魔法使いと皇の剣

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1章 出会い

セイクリッドランド

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ミエラは目の前にいる母の姿をした神に尋ねた

『なんで私は神は魔法を使えるの?神への信仰なら例えそれが事象の神でも私には信仰なんてないし…何より私自身理解してないのに…』
 
そんなミエラと母…レミアの間には、テーブルが置かれ、その上ではミエラが操る小さな火が、まるで意思を持ってるかのように動き、置かれた何本ものロウソクに火をつけて回っていた。
 
『上手よミエラ、ただ一気に火をつけようとしては駄目よ、1つ1つ正確に、、そう、上手。
自然の力は強い助ける力となる一方、間違えれば貴方自身を傷つけるから、繊細な、ううん、揺るがない精神力が必要』
 
ミエラの前にいるレミアはミエラが操る魔法の指導で頭が一杯でミエラの話など聞いてはいなかった。
 
ミエラは、ハァと溜息をつき自身が出した火を最後のロウソクの先端に灯し、魔法を扱うのをやめると
レミアに再度問いただした。
 
『お母さん、話聞いてた?』
『えっ?ううん、ごめんね…ミエラが上手に魔法を仕えてるのが嬉しくて』
 
不機嫌そうなミエラの指摘に落ち込むようレミアが答えた、しかしレミアと暮らすようになり、あの一件から大分経ったが今だにレミアは自ら呼ばすよう誓わせた、母と呼ばれる事に喜びを感じてるようだった
 
『ハァ、あのね、お母さん。なんで私が魔法を使えるのかって話だったの。私にはもう信仰なんてものないのに』
 
ミエラの再度の問いかけで、神への信仰について話された時にレミアは寂しそうな顔をしていたのはミエラは見逃さなかった、しかしレミアは表情を戻すと真面目な顔で問に答えた。

 
『ごめんね、お母さんにもわからないわ、そもそも魔法を使用できるのが事象と呼ばれた神への信仰なら他にも使える者が多数いていいはずだからね。ただ推測になるけども分かることはあるわ』
 
『魔法とはそもそも事象の神の力ではなく、その上と言った方が分かりやすいから使うけど、秩序と混沌の力だと多くの魔法使いは考えてるの。私、、アルミラもその一人だった。』
 

ミエラはレミアがこうして母の記憶をレミアとして喋る時の違和感は今だに慣れなかった。

レミアと母は同じになったと言うがまるで、レミアが母を乗っ取ってるようにしか見えなかったからだ

 
『そして魔法を使う者の多くは、神を信仰してないものが多かったわ、例外的に信仰もしながら魔法を使うものいたけど、信仰している神の権威以外の魔法も使えていた事から信仰と魔法は別物だと思うわ』
 
『でも魔法を使う時に、詠唱…神に捧げる古代語を使う魔法もあるよね?それは信仰じゃないの?』
 
『詠唱で使う魔法は信仰よ。だからこそ通常の魔法より多大な威力の物が多いの、だけども信仰があって古代語も使えるなら、其れこそ精神力が高いものなら誰でも使えるわ』

 
ミエラはレミアの話しを聞きながら、ある程度魔法を使えるようになった今だからこそ理解も出来るし、疑問も生まれてきて混乱していた。

 
『ミエラ…魔法を使える者の多くは血の繋がりが強いのお母さんとミエラみたいに、殆どが血の繋がりによるものが多かった。例外もあるし、もしかしたら自分が魔法使いだと思わず死んでしまう人もいるかも知れないけどもね』
 
ミエラは真剣にレミアの話しを聞いていた
 
『神が魔法使いの身体を得たいのは秩序と混乱の力を使えるようになる為も大きいかも知れないけど、どうしても惹かれてしまうの…かつてのレミアだった私もそうだったから』
 
そう話すレミアをミエラはどうみて良いか分からず、視線を自然に下へと向けていた
 
『私はねミエラ、魔法と信仰、そして人間。これは繋がってると思うわ、眷属の中にも人と交わる中で魔法を使えるようになった者もいたわ。そして神は人間を作れない…近い者を作る事は出来るけど人間だけは作る事が出来ない。正確には人だけではなく、混沌の力によりあらゆる生物がそうなんだけども』
 
ミエラはレミアの話を聞き呟いた
 
『人間、混沌と秩序の力、始まりの神の力を使える物、、、』

 
ミエラの中には父と母の復讐の他にも1つの思いが生まれていた。

(知りたい、、魔法の真髄を、私が、私達が狙われる理由を)

そんなミエラの様子みてレミアは寂しそうに微笑んでるのをミエラは気づいてはいなかった。

『、、ちゃーん』
『ミ、、ェちゃーん、、』
『ミーエラちゃーん!!!』
ミエラは自身にかかる凄まじい圧力と甲高い声で夢から覚めた。
 
ミエラを大声で叫びながら抱きしめるアイリーンの力は凄まじく、ミエラが声も出せずもがいてると
エイランと複数の船員達が気づき慌ててアイリーンを引き剥がした。
 
ミエラは気を失っていただけだが、もう少しで本当に死ぬ所だったとアイリーンを涙目でみると。
 
アイリーンはきょとんとした顔でミエラを見ていた
その顔が不思議と面白く、またアイリーンの表情がわかるようになってきた自分にも可笑しくなり
 
ミエラは笑いアイリーンに
『アイリーン…死んじゃう所だったよ、、ただいま』
アイリーンはそんなミエラをみて、また自分が船で投げかけた言葉を思いだし、またミエラに抱きついた。

そんな様子をみていたエイランは呆れつつ安心したようにまだ雨が降り注ぐ船にいる船員たちに指示をだした
 
『被害の確認と修繕に急げ!クラーケンを吹き飛んだが嵐はまだ収まってない!クラーケンを退けて嵐で沈没した恥な逸話で語り継がれるのはごめんだ!』
 
そういいエイランもまた船員たちと共に船を駆け回り始めた。
ミエラとアイリーンは一先ず出来ることは少ないと、クラーケンを退けてくれた物はゆっくりとしてろと言われ
船長室で待つことにした

『それにしても、ミエラちゃんの魔法には驚いたわ、、あれは何て魔法なの?』

『何て…うーん難しいかも、魔法の掛け合わせ?って言うのかな…例えば水の刃を作る魔法と水で渦を作る魔法これを掛け合わせるみたいなイメージかな』
 
アイリーンはミエラの話しを聞きながら首を傾け
 
『んん?そう言う魔法があって合わせたって事?凄いわー!ミエラちゃん!』
 
ミエラは感嘆の声をあげるアイリーンに使った魔法はまた別と言うのをややこしくなる為にやめた。
 
ミエラが使った魔法は、名前なんてなかった。
水の刃を作り出す魔法も雷を起こす魔法も
全て其処にある物を操る魔法だった。

ミエラはレミアと暮らしながら魔法を学び、其処を大分学んでいた。

魔法の多くは古代語で詠唱して生み出す事が多いがミエラには神への祈りに抵抗があった。
其処でミエラは水なら水を操作する力に精神力を注いだ。既にある物なら古代語での祈りは必要ない。
 
水がある海なら雷がおきてる嵐ならそれが出来た
何かを操作する、しかも周りを巻き込まずにするのは非常に精神力を使う事になるがミエラにとって祈るように古代語で詠唱するよりマシだった

その後は船がどうなるか、自分達の進路は大丈夫なのか話していると、疲れた様子のエイランが扉をあけ入ってきた。
 
『まいったよ、こんな時はあれかな?良い話と悪い話どちらから聞きたいかね?』
 
『『良い話』』
 
エイランの問にアイリーンとミエラは合わせて答えた
そんな様子に苦笑いをしてエイランは答えた
 
『まぁ仲良くなったようでなにより。良い話は航海には問題なし。進路にも特別ズレはなく予定通り結界までいけるだろう』
 
エイランの話しを聞いてアイリーンとミエラは二人して喜んだ、その様子をみてエイランは少し間を置いて悪い話しを続けた
 
『悪い話は、航海するには大丈夫だ、クラーケンのように予定外の事が起きれば逆に持たないだろ、先の襲撃で船員の何人かは海に投げ出され、またクラーケンに潰され亡くなった、この先結界もある、そして結界の先もだ呪われた大陸と呼ばれる場所だ、結界を破って大陸に着くまでは安心できない』
 
エイランの話を聞きアイリーンとミエラが黙り込むと
 
『今までが順調すぎたのだよ。ここまでクラーケンにしか出会わずこれたのは大きい。本来海とは危険な物だ嵐もそうだが魔物が多数でるからね大陸から離れればその危険は増すアイリーン、君も知っているだろ。』
 
『魔物か、そうだったわね、言われてみれば確かに』
ミエラはアイリーンとエイランの話を聞きながら魔物について思い出していた
 
魔物と呼ばれる者は、神が作り出した物もいれば眷属や人、その他の生物が姿を変えた者も多くいた。
欲望のままに生きるその生き物達に、結界の力は及ばない。
 
正確に言うと遠く離れた大陸の結界では、混沌に属する神の結界は及ばない。
 
推測されてる話では、魔物達の多くは混沌の力で歪んでるそれによるものだと、その為か秩序の神に属する結界やセイクリッドランド内には例外を除いて立ち入れない。
 
レミアの森に魔物がいなかったのはこの為だった。
しかしノストールがレミアの結界を超えた事から全てではないのだろうと

実際ミエラがアルベストの結界を超える為に使う魔法も似たような物だった。
 
『つまりだ私達がいる海はグランタリスの結界の範囲でないどころか、既に結界の間である狭間の海にいるそれなのにクラーケンのみなのは運がむしろ良いのだろう、しかも海には海賊達がいる』
 
ミエラはエイランの話を聞き思わず聞き返した
『海賊?』
『ああ、海で生きるもの達だよ、結界の中にいる限りは出会うことはない連中さ、たまに結界内で奴らみたいな行為をする連中もいるがね、まがい物さ。』
 
『昔はね大陸の外に出たら戻ることも容易だったようだね、単純にそういう結界だったのか特別な者が必要でそれを用いてたのかはわからないが』

『だが海出た者達の中には自身の大陸にも戻れなくなりこの狭間の海で暮らす事になった連中もいた。そうして今も奴らは海の賊、または海の眷属との意味合いで海賊と呼ばれてる』
エイランは話しながら壁の地図をじっと見つめ、一点を指差した
 
『私達が今いるのはこの辺りだ、そしてアルベストの結界はこの辺り、ミエラ嬢にタイミングを任せるが正直懸念する事があってね、、結界は目に見えるのかい?実はその辺りが分からなくてね、グランタリスは霧が覆う結界だがアルベストを病の結界、入ってから気づいたら遅いだろうからね』
 
『ある程度ならわかると思います…でも難しいかと。なので初めからセイクリッドランドを展開します』
 
話していてミエラはエイランの真意に気づいて話しを続けた
 
『なので私はその間には何が起こっても援護はできません、、』

『ふむ、まぁ君に頼りすぎるのは申し訳ないし、元々予想出来ていた事だがね、それでも先の活躍をみると何かあった場合期待できるのはアイリーンだけか、、恥ずかしながら剣術の心得はあるが対人がメインでね、特に海の魔物が来たら君等と同じ活躍は出来ないからね』
 
『今、考えても仕方ないわ!明日には結界!前向きに考えましょう、何かあっても今度はアタシが何とかしてあげるわよ』
 
そんなアイリーンの言葉にミエラとエイランは頷き
各々準備と共に3日は過ごすことになった。

ミエラは自室に戻り窓から外をみると、嵐は弱まり微かに見える雨に変わっていた、耳をこらせば聴こえてくる波の音に混じる、雨音を聞きながら、ミエラは明日の準備に取り掛かった。
 
ミエラが明日行う予定だったのはアイリーンやエイランに話した通りセイクリッドランドを作る事だった。
 
病のアスケラ
今や疫病を起こす神とされてるが元は疫病を治したりも出来た神だ。
様々疫病を世に作り出し、それを自らの権威で起こすことも治す事もできた。それゆえ人々恐れと敬意から多大な信仰を得ていた
母がアルベストにいた頃、何者かがそのアスケラの力を使いその地を病の地にした事もあったそうだが、それを無くしたのもまたアスケラの力だった。
 
無くした言うよりは、収めたと言うのが正しいのかは分からなかったが。
 
明日ミエラはその源である混沌の力を使い結界をはる、それには多大な精神力を使う、だがもし失敗したら
自身の体力が持たなかったら、、考えながらミエラは出発前にレミアから貰った、木で作られた小さな杖に触れた。

『ミエラ、これは私の力が宿った杖よ…秩序の力それだけで弱い魔物くらいなら結界として作用があるわ。それにミエラは嫌がるだろうけど、古代語で唱えればお母さんの…いいえ、レミアの力も貸せるわ。混沌の力と秩序の力は相容れない力、ミエラ貴方が結界を渡るには混沌と同じ力か、秩序の力で反発するしかないわ』
 
ミエラは母の話しを静かに聞いていた。
 
『でもミエラは神様にお願いするのは、嫌でしょう…?だからせめてこれを受け取って…持ってるだけでもいいの、何かあった時、結界の権威を弱める事はできるかも知れないから』

ミエラは母とのやり取りを思いだし、杖を握ったもし何か失敗しても、、自分以外死ぬ事になっても、それでも生きる為、生きてノストールを討つために固く誓い

ミエラは英気を養った。
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