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第八章 世界樹ユグドラシル
バルVSアシュラ①
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バルとアシュラの戦いは、最初からバルが不利だった。
剣の性能が違いすぎる。
バルの剣は、父が作ってくれた一級品の剣ではあっても、あくまでも普通の剣だ。
それに引き換え、アシュラの剣は魔剣と呼ばれる、伝説の中で語られる剣。剣に魔力を流すことで、その強度が増して剣をたたき折ることができる。
剣技にしても、バルは剣に付いている魔石を通して、魔力を纏わせて発動させる。
だが、魔剣は剣自体が魔石と同じ効果を持っている。魔石を通す、という行程を経ずに直接剣に魔力を纏わせることができるため、その分魔剣の方が剣技の威力が増す。
その事実を理解した上で、バルはアシュラの攻撃を避けつつ、対抗策を考える。
相手を卑怯とは思わない。
どんな武器を使うかは、個人の自由だ。
武器の性能が上がるほどに、その扱いも難しくなる事を、バルは知っていた。
剣の素人が魔剣など使えるはずもない。
アシュラが魔剣を使いこなしているなら、アシュラ自身がそれだけ努力した結果なのだろうと思う。
だから、そこは素直に相手を認めなければいけない。
「【犬狼遠震撃】!」
アシュラが、土の剣技を放つ。
「――ちっ」
舌打ちしつつ、バルは躱す。
「どうした。先ほどから躱してばかりだぞ」
アシュラがからかうように言うが、その言葉に乗るわけにはいかない。
バルが反応を見せないでいると、アシュラはさらに楽しそうな顔をする。
アシュラは一気に距離を詰めると、剣を上段から振り下ろす。
(ここだ!)
バルは、フッと息を吐く。
狙うのは、メルクリウスの時と同じ。
「【獅子斬釘撃】!」
振り下ろしてきた剣に合わせて、土の直接攻撃の剣技を発動させた。
受け止め、弾こうとして……アシュラがニヤッと笑った。
バルは、背中にゾクッとしたものを感じて引こうとするが……遅かった。
「フォルテュード、叩き折れ!」
アシュラの剣が、光る。
バルの剣と、アシュラの剣がぶつかる。
――ガキィィィィィィィン
音を立てて、バルの剣が真っ二つに折られた。
折られた剣先が飛んでいく。
「…………」
「ここまでだ。さらば」
呆然と立ちすくむバルに、アシュラが短く告げる。
バルの心臓目掛けて、剣を突き出して……
――ズシイイイィィィィィンンンンンン!!!
派手な音と共に、地面が揺れた。
キリムが前足二本で地面を叩き付けた震動が、ここまで届いたのだ。
そうとは知らない二人が、その揺れに足を取られる。
「――なっ!?」
「何が起こった……!?」
だが、バルはおかげで衝撃から立ち直る事ができた。
突き出されたアシュラの剣の動きが止まっているのを見て、一瞬だけ目を瞑る。
(――リィカ、力を貸してくれ)
右手に力を込める。
「《土の付与》!」
エンチャントの魔法を唱える。
――魔法が、発動した。
剣が、土で覆われる。
剣が折られて無くなった部分にまで、土が伸びて固まった。
地面の揺れが収まる。
「……トドメをさせるかと思ったが、思わぬ邪魔が入ったな。だが、面白い。エンチャントでどこまで魔剣と対抗できるか、見せてもらおう」
アシュラがバルの剣を見て口の端を上げる。
その言い方は、エンチャントであっても脅威ではないと言われているようで、バルは顔をしかめたくなるのを堪える。
「勝負だ、アシュラ」
「良かろう。かかってくるが良い、バルムート」
戦いは、次の段階へと突入した。
剣の性能が違いすぎる。
バルの剣は、父が作ってくれた一級品の剣ではあっても、あくまでも普通の剣だ。
それに引き換え、アシュラの剣は魔剣と呼ばれる、伝説の中で語られる剣。剣に魔力を流すことで、その強度が増して剣をたたき折ることができる。
剣技にしても、バルは剣に付いている魔石を通して、魔力を纏わせて発動させる。
だが、魔剣は剣自体が魔石と同じ効果を持っている。魔石を通す、という行程を経ずに直接剣に魔力を纏わせることができるため、その分魔剣の方が剣技の威力が増す。
その事実を理解した上で、バルはアシュラの攻撃を避けつつ、対抗策を考える。
相手を卑怯とは思わない。
どんな武器を使うかは、個人の自由だ。
武器の性能が上がるほどに、その扱いも難しくなる事を、バルは知っていた。
剣の素人が魔剣など使えるはずもない。
アシュラが魔剣を使いこなしているなら、アシュラ自身がそれだけ努力した結果なのだろうと思う。
だから、そこは素直に相手を認めなければいけない。
「【犬狼遠震撃】!」
アシュラが、土の剣技を放つ。
「――ちっ」
舌打ちしつつ、バルは躱す。
「どうした。先ほどから躱してばかりだぞ」
アシュラがからかうように言うが、その言葉に乗るわけにはいかない。
バルが反応を見せないでいると、アシュラはさらに楽しそうな顔をする。
アシュラは一気に距離を詰めると、剣を上段から振り下ろす。
(ここだ!)
バルは、フッと息を吐く。
狙うのは、メルクリウスの時と同じ。
「【獅子斬釘撃】!」
振り下ろしてきた剣に合わせて、土の直接攻撃の剣技を発動させた。
受け止め、弾こうとして……アシュラがニヤッと笑った。
バルは、背中にゾクッとしたものを感じて引こうとするが……遅かった。
「フォルテュード、叩き折れ!」
アシュラの剣が、光る。
バルの剣と、アシュラの剣がぶつかる。
――ガキィィィィィィィン
音を立てて、バルの剣が真っ二つに折られた。
折られた剣先が飛んでいく。
「…………」
「ここまでだ。さらば」
呆然と立ちすくむバルに、アシュラが短く告げる。
バルの心臓目掛けて、剣を突き出して……
――ズシイイイィィィィィンンンンンン!!!
派手な音と共に、地面が揺れた。
キリムが前足二本で地面を叩き付けた震動が、ここまで届いたのだ。
そうとは知らない二人が、その揺れに足を取られる。
「――なっ!?」
「何が起こった……!?」
だが、バルはおかげで衝撃から立ち直る事ができた。
突き出されたアシュラの剣の動きが止まっているのを見て、一瞬だけ目を瞑る。
(――リィカ、力を貸してくれ)
右手に力を込める。
「《土の付与》!」
エンチャントの魔法を唱える。
――魔法が、発動した。
剣が、土で覆われる。
剣が折られて無くなった部分にまで、土が伸びて固まった。
地面の揺れが収まる。
「……トドメをさせるかと思ったが、思わぬ邪魔が入ったな。だが、面白い。エンチャントでどこまで魔剣と対抗できるか、見せてもらおう」
アシュラがバルの剣を見て口の端を上げる。
その言い方は、エンチャントであっても脅威ではないと言われているようで、バルは顔をしかめたくなるのを堪える。
「勝負だ、アシュラ」
「良かろう。かかってくるが良い、バルムート」
戦いは、次の段階へと突入した。
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