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第十二章 帝都ルベニア
皇城へ帰還
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とりあえず、明日また来いと言われて、一行はサムの自宅を出て、皇城へと向かっていた。
「どんな剣ができるのか、楽しみだね」
「そうですね」
リィカとユーリが言葉を交わす。
「剣ができたら、もう少し本気で練習しないと駄目ですよね。今までサボり気味でしたから」
続けられたユーリの言葉に、リィカは苦笑した。
確かにその通りだ。
絶対に剣を必要とする事態はそう多くはないが、それでもゼロではない。その時に備えての練習は必要だった。
※ ※ ※
「パーティー?」
皇城に戻ったら、さっそくルードリックに呼び出された。
雨を降らしているゾウについて話があるのかと思いきや、全く別の話だった。
「貴族たちから、勇者様方が問題を解決してくれたお礼にパーティーを開いてはどうか、という提案があったのです。その、お礼という名目上、却下することもできず、開催することと致しました」
勇者一行の、特に暁斗とリィカの表情が歪んだのを察して、ルードリックは一瞬言い淀んだが、最後までしっかり言い切った。
「もちろん衣装はこちらでご用意致します。勇者様方は慣れないかと存じますので、ケルー少将をつけます。それと、アレクシス殿はリィカ嬢をパートナーとして側において頂ければと思うのですが」
その言葉にリィカはアレクを見て、アレクは諦めたように笑って頷く。
リィカを側にいさせることは全然構わない。
そのパーティーがお礼という口実の、勇者と接触したい貴族の思惑があることは明白だったが、断るのが不可能である事に対しての諦めだ。
暁斗の顔には分かりやすく「いやだ」と書かれているが、泰基はアレクの表情を見て諦めるしかない事を悟った。
「分かりました。我々は貴族同士のマナーなど分かりませんので、その辺りはすべてトラヴィスさんにお任せして問題ありませんか?」
「ええ、もちろんです。そのためにつけるのですから」
ルードリックの返答に泰基はホッとした。
要するに、下心満載で近づいてくる貴族たちの相手は、トラヴィスが引き受けてくれるのだろう。
申し訳ないとは思うが、そこはすべて押しつけよう、と心に決めた泰基だ。
「ゾウについての話はありましたか?」
全く話に出ないので、アレクからその話を振る。
すると、ルードリックは何とも言えない顔で頷いた。
「ああ、聞いた。……何というかこう、まだいまいち話が飲み込めないというか、そんな気分ではあるが」
その言葉で、トラヴィスがすべてそのまま報告したことが分かる。
内容が内容なので、ルードリックにどのように報告するべきか、トラヴィスは悩んでいた。
それをそのまま報告するように勧めたのはアレクだ。
少なくともルードリックは真実を知るべきだ。
その先、誰にどう話を伝えていくのか、それを考えるのはルードリックの仕事だ。
「この地が気まぐれなゾウのおかげで雨が降り、こうして我々が生きていけるということは理解した」
「気まぐれというより、単に寝穢いだけだと思いますが」
別にどうでもいいのだが、思わずアレクはツッコんだ。
あれを気まぐれというのは、何かが違う気がする。
だが、ルードリックはニコリともしなかった。
「そのゾウとて生き物だ。いつかは死が訪れるだろう。だから、雨が降らなくなる前に、帝都の移転についての議論を行っていくつもりだ」
想像以上にスケールの大きい話に、アレクは目を見開いた。
「今日明日でどうにかなることはないだろうからな。あくまでも将来の課題。何代か後に結論が出れば良い、という程度の話だ」
自分はただ議論を吹っかけるだけのつもりだと、ここでようやくルードリックは笑った。
「どんな剣ができるのか、楽しみだね」
「そうですね」
リィカとユーリが言葉を交わす。
「剣ができたら、もう少し本気で練習しないと駄目ですよね。今までサボり気味でしたから」
続けられたユーリの言葉に、リィカは苦笑した。
確かにその通りだ。
絶対に剣を必要とする事態はそう多くはないが、それでもゼロではない。その時に備えての練習は必要だった。
※ ※ ※
「パーティー?」
皇城に戻ったら、さっそくルードリックに呼び出された。
雨を降らしているゾウについて話があるのかと思いきや、全く別の話だった。
「貴族たちから、勇者様方が問題を解決してくれたお礼にパーティーを開いてはどうか、という提案があったのです。その、お礼という名目上、却下することもできず、開催することと致しました」
勇者一行の、特に暁斗とリィカの表情が歪んだのを察して、ルードリックは一瞬言い淀んだが、最後までしっかり言い切った。
「もちろん衣装はこちらでご用意致します。勇者様方は慣れないかと存じますので、ケルー少将をつけます。それと、アレクシス殿はリィカ嬢をパートナーとして側において頂ければと思うのですが」
その言葉にリィカはアレクを見て、アレクは諦めたように笑って頷く。
リィカを側にいさせることは全然構わない。
そのパーティーがお礼という口実の、勇者と接触したい貴族の思惑があることは明白だったが、断るのが不可能である事に対しての諦めだ。
暁斗の顔には分かりやすく「いやだ」と書かれているが、泰基はアレクの表情を見て諦めるしかない事を悟った。
「分かりました。我々は貴族同士のマナーなど分かりませんので、その辺りはすべてトラヴィスさんにお任せして問題ありませんか?」
「ええ、もちろんです。そのためにつけるのですから」
ルードリックの返答に泰基はホッとした。
要するに、下心満載で近づいてくる貴族たちの相手は、トラヴィスが引き受けてくれるのだろう。
申し訳ないとは思うが、そこはすべて押しつけよう、と心に決めた泰基だ。
「ゾウについての話はありましたか?」
全く話に出ないので、アレクからその話を振る。
すると、ルードリックは何とも言えない顔で頷いた。
「ああ、聞いた。……何というかこう、まだいまいち話が飲み込めないというか、そんな気分ではあるが」
その言葉で、トラヴィスがすべてそのまま報告したことが分かる。
内容が内容なので、ルードリックにどのように報告するべきか、トラヴィスは悩んでいた。
それをそのまま報告するように勧めたのはアレクだ。
少なくともルードリックは真実を知るべきだ。
その先、誰にどう話を伝えていくのか、それを考えるのはルードリックの仕事だ。
「この地が気まぐれなゾウのおかげで雨が降り、こうして我々が生きていけるということは理解した」
「気まぐれというより、単に寝穢いだけだと思いますが」
別にどうでもいいのだが、思わずアレクはツッコんだ。
あれを気まぐれというのは、何かが違う気がする。
だが、ルードリックはニコリともしなかった。
「そのゾウとて生き物だ。いつかは死が訪れるだろう。だから、雨が降らなくなる前に、帝都の移転についての議論を行っていくつもりだ」
想像以上にスケールの大きい話に、アレクは目を見開いた。
「今日明日でどうにかなることはないだろうからな。あくまでも将来の課題。何代か後に結論が出れば良い、という程度の話だ」
自分はただ議論を吹っかけるだけのつもりだと、ここでようやくルードリックは笑った。
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