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第十章 カトリーズの悪夢

合流

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ブォン、という音と共に最初に襲いかかってきたのは、モーニングスターだった。
それを躱す。

次に攻撃してきたのは、人食い馬マンイート・ホースだ。
ピュールが炎を、オーロが水流を、アネモスが風を、ゲーギが岩の固まりを放つ。

それが、すべて暁斗に対して放たれた。

「……………!」

暁斗は一瞬驚いた顔をしたものの、動きを止めて、それらを正面から迎え撃つ体勢を取る。

「暁斗!」

泰基が叫ぶ。
その叫び声を聞きながらも、暁斗は動かない。

「グラム!」

聖剣に魔力を流すと、剣が光った。

「はぁっ!」

聖剣を横に振り抜く。
人食い馬マンイート・ホースの攻撃が、すべてその一振りで切り裂かれていた。

「―――――――――!!」

周囲に驚愕が満ちる。
敵も味方も、驚いて暁斗を見る。

が、暁斗はそんなことはお構いなしだった。

「へへっ、やった、できた!」

嬉しそうに言ったのだった。


「……そんな真似が聖剣でできるとはな」

カストルの言葉に、暁斗が真っ直ぐにカストルを見る。
ニカッと笑ってみせた。

「剣で魔法を斬るってさ、カッコいいって思わない?」
「………………知らんな」

不快そうな顔で返すカストル。
その二人に、訝しげな視線が集まる。

「まさか……………」

泰基が小さくつぶやいた。


「やれ」

カストルの一言に、動きの止まっていた魔族たちが再び動いた。
再度モーニングスターが飛んでくる。

「《水鉄砲アクアガン》!」

泰基の魔法が、モーニングスターを弾く。

「やっぱり、おじさん、邪魔だよ!」

ディーノスが忌々しそうに叫ぶ。

「「ヒヒーン!」」

すぐ近くで上がった馬の声。しかも、二体分。
泰基が大ダメージを受けた、赤い毛並みのピュール、緑の毛並みのアネモスが、すぐ近くにいた。

「――父さん!」

暁斗が叫ぶ。しかし。

「行かせぬぞ、勇者」

ハルバードを持つポタルゴスが暁斗を遮る。

チラリと視線を送れば、アレクにはバトルアックスを持つラムポーンが。バルにはウォーハンマーを持つクサントスが立ちはだかっている。

魔封陣が壊れる前と同じ布陣になっている。

ピュールが、その牙をむき出しに、泰基に噛み付いてきた。
それを躱そうとして、そこにアネモスが足蹴りを繰り出してくる。

それらを何とか躱したところに、モーニングスターが繰り出されてきた。
躱すのは無理だ。

「【金光新星剣きんこうしんせいけん】!」

剣技を繰り出した。
光の、直接攻撃の剣技だ。

「――ぐっ」

衝撃は強かったが、モーニングスターを弾くことに成功する。
しかし、足を止めてしまった。

「「ヒヒーン!」」

再び上がった、馬の嘶き。
ハッと思ったときには、炎が、風が、それぞれ口から繰り出されていた。

「《結界バリア》!」

魔法が使える、というのは、大きい。
先ほどまでは、守ることさえできなかったのだから。

「――――――!」

だが、威力が強い。
さらにモーニングスターが《結界バリア》にぶつけられ、大きく揺らいだ。

(防ぎきれるか!?)

泰基に焦りが生じたとき、事態は変わった。

「《水波紋アクアリング》!」
「《輪光リング・ライト》!」

水の輪がピュールを、光の輪がアネモスを直撃し、二体は横に倒れる。

炎と風の攻撃がやんで、泰基は魔法が飛んできた方を振り返る。
知らず、笑みがこぼれた。

「泰基、おまたせ!」
「危ないところでしたね。間に合って良かったです」
「…………遅いぞ、お前ら」

本当に待ったし、ちっとも間に合っていない。どれだけギリギリだったと思っている。

意気揚々と現れたリィカとユーリに、零れた笑みは引っ込んだのだった。

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