6 / 31
6
しおりを挟むあっという間に一週間後。馬車に乗って町に向かっている。
兄二人はローブを着ている。僕もてるてる坊主みたいなのを着せられた。フード付きで耳の部分も考慮されていてキツくない。見掛け猫耳フード。
「フィ、もうすぐ着くよ~」
ルーにぃのローブにもぐり込んでしがみついて外なんて一切見てなかった。
クーにぃの声にチラッと馬車の窓から外を見ると、煙突のあるレンガの家々が密集していた。人の姿もあって警戒して耳と尻尾がピンッと立つ。
「まずは町長の屋敷に行って挨拶がすんだ後はフィはどっちと一緒がいい?」
ルーにぃが優しくきいてくれている。部屋で大人しくなんて言わない。
「今日はルーにぃ、明日はクーにぃ」
人がたくさんいる恐怖はどちらといても同じ。兄と一緒だから大丈夫と自分に言い聞かせる。
「なら明日は一緒に孤児院に行こうね~。フィより小さい子もいるよ」
クーにぃの言葉にコクリと頷く。年下の子供に会えるのは初めて。
「今日は私と町長の話し合いがすんだら竜を見に行こう」
竜に一気にテンションが上がった。尻尾がパタパタ揺れた。
「楽しみなの!」
ドラゴンさんに会うために頑張る。
広いレンガの道に木々が直列して、歩道と馬車道とを隔てている。安全面が確保され、町並みも綺麗で店や人も多い。
「人たくさん」
プルプルしながらルーにぃにピタッとくっつく。
「大丈夫だよ~。フィに何かする人なんていない」
「町長は優しい人だよ」
兄二人が励ましてくれる。
「はぃ」
自然と声は小さくなる。ルーにぃのローブから顔を出して見上げる。
「ルーにぃ、ごめんなさい。邪魔にならないようにする」
兄二人はお仕事だから抱っこも今だけ許して欲しい。尻尾を丸めて言っても信用されないと思うけど頑張る。
「無理をしなくてもいい」
「そうだよ~。フィーリィーは重くないし~暖かいし~」
クーにぃそれ湯たんぽ扱い。
「頑張る。一人で歩くの!」
馬車に揺られて町長の屋敷に到着。大きい。庭は芝生に木が所々あるほのぼのした田舎を思い起こさせる。
「いらっしゃいませ」
扉前にすでに使用人の人達がスタンバイしていた。馬車を降りる前から試練が始まる。
「フィーリィー」
ルーにぃが心配して声をかけてくれる。兄の膝から降りて、馬車の外に先に出ていたクーにぃの後ろにピタッとくっついた。
1
お気に入りに追加
155
あなたにおすすめの小説
勇者の股間触ったらエライことになった
ベータヴィレッジ 現実沈殿村落
BL
勇者さんが町にやってきた。
町の人は道の両脇で壁を作って、通り過ぎる勇者さんに手を振っていた。
オレは何となく勇者さんの股間を触ってみたんだけど、なんかヤバイことになっちゃったみたい。
主人公の兄になったなんて知らない
さつき
BL
レインは知らない弟があるゲームの主人公だったという事を
レインは知らないゲームでは自分が登場しなかった事を
レインは知らない自分が神に愛されている事を
表紙イラストは マサキさんの「キミの世界メーカー」で作成してお借りしています⬇ https://picrew.me/image_maker/54346
童貞が建設会社に就職したらメスにされちゃった
なる
BL
主人公の高梨優(男)は18歳で高校卒業後、小さな建設会社に就職した。しかし、そこはおじさんばかりの職場だった。
ストレスや性欲が溜まったおじさん達は、優にエッチな視線を浴びせ…
臣下が王の乳首を吸って服従の意を示す儀式の話
八億児
BL
架空の国と儀式の、真面目騎士×どスケベビッチ王。
古代アイルランドには臣下が王の乳首を吸って服従の意を示す儀式があったそうで、それはよいものだと思いましたので古代アイルランドとは特に関係なく王の乳首を吸ってもらいました。
小さい頃、近所のお兄さんに赤ちゃんみたいに甘えた事がきっかけで性癖が歪んでしまって困ってる
海野
BL
小さい頃、妹の誕生で赤ちゃん返りをした事のある雄介少年。少年も大人になり青年になった。しかし一般男性の性の興味とは外れ、幼児プレイにしかときめかなくなってしまった。あの時お世話になった「近所のお兄さん」は結婚してしまったし、彼ももう赤ちゃんになれる程可愛い背格好では無い。そんなある日、職場で「お兄さん」に似た雰囲気の人を見つける。いつしか目で追う様になった彼は次第にその人を妄想の材料に使うようになる。ある日の残業中、眠ってしまった雄介は、起こしに来た人物に寝ぼけてママと言って抱きついてしまい…?
兄たちが弟を可愛がりすぎです~こんなに大きくなりました~
クロユキ
BL
ベルスタ王国に第五王子として転生した坂田春人は第五ウィル王子として城での生活をしていた。
いつものようにメイドのマリアに足のマッサージをして貰い、いつものように寝たはずなのに……目が覚めたら大きく成っていた。
本編の兄たちのお話しが違いますが、短編集として読んで下さい。
誤字に脱字が多い作品ですが、読んで貰えたら嬉しいです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる