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第十一章 四天王ジャダーカ
槍で遊ぼう
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「あれって、槍……?」
砦の中を散策していた暁斗は、置いてある武器を見てつぶやいた。
「ええ、そうです。驚きました。勇者様は槍をご存じなのですね」
案内してくれているバジェットが驚いたように言ったのを、暁斗は少し困って笑うに留めた。
※ ※ ※
話し合いの翌日。
リィカの状態は、大分いいらしい。
「詰まる感じがする」と言っていた左腕も、その感じがかなり薄れてきたということだ。
話し合って、帝都ルベニアへの出発は二日後となった。
はっきり言ってやることがない暁斗が、砦の中を見てみたいと言い出した。それにアレクとバルも同調し、バジェットが案内を申し出た。
とはいっても、そんな見て回る場所があるわけでもない。
真っ先にバジェットが案内したのが武器庫で、そこに置いてあった武器を見て、暁斗が驚きの声を上げたのだ。
ちなみに、リィカは左腕のリハビリ中。左手で色々魔法を使って、「詰まる」感じがなくなるように頑張っている。
ユーリと泰基は、ルベルトスに魔力の扱い方を指導中だ。
二人の申し出にルベルトスは最初怪訝な顔をしたが、トラヴィスの口添えもあって、素直に指導を受けている。
具体的に何をどう教えているのかはさっぱりだったが、覗き見したときは、ユーリが容赦なくルベルトスを叱りつけている場面で、速攻で逃げ出した三人だ。
暁斗が槍と言ったその武器を、アレクとバルが興味深そうに眺める。
「これはどう使うんだ?」
アレクが質問した。
見た目、一本の棒の先にナイフの刀身だけが付いている、という印象だ。
使い方が全く分からない。
「槍は、基本的には“突く“ことに特化した武器です。無論、柄や石突での打撃も可能です。最悪、振り回すだけでも攻撃となるので、武器に慣れていない者でも扱えるという利点がございます」
マジマジ眺めているアレクとバルの様子を見て、バジェットは微笑ましそうに見ている。
さらに説明を続けた。
「特に、突進してくる魔物を相手にするのに有効なので、我が帝国ではずっと使用されている武器です。さらに言いますと、突き技の剣技であれば槍でも発動します」
「へぇえ。剣じゃなくても、発動するんだ」
「はい。突き技限定であっても、発動するのは大きいですよ。だからこそ、使い続けているというのもあるかもしれません。穂……槍の刀身の根元に、魔石がついています」
暁斗もどれどれとのぞき込む。
確かに小さいが、確かに魔石がそこについていた。
「……使ってみますか?」
三人があまりにもマジマジと見ているからか、バジェットがそんな提案をしてきた。
その提案に、ほとんど反射的に三人とも頷いていたのだった。
※ ※ ※
「見て分かっていたが、実際に振ると余計に長く感じるな。間合いが分かりにくい」
「やっぱ、突くのが主だってのがやりにくいな。あんま、おれは突きを繰り出すことねぇからな」
「剣で突くのとは、なんか感覚全然違うよ」
それぞれに槍を一本ずつ持って、練習場へ移動。
誰か教師をつけるか、とのバジェットの話は遠慮した。
中にいると分かりにくいが、外では魔物との戦いの真っ最中なのだ。
自分たちの遊びのために、人員を割くのは申し訳ない。
ということで、「習ったけど才能なかった」というバジェットの槍の振り方を見て、それを見よう見まねでやってみた感想が、先ほどの言葉だ。
ちなみに、上からアレク・バル・暁斗である。
それでも身体能力のある三人だ。
なんだかんだ言いつつも、様になっているようにバジェットには見える。
「……低ランクの魔物なら十分倒せそうですけど、戦ってみますか?」
「遠慮する」
外を見ながらされたバジェットの提案に、アレクは即答した。
遊び感覚で少し振っただけの槍でいきなり実戦など、ごめんだった。
砦の中を散策していた暁斗は、置いてある武器を見てつぶやいた。
「ええ、そうです。驚きました。勇者様は槍をご存じなのですね」
案内してくれているバジェットが驚いたように言ったのを、暁斗は少し困って笑うに留めた。
※ ※ ※
話し合いの翌日。
リィカの状態は、大分いいらしい。
「詰まる感じがする」と言っていた左腕も、その感じがかなり薄れてきたということだ。
話し合って、帝都ルベニアへの出発は二日後となった。
はっきり言ってやることがない暁斗が、砦の中を見てみたいと言い出した。それにアレクとバルも同調し、バジェットが案内を申し出た。
とはいっても、そんな見て回る場所があるわけでもない。
真っ先にバジェットが案内したのが武器庫で、そこに置いてあった武器を見て、暁斗が驚きの声を上げたのだ。
ちなみに、リィカは左腕のリハビリ中。左手で色々魔法を使って、「詰まる」感じがなくなるように頑張っている。
ユーリと泰基は、ルベルトスに魔力の扱い方を指導中だ。
二人の申し出にルベルトスは最初怪訝な顔をしたが、トラヴィスの口添えもあって、素直に指導を受けている。
具体的に何をどう教えているのかはさっぱりだったが、覗き見したときは、ユーリが容赦なくルベルトスを叱りつけている場面で、速攻で逃げ出した三人だ。
暁斗が槍と言ったその武器を、アレクとバルが興味深そうに眺める。
「これはどう使うんだ?」
アレクが質問した。
見た目、一本の棒の先にナイフの刀身だけが付いている、という印象だ。
使い方が全く分からない。
「槍は、基本的には“突く“ことに特化した武器です。無論、柄や石突での打撃も可能です。最悪、振り回すだけでも攻撃となるので、武器に慣れていない者でも扱えるという利点がございます」
マジマジ眺めているアレクとバルの様子を見て、バジェットは微笑ましそうに見ている。
さらに説明を続けた。
「特に、突進してくる魔物を相手にするのに有効なので、我が帝国ではずっと使用されている武器です。さらに言いますと、突き技の剣技であれば槍でも発動します」
「へぇえ。剣じゃなくても、発動するんだ」
「はい。突き技限定であっても、発動するのは大きいですよ。だからこそ、使い続けているというのもあるかもしれません。穂……槍の刀身の根元に、魔石がついています」
暁斗もどれどれとのぞき込む。
確かに小さいが、確かに魔石がそこについていた。
「……使ってみますか?」
三人があまりにもマジマジと見ているからか、バジェットがそんな提案をしてきた。
その提案に、ほとんど反射的に三人とも頷いていたのだった。
※ ※ ※
「見て分かっていたが、実際に振ると余計に長く感じるな。間合いが分かりにくい」
「やっぱ、突くのが主だってのがやりにくいな。あんま、おれは突きを繰り出すことねぇからな」
「剣で突くのとは、なんか感覚全然違うよ」
それぞれに槍を一本ずつ持って、練習場へ移動。
誰か教師をつけるか、とのバジェットの話は遠慮した。
中にいると分かりにくいが、外では魔物との戦いの真っ最中なのだ。
自分たちの遊びのために、人員を割くのは申し訳ない。
ということで、「習ったけど才能なかった」というバジェットの槍の振り方を見て、それを見よう見まねでやってみた感想が、先ほどの言葉だ。
ちなみに、上からアレク・バル・暁斗である。
それでも身体能力のある三人だ。
なんだかんだ言いつつも、様になっているようにバジェットには見える。
「……低ランクの魔物なら十分倒せそうですけど、戦ってみますか?」
「遠慮する」
外を見ながらされたバジェットの提案に、アレクは即答した。
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