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悪魔召喚士
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千紘たちは、群れのボスであるパn・・・ブラックアイズの背に跨ったまま森の奥深くにやってきた。
森の奥に辿り着くと、周囲の様子が一変する。
そこは、木々が枯れており 森と呼ぶには明るすぎる場所になっていた。
その原因は木々に感染しているカビのようなものであろう。
ブラックアイズは、カビに近づかないように少し離れた位置で止まる。
2人は、ブラックアイズの背から降り、周囲を見渡す。
エイルは、何かに気付いたのだろうか、なるほど!と言った表情で頷くと、千紘に声をかけた。
「どうやらコレが原因みたいだね。」
「コレって・・・カビが繁殖してしまって森を壊していたのかな?」
千紘が カビを観察するために近づこうとすると、とっさにエイルが千紘を抱き寄せるようにしてカビから引き離す。
「千紘!
ちょっと迂闊すぎるぞ。」
「急に引っ張らないでよ。びっくりするじゃない!」
ボン!!!
エイルに抱き寄せられた千紘が、エイルに対して抗議した直後、千紘が近づいたカビが破裂するように、周囲に胞子をまき散らした。
「千紘、息を止めてて。
これは魔大陸で見たことがある。
たしか、近くの植物や動物に感染して支配領域を増やしていく種類だったと思うよ。」
そういうとエイルは、手の平に炎を召喚して千紘の周りに近づける。
バチバチッバチッ!
千紘の周りで何かが燃えるような音が響き渡る。
エイルは 千紘の周囲の胞子を焼き終え、千紘に大丈夫だと合図を送る。
「ぷはー、はぁ、はぁ、はぁ。
・
・
・
助けてくれて、ありがと。」
「どういたしまして。
でも、この量を俺の全てを繋ぐ炎で焼き払うのは無理があるな・・・。」
エイルは周囲を見渡しながら、いい案がないか考えているようだ。
そんなエイルに、千紘が声をかける。
「ねえ、君の全てを繋ぐ炎と私のファイヤーボールで何とか出来ないかな?
魔法辞典で見たんだけど、魔法を同時に唱えると その威力が合算されるって。
それぞれの魔法は弱いけど、力を合わせれば・・・。」
「そうだね、いい案かもしれない!
千紘、さっそく俺にファイヤーボールを放ってくれ。
そうだな、3発ほど放ってくれたら十分だと思うけど・・・。」
「えっ?
あ、うん。
同時に唱えるって書いてあったから、なんだか想像と違うんだけど・・・。」
千紘は不思議そうな顔をしながらも、エイルの方に 人差し指と中指を交差させて真っすぐ伸ばし 左手の親指を立てながら千紘は叫んだ。
「ファイヤーボール!
ファイヤーボール!
ファイヤーボール!」
ボッボッボッ!
ヒューン!
真っすぐにエイルに向かっていくピンポン玉サイズのファイヤーボールを、エイルは掴み取るように右手を伸ばし、エイルの手の平に集める。集まったファイヤーボールは、ビー玉程度の大きさに濃縮され、激しく光り輝いている。
そのままエイルは 左手を添え、詠唱を始めた。
「我が血に眠る破壊の龍神ヴォラティエよ。
その力の一滴を ここに解き放て。」
エイルが詠唱を終えると 手の平の中の炎は一瞬で 雲まで焼き尽くすほどの巨大な火柱となり空を赤く染める。
「・・・。
それ、どうやってるの?」
あまりの威力に、千紘は呆然としている。
エイルは 笑顔でごまかすと、巨大な炎を操り、周囲のカビを焼き始めた。
エイルの操る炎は、まるで意思があるかのように、森を侵食しているカビだけを焼き払っていく。
森を侵食しているカビを焼き始めて、5分たらずで、エイルが千紘の方を振り返り、笑顔で声をかける。
「カビの胞子は全て焼き払ったよ。
あとは・・・。」
「あとは・・・?」
「あとは家に帰るだけだな。」
「・
・
・
たしかに、家に帰り着くまでが遠足です。って言うよね。」
2人は、再びパンダの背に乗り、森の入り口を目指す。
途中、エイルが千紘に声をかける。
「ああ、やっぱり。
・
・
・
ごめん、森の中に忘れ物をしてきたみたい。
千紘、先に行っててよ。
あとから空を飛んで追いつくからさ。」
「もう何を忘れたのよ。
森を出るまでに追いついてよ。
一人で このまま森を出るのは絶対に嫌だからね!」
「わかった。
すぐに追いつくよ。」
エイルは、笑顔でパンダから飛び降りると、森の奥の方へと引き換えしていった。
千紘は、駆けていくエイルの後姿を見ながら、何を忘れたのか気付いた。
(さっきの炎、消し忘れてたんだ・・・。)
先ほどの森の奥の遥か上空では、2人の合体魔法の炎が燃え続けていた。
森の奥に辿り着くと、周囲の様子が一変する。
そこは、木々が枯れており 森と呼ぶには明るすぎる場所になっていた。
その原因は木々に感染しているカビのようなものであろう。
ブラックアイズは、カビに近づかないように少し離れた位置で止まる。
2人は、ブラックアイズの背から降り、周囲を見渡す。
エイルは、何かに気付いたのだろうか、なるほど!と言った表情で頷くと、千紘に声をかけた。
「どうやらコレが原因みたいだね。」
「コレって・・・カビが繁殖してしまって森を壊していたのかな?」
千紘が カビを観察するために近づこうとすると、とっさにエイルが千紘を抱き寄せるようにしてカビから引き離す。
「千紘!
ちょっと迂闊すぎるぞ。」
「急に引っ張らないでよ。びっくりするじゃない!」
ボン!!!
エイルに抱き寄せられた千紘が、エイルに対して抗議した直後、千紘が近づいたカビが破裂するように、周囲に胞子をまき散らした。
「千紘、息を止めてて。
これは魔大陸で見たことがある。
たしか、近くの植物や動物に感染して支配領域を増やしていく種類だったと思うよ。」
そういうとエイルは、手の平に炎を召喚して千紘の周りに近づける。
バチバチッバチッ!
千紘の周りで何かが燃えるような音が響き渡る。
エイルは 千紘の周囲の胞子を焼き終え、千紘に大丈夫だと合図を送る。
「ぷはー、はぁ、はぁ、はぁ。
・
・
・
助けてくれて、ありがと。」
「どういたしまして。
でも、この量を俺の全てを繋ぐ炎で焼き払うのは無理があるな・・・。」
エイルは周囲を見渡しながら、いい案がないか考えているようだ。
そんなエイルに、千紘が声をかける。
「ねえ、君の全てを繋ぐ炎と私のファイヤーボールで何とか出来ないかな?
魔法辞典で見たんだけど、魔法を同時に唱えると その威力が合算されるって。
それぞれの魔法は弱いけど、力を合わせれば・・・。」
「そうだね、いい案かもしれない!
千紘、さっそく俺にファイヤーボールを放ってくれ。
そうだな、3発ほど放ってくれたら十分だと思うけど・・・。」
「えっ?
あ、うん。
同時に唱えるって書いてあったから、なんだか想像と違うんだけど・・・。」
千紘は不思議そうな顔をしながらも、エイルの方に 人差し指と中指を交差させて真っすぐ伸ばし 左手の親指を立てながら千紘は叫んだ。
「ファイヤーボール!
ファイヤーボール!
ファイヤーボール!」
ボッボッボッ!
ヒューン!
真っすぐにエイルに向かっていくピンポン玉サイズのファイヤーボールを、エイルは掴み取るように右手を伸ばし、エイルの手の平に集める。集まったファイヤーボールは、ビー玉程度の大きさに濃縮され、激しく光り輝いている。
そのままエイルは 左手を添え、詠唱を始めた。
「我が血に眠る破壊の龍神ヴォラティエよ。
その力の一滴を ここに解き放て。」
エイルが詠唱を終えると 手の平の中の炎は一瞬で 雲まで焼き尽くすほどの巨大な火柱となり空を赤く染める。
「・・・。
それ、どうやってるの?」
あまりの威力に、千紘は呆然としている。
エイルは 笑顔でごまかすと、巨大な炎を操り、周囲のカビを焼き始めた。
エイルの操る炎は、まるで意思があるかのように、森を侵食しているカビだけを焼き払っていく。
森を侵食しているカビを焼き始めて、5分たらずで、エイルが千紘の方を振り返り、笑顔で声をかける。
「カビの胞子は全て焼き払ったよ。
あとは・・・。」
「あとは・・・?」
「あとは家に帰るだけだな。」
「・
・
・
たしかに、家に帰り着くまでが遠足です。って言うよね。」
2人は、再びパンダの背に乗り、森の入り口を目指す。
途中、エイルが千紘に声をかける。
「ああ、やっぱり。
・
・
・
ごめん、森の中に忘れ物をしてきたみたい。
千紘、先に行っててよ。
あとから空を飛んで追いつくからさ。」
「もう何を忘れたのよ。
森を出るまでに追いついてよ。
一人で このまま森を出るのは絶対に嫌だからね!」
「わかった。
すぐに追いつくよ。」
エイルは、笑顔でパンダから飛び降りると、森の奥の方へと引き換えしていった。
千紘は、駆けていくエイルの後姿を見ながら、何を忘れたのか気付いた。
(さっきの炎、消し忘れてたんだ・・・。)
先ほどの森の奥の遥か上空では、2人の合体魔法の炎が燃え続けていた。
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