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88.
君の身体は 寒くもないのに激しく震え、息が出来ないほどの吐き気と頭痛が襲ってきた。
まるで、天敵に遭遇した獲物のように、ただただ得体の知れない恐怖に心が押し潰されそうになっていた。
君は勇気を振り絞り、必死に呼吸をする。何気ない呼吸さえも許されないような恐怖の中、ゆっくりと近づいてきたルシアが声をかけてきた。
「思い上がるなよ、人間。」
その何でもない一言に、君の思考は停止する。
ルシアは ゆっくり、ゆっくりと、君の頭を撫でた。
そして一言だけ「逃げていい。」と言った気がした。
君は リノを置き去りにし、得体の知れない恐怖から一目散に逃げ出していた。
どこを走ったのか、そもそも走っていたのかも分からないまま、眠りの夜が訪れようとしている 道なき道を、ただ ひたすらに走った。
どれだけ走ったのだろうか、君は体力の限界に達し、その場に倒れ込んだ。
我に返り、体中を激しい疲労と筋肉の痛みが襲ってくる。
激しい苦痛の中、君の脳裏にリノの姿が描かれた。
「リノ、助けに行かなきゃ...」
意識はハッキリしているのだが、身体が言う事を聞かず動くことが出来ない。
まるで君の心も体も、君の意識とは違う意思をもっているように逆らっている、不思議な感覚だった。
君の身体は 寒くもないのに激しく震え、息が出来ないほどの吐き気と頭痛が襲ってきた。
まるで、天敵に遭遇した獲物のように、ただただ得体の知れない恐怖に心が押し潰されそうになっていた。
君は勇気を振り絞り、必死に呼吸をする。何気ない呼吸さえも許されないような恐怖の中、ゆっくりと近づいてきたルシアが声をかけてきた。
「思い上がるなよ、人間。」
その何でもない一言に、君の思考は停止する。
ルシアは ゆっくり、ゆっくりと、君の頭を撫でた。
そして一言だけ「逃げていい。」と言った気がした。
君は リノを置き去りにし、得体の知れない恐怖から一目散に逃げ出していた。
どこを走ったのか、そもそも走っていたのかも分からないまま、眠りの夜が訪れようとしている 道なき道を、ただ ひたすらに走った。
どれだけ走ったのだろうか、君は体力の限界に達し、その場に倒れ込んだ。
我に返り、体中を激しい疲労と筋肉の痛みが襲ってくる。
激しい苦痛の中、君の脳裏にリノの姿が描かれた。
「リノ、助けに行かなきゃ...」
意識はハッキリしているのだが、身体が言う事を聞かず動くことが出来ない。
まるで君の心も体も、君の意識とは違う意思をもっているように逆らっている、不思議な感覚だった。
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