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ゴミ捨て場の少女
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なんでこんな事を⋯
俺はやりきれない思いでゴミ山に向かった
親の顔なんて知らない俺は、今では珍しくこの惑星クロームに遺棄された子供だった。
育ててくれた爺さんからは、『クズ』なんて言う素敵な名前を貰えた。
物心ついた時に自分の名前を理解してきた時は、クソジジイと思ったが、こんな惑星で俺を見つけて育ててくれただけでも感謝の気持ちがあるのもそうだが
自分でも、今の俺にはふさわしい名前だと思ってる。
アーマーリングで大負けして、地位も名声も全部失った俺に、誰もが意味を含めて呼ぶようになったんだから
かつては「スターダスト」なんて中々カッコいい異名があったけど、それも今じゃあ、ただの負け犬だ。
そして今日も俺はゴミ山を漁る。
ここ、惑星クロームじゃ生きていくためにはゴミを漁るしかない。
地球やネオヒューマンが捨てていった廃棄物が唯一の資源だ。それを拾って加工したり、売り飛ばしたりして細々と暮らしてる。俺みたいなやつには、それしか選択肢がないんだ。
薄暗い空の下、錆びついた鉄屑や使い古された部品が積み上げられたゴミの山を掘り起こしながら、俺はため息をついた。
今日は大したものが見つからない。ネオアーマーのパーツなんて、めったに転がってるもんじゃない。
「クソが…」
ひとりごちる俺の手に、古びた回路板が引っかかった。
これも売れば小銭くらいにはなるか。ため息をついてポケットに放り込もうとしたそのとき、妙な音が聞こえた。
はじめは風の音かと思った。
でも、明らかにそれとは違う音だ
ゴミの山の奥から、微かに聞こえる音に警戒しながら
俺は近づくとにした。
足元の鉄屑がガシャンと音を立てるたび、音が少しずつ大きくなる。やがて俺は、それを見つけた。
ゴミの山の中に、まるで機械の塊のようなものが埋もれていた。それがまるで近くにいる者を守るように⋯自分がいるぞと誇示するように音を出していた。
よく見ると、ネオアーマーにみえるが、それよりも近くに転がってる人間に意識がいった
間違いなく人間の姿も見える――いや、正確には、機械と人間が一体化したような存在だ。
「おい、大丈夫か?」
俺が呼びかけると、その存在が微かに動いた。そして、ゴミの隙間から現れたのは、一人の少女だった。
「…」
少女は生きているようだが、微かな動き以外反応はなかった。
白い肌に水色の髪、そして、右腕は完全に機械でできていた。顔立ちは美しくあまりにも人間らしかったが、その体の一部は明らかにネオヒューマンのものだ。
「ネオヒューマンか…」
俺は少しだけ迷った。
ネオヒューマンは俺たち人類を追いやった連中だ。
俺たちをこんな廃棄惑星に押し込めた元凶だ。だけど、幼さがまだ残る姿を見てると、そんな感情はどこかに消えちまった。
「大丈夫だ。今、助けてやる」
俺は山の中から彼女を引っ張り出した。近くで見ると、彼女はピッチリとしたアーマースーツに身を包んでいた。俺よりもずっと年下に見える。そして、左肩に埋め込まれた刻印を見て、俺は驚いた。
「お前、『イヴ』…か?」
イヴ。かつて伝説となったネオヒューマンの型番だ。実験的に開発された特別な存在で、その名は俺ですら知っている。けど、何でそんな存在がこんな場所にいる?
俺の呼びかけに反応したように少女はゆっくりと目を開け
「……誰?」
少女の声はか細い。
「クズだ。安心しろ」
名乗ってやると少女はまた静かに目をつむり動かなくなった。
ネオアーマーも気になるがとにかく安全な場所に先にこいつを運ばなきゃいけない。
俺は少女を背負い、ゴミ山を後にした。
こうして俺は、捨てられたネオヒューマンの少女と出会った。
俺はやりきれない思いでゴミ山に向かった
親の顔なんて知らない俺は、今では珍しくこの惑星クロームに遺棄された子供だった。
育ててくれた爺さんからは、『クズ』なんて言う素敵な名前を貰えた。
物心ついた時に自分の名前を理解してきた時は、クソジジイと思ったが、こんな惑星で俺を見つけて育ててくれただけでも感謝の気持ちがあるのもそうだが
自分でも、今の俺にはふさわしい名前だと思ってる。
アーマーリングで大負けして、地位も名声も全部失った俺に、誰もが意味を含めて呼ぶようになったんだから
かつては「スターダスト」なんて中々カッコいい異名があったけど、それも今じゃあ、ただの負け犬だ。
そして今日も俺はゴミ山を漁る。
ここ、惑星クロームじゃ生きていくためにはゴミを漁るしかない。
地球やネオヒューマンが捨てていった廃棄物が唯一の資源だ。それを拾って加工したり、売り飛ばしたりして細々と暮らしてる。俺みたいなやつには、それしか選択肢がないんだ。
薄暗い空の下、錆びついた鉄屑や使い古された部品が積み上げられたゴミの山を掘り起こしながら、俺はため息をついた。
今日は大したものが見つからない。ネオアーマーのパーツなんて、めったに転がってるもんじゃない。
「クソが…」
ひとりごちる俺の手に、古びた回路板が引っかかった。
これも売れば小銭くらいにはなるか。ため息をついてポケットに放り込もうとしたそのとき、妙な音が聞こえた。
はじめは風の音かと思った。
でも、明らかにそれとは違う音だ
ゴミの山の奥から、微かに聞こえる音に警戒しながら
俺は近づくとにした。
足元の鉄屑がガシャンと音を立てるたび、音が少しずつ大きくなる。やがて俺は、それを見つけた。
ゴミの山の中に、まるで機械の塊のようなものが埋もれていた。それがまるで近くにいる者を守るように⋯自分がいるぞと誇示するように音を出していた。
よく見ると、ネオアーマーにみえるが、それよりも近くに転がってる人間に意識がいった
間違いなく人間の姿も見える――いや、正確には、機械と人間が一体化したような存在だ。
「おい、大丈夫か?」
俺が呼びかけると、その存在が微かに動いた。そして、ゴミの隙間から現れたのは、一人の少女だった。
「…」
少女は生きているようだが、微かな動き以外反応はなかった。
白い肌に水色の髪、そして、右腕は完全に機械でできていた。顔立ちは美しくあまりにも人間らしかったが、その体の一部は明らかにネオヒューマンのものだ。
「ネオヒューマンか…」
俺は少しだけ迷った。
ネオヒューマンは俺たち人類を追いやった連中だ。
俺たちをこんな廃棄惑星に押し込めた元凶だ。だけど、幼さがまだ残る姿を見てると、そんな感情はどこかに消えちまった。
「大丈夫だ。今、助けてやる」
俺は山の中から彼女を引っ張り出した。近くで見ると、彼女はピッチリとしたアーマースーツに身を包んでいた。俺よりもずっと年下に見える。そして、左肩に埋め込まれた刻印を見て、俺は驚いた。
「お前、『イヴ』…か?」
イヴ。かつて伝説となったネオヒューマンの型番だ。実験的に開発された特別な存在で、その名は俺ですら知っている。けど、何でそんな存在がこんな場所にいる?
俺の呼びかけに反応したように少女はゆっくりと目を開け
「……誰?」
少女の声はか細い。
「クズだ。安心しろ」
名乗ってやると少女はまた静かに目をつむり動かなくなった。
ネオアーマーも気になるがとにかく安全な場所に先にこいつを運ばなきゃいけない。
俺は少女を背負い、ゴミ山を後にした。
こうして俺は、捨てられたネオヒューマンの少女と出会った。
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