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第十三章 魔国への道
通路の先
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「アレク……!」
リィカが名前を呼んでアレクに駆け寄る。そんなリィカを受け止めて、アレクは剣を持つ右手に力を込めた。
「アレク、魔剣、手に入れられたの?」
「ああ」
一言だけ答えて、リィカの背中に手を回して抱き締める。ヒエッ、と小さく悲鳴を上げられた気がするが、構わず抱き締めた。
「ど、どうしたの……?」
「いや。手に入れられたのはいいが、かなり悪趣味な奴で気持ちが落ち込んだんだ。だから、俺を慰めると思って、大人しくしていろ」
「悪趣味……? え、アレク、何があったの?」
「いいから、大人しくしてろ」
さらに腕に力を込める。
素直に大人しくしてくれるリィカに、唇が綻んだ。
『悪趣味とは、ずいぶんな言い方だな』
突如頭に響いた声に、リィカを抱き締めていた手が緩んだ。
(悪趣味だろう。人の過去を掘り起こしたんだ)
『その者がどんな者か。それを理解するためには、記憶を辿るのが手っ取り早い。弱き者に興味はないが、剣だけが強い者にも我は力を貸そうとは思わん』
「あの、アレク……?」
リィカの戸惑った声に、アレクは意識を戻す。リィカに笑いかけて、さらに仲間たちを順に見回す。
「魔剣アクートゥス、と言うらしい。これからもよろしく頼む」
剣を掲げ、堂々と宣言した。
※ ※ ※
「これで、目的は達成したわけだけど……」
リィカは言いつつ視線を向けた先は、さらに奥に続く通路だった。
魔剣の置かれていた台座は、まさに通路の途中だ。その先にも道は続いている。
「普通こういうのって、一番奥にあるものだと思うけどなぁ」
「だから、ゲームじゃないと言っているだろう」
暁斗と泰基のやりとりに、リィカは小さく笑う。暁斗の言った事に賛成だと言ったら、泰基は何というのだろうか。
「本当なら引き返すべきだと思うんだけど、この先にも行ってみたい」
リィカの希望に、全員が不思議そうな顔をした。
暁斗が首を傾げる。
「オレも奥に何かあるのかないのか興味はあるけど、無理に行くことないと思う」
希望を出したリィカは、今戦えないのだ。何があるか分からない以上、危険を犯すべきではない。
それはリィカも分かってはいる。
「……ごめん。本当にたいした理由はなくて、ただ何か気になる。この先に行ってみたい。……行かなきゃダメだ、って思うの」
その言葉に、戸惑いが広がる。
だが、アレクが頷いた。
「分かった。そう言うなら行ってみよう。みんな、いいか?」
見回せば皆が頷く。
リィカが頭を下げた。
「わたしのワガママでごめんなさい。でも、ありがとう」
「それは別に構わねぇけどな……」
「ちゃんと守られて下さいよ。何が起こっても、自分でどうにかしようとか思わないで下さいね」
「……はい。気をつけます」
何か言いたげながら言葉をぼかしたバルだが、ユーリにズバッと遠慮なく言われて、リィカは声を小さく答えたのだった。
※ ※ ※
そして通路の先。
青白い光が漏れてきて、足が止まる。
「魔力を感じます」
「だが、人間でも魔物でも……生き物の魔力じゃなさそうだ」
ユーリと泰基の言葉に疑問を浮かべ、さらに足を進める。
そして、たどり着いたのは通路の行き止まり。何か部屋があるわけでも、宝箱があるわけでもない。ただの行き止まり。
だが、その壁に描かれたモノから青白い光が発せられている。
「これって、魔方陣……?」
リィカがつぶやいた。
リィカが名前を呼んでアレクに駆け寄る。そんなリィカを受け止めて、アレクは剣を持つ右手に力を込めた。
「アレク、魔剣、手に入れられたの?」
「ああ」
一言だけ答えて、リィカの背中に手を回して抱き締める。ヒエッ、と小さく悲鳴を上げられた気がするが、構わず抱き締めた。
「ど、どうしたの……?」
「いや。手に入れられたのはいいが、かなり悪趣味な奴で気持ちが落ち込んだんだ。だから、俺を慰めると思って、大人しくしていろ」
「悪趣味……? え、アレク、何があったの?」
「いいから、大人しくしてろ」
さらに腕に力を込める。
素直に大人しくしてくれるリィカに、唇が綻んだ。
『悪趣味とは、ずいぶんな言い方だな』
突如頭に響いた声に、リィカを抱き締めていた手が緩んだ。
(悪趣味だろう。人の過去を掘り起こしたんだ)
『その者がどんな者か。それを理解するためには、記憶を辿るのが手っ取り早い。弱き者に興味はないが、剣だけが強い者にも我は力を貸そうとは思わん』
「あの、アレク……?」
リィカの戸惑った声に、アレクは意識を戻す。リィカに笑いかけて、さらに仲間たちを順に見回す。
「魔剣アクートゥス、と言うらしい。これからもよろしく頼む」
剣を掲げ、堂々と宣言した。
※ ※ ※
「これで、目的は達成したわけだけど……」
リィカは言いつつ視線を向けた先は、さらに奥に続く通路だった。
魔剣の置かれていた台座は、まさに通路の途中だ。その先にも道は続いている。
「普通こういうのって、一番奥にあるものだと思うけどなぁ」
「だから、ゲームじゃないと言っているだろう」
暁斗と泰基のやりとりに、リィカは小さく笑う。暁斗の言った事に賛成だと言ったら、泰基は何というのだろうか。
「本当なら引き返すべきだと思うんだけど、この先にも行ってみたい」
リィカの希望に、全員が不思議そうな顔をした。
暁斗が首を傾げる。
「オレも奥に何かあるのかないのか興味はあるけど、無理に行くことないと思う」
希望を出したリィカは、今戦えないのだ。何があるか分からない以上、危険を犯すべきではない。
それはリィカも分かってはいる。
「……ごめん。本当にたいした理由はなくて、ただ何か気になる。この先に行ってみたい。……行かなきゃダメだ、って思うの」
その言葉に、戸惑いが広がる。
だが、アレクが頷いた。
「分かった。そう言うなら行ってみよう。みんな、いいか?」
見回せば皆が頷く。
リィカが頭を下げた。
「わたしのワガママでごめんなさい。でも、ありがとう」
「それは別に構わねぇけどな……」
「ちゃんと守られて下さいよ。何が起こっても、自分でどうにかしようとか思わないで下さいね」
「……はい。気をつけます」
何か言いたげながら言葉をぼかしたバルだが、ユーリにズバッと遠慮なく言われて、リィカは声を小さく答えたのだった。
※ ※ ※
そして通路の先。
青白い光が漏れてきて、足が止まる。
「魔力を感じます」
「だが、人間でも魔物でも……生き物の魔力じゃなさそうだ」
ユーリと泰基の言葉に疑問を浮かべ、さらに足を進める。
そして、たどり着いたのは通路の行き止まり。何か部屋があるわけでも、宝箱があるわけでもない。ただの行き止まり。
だが、その壁に描かれたモノから青白い光が発せられている。
「これって、魔方陣……?」
リィカがつぶやいた。
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