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新しい旅10
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三階に来ると、どこからか水滴が落ちる音が聞こえる
ぽたっぽたっと廊下全体に響いている
教室の方を見て見ると、実験室と書かれていた
「あそこから水滴の音が聞こえてきますね」
「う、うううん」
あ、フィオナちゃんがやっと目を覚ました
「フィオナちゃん。三階に来たよ」
「あ、あれ? さっきの怖いのは?」
「もう終わったよ。次の階層に来たからもう大丈夫」
「ほっ」
フィオナちゃんはイチカさんの背中から降りて歩きだす
もうイチカさんの見た目は怖くないみたい
まあ気さくな人だし、髪をあげればただの可愛い人だからね
「ここも不気味・・・。ひっ! 人の死体が!」
驚いたフィオナちゃんが指さしたのは人体模型だった
「フィオナちゃん大丈夫、これは人の体の仕組みを勉強するための模型だよ」
「模型?」
「うん、だか・・・、ら・・・」
「動いてますね」
「動いてるね」
ギギギギと関節部を無理やり動かす音が聞こえ、ゆっくりとこちらに歩き出す模型
「あわわわわわわ」
フィオナちゃんが泡を吹き始めてる
「逃げるよ!」
恐らくこれも捕まったらゲームオーバーになるタイプ
走って走って、次の教室に逃げ込んだ
「はぁはぁ、逃げきれたかな?」
「ミミミミミミミ、ミア! あああ、あれ」
教室内を見ると、様々な楽器があり、そのピアノの所に誰かが座っていた
そいつはピアノを唐突に引き始める
「何の曲だろう? 聞いたことないや」
「これは蒼月の鬼姫という巨躯ですね。鬼人の姫の嘆きが込められている曲です」
「へぇ、綺麗な曲だね」
「み、ミアアア!! 落ち着いてる場合じゃないよぉ! ほらあれえ!」
フィオナちゃんが見ていたのはピアノの上にある肖像画だった
どれも見たことない人たちだけど、その絵の目がギョロリとこっちを見ていた
「不気味だね」
「うわああああああん!! もう無理!かえるぅうう!!」
フィオナちゃんが泣き始めた
いやまあ確かに怖いっちゃ怖いけど、学校の階段としてはありきたりすぎて、もはや古風まである
それになぜか襲ってくる気配がない
そして、演奏が終わるとおとなしくなってしまった
ピアノに座っていた薄い霊らしき人もいなくなってるし、他の楽器も鳴らない
「収まった?」
「もう帰りたいいい!」
わんわん泣くフィオナちゃんんをどうどうと慰める
でもこのままじゃフィオナちゃんが取り返しのつかない粗相をしてしまうかも
「フィオナちゃんだけ返せないかな? 外で待っててもらうとか」
「可能だと思いますよ。ね、レビーさん」
「こらこら、話しかけんなって。でもそうだな、その子この程度で目回してんだろ? 仕方ない、外に出してやるからおいで」
急に目の前に現れた男の子
くっきりとしてるから人間?
「これはレビー。ゴーストの少年ですね」
「俺をこれ呼ばわりするなこいつめ!」
「いたっ!」
「ほらいくぞお嬢ちゃん」
「うう、ありがとう」
見た目が少年にしか見えないからフィオナちゃんも怖がらずについて行った
さすがにフィオナちゃんにここは刺激だ強すぎたから、この判断は正しかったかも
「今のがピアノを弾いていた子です。ああ見えてプロ並みにうまいんですよ」
「確かに、聞き入っちゃったね」
音楽室を出て次の教室へ行こうとすると、人体模型が廊下を走って行ってしまった
どうやら追ってるわけじゃなくて、走り回るだけみたいだ
「あっちにまた部屋がありますよ」
「うん、行ってみよう」
次の教室に入ると、調理室のようだった
「なんだかいい匂いがしますね」
「ほんとだ。甘い、クッキーの香りかな?」
教室を見回すと奥の方で女性がごそごそと何かをしていた
いや、女性じゃない! 女性の恰好をしてるけど筋肉モリモリの男性だ!
「あらん、可愛い子がきたじゃなぁい。私のクッキー、た・べ・る?」
「いただきます」
私はその美味しそうな匂いにつられて即答し、クッキーをいただいた
「あらやだ、いい子ね! ほら、これもこれも、美味しいわよぉ」
「ありがとう!」
私はたくさんのクッキーをムシャムシャと食べ続けた
「ふふふ、私の容姿を怖がる子が多いのに、あなた怖がらないのね?」
「確かに見た目は、うん、結構怖い、かも。でもなんだか優しそうなオーラが見えたから」
「あらあなた精霊? そっか、それでなのね。本当なら怖がってクッキーを食べない子をさらに怖がらせるのが私の役目なんだけど、こんなに美味しそうに食べてくれたんだから怖がらせる意味はないわね。ちなみにそのクッキーは本当に私のお手製よ」
「この方はリリーさんです。本名は銀之助ですね」
「あんたはもう! また! ほんとに空気が読めないというか、もう!」
銀之助さんことリリーさんはプリプリと怒り、イチカさんの背中をペシペシ叩いていた
「さて、この教室から奥に行けば階段があるわ。あ、模型君はほっといていいわよ。走り回ってるだけだから。でもあの表情で走ってたら怖いわよねぇ」
「た、確かに」
苦悶の表情で走り回ってるし、悲鳴も上げてるしで意外と怖い
でもさっきの階からしたらここは拍子抜けだったかも
そう思いつつ、教室を出てから階段を上がった
その際また模型君とすれ違ったけど、特に何もしてこなかったのでほっておいた
ぽたっぽたっと廊下全体に響いている
教室の方を見て見ると、実験室と書かれていた
「あそこから水滴の音が聞こえてきますね」
「う、うううん」
あ、フィオナちゃんがやっと目を覚ました
「フィオナちゃん。三階に来たよ」
「あ、あれ? さっきの怖いのは?」
「もう終わったよ。次の階層に来たからもう大丈夫」
「ほっ」
フィオナちゃんはイチカさんの背中から降りて歩きだす
もうイチカさんの見た目は怖くないみたい
まあ気さくな人だし、髪をあげればただの可愛い人だからね
「ここも不気味・・・。ひっ! 人の死体が!」
驚いたフィオナちゃんが指さしたのは人体模型だった
「フィオナちゃん大丈夫、これは人の体の仕組みを勉強するための模型だよ」
「模型?」
「うん、だか・・・、ら・・・」
「動いてますね」
「動いてるね」
ギギギギと関節部を無理やり動かす音が聞こえ、ゆっくりとこちらに歩き出す模型
「あわわわわわわ」
フィオナちゃんが泡を吹き始めてる
「逃げるよ!」
恐らくこれも捕まったらゲームオーバーになるタイプ
走って走って、次の教室に逃げ込んだ
「はぁはぁ、逃げきれたかな?」
「ミミミミミミミ、ミア! あああ、あれ」
教室内を見ると、様々な楽器があり、そのピアノの所に誰かが座っていた
そいつはピアノを唐突に引き始める
「何の曲だろう? 聞いたことないや」
「これは蒼月の鬼姫という巨躯ですね。鬼人の姫の嘆きが込められている曲です」
「へぇ、綺麗な曲だね」
「み、ミアアア!! 落ち着いてる場合じゃないよぉ! ほらあれえ!」
フィオナちゃんが見ていたのはピアノの上にある肖像画だった
どれも見たことない人たちだけど、その絵の目がギョロリとこっちを見ていた
「不気味だね」
「うわああああああん!! もう無理!かえるぅうう!!」
フィオナちゃんが泣き始めた
いやまあ確かに怖いっちゃ怖いけど、学校の階段としてはありきたりすぎて、もはや古風まである
それになぜか襲ってくる気配がない
そして、演奏が終わるとおとなしくなってしまった
ピアノに座っていた薄い霊らしき人もいなくなってるし、他の楽器も鳴らない
「収まった?」
「もう帰りたいいい!」
わんわん泣くフィオナちゃんんをどうどうと慰める
でもこのままじゃフィオナちゃんが取り返しのつかない粗相をしてしまうかも
「フィオナちゃんだけ返せないかな? 外で待っててもらうとか」
「可能だと思いますよ。ね、レビーさん」
「こらこら、話しかけんなって。でもそうだな、その子この程度で目回してんだろ? 仕方ない、外に出してやるからおいで」
急に目の前に現れた男の子
くっきりとしてるから人間?
「これはレビー。ゴーストの少年ですね」
「俺をこれ呼ばわりするなこいつめ!」
「いたっ!」
「ほらいくぞお嬢ちゃん」
「うう、ありがとう」
見た目が少年にしか見えないからフィオナちゃんも怖がらずについて行った
さすがにフィオナちゃんにここは刺激だ強すぎたから、この判断は正しかったかも
「今のがピアノを弾いていた子です。ああ見えてプロ並みにうまいんですよ」
「確かに、聞き入っちゃったね」
音楽室を出て次の教室へ行こうとすると、人体模型が廊下を走って行ってしまった
どうやら追ってるわけじゃなくて、走り回るだけみたいだ
「あっちにまた部屋がありますよ」
「うん、行ってみよう」
次の教室に入ると、調理室のようだった
「なんだかいい匂いがしますね」
「ほんとだ。甘い、クッキーの香りかな?」
教室を見回すと奥の方で女性がごそごそと何かをしていた
いや、女性じゃない! 女性の恰好をしてるけど筋肉モリモリの男性だ!
「あらん、可愛い子がきたじゃなぁい。私のクッキー、た・べ・る?」
「いただきます」
私はその美味しそうな匂いにつられて即答し、クッキーをいただいた
「あらやだ、いい子ね! ほら、これもこれも、美味しいわよぉ」
「ありがとう!」
私はたくさんのクッキーをムシャムシャと食べ続けた
「ふふふ、私の容姿を怖がる子が多いのに、あなた怖がらないのね?」
「確かに見た目は、うん、結構怖い、かも。でもなんだか優しそうなオーラが見えたから」
「あらあなた精霊? そっか、それでなのね。本当なら怖がってクッキーを食べない子をさらに怖がらせるのが私の役目なんだけど、こんなに美味しそうに食べてくれたんだから怖がらせる意味はないわね。ちなみにそのクッキーは本当に私のお手製よ」
「この方はリリーさんです。本名は銀之助ですね」
「あんたはもう! また! ほんとに空気が読めないというか、もう!」
銀之助さんことリリーさんはプリプリと怒り、イチカさんの背中をペシペシ叩いていた
「さて、この教室から奥に行けば階段があるわ。あ、模型君はほっといていいわよ。走り回ってるだけだから。でもあの表情で走ってたら怖いわよねぇ」
「た、確かに」
苦悶の表情で走り回ってるし、悲鳴も上げてるしで意外と怖い
でもさっきの階からしたらここは拍子抜けだったかも
そう思いつつ、教室を出てから階段を上がった
その際また模型君とすれ違ったけど、特に何もしてこなかったのでほっておいた
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