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第十二章 帝都ルベニア
独占中
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火曜日は更新せず、申し訳ありませんでした。
予定外のことが入ってバタバタしていたら、すっかり忘れてしまいました。
お待たせした挙げ句に、今回は本文短めで、本当にすいません。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーー
砂漠の旅を初めて一週間。
リィカたちもいい加減慣れてきた。
「ずっと景色が変わんなくて、つまんない」
いや、暁斗のように飽きてきた者もいるが。
だがこれでようやく中間地点である。
帝都ルベニアに到着するまで、残り一週間。
そうと聞いた暁斗は、ラクダの上でグッタリした。
「そんなにあるのー。車でも飛行機でも、新幹線でもいいから、開発しようよー」
「は? あの、それはどういう……」
「気にしないで下さい。こいつの戯れ言です」
暁斗の愚痴を大真面目にとったトラヴィスに、泰基は謝罪するように言うのと同時に、暁斗を睨む。
「暁斗、いい加減にしろよ」
「……はーい」
暁斗が渋々返事をする。
その様子をリィカが微笑ましく見ていたら、視界が塞がれた。
「……アレク?」
「他の男を見るな」
「……暁斗なんだけど」
「だから見るなと言っている」
「………………………」
一緒に旅をしているのに、見るなとはずいぶん無茶な事を言う。
そういえば、暁斗と話をしようと思ったのに、やっぱり話をしていない。
……というか、砂漠に出てから、アレク以外の人とあまり話をしていない。
同じラクダに乗っているんだから、アレクとの会話が多いのは確かだろうが、だからといって、なぜ他の人と話をしていないんだろうか。
周囲を見てみれば、時々ラクダを寄せて会話をしている。
リィカの乗っているラクダを操作しているのは、アレクだ。つまりはアレクが寄せてくれなければ、話もできない。
「……………………」
俺は独占欲が強いんだ、と言われた事を唐突に思い出した。確か、聖地でアンデッドの教会に入ったときのことだった。
野営の時、アレクはバルやユーリと一緒の天幕だから、話くらいしているだろう。
自分は一人の天幕だ。
食事の時などに話していないわけじゃないが、それでもそんなに多いわけじゃない。
アレクはしっかり他の人と交流しているのに、自分はアレクとしか関わっていないことになる。
つまりは、自分はほぼアレクの独占状態なわけで……。
「……………………」
振り返ってアレクを見る。
距離はかなり近いのだが、一週間で慣れた。
「なんだ、リィカ?」
不思議そうなアレクは、今の自分の状態を分かっているんだろうか。
聞いてみたいが、返ってくる答えを想像すると怖い。
「……なんでもない」
結局、リィカはそれ以上踏み込まなかった。
もし聞いていたら、アレクはこう答えただろう。
「やっと気付いたか」と。
少なくとも帝都に到着するまでは、独占する気満々なのだから。
予定外のことが入ってバタバタしていたら、すっかり忘れてしまいました。
お待たせした挙げ句に、今回は本文短めで、本当にすいません。
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砂漠の旅を初めて一週間。
リィカたちもいい加減慣れてきた。
「ずっと景色が変わんなくて、つまんない」
いや、暁斗のように飽きてきた者もいるが。
だがこれでようやく中間地点である。
帝都ルベニアに到着するまで、残り一週間。
そうと聞いた暁斗は、ラクダの上でグッタリした。
「そんなにあるのー。車でも飛行機でも、新幹線でもいいから、開発しようよー」
「は? あの、それはどういう……」
「気にしないで下さい。こいつの戯れ言です」
暁斗の愚痴を大真面目にとったトラヴィスに、泰基は謝罪するように言うのと同時に、暁斗を睨む。
「暁斗、いい加減にしろよ」
「……はーい」
暁斗が渋々返事をする。
その様子をリィカが微笑ましく見ていたら、視界が塞がれた。
「……アレク?」
「他の男を見るな」
「……暁斗なんだけど」
「だから見るなと言っている」
「………………………」
一緒に旅をしているのに、見るなとはずいぶん無茶な事を言う。
そういえば、暁斗と話をしようと思ったのに、やっぱり話をしていない。
……というか、砂漠に出てから、アレク以外の人とあまり話をしていない。
同じラクダに乗っているんだから、アレクとの会話が多いのは確かだろうが、だからといって、なぜ他の人と話をしていないんだろうか。
周囲を見てみれば、時々ラクダを寄せて会話をしている。
リィカの乗っているラクダを操作しているのは、アレクだ。つまりはアレクが寄せてくれなければ、話もできない。
「……………………」
俺は独占欲が強いんだ、と言われた事を唐突に思い出した。確か、聖地でアンデッドの教会に入ったときのことだった。
野営の時、アレクはバルやユーリと一緒の天幕だから、話くらいしているだろう。
自分は一人の天幕だ。
食事の時などに話していないわけじゃないが、それでもそんなに多いわけじゃない。
アレクはしっかり他の人と交流しているのに、自分はアレクとしか関わっていないことになる。
つまりは、自分はほぼアレクの独占状態なわけで……。
「……………………」
振り返ってアレクを見る。
距離はかなり近いのだが、一週間で慣れた。
「なんだ、リィカ?」
不思議そうなアレクは、今の自分の状態を分かっているんだろうか。
聞いてみたいが、返ってくる答えを想像すると怖い。
「……なんでもない」
結局、リィカはそれ以上踏み込まなかった。
もし聞いていたら、アレクはこう答えただろう。
「やっと気付いたか」と。
少なくとも帝都に到着するまでは、独占する気満々なのだから。
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