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第六章 王都テルフレイラ
ユーリVSアルテミ①
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「《流星群》!」
アルテミが土の上級魔法を唱えた。
「《結界》!」
ユーリの《結界》がそれを防ぐ。揺るぎもしない。
「――くっ!」
アルテミが悔しそうな表情を見せるが、ユーリは表情を崩さない。
「言っておきますが、僕はリィカの《水蒸気爆発》を防ぎきったこともありますよ。この程度で破れると思われる方が不愉快です。確かにリィカの魔法は強力ですが、僕も後れを取っているつもりはありません」
それどころか、相手を挑発するかのように、言葉を投げかける。
アルテミの顔が歪むのが分かり、ユーリは面白そうに口の端を上げた。
「魔法を光一種類しか使えないのを、ライマーさん、と仰るんですか? あの方に馬鹿にされた事がありましたね。けれどね、数が多ければいい、というものでもないですよ?」
ユーリは右手を上に掲げる。
「《太陽柱》!」
光の中級魔法。上から太陽の光が鋭い柱のように降り注ぎ、アルテミを焼き尽くそうとする。
「きゃああぁぁぁぁぁぁぁ!! ――こ、の……《暴風》!」
悲鳴を上げつつも唱えた魔法が、ユーリの《太陽柱》をかき消す。そのまま、ユーリにも魔法が届こうとするが、その前に張られたままの《結界》が、それを防いだ。
「お前……!」
「なかなかの威力でしょう? 相手が一人の場合、上級魔法よりも中級魔法の方が良いかもしれませんよ?」
何せ、対一人用の上級魔法というのは存在しない。上級魔法は、すべて広範囲への魔法だ。
一人と対戦するには、無駄が多いのだ。
あちこちダメージを負ったせいか、形相が凄まじいことになっているアルテミに睨まれながらも、ユーリは平然とアドバイスめいたことまで言った。
それがさらに、アルテミを激怒させている事にも、もちろん気付いている。
これからも、こんな戦いをしなければならないなら、ゆっくりしていられない。
今は何とか互角でも、このままいけば、リィカはどんどん強くなる。そして、それに自分は付いていけない。
それは予感だった。
いずれ、自分はこの旅に必要なくなる。リィカの足下にも及ばなくなる。
でも、認めるつもりはなかった。それはプライドが許さない。
リィカが現れるまで、自分と魔法で競う相手はいなかった。そして、明らかに才能はリィカが上だった。
それを認めた上で、ユーリは思う。
絶対に付いていく。追い抜かしてみせる、と。
こんな理不尽な戦いであっても、無駄にするわけにはいかない。
自分の成長のために、相手にも実力以上の実力を出してもらう。
リィカと同じ分野では競えない。
アルテミにはああ言ったが、リィカの場合、多彩な魔法を扱えるのも武器の一つだ。
自分は光魔法だけ。
だからこそ、リィカとは違う、自分だけの武器もあるはずだった。
アルテミが土の上級魔法を唱えた。
「《結界》!」
ユーリの《結界》がそれを防ぐ。揺るぎもしない。
「――くっ!」
アルテミが悔しそうな表情を見せるが、ユーリは表情を崩さない。
「言っておきますが、僕はリィカの《水蒸気爆発》を防ぎきったこともありますよ。この程度で破れると思われる方が不愉快です。確かにリィカの魔法は強力ですが、僕も後れを取っているつもりはありません」
それどころか、相手を挑発するかのように、言葉を投げかける。
アルテミの顔が歪むのが分かり、ユーリは面白そうに口の端を上げた。
「魔法を光一種類しか使えないのを、ライマーさん、と仰るんですか? あの方に馬鹿にされた事がありましたね。けれどね、数が多ければいい、というものでもないですよ?」
ユーリは右手を上に掲げる。
「《太陽柱》!」
光の中級魔法。上から太陽の光が鋭い柱のように降り注ぎ、アルテミを焼き尽くそうとする。
「きゃああぁぁぁぁぁぁぁ!! ――こ、の……《暴風》!」
悲鳴を上げつつも唱えた魔法が、ユーリの《太陽柱》をかき消す。そのまま、ユーリにも魔法が届こうとするが、その前に張られたままの《結界》が、それを防いだ。
「お前……!」
「なかなかの威力でしょう? 相手が一人の場合、上級魔法よりも中級魔法の方が良いかもしれませんよ?」
何せ、対一人用の上級魔法というのは存在しない。上級魔法は、すべて広範囲への魔法だ。
一人と対戦するには、無駄が多いのだ。
あちこちダメージを負ったせいか、形相が凄まじいことになっているアルテミに睨まれながらも、ユーリは平然とアドバイスめいたことまで言った。
それがさらに、アルテミを激怒させている事にも、もちろん気付いている。
これからも、こんな戦いをしなければならないなら、ゆっくりしていられない。
今は何とか互角でも、このままいけば、リィカはどんどん強くなる。そして、それに自分は付いていけない。
それは予感だった。
いずれ、自分はこの旅に必要なくなる。リィカの足下にも及ばなくなる。
でも、認めるつもりはなかった。それはプライドが許さない。
リィカが現れるまで、自分と魔法で競う相手はいなかった。そして、明らかに才能はリィカが上だった。
それを認めた上で、ユーリは思う。
絶対に付いていく。追い抜かしてみせる、と。
こんな理不尽な戦いであっても、無駄にするわけにはいかない。
自分の成長のために、相手にも実力以上の実力を出してもらう。
リィカと同じ分野では競えない。
アルテミにはああ言ったが、リィカの場合、多彩な魔法を扱えるのも武器の一つだ。
自分は光魔法だけ。
だからこそ、リィカとは違う、自分だけの武器もあるはずだった。
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