88 / 103
75+.
しおりを挟む
75+.
一方その頃、アグノムの町にて 拳骨のグルバフと対峙していた六勇者たちも、既に戦闘に突入していた。
一糸纏わぬ拳骨のグルバフに、群がるように集まり、一方的に攻撃をする六勇者たち。
しかし、その攻撃は空を切り、拳骨のグルバフに当たることがない。
それどころか、グルバフの纏っていた黒い煙が集結し形を変えながら六勇者に襲いかかる。
「みなさん!
避けて下さい!!」
村雨美雲の号令で攻撃に集中していたアスカたちは、黒い煙の回避に専念する。
上空に集まった 黒い煙は、音もなく六勇者を押しつぶしにかかる。
地面に落下した黒い煙の塊は、落下と同時に大地をえぐったあと、周囲に飛散し六勇者の視界を奪う。
「みんな、大丈夫!?」
アスカの問いに、それぞれに無事を伝えあった。
「アスカさん!
風の魔法で煙を、取り除きます!
我、魂に命ず、風よ黒き煙をうち払え!」
村雨美雲が魔法を唱えると、黒い煙は 遥か上空へと吹き上げられていく。
吹き荒れる風の中、黒い煙の中央にいた拳骨のグルバフは、ニヤリと笑みを浮かべた。
「みんな、気を付けて!
何かくる!!!」
アスカの号令と共に、グルバフが呪文を詠唱した。
「竜神の父にして竜神の王ヴォラティエよ、その力の一片を、只一時、我に貸し与えたまえ。
全てを生みだす破壊の炎、いま一度、神の手に。
燃えよ小宇宙
・・・ファイアーボール。」
拳骨のグルバフの指先から放たれた、ソフトボールほどの火の玉は、村雨美雲の風の魔法と混ざり合い、激しい炎の柱となり周囲の建物を焼き尽くす。
そのまま、炎の柱は燃え続け、六勇者を中に閉じ込めた。
「六勇者よ、短文詠唱とは なかなかだな。
しかし、無知とは恐ろしい。
あの規模の魔法、相殺のリスクを知らなかったとしか思えない。」
ドサッ!
アスカの後方で誰かが倒れる音が聞こえた。
アスカが振り返ると、そこに村雨美雲が倒れている。
「美雲!」
「アスカさん、前!!!」
村雨美雲に駆け寄っていた、篠崎雪華の声で、前を向き返すアスカの頬に、グルバフの拳がめり込む。
「ちくしょー!
やめろー!」
少し離れた位置から、天津國治が叫んだ。
と、同時に、鬼島蒼汰と宮前源次郎が飛びかかる。
拳骨のグルバフは、二人の攻撃を避けるように距離をとる。
背後に天津國治がいるが、攻撃する度胸がないと読んでいるのか、一瞬だけ視線を向けると、そのまま鬼島蒼汰たちの方を向き直し、魔法を詠唱し、氷の塊で反撃する。
傷つき倒れ 満身創痍の六勇者たちを見渡したまま、笑みを浮かべた拳骨のグルバフは 天津國治に言い放つ。
「恐怖に震えたまま眠れ。」
両腕を高く掲げたグルバフの遥か上空に黒い煙が集まり始めた。
一方その頃、アグノムの町にて 拳骨のグルバフと対峙していた六勇者たちも、既に戦闘に突入していた。
一糸纏わぬ拳骨のグルバフに、群がるように集まり、一方的に攻撃をする六勇者たち。
しかし、その攻撃は空を切り、拳骨のグルバフに当たることがない。
それどころか、グルバフの纏っていた黒い煙が集結し形を変えながら六勇者に襲いかかる。
「みなさん!
避けて下さい!!」
村雨美雲の号令で攻撃に集中していたアスカたちは、黒い煙の回避に専念する。
上空に集まった 黒い煙は、音もなく六勇者を押しつぶしにかかる。
地面に落下した黒い煙の塊は、落下と同時に大地をえぐったあと、周囲に飛散し六勇者の視界を奪う。
「みんな、大丈夫!?」
アスカの問いに、それぞれに無事を伝えあった。
「アスカさん!
風の魔法で煙を、取り除きます!
我、魂に命ず、風よ黒き煙をうち払え!」
村雨美雲が魔法を唱えると、黒い煙は 遥か上空へと吹き上げられていく。
吹き荒れる風の中、黒い煙の中央にいた拳骨のグルバフは、ニヤリと笑みを浮かべた。
「みんな、気を付けて!
何かくる!!!」
アスカの号令と共に、グルバフが呪文を詠唱した。
「竜神の父にして竜神の王ヴォラティエよ、その力の一片を、只一時、我に貸し与えたまえ。
全てを生みだす破壊の炎、いま一度、神の手に。
燃えよ小宇宙
・・・ファイアーボール。」
拳骨のグルバフの指先から放たれた、ソフトボールほどの火の玉は、村雨美雲の風の魔法と混ざり合い、激しい炎の柱となり周囲の建物を焼き尽くす。
そのまま、炎の柱は燃え続け、六勇者を中に閉じ込めた。
「六勇者よ、短文詠唱とは なかなかだな。
しかし、無知とは恐ろしい。
あの規模の魔法、相殺のリスクを知らなかったとしか思えない。」
ドサッ!
アスカの後方で誰かが倒れる音が聞こえた。
アスカが振り返ると、そこに村雨美雲が倒れている。
「美雲!」
「アスカさん、前!!!」
村雨美雲に駆け寄っていた、篠崎雪華の声で、前を向き返すアスカの頬に、グルバフの拳がめり込む。
「ちくしょー!
やめろー!」
少し離れた位置から、天津國治が叫んだ。
と、同時に、鬼島蒼汰と宮前源次郎が飛びかかる。
拳骨のグルバフは、二人の攻撃を避けるように距離をとる。
背後に天津國治がいるが、攻撃する度胸がないと読んでいるのか、一瞬だけ視線を向けると、そのまま鬼島蒼汰たちの方を向き直し、魔法を詠唱し、氷の塊で反撃する。
傷つき倒れ 満身創痍の六勇者たちを見渡したまま、笑みを浮かべた拳骨のグルバフは 天津國治に言い放つ。
「恐怖に震えたまま眠れ。」
両腕を高く掲げたグルバフの遥か上空に黒い煙が集まり始めた。
0
お気に入りに追加
6
あなたにおすすめの小説
校長室のソファの染みを知っていますか?
フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。
しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。
座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る
寝室から喘ぎ声が聞こえてきて震える私・・・ベッドの上で激しく絡む浮気女に復讐したい
白崎アイド
大衆娯楽
カチャッ。
私は静かに玄関のドアを開けて、足音を立てずに夫が寝ている寝室に向かって入っていく。
「あの人、私が
虐げられた令嬢、ペネロペの場合
キムラましゅろう
ファンタジー
ペネロペは世に言う虐げられた令嬢だ。
幼い頃に母を亡くし、突然やってきた継母とその後生まれた異母妹にこき使われる毎日。
父は無関心。洋服は使用人と同じくお仕着せしか持っていない。
まぁ元々婚約者はいないから異母妹に横取りされる事はないけれど。
可哀想なペネロペ。でもきっといつか、彼女にもここから救い出してくれる運命の王子様が……なんて現れるわけないし、現れなくてもいいとペネロペは思っていた。何故なら彼女はちっとも困っていなかったから。
1話完結のショートショートです。
虐げられた令嬢達も裏でちゃっかり仕返しをしていて欲しい……
という願望から生まれたお話です。
ゆるゆる設定なのでゆるゆるとお読みいただければ幸いです。
R15は念のため。
マイナー18禁乙女ゲームのヒロインになりました
東 万里央(あずま まりお)
恋愛
十六歳になったその日の朝、私は鏡の前で思い出した。この世界はなんちゃってルネサンス時代を舞台とした、18禁乙女ゲーム「愛欲のボルジア」だと言うことに……。私はそのヒロイン・ルクレツィアに転生していたのだ。
攻略対象のイケメンは五人。ヤンデレ鬼畜兄貴のチェーザレに男の娘のジョバンニ。フェロモン侍従のペドロに影の薄いアルフォンソ。大穴の変人両刀のレオナルド……。ハハッ、ロクなヤツがいやしねえ! こうなれば修道女ルートを目指してやる!
そんな感じで涙目で爆走するルクレツィアたんのお話し。
【完結】父が再婚。義母には連れ子がいて一つ下の妹になるそうですが……ちょうだい癖のある義妹に寮生活は無理なのでは?
つくも茄子
ファンタジー
父が再婚をしました。お相手は男爵夫人。
平民の我が家でいいのですか?
疑問に思うものの、よくよく聞けば、相手も再婚で、娘が一人いるとのこと。
義妹はそれは美しい少女でした。義母に似たのでしょう。父も実娘をそっちのけで義妹にメロメロです。ですが、この新しい義妹には悪癖があるようで、人の物を欲しがるのです。「お義姉様、ちょうだい!」が口癖。あまりに煩いので快く渡しています。何故かって?もうすぐ、学園での寮生活に入るからです。少しの間だけ我慢すれば済むこと。
学園では煩い家族がいない分、のびのびと過ごせていたのですが、義妹が入学してきました。
必ずしも入学しなければならない、というわけではありません。
勉強嫌いの義妹。
この学園は成績順だということを知らないのでは?思った通り、最下位クラスにいってしまった義妹。
両親に駄々をこねているようです。
私のところにも手紙を送ってくるのですから、相当です。
しかも、寮やクラスで揉め事を起こしては顰蹙を買っています。入学早々に学園中の女子を敵にまわしたのです!やりたい放題の義妹に、とうとう、ある処置を施され・・・。
なろう、カクヨム、にも公開中。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる