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第十一章 四天王ジャダーカ

決着の方法

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ジャダーカは少し呆然としているように、リィカの目には見えた。

「なるほど」

ジャダーカがそう言ったのも、意識してのことではないようだった。
けれど次の瞬間、ジャダーカは口の端を上げた。

「魔力付与か。すごいもんだな。ただの魔法があんなに変化を遂げるなんざ、考えもしなかった」

ジャダーカの表情に、楽しい、という感情が見て取れる。
それを見てリィカも笑う。

「すごいでしょ」
「ああ、すごい。魔道具作りをやってこなかったのを、後悔してる」
「そうだよ、もったいない。すごく楽しいのに」

そこまで言って、もう一つ開示していない情報があったのを思い出して、リィカは続ける。

「わたしが混成魔法を使えるようになったの、魔道具作りをするようになってからだよ。それまでは、練習しても上手く使えなくて、大変だったんだから」

「……そうなのか。ますます、やってこなかった自分が残念だ」

「むしろ魔道具作ってないのに、混成魔法使うジャダーカがすごい」

「だから使えるようになるまで大変なんだよ。どれもこれも、練習に練習を重ねて何回も失敗して、ようやく使えるようになった代物ばかりだ」

「へぇ……」

リィカは目をパチパチさせた。

一度混成魔法を使えるようになってからは、その場で思い付いた魔法を、その場で発動させることにずっと成功している。

もし魔道具作りをしていなかったら、きっと自分もジャダーカと同じようにして、混成魔法を覚えていったんだろう。

これまでピンチの時には、大体混成魔法に助けられてきた。
魔道具作りをしていなかったら、混成魔法で状況を変えることはできなかったのだ。

そう考えると、あの時サルマたちに出会って魔道具作りを教えてもらった事が、どれだけ自分に大きな影響を与えたんだろうか。

風の手紙エア・レターじゃなく、ちゃんと会ってお礼を言いたいな)

いつになるか分からないけれど、いつかの約束として自分自身と交わす。
その時には自分たちが勇者の一行であることを、きちんと伝えられたら良いな、と思う。

「リィカ」

名を呼ばれる。

「俺が今まで積み重ねてきたのは、混成魔法だ。だから、勝負は俺が積み重ねてきたもので行う。だが、そんじょそこらの混成魔法じゃ、リィカには届かない」

ジャダーカの手に、膨大な魔力が集まる。
その意図は明らかだった。

「《天変地異カタクリズム》、だね?」

「ああ。それが相応しいだろ? 俺がリィカのために、必死に何ヶ月も練習して習得した魔法。決着をつけるのに、もってこいの魔法だ」

「うん」

リィカは頷いた。
目を閉じて、すぐ開く。
考える必要などない。
最初から、覚悟はあるのだから。

「受けて立つよ、ジャダーカ」

ジャダーカは、口の端をあげた。

そして戦いは、最終局面へと突入した。

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