上 下
5 / 487

街へ3

しおりを挟む
 安心したところで気になることがあった
 さっきの騎士たちのことだ
 この村の人達は、なんで帝国騎士が?なんて言ってたけど、帝国?
 その辺りの国の事情も何も分からんのよね
 それなら街に出て情報を仕入れないといけないなぁ
 ここ村だからそこまで情報入ってこなさそう
 それにだよ
 またあの騎士が来た時の対処も考えとかないと
 あの魅了の猫パンチは数日で解けるみたいだし、そうなれば絶対また来る
 あと、勇者の話も出てたね
 勇者、勇者、そんな人がいるなら恐らくだけど魔王もいるんじゃない?
 そういう小説好きだったから会いたいな
 まぁ魔王って多分悪い人だよね? いや決めつけはよくないか
 ちゃんとその辺りも調べないとね
 あとあと、人間族以外に種族がいるのかってところも調べないと
 これは最優先事項だよ
 もし獣人がいるなら、絶対会いたい猫獣人
 まぁそれ以外の種族もいるなら全種族会いたいな
「ほらミア、ここが私達の家だよ」
「んな?」
 フィオナの家、小さいけどよく手入れされてて綺麗
 花もたくさん植えてある
「あ、お花が気になるの? このお花はね、お父さんが好きなの」
 お父さんのターナーさんの趣味なのか
「よしっと、ほら、寝床が出来たぞミア」
 ターナーさんに言われるがまま寝床を見る
 クンカクンカ
 花のいい香りがする
「あとはこれ、クッションも入れとくか」
 おお、フカフカクッションではないですか
 早速クッションにのって踏み踏みする
「気に入ってくれたみたいだねお父さん!」
「ああ」
 ふと気づいたけど、ターナーさん、右手だけしか動かしてない気がする
 ん? 左腕に深い切傷みたいな痕がある
「んなーお」
 私は椅子に座ったターナーさんの膝上に乗り、傷口に触れてみた
「お、どうした? これが気になるのか? てかお前賢いな」
「んなん!」
「これは昔な娘を守るために負った勲章だ。剣は握れなくなったが、この子を守れたから悔いはない!」
 ああ、そうなんだ・・・
 フィオナちゃんが悲しそうな顔をしてる
「んにゃま!」
 私は傷口をそっと撫でてみた
 すると驚くべきことが起きた
「え? なんだと」
 え、うそおおおおおおおお!!
 傷が
「傷が、治ってる!」
 私もびっくり、え、こんな能力あったっけ?って自分のステータスを見てみる
 あるんかい!
 えーっと猫パンチの中に、肉球パンチの欄、そこにあるのは魅了、麻痺、回復があった
 そっか、この回復が・・・。いやすごすぎない? 傷ってこれたぶん塞がってから数年は絶ってるはずだよね
 それを治すのかこれ
「すごい、動くぞフィオナ!」
「うう、お父さんの手が、治ったよぉおお」
 少し動かしにくそうだけど、ちゃんと動いてるよ
「ありがとう猫ちゃん!」
「ああ、ありがとうミア・・・。しかし猫の持つ力じゃないな。もしかして魔物、なのか?」
「ん、な、にゃ」
「そんなわけないよぉ。私達を助けてくれて、お父さんを治してくれたんだよ? そんな子が魔物なわけないじゃない」
「それもそうだな。まあ不思議な猫ってことで」
 ふぅ、なんとかなったか
 ごめん、魔物、なんだ
 でも私は他の魔物みたいに人なんて襲わないし、食べ物も魚と猫が食べれる草さえあればいいさ
「ところでお父さん、今度街に行くのっていつなの?」
「ああ、来週だな。腕が治ったから昔の仲間にも報告しようと思ってる」
「そっか、じゃあ私はまた、メアリーの家でお留守番、だね・・・」
 ああ、寂しそうな顔。でも
「いや、今回は一緒に行こう。こうして腕も治ったんだから、俺がフィオナを守れる」
「ホント!?」
 うわお、すごく眩しい笑顔
 癒されるねえ
「んな」
「お、そうだな、お前も行くか」
「んにゃ!」
 意外と早く街へ行く機会に巡り合えた
 ただ、私がいない間にここに騎士たちが来たらどうしよう
 そう思って能力を見てみた
 おお、いいのがあるじゃないか
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

愚かな父にサヨナラと《完結》

アーエル
ファンタジー
「フラン。お前の方が年上なのだから、妹のために我慢しなさい」 父の言葉は最後の一線を越えてしまった。 その言葉が、続く悲劇を招く結果となったけど・・・ 悲劇の本当の始まりはもっと昔から。 言えることはただひとつ 私の幸せに貴方はいりません ✈他社にも同時公開

辺境伯家ののんびり発明家 ~異世界でマイペースに魔道具開発を楽しむ日々~

Lunaire
ファンタジー
壮年まで生きた前世の記憶を持ちながら、気がつくと辺境伯家の三男坊として5歳の姿で異世界に転生していたエルヴィン。彼はもともと物作りが大好きな性格で、前世の知識とこの世界の魔道具技術を組み合わせて、次々とユニークな発明を生み出していく。 辺境の地で、家族や使用人たちに役立つ便利な道具や、妹のための可愛いおもちゃ、さらには人々の生活を豊かにする新しい魔道具を作り上げていくエルヴィン。やがてその才能は周囲の人々にも認められ、彼は王都や商会での取引を通じて新しい人々と出会い、仲間とともに成長していく。 しかし、彼の心にはただの「発明家」以上の夢があった。この世界で、誰も見たことがないような道具を作り、貴族としての責任を果たしながら、人々に笑顔と便利さを届けたい——そんな野望が、彼を新たな冒険へと誘う。 他作品の詳細はこちら: 『転生特典:錬金術師スキルを習得しました!』 【https://www.alphapolis.co.jp/novel/297545791/906915890】 『テイマーのんびり生活!スライムと始めるVRMMOスローライフ』 【https://www.alphapolis.co.jp/novel/297545791/515916186】 『ゆるり冒険VR日和 ~のんびり異世界と現実のあいだで~』 【https://www.alphapolis.co.jp/novel/297545791/166917524】

貴族に生まれたのに誘拐され1歳で死にかけた

佐藤醤油
ファンタジー
 貴族に生まれ、のんびりと赤ちゃん生活を満喫していたのに、気がついたら世界が変わっていた。  僕は、盗賊に誘拐され魔力を吸われながら生きる日々を過ごす。  魔力枯渇に陥ると死ぬ確率が高いにも関わらず年に1回は魔力枯渇になり死にかけている。  言葉が通じる様になって気がついたが、僕は他の人が持っていないステータスを見る力を持ち、さらに異世界と思われる世界の知識を覗ける力を持っている。  この力を使って、いつか脱出し母親の元へと戻ることを夢見て過ごす。  小さい体でチートな力は使えない中、どうにか生きる知恵を出し生活する。 ------------------------------------------------------------------  お知らせ   「転生者はめぐりあう」 始めました。 ------------------------------------------------------------------ 注意  作者の暇つぶし、気分転換中の自己満足で公開する作品です。  感想は受け付けていません。  誤字脱字、文面等気になる方はお気に入りを削除で対応してください。

魔境に捨てられたけどめげずに生きていきます

ツバキ
ファンタジー
貴族の子供として産まれた主人公、五歳の時の魔力属性検査で魔力属性が無属性だと判明したそれを知った父親は主人公を魔境へ捨ててしまう どんどん更新していきます。 ちょっと、恨み描写などがあるので、R15にしました。

【完結】悪役令嬢に転生したけど、王太子妃にならない方が幸せじゃない?

みちこ
ファンタジー
12歳の時に前世の記憶を思い出し、自分が悪役令嬢なのに気が付いた主人公。 ずっと王太子に片思いしていて、将来は王太子妃になることしか頭になかった主人公だけど、前世の記憶を思い出したことで、王太子の何が良かったのか疑問に思うようになる 色々としがらみがある王太子妃になるより、このまま公爵家の娘として暮らす方が幸せだと気が付く

ちっちゃくなった俺の異世界攻略

鮨海
ファンタジー
あるとき神の采配により異世界へ行くことを決意した高校生の大輝は……ちっちゃくなってしまっていた! 精霊と神様からの贈り物、そして大輝の力が試される異世界の大冒険?が幕を開ける!

転生したら赤ん坊だった 奴隷だったお母さんと何とか幸せになっていきます

カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
転生したら奴隷の赤ん坊だった お母さんと離れ離れになりそうだったけど、何とか強くなって帰ってくることができました。 全力でお母さんと幸せを手に入れます ーーー カムイイムカです 今製作中の話ではないのですが前に作った話を投稿いたします 少しいいことがありましたので投稿したくなってしまいました^^ 最後まで行かないシリーズですのでご了承ください 23話でおしまいになります

無能なので辞めさせていただきます!

サカキ カリイ
ファンタジー
ブラック商業ギルドにて、休みなく働き詰めだった自分。 マウントとる新人が入って来て、馬鹿にされだした。 えっ上司まで新人に同調してこちらに辞めろだって? 残業は無能の証拠、職務に時間が長くかかる分、 無駄に残業代払わせてるからお前を辞めさせたいって? はいはいわかりました。 辞めますよ。 退職後、困ったんですかね?さあ、知りませんねえ。 自分無能なんで、なんにもわかりませんから。 カクヨム、なろうにも同内容のものを時差投稿しております。

処理中です...