしま~した~」と言っている
うん、今度からパンツはちゃんと履いてようね。いくら普段水の中で暮らしているとしてもだよ
二柱のおかげで速やかにボルガザは運ばれた
これで龍脈も元に戻るだろう
あとはぐちゃぐちゃになった精霊の加護をかけなおしておかないとね
あ、ちなみに前にこの土地に加護を授けたのは母さんらしい
エルフがいつも果物や作物を妖精たちのために運んできてくれるので、そのお礼として数百年前にこの土地に加護を授けたんだとか
エルフの集落に戻るとさっそくテュネに習いながら加護を授けた
これでひとまずは安心だね
この国もだんだんと元に戻るはずだよ。それを見届けたらこの国の観光を始めるかな
この森は精霊の加護もあってか年中作物や果物が実る豊かな土地だったらしい
それがどんどん採れる量も減り、見る見るうちに何も採れなくなった
原因は不明で、精霊の加護がなくなったということも感じられない
「今現在も、調査中なのですが、これと言って異変はなく、もはやお手上げの状態でして、このままでは、エルフは滅んでしまいます」
やせ細って栄養失調のため免疫力も落ち、病気を併発しているようでハァハァと息をあげながらゆっくりと説明してくれたところで、彼女は力尽きたように倒れた
慌てて支え、ベッドに眠らせる
ひとまず病気を治すために僕が治療用魔法をかけておいたけど、このままの状態が続けばルニアさんの命が危ない
早急に原因を究明して問題を解決しなきゃ
とりあえずその場をエルフのお付きの人達に任せて、僕たちは原因を調査するために畑や果物が実る森へと向かった
調査を始めてしばらくたつと、アスラムが声をあげた
「これは、なるほど、どうやらこの辺りの龍脈がかなり乱れているようです。これでは精霊の加護も働かず、むしろ悪い影響が出始めていますね」
「龍脈?ってなに?」
龍脈何て知らない僕は素直に聞いてみた
「それはですね、地下を流れる力の流れです。その力が流れる土地は栄養に富んでいたり、傷の回復が速くなったりと、様々な恩恵をもたらせてくれます」
なるほど、それが乱れたからおかしなことになったのか
「で、どうすれば治るの?」
「恐らく大本となる場所で何かが流れを塞いでいるのだと思います。その原因を取り除けば回復するかと」
それなら単純だ。もし魔物とかなら倒せばいいし、岩なら取り除けばいい
「よし、その大本ってところに案内して、原因を取り除くんだ」
「はい!」
アスラムの案内の元森を進み、山を登り始めた
結構標高の高そうな山を飛んで頂上まで向かうと、途中で大型の猿のような魔物に襲われた
まぁエンシュが一瞬で灰にしちゃってたけど
特に労することもなく頂上に着くと、アスラムが龍脈を調べ始めた
「ここです、ここに何かが入り込んでいますね。掘るので少し離れててください」
そう言うと土の精霊魔法でまるで素潜りでもするようにみるみる掘っていった
やがて龍脈の大本へたどり着いたらしく、通信魔法で連絡が来た
僕たちも穴の中へ飛び降りアスラムのいる場所まで着くと、かなり広い洞窟のような場所に出た
驚いたことに、そこの中央に寝息を立てている巨大な生物がいたんだ
岩のように硬そうなうろこ、小山のように巨大な体、蛇のように長い尾、顔はどことなくカエルに似ているけど大きな牙が口から飛び出ている
背中には鋭い棘のような毛が生えていて、頭からは触覚が二本ぴょこんと生えていた
「これは、ボルガザという魔物ですね。見た目に反しておとなしく、岩を食べる魔物です。あの巨体が龍脈を塞いでしまっているようです。排除すべきですが、この子は恐らく龍脈を塞いでいるという認識がありません。できれば穏便にどこかへ逃がしてやりたいのですが?」
うん、全く異論はないね
おとなしくて人に害をなすことはあまりないみたいだし、害をなすことがあるとしたらその巨体がたまに邪魔になるくらいらしい
よし、この子をどこか安全な岩場にでも返してあげよう。とはいってもどうやって運んだらいいんだろう?
いくら僕らでもこんな大きな生物を運べないしなぁ
「どうやって運ぶ?」
素直にテュネに聞いてみると
「でしたら精霊召喚をお願いします。 巨躯を持つイフリートやヴォジャノーイを呼びましょう」
「わかった。早速呼ぼう」
僕は力を使い、精霊達を召喚した
出てきたのは炎に包まれた大きな男精霊と、顔はカエル、体は人間の男という精霊だ
名前はイフリートの方はロウ、ヴォジャノーイの方はヴォヴォヴェというらしい
ところで、イフリートは分かるけど、後から呼ばれたこのヴォジャノーイって精霊は何なのだろう?
ボケーっと立ってるし・・・。僕はその顔から段々と視線を下へとずらしていった
「キャッ!」
おもわず女の子っぽい声を出してしまった
その、なんというか、思いっきり見ちゃったよ・・・
アスラムが慌てて葉っぱで出来たパンツをはかせている
ひとまず落ち着いたので二人に頼んでボルガザを運んでもらった
ボルガザもおとなしく目を細めてされるがままに運ばれている
なんだか愛嬌があってかわいい
背中に生えている棘はどうやら見かけだけで、本当は柔らかいみたい
「じゃ、俺たちこいつを人のいないとこまで運んできます。リディエラ様、今度一緒に酒でも飲みましょうや」
ロウはそう気さくに言って去って行った
ちなみにヴォヴォヴェの方はゆっくりと「リディエラ様ぁ~ 失礼いたしま~した~」と言っている
うん、今度からパンツはちゃんと履いてようね。いくら普段水の中で暮らしているとしてもだよ
二柱のおかげで速やかにボルガザは運ばれた
これで龍脈も元に戻るだろう
あとはぐちゃぐちゃになった精霊の加護をかけなおしておかないとね
あ、ちなみに前にこの土地に加護を授けたのは母さんらしい
エルフがいつも果物や作物を妖精たちのために運んできてくれるので、そのお礼として数百年前にこの土地に加護を授けたんだとか
エルフの集落に戻るとさっそくテュネに習いながら加護を授けた
これでひとまずは安心だね
この国もだんだんと元に戻るはずだよ。それを見届けたらこの国の観光を始めるかな
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