目指せ地獄の門 ~改訂版~

黒山羊

文字の大きさ
上 下
17 / 89
2章・スタートライン

第3話 極悪四人組

しおりを挟む
~神託室~

神託室は、厚手のカーテンが張り巡らせてあり、思ったより狭く感じる。
カーテンの後ろには、兵士が控えているようだ。
中央には水晶があり、その奥に神官が待っている。

部屋に入る前に軽く説明を受けていたので、まずは、エイトが、水晶に手をかざすことにした。
水晶は光り輝き、神の恩恵を伝える。


「おおお!すごい!Sランクの冒険者です!」

周囲が騒めく。



次に、レヴィアが、手をかざす。
やはり、水晶は光り輝き、神の恩恵を伝える。


「おおお!まただ!貴方様もSランクの冒険者です!」

さらに周囲が騒めく。





最後に、レイザーが、手をかざす。
やはり、水晶は淡く輝き、神の恩恵を伝える。

「貴方は、Aランクの冒険者ですね!Sランクが続いたけど、通常は、Aランクは、なかなかいないんですよ!」

・・・レヴィアは、考える。金貨10,000枚

金貨1枚あれば、好きな服が買えるし、個室の宿に2食付きで泊まれる。
単純に考えて、20年以上、好きなものを買って遊んで暮らせる金だ。


「・・・困ったなー、主夫あるじ様、天使様かなー?お金ないんだよなー。でも、エイトが選んだ大事な仲間だしなー。別れが続くと、エイトも悲しいだろうなー。大好きな人との別れの後だもんなー。」

「やめてよ、レヴィア、恥ずかしいよ。」

「よし!」

レヴィアは、そういうとレイザーの腕を掴み、水晶に近づける。
水晶に、レイザーの手が かざされると、水晶は光り輝き、神の恩恵を伝える。

「何があったんだ!貴方様もSランクの冒険者です!」


別の神託の神官が、横の方で声をあげる。

「おおおおお!いま神から、神託を直接いただきました。この4人は歓迎すると!」

周囲が騒めき、奥から神殿兵士や他の神官も集まってきている。






「よし。」

レヴィアは、小さく胸の前でガッツポーズをとっている。

「・・・やりすぎでしょ。」

「あわわぁ、いったい何が起きてるんでしょうか・・・?」

混乱するアルルと周囲の神官たち。

「ああ、ついてきてよかった、のかな?」

当事者のレイザーが一番 混乱しているようだ。



4人が冒険者カードを発行する間、控室で待っていると、神官に奥の部屋に呼ばれる。








そこには、街道沿いの教会にいた神官と、山賊風の男たち3人組。
そして、身分の高そうな神官が控えていた。

4人が部屋に入ってくると、街道沿いの教会にいた神官が、身分の高そうな神官に提言する。

「大神官様、神託のお告げを無視し、逃げ出した愚か者は、この者たちです。この者の身柄を拘束させてください。」


大神官と呼ばれた、身分の高そうな神官は、提言に耳を傾け、4人の方を見た。

「そんな!大神官様、もう一度、神託をしてあげてください。あの神託は・・・。」

レイザーの口をアルルが塞ぐ。

神託が嘘であった。そういってしまえば、処罰は重くなる。



控室から4人を連れてきた神官が、大神官に耳打ちをしている。

「神託を受けるまでもないでしょうね。・・・その4人を捕らなさい。」




神殿兵士が、4人を拘束する。


「ちょ、え、ちょ、ちょっと待ってください!」

「3人には厳罰を、神を欺こうとした神官には、極刑を与えなさい。」

街道沿いの神官や山賊は、部屋の外に連れていかれた。




4人が外に連れ出されると、大神官は、その場にひれ伏した。

「皆様には、ご迷惑をおかけしました。私がこの地に導かれたのは、大天使様に導かれたからです。
 教会のご無礼をお許しください。何か必要なことがあれば、なんでも申し付け下さい。」

大神官が頭を下げると、一斉に他の神官や神殿騎士も頭を下げる。


「いいのよ。主夫あるじ様だって、自分の力で解決しなさいって言うはずだから。
 でもね、ほら・・・。」


レヴィアは、エイトを見る。レヴィアは何か企んでいるような笑みをしている。



エイトも頷く。

「大神官様、頭を上げてください。できれば、自分たちの力で解決していきたいと考えています。
 私たちは、騒ぎにならないことだけが望みです。」



視界の端で、レヴィアが猛烈に顔を横に振っていたのは、見えないふりをした。




 ~ to be continued



【補足】


主夫あるじ様、天使様:
人間たちを管理する神様や、その使い。
最高神の名前を直接呼ぶことは死罪に値するので、人々は、最高神の事を、主夫あるじ様と呼ぶ。


神殿兵士(神殿騎士):
呼び方は人それぞれ。役目は同じで、神殿に仕える兵士(騎士)一般の冒険者よりも戦闘能力が高く、魔法まで使えるエリートのみ就職できる。


大神官:
神官の最高位の人物。地位は、大臣と同じになるが、影響力は国王と並ぶ。
周知の事実だが、今の大神官は、国王の実の弟でもある為、人気がある。




しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

ドロップキング 〜 平均的な才能の冒険者ですが、ドロップアイテムが異常です。 〜

出汁の素
ファンタジー
 アレックスは、地方の騎士爵家の五男。食い扶持を得る為に13歳で冒険者学校に通い始めた、極々一般的な冒険者。  これと言った特技はなく、冒険者としては平凡な才能しか持たない戦士として、冒険者学校3か月の授業を終え、最低ランクHランクの認定を受け、実地研修としての初ダンジョンアタックを冒険者学校の同級生で組んだパーティーでで挑んだ。  そんなアレックスが、初めてモンスターを倒した時に手に入れたドロップアイテムが異常だった。  のちにドロップキングと呼ばれる冒険者と、仲間達の成長ストーリーここに開幕する。  第一章は、1カ月以内に2人で1000体のモンスターを倒せば一気にEランクに昇格出来る冒険者学校の最終試験ダンジョンアタック研修から、クラン設立までのお話。  第二章は、設立したクラン アクア。その本部となる街アクアを中心としたお話。  第三章は、クラン アクアのオーナーアリアの婚約破棄から始まる、ドタバタなお話。  第四章は、帝都での混乱から派生した戦いのお話(ざまぁ要素を含む)。  1章20話(除く閑話)予定です。 ------------------------------------------------------------- 書いて出し状態で、1話2,000字~3,000字程度予定ですが、大きくぶれがあります。 全部書きあがってから、情景描写、戦闘描写、心理描写等を増やしていく予定です。 下手な文章で申し訳ございませんがよろしくお願いいたします。

妹しか愛していない母親への仕返しに「わたくしはお母様が男に無理矢理に犯されてできた子」だと言ってやった。

ラララキヲ
ファンタジー
「貴女は次期当主なのだから」  そう言われて長女のアリーチェは育った。どれだけ寂しくてもどれだけツラくても、自分がこのエルカダ侯爵家を継がなければいけないのだからと我慢して頑張った。  長女と違って次女のルナリアは自由に育てられた。両親に愛され、勉強だって無理してしなくてもいいと甘やかされていた。  アリーチェはそれを羨ましいと思ったが、自分が長女で次期当主だから仕方がないと納得していて我慢した。  しかしアリーチェが18歳の時。  アリーチェの婚約者と恋仲になったルナリアを、両親は許し、二人を祝福しながら『次期当主をルナリアにする』と言い出したのだ。  それにはもうアリーチェは我慢ができなかった。  父は元々自分たち(子供)には無関心で、アリーチェに厳し過ぎる教育をしてきたのは母親だった。『次期当主だから』とあんなに言ってきた癖に、それを簡単に覆した母親をアリーチェは許せなかった。  そして両親はアリーチェを次期当主から下ろしておいて、アリーチェをルナリアの補佐に付けようとした。  そのどこまてもアリーチェの人格を否定する考え方にアリーチェの心は死んだ。  ──自分を愛してくれないならこちらもあなたたちを愛さない──  アリーチェは行動を起こした。  もうあなたたちに情はない。   ───── ◇これは『ざまぁ』の話です。 ◇テンプレ [妹贔屓母] ◇ふんわり世界観。ゆるふわ設定。 ◇ご都合展開。矛盾もあるかも。 ◇なろうにも上げてます。 ※HOTランキング〔2位〕(4/19)☆ファンタジーランキング〔1位〕☆入り、ありがとうございます!!

勇者一行から追放された二刀流使い~仲間から捜索願いを出されるが、もう遅い!~新たな仲間と共に魔王を討伐ス

R666
ファンタジー
アマチュアニートの【二龍隆史】こと36歳のおっさんは、ある日を境に実の両親達の手によって包丁で腹部を何度も刺されて地獄のような痛みを味わい死亡。 そして彼の魂はそのまま天界へ向かう筈であったが女神を自称する危ない女に呼び止められると、ギフトと呼ばれる最強の特典を一つだけ選んで、異世界で勇者達が魔王を討伐できるように手助けをして欲しいと頼み込まれた。 最初こそ余り乗り気ではない隆史ではあったが第二の人生を始めるのも悪くないとして、ギフトを一つ選び女神に言われた通りに勇者一行の手助けをするべく異世界へと乗り込む。 そして異世界にて真面目に勇者達の手助けをしていたらチキン野郎の役立たずという烙印を押されてしまい隆史は勇者一行から追放されてしまう。 ※これは勇者一行から追放された最凶の二刀流使いの隆史が新たな仲間を自ら探して、自分達が新たな勇者一行となり魔王を討伐するまでの物語である※

なんだって? 俺を追放したSS級パーティーが落ちぶれたと思ったら、拾ってくれたパーティーが超有名になったって?

名無し
ファンタジー
「ラウル、追放だ。今すぐ出ていけ!」 「えっ? ちょっと待ってくれ。理由を教えてくれないか?」 「それは貴様が無能だからだ!」 「そ、そんな。俺が無能だなんて。こんなに頑張ってるのに」 「黙れ、とっととここから消えるがいい!」  それは突然の出来事だった。  SSパーティーから総スカンに遭い、追放されてしまった治癒使いのラウル。  そんな彼だったが、とあるパーティーに拾われ、そこで認められることになる。 「治癒魔法でモンスターの群れを殲滅だと!?」 「え、嘘!? こんなものまで回復できるの!?」 「この男を追放したパーティー、いくらなんでも見る目がなさすぎだろう!」  ラウルの神がかった治癒力に驚愕するパーティーの面々。  その凄さに気が付かないのは本人のみなのであった。 「えっ? 俺の治癒魔法が凄いって? おいおい、冗談だろ。こんなの普段から当たり前にやってることなのに……」

『特別』を願った僕の転生先は放置された第7皇子!?

mio
ファンタジー
 特別になることを望む『平凡』な大学生・弥登陽斗はある日突然亡くなる。  神様に『特別』になりたい願いを叶えてやると言われ、生まれ変わった先は異世界の第7皇子!? しかも母親はなんだかさびれた離宮に追いやられているし、騎士団に入っている兄はなかなか会うことができない。それでも穏やかな日々。 そんな生活も母の死を境に変わっていく。なぜか絡んでくる異母兄弟をあしらいつつ、兄の元で剣に魔法に、いろいろと学んでいくことに。兄と兄の部下との新たな日常に、以前とはまた違った幸せを感じていた。 日常を壊し、強制的に終わらせたとある不幸が起こるまでは。    神様、一つ言わせてください。僕が言っていた特別はこういうことではないと思うんですけど!?  他サイトでも投稿しております。

騎士王マルス ~始まりの歌~

黒山羊
ファンタジー
レヴィアの話していた物語は、序章の面白ストーリーです。 本編は、騎士団長を目指す話です。出会いを通して、主人公が成長していく物語になります。     第1章終了  第2章に続きます。     前作「目指せ!地獄の門」  短編作品劇場の「僕は1人じゃない」も宜しくお願いします。

ズボラ通販生活

ice
ファンタジー
西野桃(にしのもも)35歳の独身、オタクが神様のミスで異世界へ!貪欲に通販スキル、時間停止アイテムボックス容量無限、結界魔法…さらには、お金まで貰う。商人無双や!とか言いつつ、楽に、ゆるーく、商売をしていく。淋しい独身者、旦那という名の奴隷まで?!ズボラなオバサンが異世界に転移して好き勝手生活する!

【全話挿絵】発情✕転生 〜何あれ……誘ってるのかしら?〜【毎日更新】

墨笑
ファンタジー
『エロ×ギャグ×バトル+雑学』をテーマにした異世界ファンタジー小説です。 主人公はごく普通(?)の『むっつりすけべ』な女の子。 異世界転生に伴って召喚士としての才能を強化されたまでは良かったのですが、なぜか発情体質まで付与されていて……? 召喚士として様々な依頼をこなしながら、無駄にドキドキムラムラハァハァしてしまう日々を描きます。 明るく、楽しく読んでいただけることを目指して書きました。

処理中です...