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第四章 モントルビアの王宮
魔物の卵
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出発の日。
国王も王太子も、ベネット公爵も、勇者一行がルイス公爵邸にいることは知っているだろうに、不気味なくらいに何もなかった。
ルイス公爵が止めてくれたのかと思ったが、そういう訳でもないらしい。
気になる情報が一つ。
王太子に、得体の知れない人物が接触している、という情報だ。
「何を企んでいるのか、あるいはまったく関係ないかは分からないけれど、でも出発してしまえば、何もできないだろう」
その言葉に、一同頷く。
そして、もう一つ。エブラ村の情報だ。
ポールとパールと、遭遇して戦った村。
村の名前が出たとき、アレクたちは一瞬思考が止まった。国王からも誰からも、エブラ村について聞かれていない。
「きっと、小さな村などどうでも良かったんだろう。調査を行うという話が全く出ないから、私が独自に行ったよ」
ルイス公爵は、淡々としている。国王たちに対して、すでに諦めを通り越しているようだ。
「あの村は全滅だ。魔物化した動物も多かったが、そちらは対処した。気になるのは一つ。食料が、畑のものも含めてほとんど残っていなかった。魔物が食べたのかと思ったが、そんな感じではなく、明らかに人の手が加わっている」
魔族が食べたのか、元々食料が少なかったのか、あるいはどこかに持ち去られたのか。
それを推測することは困難だった。
※ ※ ※
人が増えている。
そのルイス公爵の言葉がよく分かる。
ここはまだ貴族街のはずなのに、みすぼらしい身なりをした人を見かける。
貴族街と名前が付いているからと言って、平民が入れないわけではない。
ただし、高級な店が多く物価が途端に上がるので、積極的に行きたがる平民は少ない。
「……一般街は、人で溢れかえっているかもな」
アレクがポツリとつぶやいた。
さらに移動し、そろそろ一般街に入る、という場所。
「待ちかねたぞ! 側室腹の王子ごときが私を待たせるとは、何という無礼な奴だ!」
大きな声が響いた。
いたのは、王太子。そして、ベネット公爵だった。
王太子が舐めるような視線をリィカに向ける。
怯えるリィカを庇うように、アレクが前に出た。
「……何の用だ、王太子」
「殿下を付けんか、貴様! 礼儀も知らぬのか!」
「少なくとも、あんたに向ける礼儀は知らないな」
言い返しながら、アレクは目を細める。嫌な予感がする。
「……アレク。あの二人、何か持ってる」
「ええ。まるで魔物のような、禍々しい魔力の気配がします」
怯えながらも厳しい目を向けるリィカと、正体を暴こうとするようにユーリは二人を見据えている。
ますます警戒を強めるアレクに、二人が面白そうに笑う。
「これが何だか分かるか」
ベネット公爵が見せたのは、人の頭大の、卵のようなもの。
ヒヒヒ、と笑うが、その顔は笑顔と言うにはあまりにも醜かった。
「……あれからですね。禍々しい魔力の気配は」
ユーリの声に反応したのは、王太子だ。ベネット公爵が持っているものと、同じ物を手に持った。
「その通りだ! 教えてやろう! これは、魔物の卵だ! これをここで孵化させたらどうなるかな?」
「……魔物の卵? そんなの、あるの?」
暁斗がつぶやいてアレクに視線を向けるが、アレクも首を横に振るだけだ。
「聞いたことがない」
「そうだろう、そうであろう! 貴様のようなものが知ることのできるものではない! 私が選ばれたからこそ、こうして手に持つことができる!」
王太子は、自らに心酔するように手を大きく広げる。
「これは孵化すれば、Bランクの魔物が蘇る。孵化はいつでもできるし、魔物は私が操作できる! 貴様らにけしかけても良いが、溢れかえる平民どもにけしかけるのも面白いだろうな!」
そこで、王太子は再びリィカに視線を持っていく。
「それを防ぎたくば! そこの女! 今すぐ私にその体を捧げろ! さすれば、勇者どもも平民どもも、許してやろう!」
「さすが王太子殿下! 何というお心の広いお方でしょう! さあ女、こっちに来て今すぐ裸になれ!!」
「とことんクズだな」
アレクが吐き捨てる。
「――アレク、どうすればいい?」
暁斗が、聖剣の柄を掴んでいた。
二人を睨んでいる。
「……魔物の卵、というのが気になる。もし本当なら厄介だ。魔力を吸収する魔物の性質上、魔法や剣技はやめた方が無難だな。普通に剣でたたき割る」
「――分かった」
返事と同時に、暁斗が飛び出す。
追うように、すぐにアレクも走り出した。
「はあっ!」
すぐに、自分に心酔した表情のままの王太子のところにたどり着く。
大きく広げた手の、右手に乗っている卵に、暁斗が剣を振るった。
その瞬間。
「――えっ!?」
卵の周りに、炎の壁ができる。暁斗の剣がその壁に止められた。
アレクは、ベネット公爵の持つ卵に、攻撃を仕掛ける。
いや、仕掛けようとして、止まった。慌てて後ろに下がる。
「――がっ!」
卵から、攻撃が仕掛けられた。避けきれず、胸の辺りに攻撃を受ける。
一瞬息が詰まったが、たいしたダメージじゃない。
すぐに、体勢を整えた。
卵の周りに魔力が渦巻く。
「……なんだ!?」
「……これは一体、どういうことだ!?」
王太子とベネット公爵が叫ぶ。
「……なんか変だよ」
暁斗がつぶやく。
「魔力が膨れ上がってる。――孵化、しようとしてる」
リィカの言葉に、アレクが驚愕した。
王太子とベネット公爵に叫ぶ。
「こんな街中で、本気か!? 今すぐやめろ!」
「ふ……ふざけるな! 私は何もしておらん! ベネット公爵、どういうことだ!」
「わ、私も何も知りませぬ!!」
二人の会話にアレクが舌打ちする。この分じゃ、操作できるというのも怪しい。
二つの卵が、強く光った。
大きな魔力が渦巻き、風となって巻き起こる。
「――みんな、気をつけろ!」
アレクが叫ぶのと同時に、光りが収まる。魔力の風がやむ。
同時に、強力な気配と魔力が場を支配する。
二体の巨大な影が、そこにあった。
国王も王太子も、ベネット公爵も、勇者一行がルイス公爵邸にいることは知っているだろうに、不気味なくらいに何もなかった。
ルイス公爵が止めてくれたのかと思ったが、そういう訳でもないらしい。
気になる情報が一つ。
王太子に、得体の知れない人物が接触している、という情報だ。
「何を企んでいるのか、あるいはまったく関係ないかは分からないけれど、でも出発してしまえば、何もできないだろう」
その言葉に、一同頷く。
そして、もう一つ。エブラ村の情報だ。
ポールとパールと、遭遇して戦った村。
村の名前が出たとき、アレクたちは一瞬思考が止まった。国王からも誰からも、エブラ村について聞かれていない。
「きっと、小さな村などどうでも良かったんだろう。調査を行うという話が全く出ないから、私が独自に行ったよ」
ルイス公爵は、淡々としている。国王たちに対して、すでに諦めを通り越しているようだ。
「あの村は全滅だ。魔物化した動物も多かったが、そちらは対処した。気になるのは一つ。食料が、畑のものも含めてほとんど残っていなかった。魔物が食べたのかと思ったが、そんな感じではなく、明らかに人の手が加わっている」
魔族が食べたのか、元々食料が少なかったのか、あるいはどこかに持ち去られたのか。
それを推測することは困難だった。
※ ※ ※
人が増えている。
そのルイス公爵の言葉がよく分かる。
ここはまだ貴族街のはずなのに、みすぼらしい身なりをした人を見かける。
貴族街と名前が付いているからと言って、平民が入れないわけではない。
ただし、高級な店が多く物価が途端に上がるので、積極的に行きたがる平民は少ない。
「……一般街は、人で溢れかえっているかもな」
アレクがポツリとつぶやいた。
さらに移動し、そろそろ一般街に入る、という場所。
「待ちかねたぞ! 側室腹の王子ごときが私を待たせるとは、何という無礼な奴だ!」
大きな声が響いた。
いたのは、王太子。そして、ベネット公爵だった。
王太子が舐めるような視線をリィカに向ける。
怯えるリィカを庇うように、アレクが前に出た。
「……何の用だ、王太子」
「殿下を付けんか、貴様! 礼儀も知らぬのか!」
「少なくとも、あんたに向ける礼儀は知らないな」
言い返しながら、アレクは目を細める。嫌な予感がする。
「……アレク。あの二人、何か持ってる」
「ええ。まるで魔物のような、禍々しい魔力の気配がします」
怯えながらも厳しい目を向けるリィカと、正体を暴こうとするようにユーリは二人を見据えている。
ますます警戒を強めるアレクに、二人が面白そうに笑う。
「これが何だか分かるか」
ベネット公爵が見せたのは、人の頭大の、卵のようなもの。
ヒヒヒ、と笑うが、その顔は笑顔と言うにはあまりにも醜かった。
「……あれからですね。禍々しい魔力の気配は」
ユーリの声に反応したのは、王太子だ。ベネット公爵が持っているものと、同じ物を手に持った。
「その通りだ! 教えてやろう! これは、魔物の卵だ! これをここで孵化させたらどうなるかな?」
「……魔物の卵? そんなの、あるの?」
暁斗がつぶやいてアレクに視線を向けるが、アレクも首を横に振るだけだ。
「聞いたことがない」
「そうだろう、そうであろう! 貴様のようなものが知ることのできるものではない! 私が選ばれたからこそ、こうして手に持つことができる!」
王太子は、自らに心酔するように手を大きく広げる。
「これは孵化すれば、Bランクの魔物が蘇る。孵化はいつでもできるし、魔物は私が操作できる! 貴様らにけしかけても良いが、溢れかえる平民どもにけしかけるのも面白いだろうな!」
そこで、王太子は再びリィカに視線を持っていく。
「それを防ぎたくば! そこの女! 今すぐ私にその体を捧げろ! さすれば、勇者どもも平民どもも、許してやろう!」
「さすが王太子殿下! 何というお心の広いお方でしょう! さあ女、こっちに来て今すぐ裸になれ!!」
「とことんクズだな」
アレクが吐き捨てる。
「――アレク、どうすればいい?」
暁斗が、聖剣の柄を掴んでいた。
二人を睨んでいる。
「……魔物の卵、というのが気になる。もし本当なら厄介だ。魔力を吸収する魔物の性質上、魔法や剣技はやめた方が無難だな。普通に剣でたたき割る」
「――分かった」
返事と同時に、暁斗が飛び出す。
追うように、すぐにアレクも走り出した。
「はあっ!」
すぐに、自分に心酔した表情のままの王太子のところにたどり着く。
大きく広げた手の、右手に乗っている卵に、暁斗が剣を振るった。
その瞬間。
「――えっ!?」
卵の周りに、炎の壁ができる。暁斗の剣がその壁に止められた。
アレクは、ベネット公爵の持つ卵に、攻撃を仕掛ける。
いや、仕掛けようとして、止まった。慌てて後ろに下がる。
「――がっ!」
卵から、攻撃が仕掛けられた。避けきれず、胸の辺りに攻撃を受ける。
一瞬息が詰まったが、たいしたダメージじゃない。
すぐに、体勢を整えた。
卵の周りに魔力が渦巻く。
「……なんだ!?」
「……これは一体、どういうことだ!?」
王太子とベネット公爵が叫ぶ。
「……なんか変だよ」
暁斗がつぶやく。
「魔力が膨れ上がってる。――孵化、しようとしてる」
リィカの言葉に、アレクが驚愕した。
王太子とベネット公爵に叫ぶ。
「こんな街中で、本気か!? 今すぐやめろ!」
「ふ……ふざけるな! 私は何もしておらん! ベネット公爵、どういうことだ!」
「わ、私も何も知りませぬ!!」
二人の会話にアレクが舌打ちする。この分じゃ、操作できるというのも怪しい。
二つの卵が、強く光った。
大きな魔力が渦巻き、風となって巻き起こる。
「――みんな、気をつけろ!」
アレクが叫ぶのと同時に、光りが収まる。魔力の風がやむ。
同時に、強力な気配と魔力が場を支配する。
二体の巨大な影が、そこにあった。
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