伝説の六勇者(従者リュートの物語)

82.

82.

君は重装のネットに飛びかかると、全ての力を拳の先に集中させ驚異的な一撃を敵に打ちつける！

「それが全力か？」

「まだだー！」

君は、何度も何度も高く掲げた拳を打ちおろすように、重装のネットを叩きつける。その衝撃は足元の大理石の床が粉々に砕け散っても止まることはない。
君の攻撃を通して、敵の足元の土がえぐれていく程の破壊力なのだが...。

「それが全力か？」

「はぁ、はぁ、はぁ、ま、まだだ。」

全力を尽くした君は、力なくその場に座り込む。もう立つことも難しいほどに体力を消耗しているようだ。
君は攻撃をする為に、再び立ち上がろうとするが、体が動かない。
おそらく全ての力を使い果たしたからだろう。
しかし、それだけの攻撃を加えても、重装のネットにダメージを与えることはできていないようだ。


「満身創痍だな。
　残念だが、わしを傷つけることは出来ないようだ。」

「ああ、そのようだな。」
（あと少し、あと少しだけ...。）


君は目を閉じ、足元の湿った土を握りしめる。


君が諦めかけていた、その時！
背後から、リノの声が聞こえてくる。